はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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The Beast

身体を精一杯捻り、迫りくる槍の矛先を回避しようとする5号機だが、無情にも胸元へと吸い込まれていく切っ先は、血飛沫を伴いながら大きな傷を与えていく。

 

そんな絶望を振り払うかの様に、5号機へと直撃する多重ATフィールドの煌めき。

押し出される様に吹き飛ばされていく5号機だが、槍をそのまま突き刺されるよりはマシな結果だろう。

 

 

『ナイスよ!ユウカ!』

アスカが私の方へ向き、喜びの声を上げるが、改めて私の位置を確認するとキョトンとした表情を浮かべる。

 

何故なら、私の位置からは多重ATフィールドを5号機に当てられないからだ。

 

一瞬私達の間に奔る沈黙は、皆の驚きと疑問を表している様に感じる。

まあ、実際私も驚いている。

何せ私は何もしていないのだから…。

 

 

敵の敵は味方という言葉が有るが、これはそういう事なのだろう。使徒がエヴァを助けるだなんて。

改めて周りを見回すが、その存在を知覚する事は出来なかった。

大した隠密能力だ。

 

 

 

体勢を直したカヲル君が黒いエヴァから距離を取り、最終号機と肩を並べ、警戒するように槍を構える。

 

アスカと綾波さんは、赤黒いエヴァと黒銃に対峙している。

 

マリは私の背後で周辺を警戒。

 

吹き飛ばされた5号機を介抱するようにSエヴァが抱き起こす。

しかし力の抜けきった5号機は、まるで未起動の機体の様に見える。

 

『うう、気持ち悪い。なんだろう。まるで熱中症になったみたいな…。クラクラする〜。

あれ?ていうか、エヴァが動かない?』

マナが胸元を押さえながら、言葉を発する。

 

私は5号機の情報を映す電子ディスプレイを引っ張り出し、眼前に持ってくる。

そこに映るデータを確認すると、シンクロ率が一気に起動指数を割っているのが見て取れる。

 

槍の刺突と同時に、エヴァへと侵食しているアンチATフィールド。それが一時的に、パイロットであるマナに大きな影響を与えている。

徐々に戻っているマナのシンクロ率だが、復帰には時間が掛かりそうだ。

 

 

 

 

 

通信越しに私とマリへ視線を送るアスカ。

彼女の言いたいことは解っている。

一番厄介な奴を何とかしろということだろう。

 

見つめ合う私とマリ。

肩をすぼめ、苦笑いをするマリ。

そんな彼女へと頷き、笑みを返す私。

 

そんな私達のやり取りを見ていたアスカは、確認する様に皆にも視線を送る。

各々反応を返すナンバーズを、不敵な笑みで迎える彼女。

そんな彼女の心の内を表すように、エヴァ2号機はビゼンオサフネを右手に持ち、巨大な刃を右肩に乗せるように置き、左手を腰に当て敵を見据える。

 

 

 

『じゃ、行くわよ。Gehen!!』

アスカの掛け声と共に、黒いエヴァへと駆けていく最終号機とMark6。

 

同時に、赤黒いエヴァへと踏み込みビゼンオサフネを振り上げる2号機。

 

そして、黒銃へ向けて重粒子弾を撃ち込むMark9。

 

 

それらの動きを見つめ、バックステップをして厄介な敵からの妨害対策をしつつ、手拍子を打つタイミングを図る私。

既に、位置を入れ替える対象は決めてある。

 

 

勢いよく私の両手が閉じていく。

その手が閉じるよりも早く、私の目に映る景色が大きく変わる。

 

私の目の前には、防御姿勢を取り、オーバーラッピング装備を展開した、背後にいた筈の8号機の姿。

 

 

レガリアにより深く繋がった私とマリに関しては、一定の距離内なら、手拍子を打つ必要もなく場所を入れ替えられる。

故に手拍子はブラフ。

 

 

オーバーラッピング機能により、触れたものを融合させられる8号機。

それを利用して、位相コクーンから敵を引きずり出すという算段。

 

 

8号機の機体に奔る衝撃が見て取れる。

敵からの攻撃を受けた瞬間、目の前の空間が歪む。

 

既に8号機へと踏み込んでいた私は、その勢いに身を任せ、空間の歪みに手を突っ込む。

体勢を立て直したマリも、私から少し遅れて、手を突き入れた。

 

『ATフィールド、全開!』

私とマリの声がシンクロする。

強く光りだす私達のATフィールドが位相コクーンの入口をこじ開けていく。

 

 

まるでガラスの割れたような音が響き渡ると同時に、位相コクーンが崩壊。

その先に潜伏していた敵の姿を視認した瞬間、私を襲ったのは凄まじいまでの嫌悪感だった。

 

いままでに感じたことが無いほどの激情が心の内を駆け巡る。

怒り、哀しみ、嫌悪。それと形容し難い負の感情に戸惑いながらも、眼前の敵を睨みつける。

頭にザアザアと血が登っていくのを感じる。

 

 

何故私は、こんなにも怒り狂っているのか解らない。

目の前がクラクラするが、同時に敵の姿だけははっきりと認識している。

 

 

…キモチワルイ

 

 

 

 

 

 

気が付いたら、目の前の敵へと踏み込み、顔面へと殴打を繰り出していた。

すかさず防御の腕が差し込まれ、捌かれる。

 

そのままの勢いで、流された腕を折り曲げ、体動を使い、肘で顔面を狙う。

後退する事により回避されるが、私は流れていく身体を利用して、裏拳で発勁を叩き込む。

咄嗟に防御した敵だったが、予想よりも大きい威力の攻撃だったのか、防御姿勢が崩れる。

 

後ろへと仰け反った為に、晒している首元を両手で思い切り握りしめる。

そのまま足を刈り、押し倒しマウントを取って、さらに両手へと力を込める。

 

 

 

折れろ、折れろ、折れろ、折れろ、おれろ、おれろ、オレロ、オレロ!!

 

感触で解る、後少しだ。

 

 

 

 

 

ふと全身へと奔る衝撃。

視界が目まぐるしく変わっていく。

 

…誰かに抱き着かれてる?

 

視界に映るのはピンク色。

 

マリ?

 

 

『ユウカ、正気に戻った?』

マリの声が聞こえる。

私。

 

『なんで?後少しで…。』

唖然としながらも、責めるようにマリへと視線を移す。

そんな私の頭に、叩かれたよう衝撃が奔った。

驚き、そちらに振り向くと、手を振り抜いたであろう2号機の姿。

目線が合うと、直ぐに顎をしゃくる。

 

その方向へと顔を向けると、先程の敵のすぐ近くに黒いエヴァが槍を持ち佇んでいた。

 

 

 

全く、周りが見えていなかった。

そっか、助けて貰ったんだ、私。

 

『マリ、ごめん。』

謝る私に、マリは微笑みながら言葉をかける。

 

『無問題!ユウカが無事なら、それで良し!』

 

いつの間にか、私達の周りには皆が居た。

敵もまた、一箇所に集結している。

 

仕切り直しか…

 

 

『どうしたん?ユウカ。ホンマ珍しい事もあるね。冷静さを無くすなんて。』

サクラの声に謝罪しながら苦笑いをする。

 

先程よりも落ち着いている。

今は、もう大丈夫。

 

 

 

ふと視界の端で、ゆっくりと動く5号機を見る。

起動指数には達したようだが、戦闘に耐えられるシンクロ率ではないみたいだ。

 

 

5号機の護衛として、Sエヴァがその場に残り、私達は駆け出す。

 

 

 

 

敵もまた、呼応するように動き出す。

 

位相コクーンへ戻ろうとする敵と最終号機の位置を入れ替え、同時に最終号機の居た場所へと殴打を入れる。

 

瞬時に適応し、私の殴打を受け止める敵を見据える。

黒い靄を纏った姿のヒト型、それと格闘戦を繰り広げる私。

敵の動きは八極拳をベースにした、我流の格闘術。

それは、私と全く同じ術理であった。

 

相手の動きが手に取る様に解る。

敵もまた、私の動きを直ぐに把握していく。

 

最初、私が押していたのは機体性能の差が大きかったのだが、それに慣れた敵は技術でもって差を埋めてくる。

 

 

お互いに腕をぶつけ合いながらも、相手の体勢を崩そうと、腕を絡めていこうとする。

 

同時にお互いの腕を捌いた為か、両者共に体勢が斜め前方へと崩れる。

私は、そのまま八極拳・鉄山靠を繰り出すが、相手も同様に動いていたため、痛打にはならなかった。

 

2つの鉄山靠のぶつかり合い。

衝撃に耐えられなかった地面が大きく砕け、バランスが取れなくなる。

 

 

翼を広げてバランスを取り、なんとか転倒を防ぐ私。

対象的に敵は足を取られている。

 

大きく崩れた体幹を、さらに揺さぶるように崩しながら、その動きすらも利用して打撃を連打していく。

 

格闘至近距離戦において、強力な破壊力を持つ八極拳。それが敵の肉体を砕く。

防御の開いた胴体を見据え、敵の足を踏み砕きながら身中へと肘勁を打ち込み、肘に侵食させていたATフィールドを開放する。

 

吹き飛ぶ敵を見据え、これ程に身体を砕けば継戦能力は既に無いだろうと判断した私は、奇襲を警戒しながら近づいていく。

 

 

 

 

『あははは!容赦ないね…。』

?聞き慣れない声が、通信に流れてくる。

誰の声だと考え始めたその時、

その声にマナが反応する。

 

『どうしたの?ユウカ?

らしくないじゃん。

戦いの最中に意味なく喋るなんてさ…。』

 

そんなマナに私は疑問符を浮かべる。

『え?私、喋ってないよ?』

 

返答した私に5号機の護衛をしていたサクラが反応する。

『何言うとんの?さっき「容赦ないね。」って喋ってたやん?』

心配そうなサクラ。

 

『いや、それは私じゃあ…。』

なおも否定する私にマユミちゃんが声をかける。

 

『でも、ユウカちゃんの声がはっきりと聞こえたよ?』

マユミちゃんの、その言葉に同意するように頷くマナとサクラ。

 

私達のやり取りに、クスクスとした笑い声が聞こえる。さっきと同じ声…。

 

『ユウカ!巫山戯てる場合じゃな…!』

サクラが怒ったような声を上げるが、間髪入れずマユミちゃんが声を上げる。

 

『待って。今、ユウカちゃんは口を動かしてなかった。』

 

 

 

…もしかして。

状況から見るに、敵の声なのか?

 

『あ〜、面白い。仲間の声もわからないの?』

嘲るように喋る謎の声。

痛たたた〜と喋るその声と連動して、黒い靄を纒った敵が身体を起こす。

 

『貴女、誰?』

私の質問になおも笑い声を上げる。

 

『まだ、気づかないの?おバカさん…。』

答える気がないのか?

苛ついた私は、いつの間にか枝をつけられていた通信をこじ開ける。

 

 

 

追加される通信ウインドウ。

そこに映る顔には見覚えがあった。

 

顔色が悪いが、それ以外は全く同じだ…。

鏡越しに見る自身の顔と。

 

 

驚いたのは一瞬だった。

かけられた声により、動揺は無くなった。

 

 

 

 

 

『はじめまして、この世界の私。

私は陸奥ユウカ。貴女の名前も同じなのかな?』

 

『はじめまして、クソ野郎の私。

私は長門ユウカ。貴女の名前とは名字が違う。』

 

 

 

 

 

 

息を呑む皆。

ウソ、と言葉を発するのはマナだけ。

 

 

『ふ〜ん。ここでは皆生きてるんだ。

シンジ君の事も助けてるし、なんか私と皆が仲良さげじゃない?

不思議だね。私の世界と何処が違うんだろね?』

心底不思議そうな表情を浮かべる私の顔。

そんな奴の顔を見ながら、イライラしているのを抑える。

 

『ユウカ。大丈夫?』

機体を寄せながら、心配そうに触れてくる8号機。

そんなマリに大丈夫と笑顔で伝える。

 

 

『は?…え?何?

もしかして、あのウザイ、ネコメガネとそういう関係!?

趣味悪いよ!この世界の私、趣味悪いね!

オエ〜、キモチワルイ。』

マリを馬鹿にされて頭に血が登る。

8号機が手で抑えていなければ、飛び掛かっていただろう。

 

『ほらほら、ななちゃん。

落ち着いて。ただの挑発だにゃん!』

解ってるけど…。ダメだ、何故かアイツにだけは抑えられない。

しかし画面に映るマリの顔が若干強張って見える。

 

 

そうだよね…。

マリだって我慢してるんだから、感情を抑えないと。

 

 

 

 

 

 

既に立ち上がっていた敵を見据える。

まんまと再生時間を稼がれたみたい。

 

再生時間が予想よりも遙かに早い。素体の再生時間を脳裏に刻み込む。

あれ程のダメージをこの短時間で…と、驚いたが表に出さないようにする。

 

 

 

 

同時に走り出す私と陸奥。

翼を使った推力のブーストがあるため、私の方が衝撃力は上で有ることを考慮して、発勁を叩き込む。

 

対して、相手は柔らかな軌道を描くように足を動かしている。

それは八卦掌の歩法だった。

 

カウンターを狙って放たれる敵の掌打を、腕を絡め捌きとる。

 

相手も柔らかな動きで、絡めた腕を使い、更に接近してくる。

くっつく程の距離での打撃の応酬。肘や腕、時には膝をぶつけ合いながら相手の急所を狙っていく、端から見たら地味な戦いだろう。

 

私は特殊なATフィールドを腕の内に展開。

手を開き、陸奥の繰り出した右の掌打を、正面から少し手首を捻りながら掴み取ると同時に、その特殊なATフィールドを一部開放する。

 

ATフィールドの中に溜めていた衝撃が、私の開いた指を伝い、相手の腕へと細く奔る。

 

その5本の奔る衝撃は、まるで刃のように、相手の腕を、螺旋を描くように深く斬り裂いた。

 

 

驚きと、痛みに耐える陸奥の表情。

『なに、それ…。

そんなの持ってたの?

特殊なATフィールドの使い方。

性質が反対?…内向きのフィールドって、何なの?』

 

そうか。

陸奥は内向きのATフィールドを知らないし、使えないのか。

 

内向きのATフィールドを隆起させると同時に機体の一部が輝き出す。

擬似シン化形態へと移行させ、多重ATフィールドで陸奥を吹き飛ばす。

 

ボールのように地面を跳ねて行く敵を追撃する為に、風を切り裂き走る私。

 

 

 

宙を舞う砂塵が多い!視界を塞がれた。

わざと大げさに受け身を取ったのか!?

 

翼を使い、突風を巻き起こし砂塵を吹き飛ばした。

開けた視界に敵の姿を探すが、どこにもいない。

 

咄嗟に身構え、目線だけを忙しなく動かす。さらに周りの空間にATフィールドを浸透させ索敵をする。

 

 

…どこへ行ったの?

もしかして、位相コクーンへ退避した?

いや、位相コクーンを開いた反応も無かったし、その時間を与えていない筈だ。

 

 

 

僅かな先の未来予知の為に早めた思考の中、急に奔るノイズ。

 

ん?…何だ?

 

背中に痛み?

咄嗟に背後に手を回し、エヴァに刺さった物を掴み取る。

 

 

痛みに耐え、背後に目線を送る。

そこに映るのは、抜き手を放った手を掴まれた、黒い靄を纒ったエヴァの姿。

 

うそ!

いつの間に背後に?

 

ATフィールドで警戒していたのに。

それに、さっきまで前方にいた筈!

 

 

『不思議そうだね?

…長く生きてると、そのうち鍛錬で身につく物も有るんだよ。

気を使い、周囲の状況を感知し、また、自らの存在を消失させる技法・圏境。

極めれば天地と合一し、その姿を自然に透けこませる事すら可能になる。

ATフィールドの探知では周囲と溶け込んだものは察知出来ない。透明化とは違うからね。』

通信に映る陸奥が笑っている。

勝ち誇った顔。

 

突き刺さった敵の手を抜こうと動こうとした、その時、傷口から自らの中へと入ってくるおぞましい感覚。

 

 

 

絶望と死。

それを象徴するような感情が侵食してくる。

 

幾億幾万の魂が持つ絶望。

 

感覚的に解る。

それは陸奥が捕食してきた魂の叫びだった。

 

そうか、黒いエヴァがメインでは無いのか…。

別世界の私が、こんな事を。

 

 

 

侵食は一秒にも満たなかった筈なのに、私へと与えた影響は考えられない程大きかった。

離れようと踏み出した勢いのまま、力の入らなくなった機体は大地を転がっていく。

 

 

 

精神が大きく揺れている。

それが身体にも影響を及ぼし、湧き上がる嘔吐感を我慢できず、口元から溢れ出す。

 

『ユウカ!』

マリの叫び声が聞こえる。

人間では無い私には、胃液というものは無いが、身体に貯蓄していた水分が逆流してくる。

 

 

 

徐々に下がるシンクロ率を自覚する。

 

…これは唯のアンチATフィールドではない。

今まで取り込んできた世界の、全ての魂が発するデストルドー、それを凝縮したモノ。

 

人類補完計画プロトタイプよりもたちが悪い。

補完も何も無い、ただ自らの糧とする為の悪行。

 

 

 

統合体が解け、通常のMark7へと変化する機体。

それを見て、陸奥が声を発する。

『へ〜。その女性的な容貌は、厨二病的な機体じゃ無かったのか…。

エヴァの肉体がパイロットに合わせる程の親和性。エヴァ統合体って所かしら?』

何処か感心したような表情を浮かべる。

 

満足に動けなくなってる私に近づいてくる陸奥を、邪魔するように銃弾が飛来する。

回避行動を取る陸奥と私の間に立ちふさがるピンク色の機体。

8号機が擬似シン化した状態でアダドを構えていた。

 

 

 

『この世界のネコメガネは、擬似シン化出来るなんて…。凄いね。』

 

『まあね。私のユウカへの愛ってやつ?』

陸奥の言葉にマリが軽い感じで返すが、そのマリの表情はブチギレていた。目を見開き、獰猛に笑っている顔は、まるで肉食動物が捕食する直前の様な表情だ。

 

 

8号機の手に持つ、アダドが火を吹く。

射線から身体を逸しながら近づいてくる陸奥は、その歩法もあり、連射式では無い上に高反動のアダドでは狙い撃つのは至難の業だ。

それなのに的確に、素早く狙い撃つマリの銃撃。その業に歩法を若干乱される陸奥。

 

高反動を利用して、体勢を変えたマリは、その勢いのままに下方から、身体を目一杯伸ばした蹴りを叩き込む。

 

左腕で8号機の蹴りを防御するが、その瞬間砕け散る敵の腕。

目を見開き、驚く陸奥の表情は、次の瞬間納得するように笑う。

 

『防御不可。事象飽和を利用した絶対破壊の力か。一撃の威力を強化するのでなく、一撃を同時の複数回に増やす、世界の理を越えた能力。』

マリの能力を一目見て理解するなんて…。

 

 

躰道をベースにしたマリは近接遠距離からでも、蹴りを主体に格闘戦を展開する。

それに両手に持った大型のレールガンであるアダドで腰撃ちしたり、鈍器のようにストックを使って殴打を放つ。

 

それらの動きに陸奥はイライラしたように対処を重ねていく。

マガジンを変えたマリは、銃撃を加える回数を増やす。

途端に敵の傷が増えていく。

 

『散弾式の情報宮装備弾。近接戦の虎の子よん!』

 

『クソ!私の動きをことごとく!

何なの、この世界のネコメガネは!』

苛つきを隠さない陸奥の声が聞こえてくる。

 

『Catは感が良いんだにゃ!それに、20年近く一緒に住んでれば、癖なんかはまるっとお見通し!

身体構造上の癖はやっぱり変わらないみたいだしね。』

 

私の鍛錬にも、戦い方の構築にも、常に一緒に居たマリは、私との戦いを熟知していると言っても過言では無い。

 

 

牽制の為に撃ったアダドの銃弾を、飛び込むように当たりに動いた陸奥。

 

至近距離で受けた為か、散弾により千切れ飛ぶ残った腕と、大きな傷を負う胴体。

その血飛沫が8号機を襲う。

 

視界を完全に塞がる前に、無理にでも飛び退く8号機。

マズイ!

 

 

警戒するように、マリへと伝えようと思ったが、声が出ない。不調の影響がまだ抜けてない…。

 

姿が消えた敵。

奇襲を警戒する為か、オーバーラッピングを展開する8号機。

 

 

 

 

警戒し時間が過ぎていく。

次の瞬間、多重ATフィールドにより、遠方から吹き飛んで来る最終号機とMark6。

 

彼らが戦っていた方へ目を向けると、黒いエヴァの後ろに立つ陸奥の機体。

 

仕切り直すように、位置取る私達。

敵の戦力に変わりなく、唯一黒銃だけが大きな損傷を負っている。

流石は綾波さんだ。

 

 

 

 

『ここは、最高だね。

精神的に補完された、強いシンジ君が居る。

今までの世界には、そんなシンジ君は居なかったし、こんなにチルドレンが多い世界も無かった。何より、長門という名字の私も居なかった。

まるで平行世界で無く、異世界の様に差がある。

アザゼルも居ない。使徒も居ない。

私の理想に近い世界。だからこそ、価値が有る。』

嵐の前の静けさの様な雰囲気。

その中で喋る陸奥。

そんな彼女にアスカが口を開く。

 

『で、何が言いたいのよアンタは。

大人しく帰るとか言わないでよ?

アンタ達を始末して置かないと、安心出来ないから。』

冷たい目線を送るアスカ。

そんなアスカに嘲笑うような表情を浮かべる陸奥。

 

『はっ!誰が帰るもんか。この世界を取り込めば、私の願いがようやく叶う。心が補完されたシンジ君を手に入れれば、それを元にして、私の世界のシンジ君を、ようやく助けられる!!

…約束だもんね、カヲル君?』

 

狂気に取り憑かれたような笑みを浮かべる陸奥はカヲル君を見つめる。

対してカヲル君は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 

『君は…。』

そのカヲル君の一言には、色々な感情が込められているように感じる。

 

『だから、ここで終わらせる。開放、裏コード・666!』

そう陸奥が言葉を発した、次の瞬間、彼女が乗る機体を覆う黒い靄が爆発したかのように広がっていく。

 

 

そして再び、ガフの扉が開き出す。

その奥から、この世界へと飛び出してくる数え切れない程の、翼の生えた黒いエヴァ。

その顔は、旧劇場版のエヴァ量産機と同じだった。

 

『あれって、ユウカちゃんが考えたエヴァフィギュアの!?』

驚くマユミちゃん。

 

『どの世界でも、バカユウカのあの未知なデザインセンスは同じってことかしら?』

ボソッと呟くアスカの声に否定したいが、未だに声を出すのがツライ。

 

あれは陸奥が作ったんじゃ無くて、滅ぼしてきた世界に有った量産機なのだろう。

あの数を見るに、滅ぼされた世界すらも数え切れない程だ。

 

 

 

絶望的な数量。

しかし、それを前にして私達が取る表情は笑みだけだった。

何か、懐かしさすらも感じる。

 

マナが5号機で大盾を振り回しながら、復活をアピールしている。

 

 

私も、やっと調子が戻って来た。

機体を立ち上がらせ、前方を見据えながら、再び統合体へと変成させる。

 

『もう大丈夫なの、ユウカ?』

心配そうに覗き込む8号機。

 

『うん。守ってくれてありがとう。』

感謝を伝え、軽くハグをする。

 

『…柔らかい。これも最高だにゃ。』

何やら感触を楽しむマリ。

離れてから8号機のお尻を叩く私。

アウチ!と通信に声が流れる。

 

何やってんのよ?と呆れた顔をするアスカと、仕方ないと笑う皆。

 

 

 

 

迫りくる量産機を前に、各々武器を構え、擬似シン化形態へと移行する。

 

『全員が擬似シン化出来るとは、本当に理想的ね。

…だからこそ、壊すの。憎いから。欲しいから。』

心底憎いと、表情を歪ませる陸奥。

 

 

 

視界を埋め尽くすエヴァ量産機。

最終号機を中心に陣形を組む私達。

あの黒いエヴァを倒せるのはシンジ君だけ。

だから、出来るだけシンジ君が消耗しない様にしなければいけない。

 

 

 

迫りくる量産機を最初に迎え討ったのは、綾波さんと、マリ。

マリの事象飽和を利用した銃弾が、安々と防御を抜き機能中枢を破壊する。

 

綾波さんに至っては、見ているだけだと、何をしているのか解りづらいが、トリガーを引くたびに量産機に風穴が開く。

撃った時点で、既に当たっているという事象を引き起こしている様だ。

生半可な防御力では軽々貫く攻撃力を持った綾波さんが、必中能力とは正直エグいと思った事が有る。

 

 

二人の銃撃から溢れた敵は、アスカとマナとカヲル君が迎撃する。

 

カヲル君は、あらゆる縛りから開放されたかの様に、空間を自由に動き回る。

短い距離ならば、空間転移すらも行って槍を振るう。

 

マナは、大きな盾を振り回しながら量産機にぶつけていく。

時には大盾で攻撃したり防御したりするマナだが、敵が盾に当たるたびに接触部位が消滅していく。

相転移による攻防。それは、正に最強の矛と盾。

 

アスカの動きはまるで、一人だけ加速した時間の中を動いている様に見える。

今の彼女は余裕を持って動いているのに、まるでコード999を発動させたかの様に敵を斬り裂いていく。

量産機が周りを囲む中、大刀を閃かせ敵をバラバラにする2号機。

そんな2号機へ向けて大きな剣の様な物が投げつけられる。

ATフィールドで受け止めるアスカ。

その瞬間、剣の様な物は形を変えていく。

二叉の螺旋状の槍。

 

ロンギヌスの槍のコピー。

 

それが2号機のATフィールドを安々と破り、頭部へと向かって行く。

突き刺さる瞬間、一瞬で体勢を入れ替え、空いた片手で掴み取る。

そして、その槍で量産機を斬り捨てた。

 

 

 

量産機の数が見る見ると減っていく。

忌々しいと、顔を歪ませる陸奥。

 

後は、最終号機の道を開く。

 

巨大な鉤爪状の両手を背部から外したSエヴァが前に立つ。

開いたその手を、握りしめると同時に、前方2方向の広い空間が、勢い良く圧縮されていく。

最終的には、その中に居た量産機が小さいキューブ状にまで圧縮されて残った。

 

その空いた空間に飛び込み、SエヴァはアンチATフィールドを展開する。

そのアンチATフィールドを、粘性の液体を形造った内向きのATフィールドが覆い、津波の様に動き出す。

 

その巨大な津波は多くの量産機を飲み込み、溶かしていく。

 

 

皆が開いた道を走る私とシンジ君。

疎らに来る量産機は、呼び寄せたアルベスの槍で再起不能にして進む。

 

 

 

未だ遠いが、見えてきた黒いエヴァと陸奥の乗る機体。

 

黒い靄の晴れた陸奥の乗るエヴァは、既に素体が腐ったように表面の肉が剥がれ落ち、蛆の様に小さな白いヒト型が、骨格や表面に纏わりついていた。

 

 

それにしても、エヴァがあんな形に成るだなんて。

いったいどれだけの時間を過ごしたのか。

 

 

『準備は出来た。後はこのルクレティウスの槍を使い、私を贄として、私の中に内包する、幾多もの世界が持つ全ての魂と、それらが持つ碇シンジの記憶や記録を開放する。

そして、その億をも超える無尽蔵の魂が見たシンジ君への客観的視点と、幾人もの碇シンジの魂で、私の世界のシンジ君を補完し復活させるんだ!』

 

黒いエヴァが持っていた槍を手に取る陸奥。

その矛先は彼女が乗る機体の胸元へと向かっていた。

 

あの槍は、もしかして、全ての碇シンジに繋がっているというの?

マズイ!

 

 

最終号機を抱きしめ、覆い被さる様にして、内向きのATフィールドで保護する。

 

陸奥の機体へと突き刺さるルクレティウスの槍。

 

それと同時に膨大な情報がシンジ君へと流れていくのを感じる。これらからシンジ君を守る為には、私が中継機になって、ムーンセル・オートマトンが持つ無限大の情報をぶつけるしかない。

 

私の中でぶつかり合う、無限の情報。

それらに翻弄される私の魂。

 

 

明滅する視界

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に気付いたときには、私は地面に横たわって居た。

視界に映る黒いエヴァは、靄のような物と雷光を纏い、5号機の大盾と拳を打ち合っていた。

 

黒いエヴァが持つ圧倒的なパワーに押される5号機。

 

…5号機の相転移が効いてない。

 

 

視界を回すと、近くにはMark9が利き腕と天使の背骨を失った状態で片膝を付いていた。

 

Sエヴァも4本の腕、全てを失い。

 

Mark6は左脚を太腿から引き千切られたようになっている。

 

マリは私の側で、援護射撃をしているが、やはり効いていない。

 

アスカも果敢に攻撃しているが、やはりダメージを与えられていない。

 

 

 

最終号機は私の背後に居た。

通信を流れる声を聞くに、シンジ君も一時的に行動不能になっていたらしい。

 

戦線に復帰し、黒いエヴァへと駆けていく背中を見送る。

 

 

陸奥から流れて来た情報に飲まれて、やっと解った。

 

あれは、もはや世界そのものだ。 

それを倒すことは物理的には不可能に近い。

 

 

身体を起こしていく。

『ユウカ、起きた?』

マリには心配されてばっかりだ。

 

『長門さん。大丈夫?』

近くの綾波さんが残った腕で、起きるのを助けてくれる。

 

『ありがとう、マリ、綾波さん。

…丁度良かった。二人の協力が必要なんだ。』

疑問符を浮かべる二人に守秘回線で作戦を説明する。

 

 

 

 

戦局は一見優位に動いている。

最終号機の参戦により、ダメージを負うようになった黒いエヴァ。

特に最終号機が、技術的に黒いエヴァを上回っているのが要因として大きく占める。

あの黒いエヴァの戦闘技術的は、私達の誰よりも下と見てもよい。

 

最終号機がその能力を発揮している限りは負けることは無い。

しかし、同時にあの黒いエヴァの能力も最終号機に匹敵する。

 

そして、それは自己保存に特化していると言っても良い。

例え、最終号機がどのようにシンジ君の願いを叶えようと、その出力が圧倒的に足りていないのだ。

故に、勝てない。

 

ならば方法は一つ。

 

世界をどうにかするには、世界にどうにかしてもらうしかない。

 

 

 

 

 

最終号機と黒いエヴァの格闘戦。

2号機と5号機は、全身に受けていたダメージを休める為に一時的に離脱している。

 

 

圧倒的なパワーで一挙一動で大地を砕く黒いエヴァ、その一撃を片腕でガードし同時に逆側の腕でパンチを繰り出す最終号機。

その最終号機の一撃は衝撃波だけで空を割り、雲を散らす程。

 

組み合う両機だが、拮抗は一瞬だった。

最終号機が放つ荷電粒子砲により吹き飛ぶ黒いエヴァ。

終始私達のシンジ君が押している。

 

 

 

起きたばかりだったからか、今になって違和感に気づいた。

通信からシンジ君の声が2つ聞える。

陸奥ユウカの世界のシンジ君が復活したのか…。

 

 

 

 

 

Mark9の残った腕と、Mark7と8号機の腕をくっつける様に触れさせる。

レガリアを使い、物理的に融合させ変成させていく。

 

銃身は綾波さん。撃鉄はマリ。弾丸は私。

人の理を超えた情報を弾丸に込める。

 

 

 

必中させる銃身。

弾丸を飽和させる撃鉄。

世界を超越する情報を持つ弾丸。

 

出来た銃の名前は、ピースメイカーで良いかな?

 

 

 

私達3人の意識がシンクロする。

視界の中で格闘戦を繰り広げるエヴァを見据え、集中力を高めていく。

音も色も無くなっていくような感覚の中、エヴァが放つ暖かさが私達を包み込んでいる。

 

 

 

 

戦いの推移を注目して隙を探す。

いくら必中といっても、あのエヴァの能力と出力なら弾丸自体の無効化が出来てしまう。

 

僅かな時間でも良い。完全に奴の意識を私達から遠ざけたい。

意図は解らないだろうが、私達が何かをしていたのは解ってる様だ。視界の隅に捉えていたし、今も意識の片隅に私達を置いているのを感じる。

 

 

『何かやるつもりなんでしょ?

ワタシが隙を作るわ。』

アスカの声が聞こえる。

 

『でも、アスカまだ回復してないでしょ?

それに今更アスカの攻撃じゃあ…。』

私の小声の反論に、眉を片方吊り上げて、何かを考えるアスカ。

守秘回線はここで使うのは得策では無い。直ぐに気づかれるより、これくらいの内容なら、相手に聞こえづらい小声の方が良い。

 

『…。まあ、黙って見てなさい。』

アスカが腕を組み、最終号機と黒いエヴァの戦いを真剣な顔で眺める。

 

 

キョトンとした私達。

行動を起こすと言ったのに、エヴァを休ませているアスカ。

らしくない。

 

『どしたの?姫?』

マリの言葉に、コネメガネ集中!と返すアスカ。

 

 

そんなアスカの様子に、疑問を覚えながら黒いエヴァに集中する。

 

 

 

 

ふと敵の後ろに立つ影が見える。

その瞬間、黒いエヴァの腹部から赤黒い腕が突き抜けてきた。

黒いエヴァの背後から抱きつく様にする、赤黒いエヴァ。

 

『ど、どうして、アスカ…?』

痛みに喘ぎながらも声を発する敵のシンジ君。

アスカ?もしかして、赤黒いエヴァには別世界のアスカが?

 

『アンタは、私の知ってるシンジじゃない。

アンタは…、あの狂犬女が作った継ぎ接ぎの碇シンジ。憎悪によって補完された偽物ってことよ。』

 

『アスカも、そんな事を言うの?

もういいよ!そんなアスカは要らない!』

貫き手をした赤黒いエヴァの腕をそのまま引きちぎり、赤黒いエヴァから距離を取って、裏拳を放つ黒いエヴァ。

その拳は赤黒いエヴァの頭部へと吸い込まれていく。当たる直前、間に割り込む黒銃。

それと一緒に、血飛沫を上げながら吹き飛ぶ赤黒いエヴァ。

 

それを見ながら、冷たい目をした敵のシンジ君が

『綾波もか…。』

と言葉を放つ。

失望した様な表情。

その瞬間、確かに私達から完全に意識が離れる。

 

 

トリガーを引く私達。

 

飛来する弾丸は黒いエヴァへと吸い込まれた。

 

 

この弾丸には直接敵を倒す力は無い。

その代わり敵の能力を誤作動させる事により、地面にガフの扉を開かせる事が出来る。

しかしその先は、ガフの部屋では無い。

 

撃ち込んだ情報により、開く先を変えてある。

 

 

 

これは凄く危険では有るけれど、倒すにはこの方法しかない。

後は、シンジ君に託すだけだ。

 

既にシンジ君には、作成の概要と、移動先の知り得る情報を送ってある。

 

 

『解った。やってみるよ、皆。

ネオン・ジェネシス。』

難しい事をお願いしてるのに、微笑むシンジ君。

 

そして地面を蹴り、黒いエヴァへ突進していく最終号機。ぶつかり落ちる先は、ガフの扉。

 

 

その先には、前人未到のマイナス宇宙が広がっている。

 

 

 

 

 

 

 

ただ待つ私達。

私は閉じていこうとするガフの扉を維持していく。

シンジ君が勝つことを祈って。

 

ふと、ガフの扉に近づいていく機影が視界に映る。

あれは、別世界のアスカと綾波さん。

 

『行くの?』

私達のアスカが声をかける。

 

『まあね、あの黒く染まった初号機の中には、魂がバラバラに砕けたけど、確かにバカシンジが居る。

一緒に死んであげる人間が一人でも居たほうがいいでしょ?』

まあ、エコヒイキも一緒みたいだけど。

それに、マイナス宇宙でなら、僅かでもバカシンジに会えるかもしれないし。

そう、呟く別世界のアスカ。

 

 

そして、私の方を向く赤黒いエヴァ。

『…この世界の私がアンタの事を凄く心配してた。

アンタと仲良くなる世界があるなんて、正直信じられない気持ちよ。いや、私の世界の狂犬女とは、だいぶ性格が違うのは解ってる。でも、根っこの部分は多分同じなんだと思う。育った環境が違うだけで…。

私達がもっと根気強くアイツと接してれば、もしかしたら…。

…ふん!意味の無い話ね。忘れて。』

そう一方的に喋る、別世界のアスカ。

彼女は黒銃を手に取り、後一発位は撃ちなさいよエコヒイキと、銃を小突きガフの扉へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の事は、帰って来たシンジ君が語ってくれた。

 

 

 

アディショナル・インパクト。

 

それによる、円環の中心であった陸奥ユウカの救済。

そして、結果として黒いエヴァの消失。

 

 

 

 

その話を聞いて思った事は、総じて、いつの世も母は強いってことかな。

 

それと、卵が先か? 鶏が先か?ってこと…。

 

 

 

 

それにしても、やばいな。まだ顔が赤いや。

シンジ君の語った内容は衝撃的で、まるで私がヒロインの物語みたいだ。

アディショナルインパクトで叶えた願いが、そんな事だなんて…。

 

 

私の視界の中で、シンジ君へ怒ったように飛び掛かるマリと、それを止める女の子達。

そして、あやまりながらマリから逃げるシンジ君。

 

 

「私のユウカを口説くな!!ワンコ君!」

聞こえてくるマリの叫び声。

 

 

 

…締まらない終わりだね。

 

 

「大丈夫だよ!私が愛してるのはマリだから!」

そんな私の声に、笑顔で、勢い良くこちらを振り向くマリ。

 

 

シンジ君を追いかけるのを辞め、こちらに駆けてくるマリを見ながら、心の内で感謝する。

 

 

 

 

ありがとう、全てのシンジ君。

 

ありがとう、碇ユイさん。

 

 

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