え。何この子。かわいい。ちょうかわいい。可愛いが過ぎて心臓が止まった……。
一目惚れ、というのを前世から通算して初めて体験した。その相手が入試の場面、しかも女の子だってのは中々に意外だったけどさ、我ながら。
トレセン学園の入学試験。そこでは学力テストの他に体力測定もあり、最後に短距離コースでのタイム測定を実際のレース形式で行う。そこでアタシと同じ組になったのが、自信ありげな笑みを見せてレース開始を待ちわびていた彼女――マヤノトップガンだったんだ。
マヤノトップガンのどこがかわいいか。まず、ちっこい。目がくりっとしてる。ほぼオレンジ色の明るい茶色をした、少しくせっ毛気味のロングヘア。それを横に2つちまっと軽くまとめて、あとは後ろに思い切り流すという料理の仕方。かわいいし、何ならそのかわいさを自分らしく活かすセンスもある。天才。
てか、そう! その子天才なんよ。多分それに気づいてるのアタシだけみたいな感あるんだけどね? 結果から言えばアタシは3着でマヤノトップガンは5着だったんだけど、多分マヤノトップガン……以下マヤノは、まだまだ身体が未完成なだけでレースセンスは抜群だと思ってるの。……だってレースペースを的確に見抜いた走り方をしてたんだよ。アタシは前に行かなきゃ上手いことレース出来ないようなウマ娘っぽいんだけどさ? マヤノは最初後方に控えてたのに『これ遅くなるな』ってアタシが思った瞬間にはもうアタシより前に出てきてたんだよ! そんな子今まで会ったことすらなかったから……ちょっと鳥肌立ったよね。
そんな可愛くて天才なマヤノちゃん……トレセン学園に入って、同室になりました。
そこでアタシは更に思い知ることとなる。
「マヤ、キミと再会できてとーっても嬉しいんだ!!」
彼女の内面的な可愛さを……!
「アタシもだよおおおおぉお!!」
「ふぎゃ」
抱きしめる。めちゃくちゃいい匂いがした。天国か。天国だわ。
ああ……ああ。マヤノが、アタシのマヤノが、かわいい……っ……。
「ご、ごめん。取り乱した……改めて。これから長い付き合いになるけど、よろしくね」
「うん! よろしく、バブちゃん!」
「バブちゃんは呼びはNG!」
「えー。かわいいじゃん。ぶーぶー」
「マヤノはかわいいけどそれとこれとは別!!」
そんなこんなで。マヤノと過ごす、アタシのトレセン学園生活が幕を開けたのだった!
……ん? アタシの前世? 大して面白くないから話さないよ? 今から始まる幸せ満点ハートフルな物語と比べりゃ、ね!