はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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短めです。


〜シン〜
シン・エヴァンゲリオン プロローグ


どこまでも広がる闇の中を、フィールド偏向制御装置を使い、機体を動かしていく。

 

無重力空間でエヴァを動かすのは初めてだけど、彼女が何度も宇宙へ赴いた時のデータがサポートしてくれていると思うと、自然と顔がニヤけてしまう。

 

手元のインダクションレバーを経由して、IFSで機体に接続されたブースターをコントロールする。

 

隣にはエヴァンゲリオンMark6。

渚くんの乗るエヴァが並走している。

 

 

 

 

 

それにしても、あれから約半年か…

ようやく形になったよ。

 

 

 

 

 

自ら、人により殺されることを受け入れた彼女。

その行動は、多くの人にとって予想外であり、心境を動かされる事柄だった。

多くの人々が望んだ彼女の死は、時間が経つに連れ、それを願った者たちにとって、望まぬものとなっていった。

 

 

 

後悔先に立たず。

使徒というだけで、殺す必要が有ったのか?

 

故郷を、隣人を使徒により失った人達は、冷静さを取り戻した瞬間、後悔したのだろう。

日に日に、彼女への哀悼を捧げる人達が増えてきた。

 

 

自身の死に様を、隠すことが無かった彼女。

いや、隠すことが出来なかった彼女。

その死の間際に浮かべた美しい微笑みは、今や全ての人が知っている有名な絵画となった。

 

 

死にゆく彼女の写真も、動画も、調べれば見ることが出来るのは、それを多くの人が願ったから。

 

しかし、関係者である私達にとっては辛いことだ。

まるで見世物のように彼女の死が使われることが、許せなかった。

しかし、それを我慢できたのは、彼女の事を受け入れる人達が増え続けたからだ。

 

 

 

それは奇跡だった。

あっという間に、宇宙要塞で住まう人々の中に広まった、彼女の名誉回復運動。

 

全人類の9割以上が、使徒としての彼女へと祈りを捧げた。

 

今私が持つ、このアルベスの槍へと。

 

 

 

 

都合の良い事だ…

死んだ人間は戻らない。

どれほど願おうと、祈ろうと。

 

 

 

しかし、そんな都合の良い事が、まさか現実になる可能性があるなんて。

 

 

 

渚くんが持ってきた、長門ユウカ・サルベージ計画。

本来、人が死ねばその魂は輪廻の輪の中に戻っていく。

 

しかし、彼女は使徒となった存在。

その魂は生命の実を手にした時点で大きく変質する。

もし、スペアが存在するなら、肉体が変わるだけで、そのスペアへと魂が移る程に…

 

本来彼女にはスペアボディは存在しない。

しかし、その代わりとなるものが存在した。

 

 

エヴァンゲリオンMark7。

死したその時、魂の座に座っていた彼女の魂は、Mark7の中に有ると、渚くんは言っていた。

 

 

 

しかし、本来のサルベージでは成功しないとの事だ。

使徒の強固な魂を揺さぶるには、相応の刺激が必要なのだそうだ。

 

 

彼女の魂を揺さぶるのは、この数多の人が込めた祈りを内包したアルベスの槍と、いま私達が向かっている月の裏側。

ダークサイド・ムーンにあるジオフロント。

そこに眠る、巨大な正方形の物体。

 

 

ムーンセル・オートマトン

 

 

そう呼ばれる、第一始祖民族が作り出したとされる代物だ。

ありとあらゆる情報を収集していると推測されたそれを使い、彼女に膨大な情報をぶつけて覚醒させる。

 

いくら使徒とはいっても、そんな事をされたら自己を保てる保証はないが、それを助けるのが、人々の祈りを実際に込めたアルベスの槍。

 

 

 

『作戦最終段階に移行。

各機エヴァはMark6、8号機の突破を最優先。

両機がエリア89を突破後に防衛線を構築。

何としても月へ奴らが到達するのを食い止めて。』

ミサトの命令に承諾の意を返すエヴァパイロット達。

 

エリア88に侵入。

同時にセンサーが検知する宇宙特化のアポストル。

『やっぱり来た!アポストル宇宙特化タイプ!

特異個体反応は今のところ無し!』

ピンクちゃんの報告が通信を駆け巡る。

 

私達の前に出て、先行する紫色のエヴァと、赤色のエヴァと、山吹色のエヴァ。

 

ファーストからサードまで揃い踏みとは、豪華な事で!

『戦いは男の仕事ってね。僕が先行するから、援護よろしくね。』

おおう、いつになく男らしいじゃん。ワンコくん。

そんなワンコ君に、姫が噛みつく。

 

『前時代的ね!今は女も戦うのよ!

バカシンジ、アンタが援護しなさいよね!』

口調がきつく感じるが、それは姫がワンコ君に甘えてる証拠。

 

『碇君、安心して。私が援護するわ。

2号機の人は、頑張ってね…』

姫に一人でやれば?と言外に伝える綾波ん。

いや〜、ますますあの二人はバチバチだね。

まあ、いざとなったら普通に連携するんだから、恋のライバルというのは面白いものだ。

 

綾波んに噛みつく姫と、澄まし顔の綾波ん。

引きつった顔のワンコ君。

 

 

初号機と2号機を先頭に敵の群れへと突撃していく。

綾波んの射撃が、両機のスレスレに通りながら敵に風穴を開けている。

 

シン化した初号機のレーザーにより焼かれていくアポストル達。

 

マステマセカンドを発砲しながら機体を追加ブースターで制御する2号機。

 

更に遠方から、Mark10シャマシュとヴンダーによる砲撃の嵐がアポストルを襲う。

 

衝撃に揺れる機体の中、歌を歌う私に、姫が怒鳴る。

『コネメガネ!何時まで歌ってんのよ、うっとおしい!』

おっと、怒られちゃったか〜

 

『メンゴメンゴ!でもさ、テンション上がるじゃん!?』

彼女に会えるかもしれない…

そう思うだけで、心の底から歓喜がこみ上げてくる。

これでも、抑えてるんだけどね。

 

『最終ライン、エリア89。フラーレンシフトを抜けた!ミサト!』

姫の声と共に、ヴンダーのグラビティブラストがアポストルの群れを直撃する。

 

『マナ!シールドをパージして!』

ワンコ君の指示が飛ぶと同時に、後ろに位置していた両面合わせの巨大なシールドが一枚弾け飛ぶ。

姿を見せる、5号機と抱えられた白亜の機体。

 

榛名っちがMark7を、Mark6へ手渡し、シールドに付いたブースターを点火、月面に着陸する。

巨大なシールドが別れ、それを5号機が両腕で装備する。下部が尖った大きなシールドを2枚持つとか、ある意味ロマンを感じる…

 

シールドが外れた、大きな円盤状の部品を地面に置き、それを5号機が踏みつける。

途端に展開される2つの重機関と多連装ミサイルランチャー。

新兵器パンドラボックスか…

レガリアにより作られている、ナノマシン可変式ユニット。

 

見た目と内容量が合わない、端から見たら不思議武器だ。

 

 

 

そんな5号機の近くに存在する、見えないように作られた横穴。

エヴァが通れる横穴なんて驚き桃の木。

 

『二人共気をつけてね。グットラック!』

サムズアップする榛名っちが通信に映る。

 

 

『行こうか、真希波さん。ここからは僕が案内するよ。』

そう渚くんが、先導していく。

 

 

 

 

長い、長い横穴を抜けた先には、巨大な空間。

光の無いはずの空間は、しかしエヴァから見ても遥かに大きな正方形の物体が放つ、淡い青色の光により照らされていた。

 

彼女が来ていたプラグスーツを思い出す。

優しい色。

 

『真希波さんは、間違ってもアレに触らないように気をつけて欲しい。

触れた瞬間に、自己を損失する可能性が高いからね。』

だろうね…見ただけでも理解できるよ。

槍を持ち、Mark6の後ろに続く。

 

ムーンセル・オートマトンまで後少し、しかし展開されるATフィールドにより歩みを止められるMark6。

 

まさか、ムーンセル・オートマトンのATフィールド?

 

 

『悪いね、Mark6。君の恐れに邪魔をされる訳にはいかないんだ。』

そんな渚くんの言葉に気づく、これはMark6が独自に出したATフィールドなのだと…

 

しかし…

『こりゃあ、私が前に出ても同じ事が起こるだけじゃん?』

ここまで来て、作戦失敗?

冗談じゃない…

 

 

しかし、私の心配は杞憂だった。

中和されていくMark6のATフィールド。

 

 

そう、そういう事だったんだ。

彼女が妙に信頼を寄せる筈だよ…

ゼーレの秘蔵っ子が、まさかの使徒とはね。

 

嫉妬に染まる自身の感情を抑える。

彼女と同じなんて…

寄りによって、何処かゲンドウ君に似た独特な雰囲気を持った彼が、彼女と同じだなんて。

 

眼鏡を触り、気持ちを落ち着ける。

自らが着ている服に視界を移す。

よく彼女と過ごした、この服は、彼女の好みの服だった。

プラグスーツでなく、日常を思い出せるこの服を…

 

 

大丈夫だよ、ななちゃん。

私が迎えに行くから。

 

 

中和されたATフィールド。

抱え上げたMark7をムーンセル・オートマトンへと押し当てるMark6。

 

『今だ!真希波さん!』

余裕の無さそうな渚くんの声を聞きながら、Mark7へとアルベスの槍を突き刺す。

 

Mark7を貫通してムーンセル・オートマトンへ、その矛先を接触させるアルベスの槍。

 

 

 

その瞬間、私は裸で青く薄暗い空間に漂っていた。

 

目の前には、赤に遮られた空間。

その中で、胎児のように膝を抱えた彼女の姿。

 

半年ぶりの再開。顔は見えなくても彼女だと解る。

近づこうとするも、赤い境界に邪魔をされて、なかなか彼女へ近づけない。

強引に近づこうとする私に奔る激痛。

だから何だと、身体を境界の中へと入れていく。

焼け付く身体、押しのけられていく感覚に抵抗しながら手を伸ばす。

 

「ななちゃん!ななちゃん!!」

叫ぶ私を見上げる彼女。

しかし、キョトンとした表情で私を見つめるだけだ。

クソっ!自己が薄れているのか…

 

「手を、掴んで、ななちゃん!」

吹き荒れる赤い奔流。

思い出して!自分を、皆を、そして私を!

 

徐々に伸びてくる彼女の手。

しかし、後少しのところでその手が止まる。

 

迷いのある動き。

 

大丈夫だよ、皆が君を待っているのが聞こえるでしょ?

人類の祈りが…

 

 

それでも迷う彼女へと私は、叫んだ。

「来て!ユウカ!!」

 

伸びる彼女の手を強く握り締める。

もう、離さないから!

 

思い切り、掴んだ手を引き上げる。

私の胸元に収まる彼女の顔。

私はそれを抱きしめる。

 

そういえば、お互いに裸で抱き合った事は無かったな…

 

 

 

 

 

白い光が世界を包む。

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間には、月面の空間へと8号機が放り出されていた。

近くにはMark6も同様に宙を舞っている。

 

 

 

少し離れた所には、巨大な帯状の形態、中心部には露出したコアブロック。

特異個体か!

 

 

それと戦闘を繰り広げるエヴァ初号機とMark11。

他のアポストルの大群と激戦を繰り広げる、2号機と5号機とMark9とMark10。

そしてヴンダーと44B。

 

国連軍も援護のためにアポストルと戦火を交えている。

 

 

『どうなったの!?ななちゃんは!?』

私の疑問へ答えたのは渚くん。

 

私達は大規模なエネルギーサージが放出したために、ジオフロントごと吹きとばされたようだ…

 

Mark7は、不明なのだと…

 

 

 

土煙が舞う眼下を覗く。

大規模なエネルギーの影響か、センサー類は機能しない。

 

 

 

 

土煙の中から、白い何かが割って出て来る。

 

 

あれは…羽根?大きな、大きな翼?

 

伸びきった翼を羽ばたかせると、エネルギーの奔流が風のように舞っていく。

晴れる土煙。

 

 

 

そこに居たのは、白い大きな、美しい女性。

腰部から生える大きな柔らかな翼。

頭上のエンジェルヘイロー、目元をバイザーで隠した整った顔、大きな双丘を覆う装甲。

通常のエヴァよりも、少し大きくなった体躯。

エヴァの装甲から覗く、装甲とは違う白い素肌が所々見える。

大事な所は隠れていて、安堵する。

 

 

それにしても、ちょっとエロいにゃ…ななちゃん。

つい、マジマジと見てしまう。

中途半端に露出したほうが、色気があるのは何故なのだろうね。

 

 

一層輝いていく白い光が、私達を包んでいく。

戦場を飲み込んだ光が晴れた瞬間には、戦っていたアポストル達が、全て崩れていく。

 

 

 

 

 

通信越しに聞こえる、数多の息を呑む音。

静寂が世界を支配する。

 

 

 

ムーンセル・オートマトンを取り込んだエヴァMark7。

 

 

新たなる神の誕生。

人々の祈りにより生まれた女神。

 

女神転生か…

 

 

 

静寂の中、それを見届けていたゼーレのキール・ローレンツの呟く声だけが、通信越しに聞こえてきた。

 

 

『成ったな。…全てはこれからだ。』

 

 




まだ、くっついてないんや

アンケート今週末(土日)に締め切ります!

今後の展開。エンディング前に主人公以外の視点のBパート。既に展開したストーリーの別視点です。他キャラの内心描写等

  • Bパートを先にやっていい?
  • まずエンディング後でええやろ?
  • いや、いらんやろ。
  • 日常回の外伝はよ!
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