はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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原作キャラに一部オリジナル設定がございます。
あまりキャラが変わらないように努めましたが、苦手な方がいたらすみません。
どうしても許容できない方はブラウザバックをお願いします。


victimize

フランスの首都で、花の都と呼ばれたパリ。

上空から、その都市を見下ろし思う。

 

 

もう、6年ぶりとなるパリ。

…私の好きなシャンゼリゼ通りはマロニエの並木道まで赤くなっている。

こうも一面赤いと、以前の面影があまり感じられない。

唯一の救いは街並みはそのままという事か。

 

今日、そのパリを訪れたのはユーロ支部施設周辺の復元を行う為だ。

 

敵地の中に飛び地を作り、敵の侵攻行動を少しでも阻害する事、そしてコア化した土地を問題なく浄化出来るかの試験が目的となっている。

まあついでにアポストルの数でも減らしておこうという魂胆もある。

 

この作戦にはヴンダー、エヴァMark7、ガンスーツを着用したエヴァ8号機、エヴァMark9、そしてキラー衛星アルテミスが参加する。

 

 

本作戦中、ヴンダーは敵の航空戦力の最大高度よりも上で待機し、作業をする人員は揚陸艇で移動する。

私達エヴァは作業班の護衛。

 

役割として囮兼攻撃が私、遊撃がマリ、ヴンダーの護衛兼狙撃手が綾波さん。

 

現在パリ周辺に敵反応は無し。

降下準備の中、通信越しに聞こえてくるマリの歌声。

 

真実一路のマーチ

 

…その歌、よくお婆ちゃんが歌ってたな。

マリの歌に合わせながら、私も口ずさむ。

短くたって構わない、か。

 

 

 

 

巨大な円柱状の物体。

ヴィレユーロ支部、第一号封印柱の上に着陸する揚陸艇。

船体固定の完了が報告されると、揚陸艇から特殊なスーツを着たリツコ先生とマヤさん、そして作業スタッフが降りてくる。

 

『14年ぶりのパリ。かつて花の都と歌われた街がこの有様とは…痛ましいわね。

それにしても、L結界密度が予想よりも高いわ。

ユーロ支部第1号封印柱の復元オペ作業可能時間は、今より720秒とします。』

淡々と告げるリツコ先生。

作業スタッフからは、予定より作業時間が減った事についての愚痴が聞かれる。

 

そんな中、揚陸艇よりはしごを伝い降りてくる女性。

 

『いや〜、それよりこの恥ずい格好。エヴァパイロットだけにしてほしいわ。』

そう宣い、端末を起動するピンク色の髪をした女性。

IFS情報オペレーター、北上ミドリ。

その容貌はまさしく、ギャルという言葉が似合う。

しかしそのスーツ、リツコ先生が作ったのを知っているのに、本人の目の前で喋ってしまうメンタルの高さ。

素直に凄いと思う。

 

 

そんな愚痴を言う若い世代を叱責するのはマヤさん。

『いいから、口の前に手を動かせ。』

人の上に立つ立場になって以来、どんどん口調が変わっていくマヤさんだが、オフの日は昔と全然変わらないのだから、未だにそのギャップにはついて行けない時がある。

 

 

本格的な作業が開始されると、直ぐにミドリから通信が入る。

 

『ながちー、やっぱり来た!アポストル航空タイプ、4時方向からこちらに接近中!』

同時にIFSにより精査されたAFのデータが送られてくる。

やっぱり凄いな、ミドリのIFS情報処理能力。

 

『了解。殲滅行動に入る。』

 

『やっちゃえ、ながちー!』

ミドリの声援を聞きながら思う。

彼女、何時もアポストルが殺られているとき、活き活きしてるんだよね。

 

 

 

機体を敵の方向へ飛行させながら、機体の両翼にマウントされている、陽電子砲短銃シグナムハンドガン・ステージ2を両手に構える。

敵の単縦陣を振り回すように機体を右に逸らしつつ、フルオート射撃で敵先頭から撃ち抜いていく。

敵全体が旋回する形になったタイミングで機体の高度を急速に上げ、敵の頭上より銃撃を浴びせる。

 

早々に第一波を撃破っと。

…うん。以前よりも射程の伸びた、このステージ2を実戦で使うのは初めてだが、何も問題なく使えている。

それに射程の違いって、やっぱり重要だね。以前よりも殲滅力が大幅に上昇しているのを実感する。

 

 

『続いて航空タイプ第二波を確認。敵総数増加!遠方にも第三波を検知!』

ミドリの報告を聞きながら、期待を飛ばし第二波へと接敵する。

 

 

すごい数だな、多過ぎるでしょ…

 

遅滞戦闘を繰り返し、第三波を巻き込んでいく。

 

第二波と第三波を引き連れ、大きく円を描くように移動する。渦のように広がり、円状になる敵の単縦陣。

 

『マリちゃん!』

私の呼び声と共に、円の中心に上空から降下してくるエヴァ8号機は、その四肢に装着した重機関銃をばら撒きながら、機体を回転させている。

重機関銃の餌食になり、一掃されるAF。

 

『ふふん、お茶の子さいさいだよん!』

一掃した敵を確認しながらドヤ顔を決めるマリ。

うん、お見事…

 

 

 

しかし、

『やっぱり数が多いね。間引くのは正解だったよ。』

 

音に引き寄せられたのか、次々と敵の増援が来襲する。

私達の周りには敵の群れが周回しており、もはや台風の目の中にいるようだ。

 

背中合わせにお互いをカバーし合う私とマリ。

『ありゃりゃ、第四波かぁ。

多勢に無勢、まさに

many a small bird drive away a hawk ね。』

 

私は腕を広げ、左右の手に持つシグナムハンドガンを構える。

『もう、アンコールはいい加減にして欲しいよね…』

 

『むふふ、それじゃあ、厄介なお客さんには、お帰り頂くかにゃ!』

マリが言い終える瞬間、二人同時に引き金を引き絞る。

 

号砲、開演。

 

 

それを合図に四方八方から、いくつもの単縦陣を形成したアポストルが襲い掛かって来る。

 

お互い背中合わせで、独楽の様に回転し、銃撃を加えていく。

レーダーと目視を合わせながら、敵の進行方向を察知し出鼻を挫く。

銃撃のみでは捌ききれない敵を、蹴りで仕留めながら、要所要所で圧縮したATフィールドを杭のように敵の陣へ打ち込む。

 

あれま!とすっとぼけたマリの声と共にオーバーヒートした8号機の重機関銃。

ガンスーツから重機関銃をパージし、マリは徒手空拳で敵を打ち据えていく。

真上から突撃してくる敵群を、お互いが背中を反発させ回避すると同時に、下方から二人で先頭の敵へ蹴りを打ち込む。

後続と次々に衝突していくアポストル。

 

そんな衝突していくアポストル達へ周りから来る奴らを、捌きながら更に衝突させ塊を造っていく私達。

そんな、くっつき密集したアポストルを逃さんと、反転させたATフィールドを展開しながら塊を掴む8号機。

そのATフィールドに吸い込まれる様に吸着していくアポストル。

8号機はその塊を振り回し、周りの敵にぶつけて更に塊を大きくしていく。

 

『お帰りはあっちだにゃ!おととい来やがれ、べらんぼうめ!!』

開放され、勢い良く地面に衝突するアポストル塊。

破壊された敵のQRシグナムが爆発を起こし、他へと誘爆していく。

 

 

 

…レーダーに感なし。周辺の敵は一掃したかな?

 

『ちょっと待って、特異個体反応を検知!ながちー、8号機パイロット、ボスキャラに気を付けて!』

ミドリの警告と共に、センサーに特異個体反応の警告音が…

 

周りを見渡すが、敵影を見つけられない。

レーダーにも反応がない。

ヴンダーやアルテミスも敵を見つけていないようで、通信越しにオペレーター達が様々な報告をしているのを聞こえる。

 

 

『周辺から超高エネルギー反応!

なにこれ!マジあり得ないんですけど!

周辺から反応が乱反射してる?

ヤバ!粒子加速の反応有り!?』

ミドリの切迫した声が聞こえる。

 

私はシグナムハンドガンを翼部にマウントして、レガリア細胞で大盾を形成し、耐熱処理を施していく。

 

8号機は揚陸艇と作業スタッフの近くへ待機しATフィールドを展開している。

 

 

…どこから来る?

レーダー、目視共に意味をなさない。

攻撃の瞬間に敵の居場所を把握するしか無いか。

 

 

自らの機能をそれ一点に集中させる。

エヴァへ溶け合うような感覚の中、周りの世界を知覚し、自らを広げていく。

時が遅くなる感覚、周りのざわめきが聞こえなくなる。

もはや自らの触覚すらも感じない…

 

 

 

ふと感じる敵意。目標は封印柱!?

瞬時に8時方向へ機体を滑らせる。

 

 

私の前方から開放される高出力エネルギー。

光の奔流を正面から見据える。

多重ATフィールドを最大まで展開し抑えようとするが、物理的に

押し込まれそうになる為、推力へとフィールドを割く。

 

目視できる程のATフィールドを推力へ展開し、物理的威力を抑え込むが、防御用多重ATフィールドの出力が減り、徐々に破られていく。

 

大盾での防御方法へシフト。

ATフィールドを侵食させた大盾を斜めに構え受け流すも、徐々に削られていく。

レガリア細胞を最大まで増幅させ、盾を再生させていくが若干削られる方が早い。

 

 

『特異個体のエネルギー反応更に増大!』

ミドリの声と共に、敵の攻撃出力が更に増す。

 

歯を食いしばり、更にATフィールドを高める。

目視できる程に光り輝く私のATフィールドが、さらに光を強めていく。

 

耐熱処理をしていた盾と装甲が、徐々に熱で溶け出す。

警告音がけたたましく鳴り響くエントリープラグ内。

激しく振動する機体を感じながらも、インダクションレバーを懸命に押し込み、敵がいるであろ前方を睨みつける。

 

沸騰していくLCL。

全身や肺が焼け付いていくのを感じながらも、意識だけは守る。意識を失ってしまえば、ATフィールドが消失してしまう。

例え死んだとしても、それだけは駄目なのだと自分へと言い聞かす。

 

 

もはや、声のでない私の変わりに、Mark7が咆哮する。

さらに強くなる私のATフィールドが段々と圧縮していき、遂に耐えきれなくなり反撥する。

黒く歪んだATフィールドが敵の攻撃を割っていき、敵へとダメージを与える。

 

 

途端に周りの景色が割れるように崩れ落ちた。

それと同時に現れる敵の姿。

 

 

巨大な亀の様なアポストル。

尻尾の部分には何本もの大きく長い触手が生えており、それぞれが付近に居るA2のQRシグナム付近に突き刺さっている。 さらに亀の頭部分が砲身の様になっているのを確認した。

粒子加速部位は、あの膨らんだ甲羅の中にあるのだろう。

 

 

 

姿を見せた敵へと、空から重粒子弾が殺到する。

綾波さんの攻撃は、明滅する硬い甲羅に阻まれ上手くダメージを与えられていない。

なんて硬さなの…

 

『再び特異個体に高エネルギー反応!

はやっ!既に粒子加速開始。早くも、発射体制!?

チョーまずい!ゲキヤバですぅ〜!!』

今にも堕ちそうになる機体をなんとか上昇させ、敵を見据え、融解し腕にくっついた盾を構える。

 

『駄目だって!ながちー!私達を見捨てろ!!』

ミドリの声が聞こえてくる。

 

ああ、声が出せないのがもどかしいね…

 

 

ふと、マリが居ないのに気が付く。

視界の端に、何か巨大な物を持ち地上を走る8号機を見つける。

 

『綾波ん、長良っち。陽動ヨロシク!』

力強いマリの声。

そんな声にハモるように

『了解。』と答える二人。

 

頭上から降り注ぐアルテミスとMark9による援護射撃。

上手い具合に敵の砲身を揺らしていく。

私の攻撃により甲殻を破られ、そこより覗くコアブロックへ向けて駆ける8号機。

 

エッフェル塔を担ぎ突撃をかける8号機へ、特異個体はA2に差し込んでいた触手を向ける。

跳躍する8号機の脚を絡めとるが、マリは自損覚悟でガンスーツのブースターを最大まで展開し、フィールド偏向制御装置で機体をドリルの様に回転させる。

『なんのこれしき!Excusez-moi,Eiffel《ごめん、エッフェル塔》!』

回転に負け、圧し折れ、千切れる脚を置き去りにしてコアブロックへとエッフェル塔を突き刺す。

 

 

アルテミスの重力糸により、退避する8号機。

それと同時に大規模なエネルギー崩壊を起こす特異個体。

 

それを見届け、安心したのか、閉じていく瞳。

そして私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

全身に感じる気だるさ、意識が浮上していく。

目を開くとそこは、ヴンダーの医務室のベッドの上で、私は点滴を受けていた。

点滴?再生が間に合わなかったのかな?

エネルギーの外部補給が必要とは。

小さなこの身体ではS2機関の出力に限りがあるからね…

 

ふと頭の上に暖かな感触がする。

 

「また、無茶をしたものね。いくら使徒だからといっても、貴女死にかけたのよ。」

リツコ先生が、私の頭を撫でながら言葉を掛けてくれる。

「私は貴女を叱らなければいけないわ。

あの時、私達を見捨てるべきだったのよ。

私達と貴女では存在価値が違うの…そこをしっかりと把握して置きなさい。」

 

「そうですね、解っています…。

でも、私があの時、皆を見捨てていたら、ヒトとしての私は死んでいました。

私がヒトである為に、ただのエゴだとしても、私は私の為に戦います。」

呆れたようにため息をつくリツコ先生。

 

「はあ、貴女達エヴァパイロットはなんで皆そうなのかしらね…。

立場上、褒めることなんて出来ないけど。

個人的にお礼を言っておくわ。

ありがとう、ユウカ。」

優しく微笑むリツコ先生。

 

しかし、身体を起こそうとする私を見て、表情を一変させ、私の頭に拳骨を入れる。

「何をしてるの?寝てなさい。命令よ。」

痛い…

私って、一応怪我人なんじゃないの?

 

 

 

 

 

医務室で横になりながら、先程の作戦の報告書を閲覧している。

 

作戦は成功。

コア化した大地の復元に成功し、ヴィレユーロ支部の地上施設も起動。

アポストルAFの一回分の侵攻総数を撃滅、特異個体を討った事はかなりの戦果であると言ってもよいだろう。

代償として、エヴァMark7の大破と8号機の中破を加味しても。

 

 

 

ノックと共に開くトビラ。

…いや、ノックと一緒に開けたら意味無くないかな?

入ってきたのはミドリだ。

 

「やっほー、ながちー。

死にかけたにしては元気そうじゃん?」

 

「ん、事情は知ってるでしょ?上級オペレーターなんだから。

…それで、どうかしたの?」

用が無いのに、顔を出す人じゃ無いのは知ってる。

それを聞き、ミドリは袋から1つの本を取り出し呟く。

 

「まだ、持ってたんだ?これ…。」

それは破れた聖書。

私が御守りとして持っていた物。防水バックに入れてエントリープラグ内に持って行っていた…

 

それをミドリの手から受け取り、表紙を撫ぜる。

「うん、こうやって想いの籠もった物を貰ったのは初めてだったから。」

 

照れたように目を背けるミドリ。

「まあ、なに?その…あんがと。

姉妹揃って、ながちーに助けられた。

妹のモモには、ながちーがアンタの聖書持ってたって言っとくわ。」

茶化すように笑い、私をおちょくる。

 

「恥ずかしいからやめてよね。

…まだ、他のエヴァパイロットの事は許せない?」

 

「ごめん…無理。八つ当たりなのは解ってる。

私のパパとママを守れなかった理由も解ってるけど、感情が許さない。」

両親を奪ったアポストルへの恨みと、唯一残された妹を守るためにヴィレに入った彼女。

私以外のナンバーズには、八つ当たりじみた感情を抱いているのを本人も気にしているようだ。

 

ひとまず返したから!と明るく振る舞い部屋を退出するミドリ。

 

そんな彼女を見送り、私は布団に身体を沈め、破れた聖書を眺めた。

 

 

 

 

 

本部へ到着したヴンダー。

私はそのまま、本部の病院へ運ばれた。

念の為の検査を行うそうだ。

リツコ先生って、偶に過保護な所がある。

 

ちなみにエヴァMark7はかなりの損傷を受けており、復旧に結構な時間を要するとのことだ。

私が回復したら、シンクロさせて再生させる事に決定した。

 

まあ、今日で敵にそこそこ大きな損害を与えたはずだし、特に特異個体を始末できたのは重要だろう。

当分はアポストルの襲撃も減るだろうから、エヴァの修理は間に合うはずだ。

 

病院のベッドの上で、マリが持ってきたカツ丼を食べ進めながら、それらの話を聞いていた。

マリも高シンクロ下でエヴァの脚を失ったから若干の後遺症が残っているが、明日か明後日にでも治るらしい。

 

「ま、短いお休みを楽しむにゃ。

ななちゃん、明日あたり一緒にティータイムでもどう?

良い紅茶入ったんだよね。」

 

「いいね。そうしようかマリちゃん。」

 

笑顔で笑い合う私達の頭の上から、リツコ先生の呆れたような声が聞こえる。

 

「貴女達、一応自分達が傷病人だということを忘れないでよ…。」

 

 

 

 

 

 

日を跨ぎ、お茶会の準備をしていた私とマリだったが、突如鳴り響くアポストル襲撃警報。

アメリカ大陸方面から大規模な敵侵攻を検知。

 

 

誰よ?当分敵の侵攻が減るなんて言ったのは…

 

…あ、私だったか。

 




北上さん、リフトオフ!

と言う事で北上ミドリさんでした。彼女にはオリジナル設定がはいっております。
性格が違っているのは、この世界線ではエヴァ由来のインパクトが起こっていない為です。


あと、マリが綾波んと言ってるのは誤字ではなく、アダ名です。
後々外伝とかでミドリと主人公の過去をやります。
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