はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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グロい描写が有りますので、閲覧は自己責任でよろしくお願いします。


over run

今や赤き大地となってしまったアメリカ大陸。

封印柱により、ほんの一部のみが人類の生存可能領域となっている。

 

その大陸からの侵攻は予想外であった理由は、衛星軌道上に広がる人工衛星による監視網、それらに、昨日まで映ってなかったからだ。

しかし今は、アポストルの大群をマギシステムは検知している。

 

前日までいなかったその大群は、エヴァと比べても遥か巨大な花の蕾の様な物体から出てきていた。

特異個体の波長を発しているそれは、一種の次元連結ゲートだと思われる。

 

 

敵侵攻目標はロシアのカムチャツカ半島。

既に東部方面軍は戦線を構築済み。

最大規模の大陸中央軍も移動を開始している。

ヴィレの部隊も本部から既に出撃し、後5分程で現地へ到着する予定である。

 

 

前日の戦いの損傷が、未だに治っていないエヴァMark7と8号機は出撃不可能な為、待機命令を受けている。

 

故に現在は、新しい新型プラグスーツを着用し、新調したエントリープラグを機体に挿入して、エヴァとのシンクロを行うための準備をしている。

 

 

それにしても、もはやMark7はズタボロである。

全身の装甲が融解し、素体まで一部炭化した部分も有り、マシな箇所でも重度の火傷状態。

 

更には、背部のエントリープラグ挿入口周辺は、グチャグチャになっている。

敵の攻撃により溶けた装甲のせいで、エントリープラグをイジェクト出来なかったようで、綾波さんがプログレッシブナイフで切り開いたみたいだ。

 

現在はマリの8号機にエントリープラグを持ってもらい、Mark7へ入れてもらっている。

ちなみに8号機だが、千切れた脚部はレガリア細胞を動かし、先程修復を終えた。

 

エヴァとのシンクロをスタートさせる。

フィードバックは最小限に設定し、シンクロ率もあまり上げないように注意している。

 

 

シンクロして改めて思ったが、これはかなり酷い状態だ。

 

内部コンピューターまで破損している。

自らの肉体をコンピューターとして設定し、シンクロを調整。

レガリア細胞とエヴァのS2機関を最大まで稼働させ、機体を再生させていく。

 

…そもそも、無事な細胞が少なすぎる。

素体の再生には思った以上に時間が掛かりそうだ。

 

これは、もっと耐熱処理を施さないといけないと改善案を頭の隅に入れておく。

正直、こんなにもレガリア細胞が熱に弱いとは思っていなかった。

 

 

Mark7の修復を進めていると、遂に開戦の報告が入る。

ロシアから送られてくるデータでは、既に戦端が開かれ激戦となっているのが見て取れる。

 

これは修復を急がないと…

 

 

さらにシンクロ率を上げ、修復に意識を集中させて行くが、唐突に鳴り響くアラートにより邪魔をされる。

 

驚き顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、本部ルートへのアポストル襲来の報告。

 

…やられた、まさか大規模な陽動後、本部への奇襲だなんて。

 

 

 

本部への侵攻を報告されたのか、ミサトさんから通信が入る。

『ユウカ!マリ!悪いんだけど此方は離れられないわ。二人共エヴァの状態は?』

 

『8号機は問題ないよ〜ん。』

 

『Mark7は、現状では出撃不可。満足に機体を動かせる状態では無いです。

稼働可能な最低限の修復完了まで、およそ1時間を要します。』

 

私の報告を聞き、難しい表情を浮かべるミサトさん。

脳裏でいくつもシミュレートしているのか、言葉を発さない。

そんなミサトさんへ、本部に残っていた冬月司令が声をかける。

 

『葛城君、君は君でそちらの対処をしたまえ。

本部防衛は私が指揮を執るよ。』

穏やかだが、何処か強制力を感じる口調。

そんな司令の言葉に、力強く了解と答えるミサトさん。

 

通信を終え、冬月司令は号令をかける。

『総員、第一種戦闘配置だ。』

 

号令のもと、動くヴィレ本部施設。

続けて司令は、作戦コードを開示する。

『ふむ、コード・アレゴリカ47を展開。

準備したまえ。』

 

そんな冬月司令の命令を聞き、待ってました!とマリが騒ぐ。

そっか…アレゴリカ47か。

 

イジェクトされるエントリープラグ。

すぐさまプラグ内より飛び出し、LCLも落とさずに走り出す。

既に8号機はケージに戻っている。

 

疾走し8号機ケージに突入する私を待っていたのは、新型の白いプラグスーツに着替えたマリ。

その胸元には、同じく白いプラグスーツを持っている。

 

「ほい、ななちゃんの。温めて置いたよ〜。」

ケージの物陰に隠れ、マリに手渡されたプラグスーツへと着替える。

白をベースにして、従来の私のスーツのベースカラーである淡い青色のラインが入っている。

手首のボタンを押し、身体へフィットするプラグスーツ。

 

「白も似合うね、ななちゃん。」

 

「マリちゃんも似合ってるよ。」

お互い笑いながら褒め合う。

 

二人で並んで歩く先には、新型のエントリープラグ。

中を覗くと、通常と違いインテリアが2つ上下に並んでいる。

下は通常のインテリアと同じだが、上のインテリアはコンパクト化されており、インダクションレバーが付いていない。

 

マリが下のインテリアへ、私が上のインテリアへと着座し身体を固定させる。

 

『エントリープラグ内、注水。』

オペレーターの声と共に、迫り上がるLCL。

 

『LCL注水完了。続いてLCL電化。』

『電化完了。』

『エントリー、スタート。』

 

『両パイロットシンクロ開始。』

『神経接続問題なし。メインパイロットを真希波・マリ・イラストリアス大尉で設定。』

 

『コパイロット、長門ユウカ少佐に設定します。』

 

『双方向回線開きます。

…プラグ震度、シンクロ率共に安定。』

 

『エヴァ8号機、アレゴリカモードへ移行し起動。』

開ける視界。

それにしても、初めての他人のエヴァだ。

 

「…マリちゃんのニオイがする。」

 

「にゃ!私もななちゃんを感じるよ。」

つい出て来てしまった私の言葉に反応するマリ。

 

いや、これは、私達言葉に出してないな。

お互いの思考が丸わかりじゃん!

ちょっと恥ずかしいかも…

 

『では、良いかな?二人共。』

冬月司令から通信が入る。

同時に頷く私達に微笑み、次の瞬間には真剣な表情になる司令。

『エヴァ8号機、発進。』

 

地上へと物凄い勢いで射出される8号機。

そういえば、この発進方法、私…初めてだった。

 

 

地上にてリフトオフした後、同時に並んで、地上へ射出していたウルトビーズ3機のうち、真ん中の1機へ近づく8号機。

 

「ななちゃん、後はヨロピク!」

言葉と同時にウルトビーズへ、勢い良く8号機の腕を刺しこむ。

 

レガリア製の8号機の腕が、ウルトビーズへと融合していく。

私は、シンクロしている8号機を媒介にウルトビーズを変成させていく。

真ん中のウルトビーズを構成しているレガリア細胞を操作して、さらに左右のウルトビーズへと繋げる。

 

パーツ毎に形を変えて、8号機に装着されていく3機のウルトビーズ。

もはや原型を留めていなく、それらは外部ユニットとして機能する。

 

8号機もその様相を変え、エヴァMark12の様に4本の腕が有るケンタウロス型の機体へと変貌していく。

Mark12との違いは、馬型の下半身につけられた大きなヴェルテクス翼ユニットと、大きな尻尾のようなパーツ。さらに背部に、いくつもの円柱状のパーツが付いていること。

エヴァ8号機の外部に強化ユニットとして付けているため、体躯も他のエヴァよりも大きくなっている。

 

「ほ〜、ほ〜。これは、これは…

いや〜、凄い力だにゃ。

出来れば今後もこれでいきたいね。」

感心したように手を握ったり開いたりするマリ。

 

「分かってると思うけど、これは一時的なものだからね。無理矢理繋げてるから私がいないとバラバラになって普通の8号機に戻るよ。」

 

「OK、OK!」

と笑顔のマリ。

 

もはやエヴァ4機分のS2機関の出力は、人知を越えた力だ。

しかし無理矢理繋げている為、レガリアやヴェルテクスユニット、S2機関の出力調整のため私がコパイロットで搭乗している。

 

それに恐らくは、8号機の機能中枢に結構な負担がかかるはずだ。

その辺は私が上手く調整出来れば良いが…

 

 

私自身を構成するレガリア細胞を演算機能へ特化させる。

 

神経系に沿って金色に光る私の身体。

これ程に特化させてしまっては、身体を動かすことは出来ない。

 

私の周りには、次々と電子アイコンとディスプレイが映し出されていく。

マルチタスクを処理していき、並列分割思考を巡らす。

発進してゆく他のウルトビーズや、ATスフィアの操作も同時にこなしていく。

 

 

再建された第3新東京市も戦闘形態に移行し、市民もシェルタートレインにて退避済み。

完成された迎撃都市の様相は圧巻の一言で、数え切れないほどの兵器が並ぶ。

 

 

 

徐々に近づいてくるアポストルの大群を視界に入れながらマリが呟く。

「使徒もどきが囮とは、ホント洒落臭い。」

 

「敵が知恵をつけてきたって事だね…」

 

「これは、ちょぴっとマズいのでは無いかにゃ?いささか予想よりも早いよ、ななちゃん。」

 

「…残された時間はあと僅かということか。」

 

「まあ、今はこの事態をズバッと解決しないとね。

ここでとちれば本部がパーじゃん!」

 

 

兵装ビルが火を吹き、私の操作するATスフィアによりフィールドを中和された敵が次々に躯へと変わっていく。

 

ミサイルが、砲弾が、レーザーが、ビームがアポストルへと殺到していく。

8号機は両手にパワードエイトを装備し、引き金を引き絞る。

マガジンの装填はもう一対の腕で行っていく。

 

 

空から迫り来るAFは、ウルトビーズと対空砲火により殲滅されてゆく。

AFに関しては、時間は掛かるが問題なく対処できる数だ。

しかし、地上の敵はそうでは無い。

 

何重にも陣形を組みながら、恐怖というものが無いかのように振る舞うアポストルは、味方の死骸ごと踏み荒らしていく。

 

これほどの火力があってもなお、抑えきれないとはね…

 

津波のように押し寄せる敵は、一部崩した兵装ビルすらも巻き込み、ただただ突き進んでくる。

 

 

「これ以上の侵攻は許容出来ないにゃ。ななちゃん、行くよ?」

そんなマリの言葉に、返事する余裕のない私は了解の思念を送る。

 

「言葉を介さない、意思疎通も乙なもんだね。ツーカーみたいな感じでさ!」

心底うれしそうなマリの感情が、私の中を駆けていく。

 

四本脚から繰り出されるパワーが速度として反映される。

フィールド偏向制御装置とヴェルテクスユニットを使用して推進力をブーストしていく8号機。

右腕の一本を巨大な円錐状の馬上槍へと変成させる。

 

私とマリのATフィールドが槍を覆っていき螺旋を描いていく。

二重螺旋を描き高速回転し、広がっていく私達のATフィールドが敵へとぶつかっていく。

 

ドリルのように敵陣を割っていく私達。

「ハイよ~シルバー!騎兵隊のお通りだ!そこのけそこのけ!」

大きな笑い声を出しながら、マリが宣言する。

四散していくアポストルの群れ。

圧倒的な力で戦況を変えていくエヴァ8号機。

 

「ふふん。これが、エヴァ8号機レガリアニコイチ型ウルトビーズ・アレゴリカ47だにゃ。」

どや顔で相手もいないのに自慢をするマリ。

名称長いよ。

 

…それにしても機体への負担が大きいな。

 

 

ふと前方に違和感を感じる。左側の敵が分厚くなってきた。

 

一本の左手を変成させ、弓のリムと弦を生成し、腕そのものを弓へと変える。

矢の形状の相転移型アルべスの槍を三本生成し、右手の指の間に挟み込みつがえ、弦を引き絞る。

 

左側で密集した敵へと、多少山なりの軌道を描くように、相転移型アルべスを打ち込む。

接触と共に一定範囲の空間を真空にして、真空空間のエネルギーを相転移させる。

強制的に相転移させられた空間は、内包する物質を消滅させる。

 

少し遅れて右前方の敵も厚くなっていた事から、左右から挟み込もうとしていたのかと推察する。

 

「ななちゃん、助かったよ。あのまま挟み込まれてたら危なかったね。」

真剣な表情でアポストルを睨み付けるマリの思考が伝わってくる。

 

 

急に背筋へ奔る悪寒。

二人同時に山間部へと視線を移す。

 

徐々に沈んできていた夕日を背に、人型の何かがこちらへ歩いてきている。

肩が上方にせり上がったそのフォルムは、まるでエヴァのようだが、それがエヴァでないのは感覚で解る。

 

私達を包む緊張感。

特異個体のパターン反応。

 

「エヴァのぱちもんとは、中々洒落が聞いてるにゃ。全然笑えないけどね…。」

眼鏡を押し上げ、冷たい視線を向けるマリが脳裏に映る。

全く同意見だね。物凄く不愉快だよ…

 

 

骸骨の様な顔だが、むき出しで開いた口の中には、巨大な目玉が忙しなく動いている。

せり上がった肩の付け根には、エヴァフォロー型の頭部の様な物が左右それぞれに埋め込まれ、口をカタカタと動かしている。

せり上がった部分は、そのままフォロー型のウェポンラックのようだ。

 

フォロー型の識別番号まで発している。四年前南アメリカで敵に鹵獲されていたのか。

 

私達の通信にアクセスしてくる二機のフォロー型。

馬鹿な…通信システムが生きてるなんて?

 

 

映るのは肉の様なモノに埋もれた四人の人間の顔。

 

目を見開く私達。まさかパイロットまで…

 

EMPにより脱出出来なかったのか。

肉体的融合。パイロット達はただ肉体が生きているだけだ。

 

 

 

怒りの感情が沸き起こっていく。

なるほどね、急に知能を得たわけだよ。

人間を取り込み、コンピューターのように思考させているのだから。

 

hes so fucking annoying!!(アイツ!マジでムカつく!!)

 

私の感情が伝わったのか、いつになく怒りを露わにして怒鳴るマリ。

そんならしくないマリへ落ち着くように思念を送る。

 

空の敵はもうそろそろ殲滅出来るだろう。残りの地上残敵はウルトビーズと本部の防衛兵器に任せる。

 

特異個体のデータを精査していくが、エネルギー総量が今まで観測したどの敵よりも多い。

マリへと情報を送り、ATフィールドへと意識を傾ける。

 

地面を爆発したように砕きながら、特異個体へと疾走する8号機アレゴリカ。

 

ソニックブームをまき散らしながら、瞬時に距離を詰め、その勢いのままに馬上槍となった右腕を突き出す。

 

まさに会心の一撃と思われた攻撃は、紙一重で体を反らした敵により避けられる。

伸びきった8号機の腕を取ろうとする敵を、もう一本の右腕で横からフックを入れ吹き飛ばす。

 

敵の速度が速い…

マリの思考を読み、右腕の馬上槍を通常の腕へと戻し、翼部からシグナムハンドガンを装備する。

 

ハンドガンを敵へと連射していく。

疾走する敵はハンドガンから吐き出される陽電子の弾丸を置き去りにする。

急に進行方向とは違った方向、すなわちこちらへ跳躍する敵。

 

その人体構造からは考えられない挙動に、一瞬マリの思考が止まる。

 

私はATスフィアをぶつけて空中の敵を迎撃する。

破壊されるATスフィアだが、稼いだ一瞬はマリの思考を正常に戻すのには十分な時間だった。

 

後部の足で立ち上がり、前方の足で渾身の蹴りを打ち込む8号機。

 

左斜め前方へ吹き飛ばされる敵をハンドガンで追撃をかけながら距離をつめ、左手でプログレッシブナイフを肩のウェポンラックから取り出す。

空中を吹き飛ばされる敵であったが、奴の左肩に埋め込まれていた素体の顔の眼球が動く。

あらぬ方向を向いていたそれが、急にこちらを見つめる。

 

 

嫌な予感がする。

弓状になっていたもう一本の左手をシールドに変え、ATフィールドを侵食させていく。

 

奴の左肩の顔が、無理矢理にこちらへと向き直す。ガパリと開く口。

 

きらめく赤い閃光。即座に左手の盾を差し込む。

 

展開されるマリのATフィールドと、私の多重ATフィールドだが、針のように細いその光はフィールドを透過しシールドに直撃する。

 

一瞬左手に奔る熱、直後の激痛。

内部からはじけ飛ぶ左腕。

 

余りの痛みに歯を食いしばるマリと、叫び声を上げる私。

 

あの頭部、完全に元のフォロー型から逸脱している…

それにまさか、ATフィールドを透過してくるなんて。

 

円柱状にしてストックしていたレガリア細胞を、瞬時に左腕の再生へと回す。

 

今度は奴の右肩の顔がこちらに向きなおる。

開く口、きらめく閃光、それを察した私は即座にヴェルテクスユニットを使い急速に高度を上げる。

 

青い閃光が奔る。

光が通り過ぎた後、私達が居た周辺が凍り付く。

 

 

避けることが出来たのは奇跡に近い。

やすやす避けれる攻撃ではないのは明白だ。

 

「まともにあれらの攻撃を受けたら、あじゃぱーね。」

マリが機体を接近させながら、呟く。

しかし、あの攻撃は早々と連発出来ないだろう。

それに収集したデータが正しければ、この敵はただの特異個体ではない。

 

 

瞬間エネルギー総量はインパクト相当分。それを一瞬であれば使用できるようだ。

まあ、それ以上は奴の肉体が持たないだろう。

 

しかし、奴が持つ最大の脅威はそこではない。

そのエネルギー量なら、初号機の施した封印を破る事が出来るのだ。

自身の崩壊と共に。

 

既に存在が想定されていた敵。

 

アポストル・オップファータイプか。

 

 

マリへと思考を飛ばし、注意を促す。

逆境でこそ咲く、胸の大きないい女は不敵に笑う。

格闘戦近距離にて殴り合う8号機アレゴリカとオップファータイプ。

 

腕の多いこちらのほうが格闘戦では有利だ。

そのまま押し込み敵の首を締め上げる。

首をへし折ろうと渾身の力を籠めるが、敵の背部から、もう一対の腕が生える。

8号機の首に迫る敵の腕を、オップファータイプの首を掴んでいた腕でつかみ取る。

 

自己進化では無い。もともと持っていて隠していたのだろう。

 

こちらの首を掴ませなかったのは正解だ。

奴の両手はそれぞれ、左手が高熱を、右手が極低温を纏っていた。

いや正確には分子運動をそれぞれがコントロールしている。

同時に同じ個所を掴まれていたら、どうなっていたことか…

 

四本足から繰り出される馬力により、敵を押し込んでいく。

「ゼロ距離ならば!」

笑みを浮かべるマリ。

8号機の両肩のウェポンラックが開き、オップファータイプの両肩にある顔へとペンシルロックを射出する。

 

オップファータイプの左側の顔には直撃するも、右側の顔へは外してしまう。

射出の瞬間に体勢が崩れた…敵が急に力を抜いたためだ。

 

してやられた。

右側の顔がガクガクと動きこちらに向く。

ギョロリと見据える眼球、開く顎部。

ヴェルテクスユニットを使い無理やり体勢を変えるも、オップファータイプも渾身の力で射線を確保する。

 

きらめく青い閃光。

腰より下が凍結する8号機。

 

 

通信越しに私達を嘲笑う、取り込まれたパイロット達の顔。

 

趣味の悪い奴。

「趣味の悪い奴。」

ふふ、こんな時にマリとハモるなんてね。

前の座席に座るマリが私に振り返り、微笑んでいる。

 

「ごめんね、ななちゃん。君と一緒に戦って負けちゃうなんてね。」

まあ、マリちゃんと一緒なら死んでも良いわ。

 

 

 

ふふふ…。ついつい笑みが浮かんでいく…

恰好つかないね?

 

疑問符を浮かべるマリの顔。

 

 

 

 

成長したね。サクラ…

 

蹴り抜いた姿勢で隣りにいるMark11。

胸元から四散するオップファータイプ。

僅かに遅れて奔る藤色の閃光、そして衝撃波と轟音。

 

光すらも置き去りにした飛び蹴りとは。

ロシアから飛んできたらしい。

 

 

通信越しに映る、疲弊しながらも安堵したサクラの顔。

 

ありがとう。シンクロしてお礼を言う私とマリ。

キョトンとした顔のサクラ。

 

「二人ともどうしたん?口は動いてるけど声、出てないよ?」

今まで言葉を介さずに意思を伝えあっていた影響か、しゃべった気になってたや。

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