D×D 悪魔の兄弟   作:水飴トンボ

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主人公が地味と思ったら、それは間違いありません。


第11話 特訓の仕上げ

「ほら、イッセーくん。背中、流すよ」

「野郎にされても嬉しくねえよ!」

「風呂くらい、静かに入らせてくれ」

 

 女性陣が入った後に、大一達は3人で風呂に入る。別荘の風呂はかなり広く、くつろげる空間であったが男3人は点でバラバラな反応だ。混浴の夢がかなわずへこむ一誠、男同士の裸の付き合い自体にどこかワクワクしている祐斗、我関せずのマイペースな態度を取る大一と三者三様の反応であった。

 

「あーあ、チャンスだったのに…」

「嘆くくらいの元気があるなら、この後の修行も大丈夫そうだな。明日からもきっちり仕込むつもりだから覚悟しておけよ」

「大一さん、僕もお願いしますね」

「ああ。俺の方も特訓させてもらうつもりだしな」

 

 大一と祐斗のやり取りを見て、頭を洗っていた一誠は少し考えてから口を開く。

 

「そういえば兄貴っていつから悪魔になったんだ?」

「なんだ藪から棒に」

「いや考えてみたら、聞いたことなかったなって。木場や小猫ちゃんとは仲好いし、ライザーのことも知っていたから、もしかしてかなり昔からだったのかと思ってさ」

「言ってなかったけか?中学3年の頃だから3年くらいは悪魔をやっていることになるな」

「ああ!だから兄貴があの頃、進学先の高校の候補にいきなり駒王学園を入れたんだな!あの堅物兄貴が元女子高の駒王学園を選ぶなんておかしいなと思ったんだよ。まあ、兵藤家としてのスケベがあったんだなと納得していたけどさ」

 

 うんうんと納得するように首を縦に振る一誠に、大一は湯船につかったまま渋い顔を見せる。そのように納得されたのは癪であった。

 

「なんか腑に落ちないな」

「アハハ…そういえば大一さんもイッセーくんと同じで部長に死にかけていたところを助けてもらったと聞いたことがあるんですけど、やっぱり神器が原因なんですか?」

「どうかな…転生悪魔になったのは神器がきっかけでもあるけど、殺されかけたのは事故みたいなもんだしな。はぐれ悪魔にやられたのが、きっかけなんだよ」

「堕天使じゃないんですね」

「多分、腹空かせていた奴が食らおうとしていたんじゃないかな。それをリアスさん達に助けられたってところだな」

「というか、兄貴!そんな前から部長と知り合っていたのかよ!なんか急にめちゃくちゃ悔しくなってきた!」

「お前の判断基準は全部そっち関係かよ…」

「まあ、いいさ!兄貴を超えて、ハーレム王に近づいてやるぜ!」

「別に俺はハーレム王を目指してねえよ…」

 

 弟が前向きになるのはいいが、どうも期待するような方向とは別な気がして新たに不安を抱く大一であった。

 

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 2日目は悪魔、天使、堕天使の陣営についての座学であった。大一としてはまず目の前のライザー戦に集中するべきだと思ったが、新入りである一誠やアーシアのためにとの勉強会だ。

 陣営の説明の後は、アーシアが悪魔祓いについて皆に説明した。元々、教会に所属していた彼女の知識はなかなかのものであった。さらに聖書や聖水を実物まで持ってきて見せてくれる。

 

「小さい頃から毎日読んでいました。今では一節でも読むと頭痛が凄まじいので困っています」

「悪魔だもの」

「悪魔ですもんね」

「…悪魔」

「うふふ、悪魔は大ダメージ」

「というか、まだ読んでいたのか」

「うぅぅ、私、もう聖書を読めません!」

 

 先輩悪魔の総ツッコミにアーシアは涙するのであった。少なくとも、悪魔にとって有害であるということが一誠にははっきりと分かった。

 

────────────────────────────────────────────

 

 悪魔は夜こそ本領を発揮し、活動的になる。当然、夜の特訓は昼よりもハードであった。

 しかし彼らも生物、休息が必要である。特訓を終えたら、眠りにつくのであった。修行量を考えれば、その疲労から眠りに落ちるのは時間はかからない。

 だが大一はそうもいかなかった。また例の夢を見て目が覚めた。ベッドから体を起こすが、鉛でもくっついているかのように重く感じた。どうも疲労とは別の感覚に思えたが、だから何かが変わるわけでは無い。

 

「あー、ちくしょう!疲れた時くらい眠らせてくれ!」

 

 小声で苛立ちながらつぶやく。悪魔になってから同じようなことを何度もつぶやいていた。

 ぼんやりとした頭を振り払うように動かすが、その時に一誠のベッドが空であることに気が付いた。

 

(…あいつ、どこいった?)

 

 重い頭を抑えながらベッドから降りると、大一は扉を開ける。探しに行くとかではないが、もし無理して特訓をしているようなら釘をさすつもりであった。廊下に出たところで、キッチンにわずかに明かりがついていることに気づく。静かにキッチンの扉に耳をつけると、主と弟の会話が聞こえた。

 

「私はグレモリーを抜きとして、私をリアスを愛してくれる人と一緒になりたいの。それが私の小さな夢。…残念だけれど、ライザーは私の事をグレモリーのリアスとして見ているわ。そして、グレモリーのリアスとして愛してくれる。それが嫌なの。それでもグレモリーのとしての誇りは大切なものよ。矛盾した想いだけど、それでも私はこの小さな夢を持っていたいわ」

 

 仕方のないことであった。上級悪魔として生まれた以上、お家絡みに関係するのはどうやっても逃れることはできない。大一もそのことは理解している。兄のサーゼクスの眷属と繋がりがあり、リアスの状況を定期的に報告するような特異な立ち位置となれば尚更だ。自分はグレモリー眷属なのにスパイのようなことをやっている立場とすれば、リアスの気持ちをどこまで尊重させれば良いかが分からなかった。

 

「俺は部長のこと、部長として好きですよ。グレモリー家のこととか、悪魔の社会とかよくわからないし、俺にとってリアス部長はリアス部長であって…。うぬぬ、小難しいことはよくわからないですけど、俺はいつも部長が一番です」

 

 一誠の言葉に、リアスがどう思ったのかは間もなく彼女の慌てたような「なんでもない」という発言で察することが出来た。

 大一としては一誠が羨ましく思えた。悪魔として知識がないからこそ素直に彼女に対しての感情を言えることが。いやあっても言ったかもしれない。弟のその直情的な面が、彼女にとってどれほど特別に感じただろうか。

 己の気難しさへの嫌気と、弟が主にとって必要なのを感じながら彼は再び寝室へと戻った。

 

────────────────────────────────────────────

 

 山ごもりの修行も8日経った。その日、リアスが一誠に指示をしたことは神器を使ってみることであった。この修行中、神器の使用を禁止されていた彼に初めて許可が下りたのであった。

 まずは模擬戦で祐斗が相手となり、戦い始める。今回、祐斗が木刀を構えるのに対して、彼は素手による肉弾戦で戦ったが、間もなく特訓の成果が表れていることを彼は知ることになった。まず祐斗の一撃を防いだ。彼が打ち崩す気満々の攻撃だったにもかかわらずだ。その後の攻撃も避けるか、打たれても耐えるかで、一誠は祐斗の連撃になんとか食らいついていった。

 そしてその成長が決定的となったのは、一誠がリアスの指示で撃ちだした魔力の塊であった。彼のブーステッド・ギアによって強化された魔力は巨大な岩石にも匹敵する大きさで、なんと山の消し飛ばすほどの威力を発揮したのであった。その威力は間違いなく上級悪魔にも通用するほどのものと言って差し支えなかった。

 あまりの力に一誠自身がポカンとしている。その一方でリアスは予想通りというような満足した表情で、その様子を見ていた。この威力であれば、無限に甦るフェニックスにも対抗できる可能性がある。一誠の力がゲームの切り札になることは疑いようも無かった。

 

「あなたをバカにした者に見せつけてやりましょう。相手がフェニックスだろうと関係ないわ。リアス・グレモリーとその眷属悪魔がどれだけ強いのか、彼らに思い知らせてやるのよ」

『はい!』

 




次回はレーティングゲームのスタートです。ただそんなに話数はかからないと思う…。
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