はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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新章。
マリエンド、Airアフター。



お試しリクエスト作品。前編


〜Beautiful Journey:Apocalypse〜
黙示録の記憶、そして…


コスモリバースと呼ばれる現象により、再生した地球。

そこに住まうのはセカンドインパクト以前に生存していた動植物と、どうしても人類補完計画を受け入れられなかった極一部のリリンのみ。

 

そんな地球を観測していた衛星が、強力な次元振動を観測。

その後、観測地点にてパターン青を検知する。

 

まさか、アザゼルを仕留めきれていなかったのか、と焦るがその波形は奴の物では無かった。

 

しかし、使徒は使徒。

このまま放置しておく訳にもいかない。

 

人類防衛を担う組織となったヴィレは、この事態にエヴァンゲリオンによる迎撃を決定する。

 

しかし諸事情により、現在ヴンダーを戦場に出す事は出来なかった。

そして、ヤマト決戦後、戦力を解体していた人類には、新たに現れた使徒への対抗手段がナンバーズ専用のエヴァンゲリオンしか残されていない。

 

出撃するのは、さらなる調整と強化を施されたエヴァ13+初号機、通称エヴァ最終号機。

2号機、5号機、Mark6、Mark7、8号機、Mark9。

そして、Mark10とMark11を融合させた通称Sエヴァの、計8機のエヴァンゲリオンだ。

 

その他にも、残されたNHGの一隻であるエルブズュンデ。

その主機を流用して建造された、

[第四世代型・超光速恒星間航行用・超弩級万能宇宙戦艦ヱクセリヲン]をエヴァンゲリオンの母艦として運用を決め、出撃に至る。

 

 

そのエクセリヲンの中でエヴァMark7に搭乗しながら、母艦とリンクを繋いだ私は、青い地球を眺めている。

 

何度見ても飽きない、生命の躍動感が溢れたその光景。

未だに動物の絶対数は足りないが、徐々にだが戻ってきている生態系。

それが、この星の雰囲気を形作っているように感じる。

 

 

オペレーターから通信が入る。

どうやら誘導ビーコンの準備が出来たようだ。

この後は、私達航空隊の出番。

 

 

『カタパルト・オールグリーン。射出いけます。』

オペレーターの報告を聞き、ミサトさんが頷き号令をかける。

 

『エヴァMark7、Mark9、Sエヴァ、最終号機。発進!』

 

起動するカタパルト。

全長7キロにも及ぶ巨大な戦艦は、それ相応に横にも縦にも巨大だ。

格納庫から出るにもカタパルトが必要な位には。

 

勢いよく宇宙空間へと射出される私達。

暗闇をATフィールドの輝きが切り裂いていく。

カタパルトとフィールドによる推力、その勢いに身を任せるだけで、地球へと近づいていく。

 

 

陣形は単縦陣。

先頭から、Mark7、Mark9、Sエヴァ、最終号機の順番だ。

 

 

防御力が一番高いMark7を先頭に、次点の防御力を誇る最終号機を最後尾に配置。

 

援護能力が高いMark9を二番目にし、作戦の要であるビーコンを持つSエヴァを守る形になっている。

 

それにしても、Sエヴァのフォルムは独特だ。

膝から下が一本の刃を取り付けた様な特装義足はMark11のままだが、二対の腕の一つが、折りたたまれ背部へと、その先には巨大な鉤爪状の手がマウントされている。

 

 

 

少しすると、降下ポイントへ到達した。

私が展開する多重ATフィールドで、抵抗を遮断して作戦領域を目指す。

 

 

大地が近づく。

緑に覆われた、美しき世界が私達を包み込む。

人工物が何一つなく、植物が支配するその領域は、私が知る地球とは思えない。

まるで、別の惑星に来たのではないかと錯覚する程に。

 

 

地面へと着地する私達。

私はアルベスの槍を手に、周辺を警戒するように見回す。

 

ビーコンの設置に移るSエヴァを守るように私とシンジ君が、それぞれ反対側を警戒する。

上空には綾波さんが、天使の背骨を構え、同じように周囲を見渡している。

 

 

それにしても、使徒は何処へ行ったのか…。

確かにパターン青を検知したというのに、今は影も形もない。

 

 

ATスフィアを周囲に展開し、ATフィールドを音波のように広げていく。

 

このATフィールドの波に接触すると、敵を感知できる仕組みだ。

これで、どれだけステルス能力が高い敵だろうと、近づいてくるなら察知出来る。

 

 

『準備できました。皆さん、誘導ビーコン装置から距離を取ってください。』

マユミちゃんの報告を聞き、距離を取る私達。

 

 

装置から上空へと伸びていく光の柱。

その先には母艦エクセリヲンが待機していた。

 

 

大きくなっていく光の柱を眺めながら、人類の叡智がここまで来たのかと、感慨深くなる。

 

 

増減するボソン粒子とタキオン粒子。

一際強くなった光が収まると、先程まで何もなかった場所には、4機のエヴァンゲリオンが立っている。

 

QRシグナムを利用した時空間跳躍装置。

それにより転移してきた2号機、5号機、Mark6、8号機。

そんな彼、彼女らは感心したように辺りへと視線を飛ばしている。

 

『ふ〜ん、なかなかやるじゃない。』

アスカの心を体現したかのように、腰に両手をあてて、辺りを見回している2号機。

感心するアスカに、誇らしげに頷く8号機。

 

『当然だにゃ。ユウカと私が設計したベイビーだからね。

これくらい、お茶の子さいさいよん。』

私達が携わったのは基本設計だけなんだけどね…

ドヤ顔で自慢げなマリに、声を挟めないでいる私。

 

『…皆集まったし、ひとまずは使徒の追跡をしようか。』

皆をまとめるように、声を掛けるシンジ君。

我が強く、自由人な皆をまとめられるのは、やっぱり彼だけだ。

私も、マユミちゃんも、サクラも、中々シンジ君のようには出来ない。

 

次元振動とパターン青を検知できた地点はここから近い。

使徒という巨大な生き物が移動したなら、何かしらの痕跡が残っている可能性が高い。

 

 

 

 

『あれ?たしか、ここだよね?』

マナが頭を掻きながら、小首をかしげる。

次元振動の影響か、周辺が焦土となった場所を見つけた私達だったが、いくら周囲を探索しようとも痕跡を見つけられないでいた。

 

ゼロ地点に残る放射能も、不自然にその場で留まっている。

そこから使徒が移動したなら、放射能を足跡のように残していくと考えたが、おそらくはATフィールドによって痕跡を消して動いていると仮定するべきか。

 

『…おかしい。そもそも残りの使徒は存在しない筈なのに、何故新しい使徒が現れたのか。』

口元に手をあて、エヴァの搭載コンピューターが出力するデータに目を走らせるカヲル君。

 

『次元を揺るがす現象が気になる。なぜ使徒はこんな目立つ行動を?』

ゼロ地点に戻り、情報を精査しながら意見を述べる私。

 

『私達をおびき寄せる罠とか?』

思いついたことを口にするマナ。

その意見しか私も思いつかないが、しっくりと来ない。

わざわざ、こんなことをする必要があったのか…

 

『だとしたら、使徒がこの辺に居ることになりますよね?』

サクラが警戒したようにキョロキョロと見回す。

しかし、ここまで姿を消しているとなると先手を譲ることになる。

 

『ん~、この次元振動がどうして起こったか調べた方が良いかもね。囮にするにしても少々大げさ過ぎだにゃ。』

マリが電子ウインドウをスワイプしながら、意見を述べる。

時間はかかるけど、マリの意見が一番堅実か。

 

 

ゼロ地点で膝を地面につき、Mark7をガブリエル統合体へと変成させて、ムーンセル・オートマトンを使い原因を調べようとした、その時、遠方にて高エネルギー反応が増大するのをセンサーが捉えた。

 

一斉にその方向へと振り向く私達。

 

光の奔流が迫る中、同時にATフィールドを展開する8機のエヴァンゲリオン。

 

今まで経験した中で、一番の威力を見せる、その攻撃を受け止めるATフィールドは、まさに不可侵領域に相応しい防御力を発揮する。

 

光が収まる前に、既に行動を開始していた。

音を置き去りにして大地を駆け、距離を詰める私達は、大きく開いていた敵への距離を詰めていく。

そんな私達の行動が、予想外なのか動揺した様子を見せる使徒。

 

囲むように位置取る私達。しかしその使徒を認識した瞬間、不自然に固まってしまう。

 

 

…その使徒は、まるでどこか見たときあるような相貌をしている。

 

『第3の使徒?』

マリのキョトンとした声が響くが、それに返すのは同じく唖然としたシンジ君。

 

『いや、第5の使徒だと思うけど。』

 

『アンタ、バカァー?

どっちかっていうと宇宙からダイブしてきた使徒でしょ。』

 

『いえ、頭の上の八面体の物は第6の使徒よ。』

 

今まで、襲来してきた使徒を混ぜたかのような姿。

唖然とした私達と使徒は見つめ合う。

 

 

『よし。…解ったわ。この使徒の名前は以降、キングシトエルとします。』

真面目にそんな名前をつけるミサトさんに、脱力してしまう私達。

通信に映るオペレーター達も引きつった顔をしているのが見て取れる。

 

『はいはい、で、そのキングなんちゃらは殲滅でいいのよね?』

ミサトさんの行動に慣れているのか、獰猛な笑みを浮かべながら一応確認を取るアスカ。

 

そうして頂戴と、返答するミサトさん。

 

 

それを聞くや、新調したビゼンオサフネで斬りかかるアスカ。

横合いからの神速の踏み込みに対して多重ATフィールドを展開して防御を試みる使徒だが、そのフィールドを残さず私に中和される。

 

動揺し硬直する使徒。

 

しかし、その動揺は一瞬であった。即座に己を取り戻し、ベルトアームを杭のように打ち出して2号機を迎撃するキングシトエル。

それを回避して内に潜り込もうとする2号機に対応し、そのずんぐりとした巨体に似つかわしくない速度で距離を取る。

同時に荷電粒子砲を撃とうと頭上の正八面体が形を変えていく。

 

 

飛びかかる5号機と最終号機。

同時に投擲体勢を取る、私とMark6。

その手に握りしめた槍へとATフィールドを侵食させていく。

 

飛びかかる2機のエヴァを打ち払おうと、蛇のような胴体を回転させる使徒。

視界を覆う程の砂塵を巻き起こしながら、その巨大な胴体から繰り出される攻撃は、しかし、割って入ったSエヴァと巨大なシールドを持つ5号機により受け止められる。

 

 

宙を舞う砂塵を突き抜けるように、使徒へと迫る2本の槍。

そんな私とカヲル君による投槍を防ごうと、その背中にあるサハクイエルのような形の器官を動かし衝撃波を展開する。空間を奔る強力な衝撃波により勢いを失う私達の槍。

 

 

チャージを終え、荷電粒子砲を撃とうとするキングシトエル。

しかし、発射と同時に撃ち込まれる重粒子弾により粒子ビームが拡散させられる。

 

攻撃の邪魔をした綾波さんに顔を向ける使徒。

 

その第4の使徒の様な顔から放たれるビームは、マリが放った侵食型ATフィールドを纏った弾丸と接触して、空中で爆発する。

圧縮したエネルギーが拡散し、空間を奔る光が使徒の視界を覆う。

 

 

その隙に再び懐へと潜り込もうとする2号機。

そんな2号機から再度距離を取ろうと試みる使徒だが、その行動を見越していた5号機のシールドバッシュをもらい、体勢が大きく崩れる。

 

振り抜かれるビゼンオサフネ。切断されたベルトアームが、その勢いに流され血潮と共に飛んでいく。

 

 

伽藍堂の眼窩を光らせ、懐の2号機を睨みつけるキングシトエル。

徐々に強くなっていく光を見据えるアスカは、ピンチの筈なのに不敵な笑みを浮かべる。

 

その笑みの理由は私にも解っている。

何故なら使徒は、最も目を離してはいけない相手を見失っているからだ。

 

 

使徒の頭上へと目線を移す私。

その先にはカシウスの槍を振り上げ、落下してくる紫色のエヴァ。

 

落下エネルギーと共に、振り下ろされるカシウスは使徒の頭上にある正八面体を砕き、そのまま顔ごと胴体を縦に断つ。

 

コアにはかろうじて届かなかった最終号機の一撃。

しかし、もはや使徒には、継戦能力は残されていないのは明白だった。

 

後はとどめを刺すだけ…。

 

シンジ君による最後の一撃を待つ私達だが、不自然に止まった最終号機は微動だにしない。

 

『どうしたの?碇くん。』

不思議に思った綾波さんが声をかける。

 

『ごめん。僕には、この使徒を殺せない。

…殺したくないんだ。』

 

感情を押し殺したかのような声。

らしくない彼に困惑する私達。

いったい、どうしたというの?シンジ君。

 

『今更、博愛主義にでも目覚めたわけでは無いでしょ?どうしたのよ、シンジ。』

心配そうに伺うアスカ。

そんなアスカに、ポツリポツリと返答するシンジ君。

 

『槍で使徒の身体を斬った瞬間、記憶のような、感情のような物が流れて来たんだ。』

 

『記憶?』

 

『…こことは違う何処か。でも近い場所。

そこでは、外から来た黒い巨人が破滅を振りまいていた。

溶けていく多数の魂。それを貪り喰う奴から、この使徒は逃げて来たんだ。

ただ、生きたいと願って…。』

きっと、使徒から流れて来た感情にあてられたのだろう。

ただでさえ優しい人だから。

 

アルベスの槍を持ち、瀕死の使徒へ近づく私。

そんな私へと、懇願するように、半分に欠けた顔を向けるキングシトエル。

 

多分、私が同類なのを感じ取っているのだろう。

 

ごめんね。

ここはアナタが生きるべき所ではないの。

一つの星には、一種類の生命しか生きられない運命なのだから…。

 

槍を引きコアを狙う私。

さよなら、キングシトエル。

 

 

 

槍を突き出そうとした、その時、私の後方の空に突如として出現する空間の歪み。

段々と大きくなる黒い歪みは、重力波の異常と周りに奔るプラズマを伴い広がっていく。

 

『こんなんありえないし!何なのこの数値!

色んなパラメーターが振り切れてんじゃん!』

エクセリヲンから地球を観測しているミドリの、悲鳴の様な報告が通信から漏れてくる。

 

『あの時と、サードインパクトと同じ…。』

唖然としたミサトさんの声が聞こえる。

余りにも急な出来事に、頭が追いついていかない。

 

 

重力異常により、特異点へと隆起していく大地。

そして、遂に開くガフの扉。

 

このままではマズイ!

飛び出そうとする私を、手で遮り制止するシンジ君。

 

 

ガフの扉の奥が一瞬煌めく。

人知を超えた速度で飛来するそれを、私はアルベスの槍で渾身の突きを放ち迎撃する。

 

激突するアルベスと、飛来してきた槍状の武器。

強い衝撃により、空気が破裂し、足元の大地が粉々に砕けていく。

 

勢いに負け、あらぬ方向に飛んでいく、飛来してきた槍。

統合体でなかったら迎撃出来なかっただろう威力に驚愕する。

 

 

ガフの扉を睨みつける私達の視界に映る、黒いヒト型。その大きさは恐らくエヴァと同じくらい。

 

満足に動かない身体を引きずるように、あのヒト型から距離を取ろうとするキングシトエル。

その姿はまるで、怯えているようにも見える。

 

 

シンジ君の言っていた記憶。

外から来た黒い巨人か。

 

あれを見た瞬間から身震いが止まらない。

 

悪意を纏ったかのような黒いカラーリング。

最大望遠で観測したヒト型の姿は、色以外はエヴァ初号機と同じ形をしていた。

それは、取り巻きを伴い大地へと降下する。

 

 

はっきり言って、理解が全く追いつかない。

だけれども、一つだけ理解した事が有る。

アレは生きとし生けるもの、全ての存在にとって敵なのだと…。

 

 

 

 

 

 

黒いエヴァがこちらへと来る前に、シンジ君が見た記憶を皆で共有していく。

アレは恐らく、キングシトエルを追ってここまで来たのだろう。

あの使徒が隠れていたのはその為だ。

 

 

シンジ君へと流れて来た記憶から読み取れるのは、黒いエヴァが世界を移動して、その度、その世界の全ての生命を溶かし、魂を捕食しているという事。

 

新種の使徒が出るよりもたちが悪い。

負ければ世界が終わるだなんて…

 

 

 

 

 

 

悠々と歩いてくる敵の姿を見つめる。

 

相対する私達と黒いエヴァ。

その手には、先程私が弾き飛ばした槍を持っている。

側には宙を浮く黒い大型の銃と、隣に立つ赤黒いエヴァが居る。

…あの浮いている銃からATフィールドを感じ取れる。

まさか、生きてるの?

 

 

 

睨み合う双方の口火を切ったのは、黒いエヴァ。

私達を見下すように顎を上へ向けて、首を掻っ切る仕草をする。

 

へぇ、凄く人間的ね…。

 

見え透いた挑発に、敢えて乗るのはアスカ。

激昂したようにビゼンオサフネを下段に構えて踏み込んでいく。

 

同時に、援護するように、黒い大型の銃と赤黒いエヴァへと撃ち込まれる弾丸。

その銃撃をATフィールドを展開して防ごうとするが、情報宮装備弾が即座にフィールドを破りダメージを与える。

そんな黒銃と、赤黒いエヴァへと接近する5号機とMark6。

 

斬り込んでくる2号機を、腕を組んで見据える黒いエヴァ。

その姿は、余りにも余裕が有り過ぎる。

 

 

それを見据え、私は以前までは使えなかったムーンセル・オートマトンの能力、その一部をコントロールする。

未だに使用するにあたり、アンカリングが必要な程に集中力と精神の安定が重要な能力。

 

 

 

ビゼンオサフネを振り抜こうとする2号機を見つめる。

もし敵が罠をはっているなら、このタイミングだろう。

 

一拍、手拍子を打つ。

 

その瞬間、2号機と赤黒いエヴァの位置が入れ替わる。

途端に赤黒いエヴァが大地へと叩きつけられる。

しかし、周りには何も無い。

 

姿の見えない敵が居るのか、それとも…。

 

 

『ふ〜ん、そういう事。挑発なんてするから何が待ってるのかと思えば、ちゃちな罠ね。』

ニヤニヤと人の悪そうな笑みを浮かべるアスカ。

 

『しかし、ATフィールド感応波で調べても何もありませんよ。』

Sエヴァによる探査にも引っかからないなら、本当に存在していないのだろう。

マユミちゃんの報告から推察するに、恐らくは位相コクーンに潜伏し、そこから直接攻撃している。

理論的にはとんでもない事だが、敵もエヴァの系譜ならば不可能とは思えない。

 

 

 

孤立を避けたマナが黒銃より距離を取った事により、仕切り直しとなる。

 

黒銃を乱暴な動作で手に取り、2号機へと向けて射撃する黒いエヴァ。

ATフィールドを安々と貫通し頭部へと迫る弾丸は、咄嗟に射線から身体をずらしていた2号機の右上の目を削り、後方へと抜けていく。

 

吹き出す赤き血潮。

それと同時にアスカの舌打ちが聞こえる。

 

即座に綾波さんが天使の背骨で撃ち返すも、直撃したと思った弾丸は、しかし敵をすり抜け後方に着弾する。

 

 

飛び出す2号機を追うように、最終号機も黒いエヴァへと距離を詰める。

 

そんな両機の前に位置を変える赤黒いエヴァ。

迎撃しようと2号機へと蹴りを繰り出すが、私が手拍子を打つと、2号機と黒いエヴァの位置が変わる。

 

赤黒いエヴァの蹴りは、黒いエヴァをすり抜けた。

 

それを見て、黒いエヴァの背後に居るシンジ君は即座に擬似シン化形態へと移行し殴りかかる。

そんな最終号機の方へと身体を向け、余裕そうに立つ黒いエヴァだが、最終号機の殴打は機体をすり抜けずに直撃し、黒いエヴァを吹き飛ばした。

 

追撃をかける私達。

黒いエヴァと5号機が接敵。

 

即座に黒銃を放り投げ、槍を手に取る敵。

 

槍と大盾がぶつかり合う。

盾の表面を滑る槍の矛先は、外側へと流れていく。その勢いを利用して体勢を変え、蹴りつける5号機。

その5号機の攻撃もすり抜けずに直撃する。

 

 

‘’無‘’という概念を纏うことにより、そこに有るが無いという矛盾を成立させていた黒いエヴァ。

しかし、擬似シン化した最終号機により‘’有‘’を付与された事により、慣れ浸しんだ防御を取れないでいるようだ。

 

 

黒いエヴァへと畳み掛けるように攻撃を加えようと、5号機とMark6が2方向から迫る。

 

大盾によるシールドバッシュと、槍による刺突が黒いエヴァへと襲いかかるその時、急に大きく体勢を崩すMark6。

その後直ぐに、5号機も同様に体勢が崩れる。

 

そんな5号機の隙を付くように、槍を繰り出す黒いエヴァ。大盾故に、一度崩れたバランスが仇となり無防備を晒す。

黒いエヴァの持つ槍の矛先が、5号機のコアを狙う。

 

回避も防御も出来ない5号機。

既に‘’無‘’を取り戻したのか、8号機とMark9の射撃を物ともしない黒いエヴァ。

 

 

マナ!

私達の声がシンクロして響く。

 

咄嗟に手拍子を打ち、5号機の位置を変えようと身構えるが、急に機体の顔面を殴打される。

 

乱れる集中力。

作動しない事象変遷能力を怨めしく思う。

 

 

現実は無情にも流れていく。

殴打により吹き飛ばされ、流れていく視界の中、5号機に迫る絶望を見つめる。

 

後少しが、どうしても足りない。

 

 

ふと、黒いエヴァと視線が合う。

ニヤリと嗤う奴の表情が瞳に、脳裏にこびりつくのを感じた。

 

 

 

 

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