スク水最高。
え? 突然何を言ってるのか、って? いやだってそりゃそうじゃん。スク水最高じゃん。……いや、まあ、アタシも着るけど。
そんなこんなで学力向上させて何とか出れた選抜レースをサクッと終えて無事マヤノと同じチームに所属した後、夏合宿の季節。アタシは……。
『問題! じゃじゃんっ。天皇賞春は京都レース場の芝3200mで行われ』
ピンポーン
『はい早かったバブル!』
「4000m!」ブーッ
『ばか はずれです……』
「酷い言われよう!?」
トレーニング失敗 体力が5回復した
ピンポーン
『はいマーベラス答えは!』
「東京レース場の芝2000m!」ピンポンピンポンピンポーン
『正解!』
「マーべラース☆」
(問題文全文:天皇賞春は京都レース場の芝3200mで行われますが、天皇賞秋は東京レース場の芝何mで行われるでしょう?)
……なぜかクイズ合宿を強いられていた。相手はマヤノの同期で現在骨折のリハビリ中であるマーベラスサンデーって子。ケガこそしてしまったものの今の時点でも結構強いとの噂。
実際頭はアタシより強い……ぐっ。
「いや何で海に来てまでクイズやらなきゃいけないのトレーナー!?」
「賢さが足りてないからな」
「ぐっ」
言い返せない。
「……百歩譲って認めるけど」
「おう」
「何でスク水着てやる必要があるの?」
「それは……外暑いだろ?」
「……まあ」
「水着なら汗かいてもうっとおしくないだろ? 体操服とかと違って」
「……ええ」
「それにこの後一応走ったりとかするだろ?」
「……それもそうね」
「砂とかで汚れたりすると大変だろ?」
「……まあね」
「それに海に半分くらい浸かって走るというメニューも考えてある。水の抵抗をプラスして負荷をかけつつも、ケガの危険を少なくした非常にいいトレーニングだ。……どうだ? 納得したか?」
「……はい」
論破された。悔しい。……まあ、でも……。
「あ、バブちゃん!」
「マヤノー! バブちゃん呼ぶなー! ……ぁ」
スク水を着たマヤノの健康的かつ普段表に出ない官能的で未発達な曲線美が真夏の太陽に照らされる様はそれはそれはもう天下に轟く芸術品といっていいほどにめちゃくちゃはちゃめちゃどっちゃどっちゃに綺麗であり。
「しゅきぃ……」
「うわわわ!? どしたの急にへたりこんで!? 熱中症!?」
「ちが……いや、あるいみ、そうかも……ばたり」
「うわあああ!? バブちゃんがしんだあああぁっ!?」
あんまりにも尊すぎてしあわせを感じながら意識をぱーっと手放していたのであった。
「はぁ……だめむりとうとい……バタリ」
後で聞いた話によるとなんかもう一人ウマ娘が倒れていたらしいが詳細不明である。
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「……ということで、夏予定していたデビューは見送って秋にする」
「そんなー!?」
さっきの感じで熱中症で倒れることが頻発したので大事を取ってデビューを延期されました。なんでや。
「さすがにレース中に倒れられたら困るからな……涼しくなってからデビューしような」
いや全然大丈夫ですただ単にマヤノが素敵すぎてそれで体温が上がって……って言うと間違いなく頭おかしい扱いされるので言えない。今更な感じもしなくもないけど、開き直って変態になるのとギリギリを保って隠し通すのとでは変態度は雲泥の差でしょ。ね? そうだよ……ね……?
「マヤノおぉおぉぉ……」
「よしよし、元気だしてー」
「まやのままぁぁぁぁぁ……」
……………………あれ? アタシ隠してなくね?
「さて。マヤノだが……脚の調子、だいぶ良さそうだな?」
「うん! 身体がすっごく軽くてね、まだまだ走り足りないんだー!」
マヤノはダート未勝利を勝った後もレースにコンスタントに出て好走と勝利を繰り返しており、つい最近2000mの舞台で芝コースデビューも果たした。結果は3着だったものの、レース後の脚の様子も大丈夫だとのことで……ようやく適正な距離とレースで走れる身体が出来上がってきたのだ。マヤノのトゥインクル・シリーズはここからが本番といったところ。
「そこでだ。調子がいいうちに、レースを1個使っておこうと思う」
「レース!」
「合宿中だが、調子がいいこの機を逃すわけにはいかない。それに、結果が良ければクラシックの最後の一冠……菊花賞に間に合うかもしれない」
「菊花賞!」
菊花賞。クラシック三冠の三冠目、つまり最後のレース。3000mという長い長い距離を走る、『最も強いウマ娘が勝つ』と言われているG1レースである。当然、勝てばこの上ない名誉を手にするとともに、以降トゥインクル・シリーズの一線級にて戦っていけるということでもある。
そんな菊花賞に、上手く行けば出られるかもしれない。マヤノがそんなチャンスを逃すわけもなく。
「どうだ? レース、出てみないか」
「アイ・コピー!」
やる気満々。マヤノはビシッと敬礼を決めてみせた。
……で、マヤノはこのレースを勝つんだ。直線に入って2番手、そこから1番手を走っていたウマ娘の横にピタリと付けて、100m付近に差し掛かるとそのままするっと交わして1バ身突き放す。見る人みんなに「これは強い」と思わせるような文句のつけようがないレース運び。マヤノの時代が始まったと言ってもいいくらいに美しい勝利だった。
「マヤノ。次は少し休んでから神戸新聞杯を使おうと思う」
「えっと、このレースって、確か菊花賞の
「そうだ。……いよいよクラシック級の本線に乗り込むぞ」
「……うんっ」
マヤノはトレーナーの言葉に強気に口端を上げ、力強くうなずいてみせた。夏の上がりウマ娘の筆頭として、ついに最前線へ名乗りを上げることになる。当事者でないアタシも気持ちが高揚していくのがはっきりと分かった。
さあ、こっから面白くなってくるぞ……!
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