はじめまして、私のエヴァンゲリオン   作:siriusゆう

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人によってはもしかしたらグロいと思える要素があります!
ご注意ください。
その件での苦情は受け付けませんm(_ _)m

若干のクロス要素あります


シト新生

ジリジリと照りつける陽射し、茹だるような暑さの中、黙々と土を弄り、雑草等を抜いていく。

同時に、蔓についた害虫を見つけ次第駆除をする。

丸々と大きくなったスイカは、収穫の時期が近づいているようだ。

今年、二度目の収穫なのだと加持さんが教えてくれた。

 

私と綾波さんは今、加持さんのスイカ畑で農作業をしている。

麦わら帽子を被り、首にタオルをかけて、私も綾波さんも黒いジャージを着て汚れても良いようにしている。

 

ちらりと加持さんを見ると、私達が作業していない方向へと水を撒いている。

 

今日は私と綾波さんが非番となっており、同じく非番の加持さんに頼まれて、畑仕事を手伝う事にしたのだ。

 

 

 

暑い。

額から流れる汗を首元にかけたタオルで拭く。

 

ふと地面を見ると、ウネウネと動く生き物が。

あ、ミミズだ。

 

小さな命、土を豊かにする生き物。

 

ミミズを見つめる私を気にしたのか、綾波さんは私の目線をたどりしゃがみ込む。

 

「生きてる。」

呟く綾波さん。

その表情は何処か優しげで、慈しみがある。

 

「はい。精一杯生きてますね。」

こんな小さな命でも、一生懸命に生きている。

 

 

私達人類の生存競争、アポストルとの戦いは、負けてしまえば、人類だけでなく、目の前のこの命を含め、今いる全ての種族が滅んでしまう。

 

だから、勝たないといけない。

きっと綾波さんもそう思っている、それがなんとなく分かるんだ。

 

 

ミミズに少し土をかけていると聞こえてくる加持さんの声。

 

「おーい、お二人さん。そろそろ、一度休憩にしないか?」

ホースを手に持ちながら私達を呼んでいる加持さんの元へ、二人でグローブを取りながら近づいていく。

 

 

近くのベンチに三人で腰掛けながら、売店のおにぎりをつまむ。

そういえば一時期、加持さんの事を見なかった時期があった。

前から疑問に思った事を聞いてみようと、そんな風に思い、話を切り出した。

「そういえば、加持さん。一時期本部であまり見かけませんでしたけど出張とか何かだったんですか?」

 

「ん?ああ、実はそうなんだよ。エヴァ関連の調整事でユーロ、ロシア、中国にね。

同じ組織でも利権なんて絡んでくると、また面倒なんだな、これが。」

苦笑しながらも、何処か余裕の有る表情を浮かべた加持さん。

 

「お疲れ様でした。凄く長い間いなかった様な気がして。大変だったんですね?」

 

「…いや、実はな。中国の会稽にあるヴィレの施設で、エヴァMark12に搭載される、新しいAIの開発を手伝わされてたんだ。

そこの技術者がどうも変なこだわりが有るらしく、そのAIの声を頼むと言われて。

音声の提供をちょっとやらされてたって訳だ。」

 

「エヴァにAI!?どうしてですか?」

搭載コンピューターにAIを組み込むのかな?

 

「エヴァMark12は自立稼働型のエヴァンゲリオンとして開発されているらしい。

ダミーシステムと、開発されたAIコンピューター会稽零式を使ったパイロット不要の機体だって話だよ。」

まあ詳しくは俺も知らないんだけどな、と呟く加持さん。

 

 

そっか、Mark12にはパイロットが居ないのか。

 

 

無人のエヴァ、そしてダミープラグ。

それで思い出すのは、まるである種子供が持つ残虐性を見せ、獣の様な、人の様なエヴァンゲリオン。

 

エヴァンゲリオン量産機

 

AIによって制御されるということだが、果たしてそれがどこまで信頼出来るのか。

少し考えさせられる事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

大量の瓦礫の上を歩きながら、辺りを見回す。

 

周辺には重機で瓦礫を撤去していく人々。

ニアサードインパクト発生から、既に1年が経とうとしてるのに、今だに防衛設備の建設どころか、周りに積もった瓦礫も撤去しきれていない。

 

 

ここはジオフロント。

その成れの果て。

 

今や巨大な大穴となっているそれを見下ろす。

穴の中も大量の瓦礫が存在するが、さらにその奥へと続く穴がセントラルドグマ。

あの奥にシンジ君が居る。

 

 

 

 

セントラルドグマへの降下と調査。

そして、さらなる封印の補強。

 

今回のミッションには、現存する全てのエヴァンゲリオンが投入される。

エヴァ2号機、エヴァ5号機改アイギス、エヴァMark6、エヴァ8号機、エヴァMark9、そして私のエヴァMark7。

 

セントラルドグマへの降下はMark6とMark7が担当し、その他のエヴァは有事の際の戦力として待機する。

 

 

『エヴァ両機、指定位置に到着。』

通信越しに聞こえるオペレーター、日向マコト2尉の声。

 

『では、Mark6、Mark7。ジオフロントへ降下開始。』

ミサトさんの許可の元、機体を降下させる。

重力を遮断してゆっくり降りていく。

隣に見えるMark6も同様だ。

 

やっぱりカヲル君も重力を遮断する程のATフィールドを展開出来るんだ。

なかなか自分の手札を見せないよねカヲル君って。

 

 

ジオフロントへの降下完了

その報告の為、一度ATフィールドを解除して通信を入れる。

 

重力を遮断する程のATフィールドとなると、通信すらも遮断してしまうのだ。

それ故に大気圏内での飛行時は通信不能になってしまう。

 

『二人共、セントラルドグマへの接近を許可します。気を付けて。』

 

 

瓦礫を潰しながら歩みを進めていく。

ジオフロントの地表より私は上を見上げる。

 

広く、高い。

エヴァに乗っていても地上部までの距離が高く感じる。

ジオフロントって、こんなに大きかったんだ。

 

 

セントラルドグマ。その淵へ立ち中を覗くが、ズームさせても奥が見えない。

まるで地獄への入口の様にも見える。

 

『両機、指定位置まで到着しました。葛城1佐。』

 

通信の画面に映るのは目を瞑るミサトさん。

『リツコ、準備は良い?』

 

『こちらは構わないわ、葛城1佐。』

 

『了解。以降、エヴァ両機との通信は、降下停止まで不通になるため、いざとなったら各々の判断に任せます。では…作戦開始。』

 

カヲル君と顔を見合わせる。

頷くカヲル君を見て、私はMark7を降下させて行く。

 

ここからは私が先に行き、カヲル君が後に続く。

 

 

使徒がセントラルドグマの隔壁を破った跡が続いている。

それにしても、なんなのだろうか、この破壊跡は。

 

爆発したような跡では無く、何かが溶かしたような…いや、まるで隔壁を砂状にしていったような痕跡。

 

 

ゆっくりと降りていく私だが、凄く緊張しているのか、少し手が震えている。

深呼吸して、精神を落ち着かせる

 

そろそろ封印位置のハズ。

しかし眼下には何も映らない。

 

 

 

いや、あれは…

ATフィールド?

黒いATフィールドの結界。

あれがシンジ君と初号機が施した封印。

 

 

光すらも遮断する、時間結界というべき代物だ。

 

 

目標を確認。そのように、上のMark6へハンドシグナルを送り、着地可能な場所を探す。

 

 

暫定着地可能地点を発見し、そこへMark7を着地させ、上のMark6を確認する。

 

Mark6は上方で既に着地している。

 

「ミサトさん、こちらMark7。封印を目視しました。」

 

『了解。ジオフロント班は既に作業完了済み。

エヴァ用降下ワイヤーと封印補強ツールを下ろすわね。』

 

「了解しました。待機します。」

待つこと数分でワイヤーと封印補強ツールが到着する。

 

ワイヤーに足をかけ、エヴァの手で降下の為のボタンを押す。

 

 

 

封印への接近。

それに伴い、補強ツールの中からアンカーボルトを取り出す。

このアンカーボルトは近くのATフィールドへの干渉を阻害する効果があるとの事だ。

 

僅かでも時間を稼ぐ為の悪足掻き。

しかしその僅かな時間が、運命の別れ目となるかもしれない。

その為の作業。

 

 

…近づいてきた、そろそろかな?

そう思った瞬間、急な変調が私を襲う。

 

 

何かが侵入しようとして来る、そんな感覚。

 

その感覚には覚えがある。

そう。最初にエヴァとシンクロしたときのアノ感覚だ。

 

 

『大変です!エヴァMark7より高エネルギー反応!』

 

『何ですって!ユウカちゃん!』

 

駄目だ!拒絶できない。私の中に何かが入ってくる!

あまりの気持ち悪さに、頭を抱えてしまう。

 

『この波長パターンは…間違いありません!

第13の使徒です!』

 

『何てこと、やはりMark7はまだ繋がっていたの!?』

 

『エヴァのAAシステムは?』

 

『作動してますが、侵食されています!』

 

『初号機の封印結界は!?』

 

『現在変化ありません!』

 

『時間結界が作用しててもなお、影響しているというの!?

ありえないわ!』

 

『センパイ!ユウカちゃんのプラグ震度が徐々に降下していきます!』

 

『不味いわ!早くせき止めて!』

 

『駄目です!シグナル受け付けません!』

 

『作戦中止!Mark7を上昇させて!』

 

『了解!』

上へ引っ張られる感覚。

しかしその瞬間、背中が引き裂かれるような痛みが私を襲い、そして背中の中から何かが伸びていくような、そんな感覚を覚える。

 

 

それと同時に、機体に奔る衝撃。

上へと動いていた視界と慣性が止まる。

 

急な停止!どうして?

そんな疑問から、身体がバラバラになるのではないかと思えるような痛みを我慢しながら上を見上げる。

 

そこに見えたのは、機体の背部より突き出た、機械の様な触手が4本。

それらがセントラルドグマの壁へ突き刺さっている。

 

 

 

な、なんなのあれ。

こんなのシラナイ…

 

 

唐突に、躰の中へ何かが入ってくる感触に苛まれる。

 

それはまるで無数の、小さな小さな虫に躰の中を食い散らかされるような…

皮膚や神経中を這う何か。

 

余りのおぞましさと、痛みに絶叫する。

 

 

『Mark7を現時刻でもって破棄!パイロット保護を最優先!プラグを強制射出して!』

 

『駄目です!シグナル受け付けません!』

 

『くっ!プラグ周辺の指向性爆砕ボルト点火させて!』

 

『了解!点火します!……駄目です!これはボルトが侵食されています!』

 

『まずいわね。彼女を逃さないつもり…。

しかし何故?使徒にとって、彼女は異物の筈なのに…』

 

『渚くん!Mark7を攻撃して。パイロットの保護を最優先。』

 

攻撃しようとするMark6に向けて、さらなる触手が展開される。

こんな狭い場所じゃあMark6がやられてしまう。

 

 

駄目だ!これ以上は好きにさせない。

『プラグ震度さらに降下!…これは、パイロットからのアプローチです!』

 

『やめなさい!ユウカ!それ以上は危険よ!』

もう、こんな時に赤木さんから名前で呼ばれるなんてね。

 

 

 

 

痛みに耐え、歯を食いしばりながら、プラグの奥を睨むように見据える。

 

幻なのかそこにヤツがいるのが見える。

 

私は、ワタシは…アナタなんかに負けないから!

 

掴みかかり、飛び込んだ私は、奴と一緒に底へ落ちていく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面に落ちるような衝撃、ごろごろと転がる身体。

 

……?

ここは、加持さんのスイカ畑?

起き上がり、ヤツに視線を向ける。

 

 

 

 

え!?あれは銀色のエヴァ?

まさか、エヴァ4号機なの?

どうして?

 

 

ふと気がつくと、私の身体はいつの間にかMark7に乗っていた。

でもスケールが違う。

畑に生っているスイカと比べるとエヴァが人間サイズになっている。

 

 

 

そうか…

ここは私の心の中。私の中でヤツと戦うのか。

 

 

ふと重みを感じた私の手には、いつの間にか一本の槍が有る。

 

見知らぬ槍。

刃が十字になった槍だ。

 

でも解る。これはワタシが創り出した物なのだと。

 

 

 

その槍を上段に構え、ヤツを見据える

ヤツは獣のような姿勢でこちらを警戒していた。

 

 

すり足で一歩前へ進めると同時に、ヤツの背部から生えた機械状の触手が襲いかかってくる。

 

それらを槍で切り払いながら、その勢いで身体を左に傾け、そのまま疾走し一気に距離を詰める。

 

私の動きに呼応して、更に展開される触手をATフィールドで薙ぎ払う。

 

 

 

四散する触手。

 

その残骸を私は、エヴァの顎部ジョイントを破壊し口を開けて捕食した。

 

 

Mark7に備わるとされる、侵食と生成 

まだ私はこの能力を習得出来ていないが、ヤツの持つ触手の様な物を見て、ふと思った。

 

多分、エヴァMark7はヤツそのものだったんだ。

新生し、抜け殻となった第13使徒アザゼルの躯。

 

そして、その残り滓。

 

シンクロしたときに私に触れてきたナニカ

そして私とワタシにより奥へと押しやられたモノ

それはアザゼルの一部だったモノ。

 

 

 

勝たなくちゃ…

 

目を瞑る。

そうすると、私の中に有る思い出が私に力をくれる。

今生の家族と過ごした日々、会えるとは思ってなかった人達との笑いあった日常、皆とした約束、賢明に生きる為に努力する人々の姿、そして今を一生懸命に生きている命。

 

 

 

想いを力に変える器、エヴァンゲリオン

お願い。

力を貸して、ワタシ。

 

 

目を見開いた私に、怯えたような様子を見せる敵の姿

呼応するように視界を埋め尽くす程の触手が迫ってくる。

 

 

ATフィールドを最大まで圧縮し、乱回転させて開放する。

乱回転に巻き込まれ、無数の触手が千切れ飛ぶ

 

私はヤツの体制を崩そうと、多重のATフィールドを展開しぶつけるが、同様に多重ATフィールドで中和される

 

 

 

 

シミュレーションでは無い、初めての殺し合い。

震える心の中にある臆病を燃やし、私は動く。

 

 

槍を回転させ触手を切り裂いていく。

連続で刺突を繰り出し、触手の再生をもろともせずに接近する。

近づく私に対して、ヤツは身体を起こし、腕を増やして掴みかかって来た。

 

 

間抜けめ!と、ヤツを嘲笑う

 

身体を起こしたヤツとは対象的に、私は体を深く沈め懐へと入り、ヤツの身体を真上へと蹴り上げる。

 

同時に、足に貯めていた侵食型ATフィールドを開放する。

上へと吹き飛ぶヤツを睨みつけ、自身が獰猛に笑っているのを自覚する。

 

槍を逆手に持ち、身体の向きを横へ

拡げた足と、槍を持つ腕へと渾身の力を込める。

 

「止めれるものなら、止めてみなさいよ。」

ATフィールドを槍に限界まで侵食させる。

 

翼を生やし回避しようとするが、もう遅い!

 

 

咆哮する私とワタシ。

全身の力を使い槍を開放する。

 

衝撃波を撒き散らし飛翔する槍が、ヤツの多重ATフィールドを紙のように突き破り、半身を削る。

 

敵の血が雨のように降り注ぐ。

 

回転しながら墜ちていくヤツに、私は飛びかかった

 

 

触れたところから徐々に侵食されていく

やっぱり侵食能力に関しては勝てないか。

しかし、そんな事は構わない。

 

完成された単体生物であるヤツにはなくて、私には有るもの。

 

 

 

それは捕食する事

 

 

私はMark7の口を開き、宣言する

「これで、終わりっ!」

 

そして、私はヤツの頭を噛み砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識が浮上する。

 

ここは?エントリープラグの中…

 

私、勝ったの?

まだ全身に痛みが残る。

 

 

誰かに抱き上げられている?

 

 

目線を上に上げると、そこに映っていたのは片側の眼球が潰れ、装甲がボロボロになった8号機の顔。

私が乗るMark7を横抱きにして、ワイヤーを使い、セントラルドグマを上昇している。

 

 

その上には、私が先程まで使っていた槍を持っているMark9が浮かび、上昇している。

…あの槍、なんで有るんだろう

 

 

通信ディスプレイが開き、私の目の前に、マリの顔が映る。

 

「ななちゃん。起きたの?大丈夫?」

 

心配そうな、いつもとは違う表情をしている

頷き、気になった事を聞く

 

「カヲル君は…?」

 

「下に残って、封印の補強作業中。後は渚くんに任せんしゃい。」

そっか。

良かった…無事なんだ。

 

 

それにしても、

「マリちゃん、無茶したね?8号機ボロボロだよ?」

 

エヴァの首を横に傾け下を見る。

片脚を無くし、全身の装甲がボロボロになった状態の8号機の姿。

無事な片脚をワイヤーにひっかけている

 

「こんなの、君が受けた苦痛に比べたら何てこと無いよ。

ななちゃん、還ってきてくれて、ありがとう。」

微笑むマリの姿を見ると安心する。

 

急な眠気、瞳を閉じる

「今はまだ、ゆっくりとおやすみ。」

そんなマリの言葉を聞きながら眠気に身を委ねた。

 

 

 

 

 

次に目を覚ました私は今、まるで棺のような箱の中に居た。

そして意識が覚醒したと同時に、下へとスライドして開いていく箱。

 

するとそこは、ガラスに覆われた部屋

ガラスの外には赤木さんと、伊吹さん。その他技術部の人達。

 

ガラスの外から赤木さんが、私にヒヤリングをしていく。

 

身体に変化はないか?体調はどうか?と。

 

 

「長門さん、貴女にとって辛い事を話さなければならないの。」

 

何となく解ってる…。

笑い、頷く私に、目を伏せる赤木さん。

そして口を開き、使徒に汚染されたのだと告げる。

 

既に全身を浸食されていて手の施しようがないらしい。

 

それでも私は、使徒に勝ったのだという確信があった。

それを言葉にすると、肯定するような事を返された。

 

「確かに、今の貴女から第13使徒の波長を、欠片も感知出来ないわ。それはMark7も同様にね。

…新たなる使徒の誕生、といったところなのかしら。

非常に興味深いわね。

まあ、それでも、油断はしないで頂戴。肉体面でも精神面でも不調をきたしたら直ぐに教えるように。

いいわね、長門さん。」

 

一度は名前で読んでくれたのに、また名字で呼ばれるのは寂しい。

「あの時は名前で呼んでくれたのに。」

暗い空気を吹き飛ばすように、わざとらしく可愛く拗ねてみる。

 

 

そんな私を見て驚く赤木さん。

「はあ、なんであんな時に、周りの事を認識する余裕があるのよ。貴女は…

わかったわ。ユウカと呼ぶわ。

私の事もリツコで良いから。」

眉間を指でほぐすようにしながらも、何処か嬉しそうな雰囲気。

 

「はい!リツコさん。」

 

「あ!先輩ズルいです。私もマヤで良いからね。ユウカちゃん。」

 

「マヤさん、ありがとうございます。」

人生山あり 谷あり。

些細な事だが、それでも今の私にとっては大事なことなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

隔離室より出れない日々が続く。

Mark7は現在凍結中、私の処置は現在上で検討中らしい。

 

 

殺すか、殺さないか。

 

 

以前の私なら、不安で仕方なかったかもしれない。

しかし、今は生死の瀬戸際だというのに何も感じない。

 

 

そう、精神は肉体から影響を受ける。

その事は、前々から実感していた事だ。

 

 

しかし、こうも顕著に変化していると不思議な気分にもなる。

 

 

使徒に汚染されてから、私は眠ることも、ご飯を食べることも必要なくなった。

 

肉体の強度や力も増している。

 

もはや人ではない、新たな使徒。

 

 

 

 

…今なら解る。

カヲル君や、新劇場版でのアスカの気持ちが…

 

自らの死というものが、こんなにも遠くに感じるのだ。

 

生きるということ、死ぬということ。

 

そのどちらにも同じ価値しか見いだせない。

 

ならば自分に残るのは一体何なのか…

 

それは感情だけだ。

本能という枷から開放された心。

 

だからこそ、希望に縋ってしまう。

痛がりの心を守るために、他人を欲する。

 

心を持ってしまった使徒の末路か…

 

そう、生と死は等価値なんだ。

心が死ぬか、身体が死ぬかそれだけの違いでしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はチルドレンの皆が全員来てくれた。

よく私と会う許可が降りたね。

 

「ななちゃん、ヤッホー!元気してる?」

変わんないな、マリは

 

「うん、元気だよ?皆は変わりない?」

そんな私の質問に各々変わりないことを伝えてくれる。

強化ガラス越しの面会。

ガラスに手を当て、少しでも私は皆に近づく。

 

「最近コネメガネが、特にうっとおしいのよね。

アンタ早くそこから出てきてコイツの相手して。」

 

「そうね、うるさいわ。」

 

「弁護の仕様がないよね、マリさんは。

毎日毎日、ユウカちゃんのことばかり喋ってるし。」

 

「あの、流石に真希波さんが可哀想では?」

 

「うそ!皆酷いんじゃにゃい?

優しいのは同志だけだとは。流石の私も傷つくよ〜?」

どうし?…もしかして、同じ志での同志?

何そのアダ名、いつの間に。

もしかして、山岸さん、本好きだからかな?

 

こんなやり取りをしててつくづく思う。

ここから早く出て、皆と居たいと。

 

「私も、早くここから出たいよ。」

切実な思い

そんなわたしの言葉を聞き、カヲル君が口を開いた。

 

「おや、聞いてないのかい?今日中、あと少しでここから出られるよ。」

 

驚く皆。カヲル君は…何でそんなこと知っているんだろ?

 

「渚くん、本当!?」

嬉しそうなマナの声が響く

 

「アンタ、何でそんな事知ってんのよ。

ガセだったら承知しないわよ!」

アスカは懐疑的だ

 

「それは、老人達がそうしたからさ。

だからこそ、僕らにも面会許可が降りてるんだよ。」

老人達…まさかゼーレ?

 

遥か昔からこの世界を裏から動かしてきた、秘密結社。

そして、ネルフやエヴァンゲリオンを用意していた組織、人類補完委員会そのもの。

 

私に価値を見出したということ?どこに?

イレギュラーを嫌うものと思っていたのに。

 

 

疑問も不安もあるが、ひとまずは笑顔を作る。

嬉しいものは嬉しい。

 

それに考えるのは後ででも出来る事だ。

皆も、カヲル君の言葉を信じたのか嬉しそうに笑ってくれる。

しかし笑顔になる前、マリだけが、カヲル君を少し冷たい目で見ていたような気がした。

 

 

 

カヲル君の話から少しすると、ミサトさんとリツコさんが来た。

ミサトさんは何処か、硬い表情だ。

 

「あら、皆来てたのね。

まあ丁度良かったかもね。

ユウカちゃん。長く拘束してごめんなさい。

今、扉を開けるわね。」

隔離室のドアの電子パネルにパスワードを入力するミサトさん。

開く扉。

久しぶりに空気の流れを感じる。

 

 

隔離室から出る私を抱きしめるマリ。

これ、私の匂いを嗅いでるな。

 

ようやく日常に戻れそうだ。

しかし、これまでとはきっと違う日常。

 

それでもいい。寂しさを感じないなら些細なことだ。

 

 

私達の前に立つミサトさん。

その手に持つ物を見て、私は固まる。

 

そっか、そうだよね。

 

ミサトさんを見上げる。

 

「ユウカちゃん。外に出る為に、どうしても必要な条件が提示されたの。

悪いんだけど、これを首に着けてもらえる?」

それを見て、表情を歪めるカヲル君。

 

「老人達は、それを着ける事を条件にしてなかったはずですがね。」

鋭い言葉。咎めるような目線。

そんなカヲル君にリツコさんが答える

 

「委員会では無いわ。その条件を出したのは国連よ。」

目を瞑るカヲル君。もしかして怒ってるのかな?

あのカヲル君が?

 

「そのチョーカーみたいなの、何ですか?」

マナがミサトさんへ質問する。

 

「これは、居場所を知るためのセンサーみたいな物よ。」

…嘘だ。本当の事を喋りたくないんだ。

それを着けさせる自分が嫌で

 

優しい人。だから仕事だとしても、嫌になるんだろう。

 

「ミサト、しっかりと伝えるべきよ。」

リツコさんの厳しい優しさ。

そのリツコさんの言葉を聞き、目を瞑るミサトさん。

そして、目を開ける。

 

「ごめんなさい。嘘付いたわ。

…これはDSSチョーカー。

ユウカちゃん。貴女が人類の脅威となったとき、貴女を殺すための物よ。」

 

次の瞬間、アスカにより叩き落されるDSSチョーカー。

「ふざけんじゃ無いわよ!こいつが使徒に汚染されたからって、何でこんな物!

ミサト、アンタこれを受け入れたの!?」

 

ミサトさんを睨みつけるアスカ、マナ、山岸さん。

「言い訳はしないわ。」

 

張り詰めた空気、少しでも対応を間違うと爆発してしまうのでは無いかと思えるような雰囲気。

 

 

私は一歩踏み出し、チョーカーを拾う。

誰かに着けさせるなんて事はさせない。

それは呪いとなって、その人を蝕んでいくだろうから。

 

だから自らの意思で首に嵌める

 

なんで、と誰かが呟く。

ミサトさんなのか、アスカなのか、マナなのか、山岸さんなのか。

いや四人共だったのか。

綺麗に重なった声は判別できなかった。

 

そんな驚く皆に向かって想いを伝える

 

「私は、私の意思でエヴァに乗ります。

だから、自分で着けました。

死ぬつもりなんてありませんから。」

 

人は自分の足で歩み出さなければ前には進めない。

 

 

 

 

 

久々の陽射し。

この体になって良かったことが増えた。

暑く無いのだ!

 

正直、常夏と化した今の日本では嬉しい誤算。

 

皆で地上施設の中を歩いていると、加持さんが誰かを連れて歩いている。

 

あっ!とミサトさんが引き攣っていた。

「まさか、ミサト。彼女が来るの今日だったの?

報告受けてないのだけど…」

リツコさんが怒っている。

こちらに来る加持さん。

 

「よっ!葛城。依頼通りちゃんと連れてきたぞ。」

ウインクする加持さん。これはミサトさんをフォローしてるな。気配りの出来る男はポイントが高いですよ!

 

「あんた、バカジャージじゃない。こんな所で何してんのよ。」

 

意外そうに声をかけるアスカ

 

「なんや、式波。久々っちゅうのにご挨拶やな。」

関西弁、やっぱり…

 

「鈴原君!久しぶりだね。覚えてる?霧島マナです。」

鈴原トウジ。

アニメ版だとエヴァ3号機に乗ったフォースチルドレンだった。

もしかして新しいチルドレン?

アスカ、マナ、山岸さんと話すトウジ。

綾波さんにも声をかけている。

 

トウジもマナや山岸さんがチルドレンになっているのに驚いていた。

 

「それじゃあ、紹介するわね。新しいチルドレン。」

折を見てミサトさんが声をあげる。

あれ?もう一人居る。私と同じくらいの身長だ。

 

「新しいお仲間。ナインスチルドレンの

鈴原サクラちゃんよ。」

 

 

…え?




読んでくださりありがとうございます。
今回はななちゃん、パワーアップ回

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