はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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まごころをキミに

駅のホームで一人佇みながら、反対側のホームを眺める。

流れていく人を見ていると、それだけで時間を潰せてしまう。

 

 

腕時計を確認すると、まだまだ電車の時間まで猶予がある事がわかる。

 

 

少しづつ進む秒針。ついつい、そんな時計の針を見ていると、

ふと目の前が真っ暗になる。

 

瞼に感じる暖かな感触。

背中に当たる柔らかな物。

 

急なことに驚いてしまう。

 

 

「だーれだ。」

 

「…胸の大きな良い女。」

 

「Exactly!おまたせ、ユウカ。」

振り返る私の目の前には、赤い縁の眼鏡をかけた少女が顔をほころばせてる。

 

何処か悪い顔をしたマリの顔が瞳に映る。

そんな彼女の瞳には何処かキョトンとした私の顔が。

距離が近すぎる気がする。

 

うそ、まさか、こんな所で!?

 

 

マリは手で私の顎を持ち、向きを変えて、熱い口づけをしてくる。

その後、間髪入れずに腕を私の頭の後ろに回しキスを続けていく。

 

ちょっと、舌まで入れるなんて!

 

 

 

周りの人が私達を見て、ざわめき出す。

 

えっ!?…女の子同士だよな?

どっちも可愛いのに、勿体ない。

同性愛ってやつ?

始めて見た!

 

との声が聞こえてくる。

 

 

やっぱり、こういう所は前時代的だと感じる。

 

 

 

 

私はマリを引き剥がし小言を言う。

「ちょっと!マリ!こんな人前で何するの!」

そんな私にマリは拗ねたように答える。

 

「ななちゃんが可愛過ぎるのが悪いと思うよ?少し前にナンパされてたし!マーキングってやつ?」

してやったりという表情をしたマリ。

言葉の詰まる私に、更に聞こえてくる周りの声。

 

 

恥ずかしい…

マリの手を勢いよく掴み、引っ張るようにその場を離れる。

 

強引なユウカも乙なものだね。

と呟くマリ。

 

次の電車乗れないじゃん!マリのバカ!

 

 

 

 

 

マリを引っ張る私が行き着いたのは、駅のホームにある立ち食い蕎麦屋。

カウンターに立ち、注文した品が届くのを待ちながらマリのお尻をつまむ。

 

アウチ!と小さく身体を跳ねさせるマリ。

 

「ごめんて、ユウカ。

許してちょんまげ!」

おちゃらけるマリの姿を見ると怒りが収まってくる。

こういうのに弱いんだよな私。

 

「というか、ご飯食べてて大丈夫なの?

電車来ちゃうんじゃない?」

 

「もう!誰のせいで、次の電車に乗れないと思ってるの?恥ずかしかったんだから。」

さっきの事を思い出し、顔が赤くなってくるのを感じる。

そんな私を見つめ、ニヤニヤと笑うマリを見てると再び怒りが湧いてくる。

 

「んでさ、ユウカ。今度は何処へ行くつもりなの?」

 

「ないしょ。行ってからのお楽しみ。」

はにかむ私の顔を見て、照れたように目線だけを逸らすマリ。

マリはたまに、良くわからない所で照れる。

長いこと一緒に居るが、未だに良くわからないマリの生態の一つだ。

 

 

 

 

おまちどうさま。

その声と共に、注文していた商品が目の前に置かれる。

私は月見蕎麦、マリは天ぷら蕎麦。

 

それらを食べ進めながら、私は大切な人と過ごせる時間を幸せに思う。

 

 

 

 

 

 

 

一つ電車を遅らせ、次の目的の駅へ。

ここからは電車を乗り換える。

 

本来の予定では、ここの駅でマリの為に近くの古本屋へと寄る筈だったのだが、もう時間に余裕は無い。

 

ぶーたれるマリの背中を押しながら特急列車へと乗り込む。

席へと座り、窓からホームに居る人々の営みを見つめる。

 

「ユウカは好きだね?そんなにリリンの生活を見てて楽しいものなのかにゃ?」

 

「私は好きだよ?…真実を知らずに過ごす姿は、どこか無垢で、明日からの旅路もまた、何事も無く過ごせるのだと思っている。

世界の黎明が、いつ来るのかも解らないのにね…。」

 

「まあ、そういった物事はいつも唐突だからね〜。

ほんと、まいっちんぐね。」

足を組み、頭の後ろで腕を組みながら、背もたれへと身体を沈めるマリ。

今までの経験が、マリの言動に出ているのを感じさせる。

 

 

通路を挟んで反対側の席へと誰かが座る音が聞こえてきた。

私は外へと向けていた視線を、そちらへと移す。

一人の少年が対面の席へと荷物を置いている。

その耳にはイヤホンをしており、音楽を聞いているのだろう。

 

 

私の視線を追い、マリも少年の姿をその視界に入れる。

マリの顔に浮かぶ、面白そうなものを見つけた時の表情。

 

運命の時は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うだるような暑さ。

アスファルトへと照りつける太陽により、温度の増した地面は陽炎を作り出している。

 

それ程の暑さでも、私とマリは汗一つかかずに街中を歩いている。

シャッターの降りた商店街には人の気配がなく、ただ蝉のなく声が聞こえてくる。

 

とある事情により、目的地へ到着することなく止まってしまった私達が乗っていた列車。

駅から歩いていると、先程列車の中で見かけた少年が公衆電話を手に持ち途方に暮れているのが見える。

 

「やあ、少年。そんな所でどうしたのかにゃ?」

マリがにこやかに彼へと喋りかける。

驚いたようにこちらへと振り返る少年。

 

「あ、あの、えっと、人と待ち合わせしていたんですけど、電車が止まっちゃって…それで…。」

しどろもどろになりながら、事情を話す彼。

 

 

ふと人の気配を感じて、そちらへと視線を向けると青い髪の少女が立っていた。

 

鳥の羽ばたく音。

電線に止まっていたカラスが一斉に飛び立ったようだ。

その音につられ、外していた視線を少女のいた場所に戻すと、もうそこには誰もいなくなっていた。

 

 

次の瞬間、強い衝撃波と空気を裂く音が聞こえる。

それに驚き耳を塞ぐ少年。

ふとこちらへと顔を向ける彼は、平然としている様子の私達を見て恥ずかしくなったのか、少し顔を赤くしている。

 

そんな彼へ私は、彼の背後を指差すようにして笑いかける。

その方向には国連軍所属の垂直離着陸型攻撃機が次々と空中を後退していく様子が見えた。

そしてそれらに続くように大きな足音のようなものが近づいてくる。

 

私達の視界に入る、巨大な二足歩行の生物。

その大きさは近くにあるビルを優に超えている。

 

現実離れしたその光景に、固まってしまう少年。

私とマリはその少年へと、二人だけで聞こえるように話をしながら近づいていく。

 

「いや〜、びっくりしちゃったにゃ。

やっぱり他人の空似という訳では無かったんだね。」

 

「まだまだこれからだよ。彼のことが今回の目的と言う訳ではないから…。」

 

「お預けをくらってる気分だにゃ。」

私のお尻を触るマリの手をつねりながら、言葉を返す。

 

「もうすぐマリも察すると思うよ。」

 

 

 

 

巨大生命体の攻撃により、こちらへと墜落してくる垂直離着陸型攻撃機。

 

それを察知して逃げようと振り返る少年は、いつの間にか後ろにいた私の胸へと顔を埋めるようにしてぶつかってしまう。

 

笑顔だが、どこか寒さを感じるマリの表情。

その視線は少年へと向かっている。

 

驚き、慌てている彼は私の胸を鷲掴みにしてしまう。

自分が何をしているか把握した彼は、私に謝ろうとするも、その前に墜落した攻撃機が少し手前で止まり、ホッとするのも束の間、間髪入れずに巨大生命体が浮き上がり墜落した機体を踏み潰す。

 

巻き起こる爆炎と、飛来する破片。

しかし、それらが私達へと届く前に、目の前へ滑り込むように一台の車が停車する。

 

 

「乗りなさい!碇シンジ君!」

車の助手席側のドアを運転席から開け、叫ぶように声をかける女性。

 

しかしその女性は私とマリを視認した瞬間、驚愕の表情を浮かべる。

どうして、と声にならぬ言葉を口の動きが表す。

 

 

少し時間が欲しい。

そう私が思った瞬間、巨大生命体が私達の反対側へと転倒する。

その動きで自分を取り戻したのか、女性は私達にも乗るように指示し、私へと咎めるような視線を送る。

 

 

車に乗り込んだ少年が女性へと確認するように声をかける。

「えっと赤木リツコさん?」

 

車に乗り込んだ私達を確認して、アクセルを踏みハンドルを動かす女性。

 

「ええ、そうよ。はじめまして碇シンジ君。」

そう彼へと挨拶をした後、バックミラー越しに私へと視線を向け、続けて口を開く。

 

 

「…ユウカ?なの?」

 

「はい、リツコ先生。」

私のその言葉を聞き、泣きそうになるリツコ先生。

 

「な〜るほどね。今回の旅の目的はリっちゃんだったんだ。…やっと見つけたんだね。」

納得するように頷くマリ。

 

 

 

 

シン槍アルベスへと至った3人の魂は、輪廻より外れてしまった。

それは地球の浄化へと必要なプロセスだったのだとムーンセル・オートマトンは答えた。

 

 

青い海。緑で覆われた大地。

使徒アザゼルの消滅。

 

 

地球の再生。

コスモリバースと名付けられたその現象は、3人の思いと記憶を元に、ムーンセル・オートマトンが展開した事象変遷能力を利用した現象だった。

 

その後人類補完計画が発動し、次のステージへと移行した人類は、エヴァンゲリオン・リルインフィニティという一つの完全な生命体に成りながらも、虚構世界にて相補性を保ち暮らしている。

 

しかし、その世界にはあの3人は居なかった。

奇跡の代償として…

 

 

 

まあ、私は非常にわがままなんだ。

だから旅に出たのだ。

探求の旅へと。

 

 

永遠の命。

それを持つ私は長い時間をかけて3人の行方を追い、色々な次元を旅してきた。

 

 

そんな途方も無い旅へとついてきた一人のおバカさん(愛しい人)

 

私の全てを受け入れ、私が造った肉体に魂を容れ、魂の補完をしたヒト。

新たな使徒となった、真希波・マリ・イラストリアス。

 

 

脳裏に浮かぶのは、マリと二人で歩んできた旅の想い出。

 

 

 

今、その長かった旅路が一段落を迎えようとしている。

 

 

「ようやく会えましたね。また会えると信じてました、リツコ先生。」

 

きっと私一人ではここまで来れなかった。

ありがとうマリ。

 

 

これからもよろしくね

 

 




ひとまずは、これにて本編完結となります。
ここまで読んでくださりありがとうございます。


シン・エヴァンゲリオンで終わりを迎えたエヴァンゲリオンの物語り。
あれも良い終わりなのかと思いますが、自分にとっては他の終わり方も有るのではと思いました。
碇シンジの物語りはきっと皆さんの中で色々あると思います。
自分にとっての青春の一つであるエヴァンゲリオンを、終わらせたくないという自己満足で書いた二次創作ですが、楽しんでいただけたのなら幸いです。


長門ユウカというオリジナルキャラクターの旅路は続いて行くかもしれません。







読まなくても良い裏話

当初のプロットではマリとのカップリングは無く、シンジ君とくっつくかも…という流れのはずがこうなった(汗)
それにバットエンドに近い予定だったのに。
全てはマリのせいです(笑)



この後、マルチエンドへ移りますが
カヲル君やシンジ君と主人公がくっつく訳ではありません。
シンジ君は皆の嫁!カヲル君はシンジ君の婿ですからね

4つ目のエンドは…恐らくマリは出ません(汗)
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