右目から頭部へ突き抜けていく激痛。
Mark7の頭部を貫通したロンギヌスの槍は、そのまま機体を後ろに反らせ、地面に縫い付ける。
高シンクロしていた弊害か、脳を破壊されたと誤認した私の身体は満足に動かない。
凄まじい痛みだが、叫び声すらも出せない状況だ。
Mark7の腕を動かし、槍を引き抜こうとするも力が入らず、腕をフラフラと動かし、宙を掴もうとするだけになる。
こうなる前に一瞬遠目に見えたエヴァの姿に、動揺を隠せない。
何かの間違いに違いないと、そう思い、もう一度見ようと足掻くも視界に映るのは一面の空だけ…
『ユウカ!』
とマナが叫びながら5号機を走らせ、近づいてくるのを横目で見る。
返答しようにも、声が出ない。
いくらなんでもおかしい、なんでこんなにも身体が動かないの?
Mark7だけでなく、私の身体まで…
『なんなのよ!なんなのよ、コイツは!
こんのぉ!』
アスカが叫びながら、戦う音が響き渡る。
槍を手に握ろうと腕を伸ばす5号機だが、突如飛来してきた円盤状の物体により吹き飛んでいく。
空中から幾重にも砲撃の音が響き渡る。
戦況はどうなってるの?
視界の隅を吹き飛んでいく、赤い機影。
そして遂に私の目に映り込む影、紫色のエヴァンゲリオン。
まさか、これは…
違う、初号機じゃない…
まさか、エヴァンゲリオン第13号機?
間近で見ると明確な差異が有るのが解る。
槍ごとMark7の機体を持ち上げる13号機。
突き放そうとMark7の腕を使い、押しのけようとするが、まるで赤子のように力の入らない機体は、13号機を撫でるだけだ…
Mark7を持ち上げ歩いていたが、急に立ち止まる13号機。
その視線の先には損失した両腕をレガリアで簡易修復した8号機の姿があった。
通信越しに口を開くマリ。
『ここから先は通行止めだにゃ…
ゲンドウ君。』
えっ…
ゲンドウ?
碇ゲンドウ
そんな声に答えるように、通信に映るバイザーを装着した男性。
『久しぶりだな、真希波。』
息を呑む一同が通信に映る。
『おひさ!まあ、それは置いておいて、私の大事な人を返して欲しいんだよね?』
『人?これがか?』
槍を揺らすようにして、Mark7をアピールする13号機。
その動作に激昂したように横合いから突進してくる2号機を、吹き飛ばす13号機。
『碇ゲンドウ!どうやってエヴァを動かしている!』
ミサトさんが彼に質問を投げつける。
聞こえているが、答えないゲンドウ。
『碇、まさかネブカドネザルの鍵か?』
冬月司令が、確認するように問う。
『冬月、その通りだ。
私はこれと、セブンスを使って願いを叶える。』
だから邪魔をするなと、言外に伝える。
ネブカドネザルの鍵か…
人類補完計画のロストナンバー
しかし、どうやってエヴァを新造したというのか…
しかも従来の操縦方法とは違うエヴァを。
プログレッシブナイフを持ち、斬りかかってくる8号機を円盤状のATフィールド発生装置で応戦する13号機。
『邪魔をするな、真希波!』
一喝するゲンドウに負けじと言い返すマリ。
『それは出来ない相談だにゃ!ゲンドウ君!
ななちゃんを返してもらうよ。』
何度も弾き返される8号機だが、果敢に突進していく。
13号機の視界を塞ぐようにMark7の手を伸ばす。
攻撃に参加する5号機と2号機。
しかし、一向に中和できないATフィールド。
なんて強固なATフィールドなのか…
ありえない。
飛来するMark9が上から踵落としを繰り出すも、同様にフィールドで止められる。
『レイか…』
『お久しぶりです、碇司令。』
『お前も、私の邪魔をするのか?』
『わかりません。何故こんな事をするのですか?』
『私の目的、願望の為だ。お前もその為に生まれたんだ、レイ。だからそこを退け。』
『…私は、貴方の人形じゃない。
私も、私の願いのために戦います。』
次々と蹴りを繰り出していくMark9。
合わせるように波状攻撃を加えていくマリ、アスカ、マナだがフィールドに阻まれる。
『無駄だ、お前たちのATフィールドでは、私のATフィールドを破れんよ。』
歩みを止めない13号機へ、上空から情報宮装備弾が撃ち込まれるも、それすらもATフィールドに阻まれる。
『なんでや!フィールドを突破出来る筈なのに…』
撃ち込んだMark11に乗るサクラが驚きの声を上げる。まだ残してたんだ、情報宮装備弾。
しかし、何故だ…?
情報宮装備弾がATフィールドを貫けないなんて
固まってしまう皆を一瞥して、不敵な笑みを浮かべるゲンドウ。
ヴンダーやエアレーズング、シャマシュからの砲撃をものともせず、本部施設直上へ到達する。
Mark7を貫いたまま、槍を持ち上げる。
更に増す痛みに声が出る。
『ななちゃん!』
マリが叫んでいる。
私の声に反応したのか、飛来するアルベスの槍。
それを空いてある手で持ち、地面に突き刺す13号機。
瞬間、そのまま崩れ落ちていく地面の瓦礫。
これは、まさかセントラル・ドグマを守護するバビロンが乗っ取られた!?
瓦礫と共にセントラル・ドグマを落ちていく私達。
『老人共も、他の者達も、神器を過信し過ぎている。このように、鍵と制御装置さえあれば乗っ取るのは容易い。』
セントラル・ドグマを降下していく13号機。
追撃するため追いかけてくる、2号機、5号機、8号機、Mark9。
上を見上げながら、苦笑いをするゲンドウ。
今彼はどんな感情を持っているんだろう?
こんな日のために築き上げた防衛設備は13号機をスルーして、他のエヴァを狙って稼働している。
じっと私を見つめる碇ゲンドウ。
『ままならん物だな、ユイ。』
何故私を見て、碇ユイを思い出すの?
遂にレベルEEEへ到達する13号機。
『では、はじめよう。』
そう、宣言するように喋り、Mark7からロンギヌスの槍を引き抜く。
途端に軽くなる身体と機体。
そうか。ロンギヌスの槍は一種の停止装置みたいな役割まであるのか…
機体を再生させ、立ち上がらせる。
未だに私達のリミッターはハズレている状態だ。
その状態で、全レガリア細胞のオーバーロードさえしてなければ、高速再生とて簡単だ。
相対する13号機。
その手に持つアルベスの槍を私の方へ放り投げる。
?何故だ?何故武器を渡すような真似を…
足元に転がるアルベスの槍を見つめる。
拾って良いものなのか解らない。
しかし、武器が無くてはロンギヌスの槍とは打ち合えない。
敵の施した物を拾う方がマズいだろうと、レガリア細胞を使い、新しい槍を作っていく。
ロンギヌスの槍を構える13号機。
私は新造アルベスの槍を構え相対する。
踏み出す13号機に合わせ、私も踏み出し槍を突きだす。
正面から激突するロンギヌスの槍とアルベスの槍。
その瞬間、13号機が投げ捨てたアルベスの槍が反応し宙に浮かぶ。
光輝き、封印結界へとその矛先を沈めていく。
なんで…
いったい何が…
崩れ落ちていく封印結界。
アルベスの槍はそのまま、巨大なヒト型。
まるで小さなヒト型のナニかをつなぎ合わせ形造ったそれにまっすぐ向かっていった。
動き出していたソレに突き刺さる、アルベスの槍。
静止する巨大なヒト型。
『第1段階はなったな…』
気が逸れた私の隙を付き、Mark7の胴体を串刺しにするロンギヌスの槍。
そのまま上から叩き落とされる。
頭に刺さった時ほどの束縛性を感じない。
槍の柄をもち、引き抜こうとするも、上から来た13号機により、更に奥へと差し込まれる。
痛みにより絶叫してしまう。
そのまま、Mark7の背部へ手を伸ばす13号機。
まさか、プラグ?
私本体を狙っているのか?
止められないか…
何を企んでいるのか解らないが、碌なことではない筈だ。
Mark7に備えられている自爆装置に手を伸ばす。
私が死を恐れているとでも思っているの?
思い通りにはさせないと、エントリープラグをロックする。
しかし、突如として割り込む影が13号機を横から殴り飛ばした。
私の眼前に映るのは、紫色のエヴァンゲリオン。
まさか、エヴァ初号機…
シンジ君。
『父さん、そこまでだよ。』
通信に映る、落ち着いた表情の少年。
その瞳は赤く輝いていた。
『はじめまして、長門ユウカさん。』
え?
なんで私の名前を?
私を見て優しく微笑むシンジ君。
『ありがとう、今度こそ僕が皆を護ってみせるよ。』
決意の表情。
カシウスの槍を手に持ち、13号機と私の間に立ち塞がる初号機の後ろ姿。
『シンジ。起きたようだな。』
ロンギヌスを構えながらゲンドウが答える。
『そうだね、長い夢を見ていたよ。』
瞳を閉じるシンジ君。夢の内容を思い出すかのように…
そして微笑む。
少しして、瞳を開ける。
そこに映るのは、力強い眼差し
『決着をつけよう、父さん。』
やっとだ。やっとだったよ。
今後の展開。エンディング前に主人公以外の視点のBパート。既に展開したストーリーの別視点です。他キャラの内心描写等
-
Bパートを先にやっていい?
-
まずエンディング後でええやろ?
-
いや、いらんやろ。
-
日常回の外伝はよ!