ということで、あの子出ます。
まどろみの中、暖かな陽射しがカーテンの隙間から射し込んでくるのを感じる。
眩しい…
寝返りを打ち、身体ごと顔を背ける私。
目を細くした視界に入る、胸の谷間
はあ、まただ…
長い髪を解き、いつもは掛けている眼鏡を外した素顔、大きな胸。
真希波・マリ・イラストリアスが私の隣で眠っている。
何故私は、布団に潜り込まれても気付かないのか。
一応は確認して置く。ここは…
うん、私のベットだ。
頭上に有る時計を取り、時間を確認する
時間は0547、アラームの13分前か…
身体を起こすと欠伸が出てくる。
サイドテーブルの上にあるペットボトルに口をつけ、少なくなった中身を一気に飲み干した。
少し乾いた身体に染み渡るような感覚。
隣に寝てたマリが身じろぎするのを感じる。
私が起きているのを確認し、身体を起こすマリ。
「ななちゃん、グッドモーニング。いま何時?」
「おはよ、今は0548。まだ早いけど、もう起きる?」
「う〜ん。ななちゃん、もう少しお姉さんと一緒に寝ない?」
「寝ない。今日も朝一でシンクロテストだもん。」
多分今の私は、表情が死んでいる。
最近は私だけ、やたらとシンクロテストが多い。
シンクロすることは好きなのだけど、こうもテストが多いと少し疲れてしまう。
ベットから立ち上がりクローゼットを開き、Yシャツとキュロットを取り出す。
着替えを済ませ、歯磨き。
歯磨き粉はクールミント系、スキッ!とするから好き。
なんちゃって…
私が歯を磨いている間、マリが櫛で私の髪をとかしてくれる。
「マリちゃん、ありがとう。私、髪とかすの下手だから凄く助かるよ。」
マリの顔を見ながらお礼を言う
「これくらいは朝飯前!」
私に笑いかけながらウインクする姿は、髪が跳ねてなければ様になっているのだけど…
「早いから、私先に行くね!」
声をかける私に、
それじゃあ、私午後からだから。と布団に入るマリを見ながら朝ご飯を食べに食堂へと歩く
…あれ?マリの入った布団って私のじゃ?
朝早い時間からのシンクロテスト、眠気をがまんしながらも集中しようとするが、いかんせん上手くいかない。
ああ、駄目だ眠い…
シンクロによる居心地の良さも相まって、今にも目を閉じそうになる。
微睡むような感覚と共に、自身が広がっていく感覚
現実と虚構が入り混じる、気持ち良くも苦しい。
そんな感じ。
自分とエヴァが入り混じっていく
誰?誰かが叫びながら、私の名前を呼んでいるのが聴こえる。
返事をしようとするも、身体が動かない。
さらに意識が奥に沈んでいく。
奥に沈むにつれ、私がバラバラになって拡散していく。
しかし、恐怖なんて無かった
バラバラになっても、それぞれが私を形造る。
沢山の私、私、私、私、私、私、私。
ワタシ
私達が世界を埋める。
分かれて、一つになり、また分かれる。
一つになるのも、バラバラになるのも自由自在だ。
どれほどバラバラになり、一つ一つが小さくなろうとも、全ては私。
気付いたら、草原のような場所に居た。
そこで増える私達、増え続けるワタシ
ふと、誰かに止められる。
どうしたのワタシ?
ワタシに抱きしめられる私。
暖かい、いつまでもこうしていたい。
そろそろ戻る時だと、そんな意志が私に伝わる。
…どうして?こんなに暖かいのに。こんなに居心地が良いのに。
私にはやる事がある?約束?誓い?
何だろう?
うん、大切な事。だけど思い出せないよ…
名前?私の名前?
なんでそんな事を聞くの?ワタシなんだから分かってるでしょ?
これも大切な事?言えばいいの?私の名前を…
私の名前、私の名前はね…。私は、私は、
あれ?私の名前って何!?
教えて!お願い、ワタシ!
駄目?どうして!?
ワタシは知ってるんでしょ?なら教えてよ!
どうして、お願い、教えてよ。イジワルしないでよ…
俯き涙を流す
不安なんて無い筈の場所に居て、こんなに暖かい世界なのに、何でこんなにも寂しいんだろう。
ふと、風を感じて顔を上げる。
え、蝶々?キレイ
見惚れている私の胸元に銀色の蝶が止まる。
その時、脳裏に蘇る約束…
「そっか。なら仕方ないですね。…うん。」
「でしたら、私が碇さんを助けます。」
碇さん?碇シンジ。
シンジ君…
カヲル君?
蝶が羽ばたく。
そして思い出す。
これまでの考えもしなかった、夢のような日々を
そうだ、私の名前…私の名前は
長門ユウカ
そう呟く私に、微笑みかけるワタシ。
おめでとうと云う意志が伝わる。
…もしかして、貴方は。
そう確信に近い答えを問おうとした、その時、光が視界を埋める。
次に目を開けた私の目に映るのは
知らない天井だ。
寝てたのかな?
周りを見渡すも知らない部屋だ。
隔離室?そんな印象を受ける
規則正しく聴こえる電子音、心拍モニター?
それ以外の音が全く聴こえない。
扉の開く音
音につられ、そちらを向く私の目に入ってきたのは、携帯端末を持った赤木さんと厳しい顔をしたミサトさん。
二人の雰囲気が良くない感じがする。
私が口を開く前に、赤木さんから質問が飛んでくる。
「起きて早々に悪いのだけど、貴女、自分の名前を言えるかしら?」
「長門、ユウカです。」
少ししゃがれた声。声が出しづらいや…
次々と私の事について質問をしてくる。
家族構成、家族の名前、チルドレンの仲間たちのこと、エヴァの事、ミサトさん達の事。
私なら知ってて当然な事を聞いてくる。
「それで、最後の記憶では何をしてたか憶えているかしら?」
「えっと、そうだ。シンクロテストで寝ちゃって…。
あの、すみません!どうしても眠気に耐えられなくて。ごめんなさい…。」
この部屋での前の記憶を思い出し、血の気が引く。
ヤバい!寝ちゃったんだ!
携帯端末を見ながらの質問が終わったのか、赤木さんがこちらを見る。
「貴女が謝る必要なんて無いのよ、長門さん。
今回はこちらのミスです。貴女が強い眠気を持っていたのは、脳波をモニターしていたから、わかっていたのにテストを継続したのは私達なのですからね。
その所為でちょっとした事故があって、貴女は3日間程寝ていたの。
本当にごめんなさいね。謝るわ。」
…3日!あれから3日も寝てたの?
「それで、今後はこんな事、起きないんでしょうね。」
ミサトさんが赤木さんに鋭い視線を投げつける。
「無いとは言い切れないわね。特にエヴァMark7に関しては。」
ちょっと!とミサトさんが赤木さんに声をかける
「しかし、葛城一佐。さらに希望が増えたのは事実です。
不幸中の幸いとは当にこのこと。私達は次のステージに進むことが出来るのよ。
現状考えうるあらゆる方策が取れる様になるかもしれないの。
この娘とMark7が有ればね!」
興奮した表情の赤木さん。怖い笑顔。
一体何の話をしてるの?私とMark7が何?
リツコ!と飛ぶ怒声
ミサトさんが赤木さんの白衣の襟を握りしめる。
え!なんでケンカ!?
慌てた私は二人の間に入ろうとして、足に力が入らなくベットから崩れ落ちた。
「何をしてるんだ!二人とも!」
誰かが駆け寄り、転んだ私を抱き上げる。
え!加持さん!?どこに居たの?
「赤木!葛城!この娘の前だぞ。
周りも見えないくらい熱くなるな。らしくない…」
気まずそうな表情を浮かべる二人。
「りっちゃん、少し休むんだ。ここのところ全く寝てないだろ。
葛城、希望が見えたのは確かだ。タイミングはどうあれ、りっちゃんの言ったことは間違っちゃいない。
それと、この娘を心配している子達がいるからな、そっちを頼む。」
加持さんが、おさめてくれる
私に謝って退室する二人。
「いや、すまない。二人とも君の事を心配しててね。
赤木に至っては君の事があって、ここ数日寝ることなく仕事してたからな。
感情的になってたみたいだ。許してやってくれ。」
「あの、私は大丈夫です。ビックリしただけですから。」
本当にビックリした。でも一体何があったんだろうか。
私とMark7。
聞くのは簡単だ。でもきっと、それで得られる物はベストな答えじゃないだろう。
これは私の事だし、私のエヴァの事だ。
分からないことがあったら聞く事は、悪いことではないけれど、何もかもを聞くべきではないのだ。
人によって教えて貰った事、それが全て真実かなんて分からない。
自分達の事は、自身の力で答えを探さなきゃいけない。
そうしないと、自らの糧にならないということを知っている。
他の個室に移された私は、ベットの上で病院食を食べていた。
お腹が空いてたのか、黙々と手を動かし食べる。
扉が開く音に反応し目線を向ける。
「ななちゃ〜ん!生きてる?」
マリを先頭に次から次へと入ってくる、アスカ、マナ、カヲル君、綾波さん。
ん?あれ一人多い?
「ほらほら、ななちゃん。髪跳ねてんよ!
櫛を手に持ち、髪を整えようとするマリ。
3日も寝てて風呂に入ってないと断ろうとするが、髪が櫛を通る感触的に、洗われてるのだろうか?
胸元を掴み、顔を寄せてニオイを確認する
…身体も洗ってる?というか消毒の匂いが若干する?
ていうか、そろそろ誰か、もう一人を紹介してくれないのかな?
…無理そうだね。
自分から聞こうと、顔を向けて声をかける。
「あの、はじめまして。私は長門ユウカといいます。」
無難な挨拶。依然として私のコミュ力は上がっていない。
「あっ、ごめんなさい。
はじめまして。山岸マユミと申します。
エイスチルドレンとして登録されました。
よろしくお願いします。」
黒い髪のロングストレートヘアで、大人しめの美少女。
え!山岸マユミ?
もしかしてセカンドインプレッションの?
眼鏡をかけてなかったから気付かなかった。
そんな挨拶をする山岸さんに、アスカが呆れたような表情で訴える。
「なんで悪くもないのに謝ってんのよ。」
「え、ご、ごめんなさい。」
再度謝ってしまってる。ゲームでも語られていた彼女の癖。
また謝ってんじゃないの、と返すアスカに、またしても謝ってしまう山岸さん。
そんな様子を見ながらご飯を進める私に、袋を持って近づいてくるマナ、カヲル君、綾波さん。
「ユウカちゃん!これデザートのフルーツゼリー。お見舞いの品だよ。」
おお〜!売店のフルーツがたっぷりと入ったゼリーだ。
美味しそう
「長門さん、僕からはこれだよ。」
カヲル君は私に缶飲料を手渡す。
これはドクターペッパー!売ってたの、ここ!?
好き嫌いが、はっきり分かれるということで有名な飲み物だ。
「私からは、これ。長門さんが好きなもの。」
手渡される袋。下の部分が暖かい、それにこの匂いは!
急いて袋を開けて現れたのは、
カツ丼!!
やった!綾波さん素敵!
そんな事を考えながら、蓋を開けようとする。
しかし、横から伸びてくる手により蓋が押さえられる。
「ねえ、手、離してよ。」
私の目線はカツ丼に釘付けである
「駄目よ!こんな脂っこいもの、今のアンタにはダメなのよ。
エコヒイキ!アンタ3日も寝てたやつに、なんて物を買って来てんのよ。」
アスカ、邪魔しないでよ!
私はこの蓋を取って、カツ丼を食べるんだ!
「アスカ、どいてよ!」
「あっ!ちょっとユウカやめなさい!
アンタなんでこんな時だけ、ガキなのよ!」
「ちょっと、ななちゃん。今カツ丼はやめなよ〜。吐いちゃったら楽しい事なんて無いよ?」
マリとアスカに止められてしまう!
わちゃわちゃと揉み合う私達。
そして、飛んでいくカツ丼…
それをキャッチするミサトさん。
…え、ミサトさん?いつの間に居たの?
笑顔だが、何処か迫力のある表情で私達を見ている
「あなた達、ここは医療室なのよ?
他に人が居なかったとしても、静かにしていなさい。」
カツ丼は、ミサトさんが美味しく頂きました。
療養は1日だけだった。
身体に怪我もないし、検査でもなんの異常も無し。
次の日から再度、実機でのシンクロテストだ。
シンクロに問題がないかどうかを調べないといけない。
結果は良好。いや以前よりも良いという実感がある。
エヴァへの理解、それが深まったという、そんな感じだ。
目を瞑りながらシンクロを楽しむ。
笑顔になっている事を自覚しながらも、笑みを浮かべることをやめられなかった。
機体の問題も無し!シンクロも問題なし!
通常通りのシフトへ戻る。
日常への回帰
ちなみに山岸さんは、チルドレンへ登録はされたが、まだ乗る機体であるエヴァンゲリオンMark10が完成していないため、模擬体を使用してのシンクロテストを行っている。
エヴァMark10か、どんな機体なのだろうか。
早く見てみたい!
完成するのが待ち遠しい。
それにMark11とMark12も建造中だし、ロボット好きな私としては心底楽しみなのだ。
輸送任務再び。
シンクロテストでの事が有ったから、任務がストップしていた為、一日の任務時間を増やすことになった。
今日はユーロから南アフリカへの輸送だ。
複合要塞防衛線テンティリス。
南アフリカ大陸の海岸線に沿って後方に、いくつも建てられている要塞群。
それぞれの要塞に設置される各種攻撃兵器の射程内に他の要塞を配置し、要塞と要塞の間に、地面より展開される何重もの防御壁を使い敵の足止めを行う事により防御する。
攻勢防御をコンセプトにした防衛陣地。
その性質上、防衛壁を展開する前なら、前方に戦車大隊等の陸上戦力を展開出来る。
南アメリカのウォール・オブ・ジェリコの場合は巨大な壁、城壁のようなもののため、一部に設置せれているゲートから地上戦力を展開するようだ。
テンティリスは、まだ1割程しか造られていないが、それでも凄い数の要塞だ。
荷物を置き、周りを見渡す。
南アメリカと違い野次馬があまり居ない。
皆必死になって建築作業に取りかかっているのが見える。
南アメリカには、アメリカ、カナダ、ロシア、中国、ユーロの支援。
南アフリカには、ユーロ、ロシア、中国の支援。
他色んな国が双方を支援しているが、南アフリカの方が支援してくれている国が少ないのが現状か。
だからこそ、危機感が違うのかもしれない。
自分の、家族の命を守るために
私はその光景を焼き付けるように見つめていた。
山岸さんがチルドレンに加入してから2週間が経過した。
シンクロテストも順調で、シミュレーターを使っての動作訓練も行えているとの事で、今日から戦闘訓練に移ることになったようだ。
山岸さんのすみれ色のプラグスーツ。
黒髪にすみれ色は日本っぽさが出ている。
エヴァMark10の機体情報はまだ来ていないそうだ。
その為シミュレーション上では青色のエヴァになっている。
7機のエヴァが揃うのはシミュレーションとはいえ壮観だ。
カラフルだから戦隊物みたいになってしまっている。
今回の訓練内容は仮想敵の大群との戦闘。
いくつか用意されているグレードの中で一番低いグレードの仮想敵が出てくる。
それは新人である山岸さんに配慮した訓練となっている為だ。
ちなみに今回は空中の敵は居ない。私としては凄く楽
何せ制空権は既に確保済みということなのだから。
ミサトさんの号令と共に、敵の第一波の反応あり。
海岸線防衛任務、故に敵はできる限り水際までで抑えたい。
私は、Mark7で上空から攻撃しようと、飛び立つ。
隣には綾波さんのMark9が並ぶ。
海中に敵を確認。
有効射程内の敵へ、ガトリング砲で弾の雨を降らせていく。
隣の綾波さんは天使の背骨を使い、的確に撃ち抜いていく。
もちろん、少しでも実践に近づけるようにミサトさんより、お達しが出ている為、綾波さんは天使の背骨の出力を敵を倒せる最低出力まで下げて撃っている。
う〜ん。
これでは、私達はただ銃を撃つだけになってしまう。
このガトリング砲を撃ち終わったら、狙撃の練習の為に狙撃銃を持ってこようと考える。
これじゃあ、訓練にならないもんね。
地上では物凄い数の敵を上手い具合に捌いていっている。
特にアイギス装着5号機の暴れ具合が凄まじい。
巨大な腕を振るうたびに、数体の仮想敵が消し飛んでいく。
これくらいの敵では、数がいようと全く問題になっていない。
山岸さんはどうなっているのか気になり、機体の向きを後方へ。
眼下の敵へ撃ち込みながら、ちらっと覗き見る。
前線へ走っている青い機体の姿が見える。
それをフォローするのはエヴァMark6、カヲル君だ。
マゴロク・エクスタミネート・ソード
通称マゴロク
それを手に持ち駆けていく山岸さん。
接敵するMark10だが、近接戦なのに攻撃があまり当たっていない。
山岸さん。距離の取り方が絶望的だ…
やばい、前に出過ぎてる!
このままでは囲まれてしまう。
同じ事を思ったであろうカヲル君に指摘されたのか、わざわざエヴァでカヲル君の方を向いてしまっている。
次の瞬間、袋叩きにされてしまうエヴァMark10。
助けるまもなく、大破判定。
私もカヲル君もATフィールドが間に合わなかった。
山岸さん、大丈夫かな?
その後も3度同じシミュレーションを行ったが、ポジションを変えても、何をしても大破判定を貰ってしまっている。
残念ながら、山岸さんには、戦いへの適性が無い。
それが作戦部、チルドレン達の総意だ。
訓練を続ければある程度は戦えるようになる。
射撃は搭載コンピューターの補助があるからある程度は出来ている。
しかし、補助は補助。射撃にはシンクロ率と操縦技術、あとは本人の資質が重要となる。
エヴァでの銃撃もやはり資質に欠けていれば、機械化砲台の射撃の方が有効になってしまう。
何故ならATフィールドさえ中和していれば、通常兵器でも大抵は有効打を与えられるからだ。
考える一同に、物凄く落ち込んでしまっている山岸さん。
何とかしたいけど。
本人の資質が低いのに、無理に前線に出せば、将来実戦で本当に戦死してしまうかもしれない。
シンクロ率も、予想されるATフィールドも良い物を持ってるのに、と呟くミサトさん。
シンクロ率も、ATフィールドも良い?
確か以前マリと一緒に趣味として作った、エヴァ用装備の原案にATフィールド偏向制御装置の特化発展タイプの設計図が有ったような。
自身の携帯端末を使い検索をかける。
アレでもない、コレでもないと探し続け遂に見つけた。
趣味の一環とはいえ、折角作ってみた装備。
これを使ってみたい、という微かな欲望が現れる。
「あ、あの。山岸さんを支援能力に特化させてみては?」
私の発言に疑問を持った声が聞かれる。
「以前、マリちゃんと一緒に作った装備案に丁度よいものが有ったので。ご検討お願いします。」
携帯端末でファイルを共有させる
ATフィールド偏向制御装置を高出力化し、フィールドの中和範囲に特化させ。
さらにATフィールドを光の波長に変換可能にして、索敵や通信にも使えるようにした装備案。
「な〜るほどね。中々いいじゃないこれ。
後でリツコんとこに持って行ってみるわね。
期待しててねん!」
ミサトさんもかなり乗り気になっている。
すこし不安なのが、こういう顔をしたミサトさんは何か、どデカいことをやる事がある。
同じ結論に至ったのかアスカはミサトさんを、不審げに見ている
ひとまずは、これからの山岸さんの方向性が決まった。
さっきまで落ち込んでいた山岸さんも、いくらか表情が明るくなっている。
訓練後のミーティングが終わり、皆で食堂まで歩く道中、山岸さんに話しかけられる。
「ユウカちゃん。さっきはありがとう。
私、あのままじゃ、皆の足を引っ張るだけだった。
だからもし、あの装備を使えるようになったら、もしかしたら皆の手助けが出来るかもしれない。
それが凄く嬉しいの。」
山岸さんの笑顔、初めて見たかもしれない。
ここに来てから笑っているところを見てなかった。
私は、もしかしたらエヴァを動かすこと以外でも役に立てるのかもしれない。
山岸さんのお礼を聞き、そんな風に思えた。
もちろん、それはこれからの私の頑張り次第だろう。
でも最初に自信を付けさせてくれた言葉
ありがとう、感謝の言葉
「山岸さん、こちらこそありがとうございます。私も凄く嬉しいです。」
山岸さんのファンの方すみません。
作者の勝手な考えの結果、こんな感じになってしまいましたが、
後々山岸さんは戦いでも活躍する予定なので許してください。