D×D 悪魔の兄弟   作:水飴トンボ

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ちょいちょいオリ主は仲間達の考えに賛同していない時があります。


第145話 悪魔の男

「うひゃひゃひゃっ!きゃわいい孫にそんな眼をされちゃうとおじいちゃんうれしくてイッちゃいそうになっちゃうよ!」

 

 この上なく醜悪な笑い声を上げるリゼヴィムに、ヴァ―リは鋭く睨みつける。その眼には純粋な怒りと憎しみが燃えており、身内に向ける感情が根深いものであることが察せられる。

 アザゼルの話では、かつてリゼヴィムが息子…つまりヴァ―リの父親に対して迫害を実質的に命じていた。魔王の血筋で白龍皇という特別な存在がヴァ―リの父親にとっては恐怖の存在でもあったようで、その心の隙に付け込まれた。ヴァ―リは迫害に耐え切れずに家を出て、そこでアザゼルに拾われたのだという。

 

「あの男はどうした?」

「あー、パパのその後が知りたい?俺が殺しちったよ!だって、ビビりなんだもん。見てていらついちゃってさ。あんれー、ショックだった?パパ殺されちゃって怒っちゃったー?」

「別に。俺も消そうとしていただけだからな。ただ、俺は嬉しいよ。貴様を一番に殺したかったからな…ッ!貴様は『明けの明星』と称された魔王ルシファーを名乗っていい存在ではない…ッ!」

 

 昂る怒りに呼応するかのようにヴァ―リの身に着ける鎧の輝きが増していく。もっともリゼヴィムにとっては向けられるギラギラとした敵意はむしろ昂りを増すだけであったが。

 すぐにでも向かっていこうとするヴァ―リであったが、アザゼルがそれを制する。

 

「…リゼヴィム、その聖杯を使って何をするつもりだ?邪龍どもを復活させて何を企んでいる?」

「うひゃひゃひゃっ、聞きたいの?いいよ、特別にお話してあげませう。───いまから数か月前のことだ。とある実例が俺たちの『世界』にもたらされた。───『俺たち』が知らない『異世界』の存在だ。こいつは以前から可能性を議論されていたわけだが、ついにその存在が確認されたわけだねー」

 

 あまりにも奇想天外な発言に、一行は困惑しかなかった。ただ唯一、アザゼルだけは何かを察したようで、一誠にちらりと目を向ける。リゼヴィムはその反応が期待通りのように、言葉を続けた。

 

「そう、悪神ロキが日本に攻め込んだとき、その可能性は現実味を帯びた。おまえさんがそれをやっちまったのさ、おっぱいドラゴンくん♪おまえは、異世界の神である『乳神』とかいうのに接触した」

 

 乳神…一誠が乳語翻訳を使用した際に現れた謎の神である。どの神話体系にも属さず、未知の神の存在は、まだ明かされていない別の世界があることの証明であった。世界が大きくひっくり返るような可能性に、リゼヴィムが考えた答えは…。

 

「でな、俺は思ったわけよ。───なら、攻め込んでみようぜ?ってな!」

 

 まるで子どもが夢見るような表情で、嬉しそうに話す。その目的に大一達は警戒の色を強めるが、この目論見には大きな障害がある。次元の狭間に居座るグレートレッドの存在だ。下手に次元を破って行こうものなら目をつけられることは間違いなく、オーフィスに並ぶ絶大な実力は当然リゼヴィムも理解していた。そもそもオーフィスですら、曹操によって弱体化されているのだから。

 となると、グレートレッドを相手に戦える存在とは…。

 

「黙示録の一節を再現しようぜってことよ」

「…『666(トライヘキサ)』…ッッ」

「正解だ、アザゼルくん。いいねぇ、回答要員って素晴らしいよね。そうだ、黙示録に記された伝説の生物は何も赤龍神帝グレートレッドだけじゃねぇんだよ。『黙示録の皇獣(アポカリプティック・ビースト)』666、聖書の神に存在を示唆されたあの子がいればグレートレッドといい勝負ができそうじゃないかね?」

 

 666の逸話に関しては、大一も聞いたことはある。だがせいぜい伝説レベルのものの上、グレートレッドに並ぶ存在が他にいることには驚きを禁じ得なかった。

 そもそも他の神話体系ですらトライヘキサの存在は可能性程度のものなのだ。しかしリゼヴィムは発見していた。聖杯を使い、世界の果てや理を調べ上げて、トライヘキサが封印されている事実を突き止めたのだ。その封印が亡き「聖書の神」によって施されたものであることまで…。先ほどのマリウスによって使われていた術式もその封印術式を参考にしたもので、現在は聖杯と聖十字架である神滅具を使って封印を解いているのだという。

 

「つーことで俺らは、666くんを復活させて、グレートレッドを撃破、撃滅、撃退させちまったら、復活邪龍くん軍団と666を引き連れて異世界に殴り込みかけんのよ!あっちの世界の神々、魔物、生物どもを一切合切、蹂躙、全滅しまくって俺だけのユートピアを作るっつーわけだッ!うひゃひゃひゃっ!」

 

 その真の目的を語るリゼヴィムは愉悦に塗れた笑いを上げる。ルシファーという特別な血筋ですら軽んじ、別の世界にまでも悪意を打ち付けようとする、その邪悪さは直面して初めて実感するものだと大一は感じた。

 彼が準備を進める中、一誠はリゼヴィムに啖呵を切る。

 

「そんなくだらないことのために俺たちに多大な迷惑をかけるってのかよ!?」

「くだらねぇとか失敬だ。これでも俺にとっちゃようやく生まれた目標なんだわ。悪魔ってのはよ、ながーく生きてもなかなか夢って持てないのよね。この新たな素晴らしい夢が生まれるまで自堕落でどうでもいい生き方をしてたんだぜ?いんや、ありゃ、生きてたとも言えねぇよな。

 そんな俺のところにユーグリッドくんがおもしれぇもんを持ってきたのさ。オーフィスの力と聖杯の情報、異世界の証明、んでもってトドメが666だ。おじさん、年甲斐もなくめっちゃはしゃいじゃってさ。滅んだ邪龍くんたちを復活させて、世界に混沌を与えたあげく、異世界にまで足を運んでチョー暴れてえぇぇぇってね!」

「わけわかんねぇよっ!どうして異世界で暴れなきゃいけねぇんだ!?」

 

 一誠は声を荒げて物申し続ける。どうやってもこの男の身勝手な野望を理解することが出来なかった。

 しかしリゼヴィムはそれ自体が愚問かのように、指を左右に振る。

 

「いいかー、坊主。悪魔ってのは、邪悪で、悪鬼で、畜生で、悪童で、外道で、邪道で、魔道で、鬼畜で、悪辣じゃねーとダメなんだよ。英雄の真似事?ヒーロー?それはよー、『正義』がやることだ。俺らは『悪』で『魔』の存在なんだぜ?じゃあ、やることは決まってんじゃねーの?どこであろうと、気に入らねー奴らを一切合切ぶっ殺しだろうがッ!」

 

 リゼヴィムの純粋かつ邪道な想いに、一誠を筆頭に仲間達が睨みつける。

 

「はっはっはーッ!嫌だねー!何その眼!悪魔の眼じゃねーな。ろくでもねーよ。…そいつは『正義』の眼だ。いいぜ、来いよ、孫のヴァ―リのお友達は大歓迎しなくちゃな」

 

 リゼヴィムは余裕の態度で手招きをして一誠達を煽る。これに対して、いの一番に動いたのは一誠であり、真「女王」状態での特大のドラゴンショットを撃ち込んだ。

 しかし命中した瞬間、その濃い魔力の塊は霧散していった。

 

「───ッ!どういうことだ…?」

 

 あまりにも効果を成さないことに一誠は驚いていたが、それもそのはずであった。リゼヴィムの能力は唯一の異能である「神器無効化」であった。神器の特性や強化などそれに関わった全ての攻撃が彼には通らないのだ。

 追撃するように祐斗が聖魔剣を振るも、こちらもリゼヴィムの身体に触れた瞬間に音も無く消えていった。

 どれだけ二天龍が特別な成長をしていようが、どれだけ歴史上と違った神器の変化を起こしていようが、神器であるという一点によってリゼヴィムはそれを無力化していった。これがサーゼクスの眷属が大一を除いて、全員が神器持ちでない最大の理由でもあった。

 

「じゃあ、聖剣ならばいけるのだろう!」

 

 ゼノヴィアがエクス・デュランダルを振り下ろすと絶大な聖なる力の斬撃が、リゼヴィムへと向かっていく。その威力は確かなものであったが、これをリリスが手を横に振って払いのけた。オーフィスの分身体というだけあり、生半可な攻撃はまるで意に介していない。

 そしてリリスが攻撃を防いだタイミングとほぼ同時に大一も動きだす。魔力を脚部に集中させて素早さを高めると、横からリゼヴィムの首を狙う。この不意打ちで少しでも手傷を負わせる。

 リリスはゼノヴィアの攻撃に気を取られており、さらに地下の暗さを利用して前もって移動させていたシャドウが床から飛び出てリリスと無角の身体に触手のように巻き付こうとした。しかし…

 

「いい動き方だが、見通しが甘かったな」

 

 飛び出てきた影をひらりとかわした無角が身の丈を超える大きな刀を鞘に収まった状態で構えて、大一の錨を防ぐ。

 

「バレてたか…!」

「リリス!」

 

 無角の言葉にリリスは頷くと巻き付いた影を引きちぎり、ふわりと飛び上がって魔力の塊をぶつけて大一を吹き飛ばした。床に叩きつけられた大一は、朱乃の手を借りてもがくように起き上がる。その時、大一の眼がリゼヴィムの眼と空中でほんの一瞬だけ合った。そして敵は愉快そうに笑うと、うんうんと首を縦に振る。

 

「ま、そういうのもこれぐらいにして、見せたいものがあるのよ。あれがどこだかわかりますかねぇ?」

 

 リゼヴィムが指を鳴らすと祭儀場に立体映像が映し出される。そこは深々と降る雪が印象的な吸血鬼の町であったが、カーミラ側のものであった。

 

「さーて、これから起こるのは楽しい楽しいライブですぞ~。俺が今から指を鳴らすと───大変なことが起こります。予想できます?破壊?うーん、限りなく正解だけど、ちょっと違う!」

 

 再びリゼヴィムが指を鳴らすも、目立った変化はすぐに起こらなかった。しばしの沈黙の後、ひとつまたひとつと巨大な黒いなにかが現れた。その存在は何度か大一も見たことがある。つい先ほどもそれと相対した。特徴の違いはあるが、それはドラゴンであった。しかも1匹、2匹ではない。

 この邪龍の数々がこれから暴れだすのだという。なんでもカーミラ側にも弱点を消すことを求めて強化された吸血鬼がいたのだが、体を改造された際にリゼヴィムの合図ひとつでその姿を邪龍に変えることが仕組まれていた。もちろんそれはツェペシュ側も同様であり、城が大きく揺れ始めた。

 映像でも両陣営の町が火の海と化しており、凄まじい惨状が目に映った。

 

「じゃあ、気になるようだし、見に行こっか」

 

 リゼヴィムが軽い言い方をすると、床に巨大な転移魔法陣が現れてその場にいる全員が姿を消した。

 

────────────────────────────────────────────

 

 彼らが転移させられた場所は城にある塔のひとつで、城下町が一望できる場所であった。そのため、吸血鬼から変化した邪龍によって火の海と化した惨状がよく見える。そこには何も知らない吸血鬼が住んでいる。一誠達は少し前まであの地を歩き、空気を感じ、食事までしていたのだ。それが今は火と暴力に支配される地獄絵図が広がっていた。

 

「リゼヴィムッ!」

「やっほー、ヴァ―リきゅん♪お祖父ちゃんが遊んであげるぞい☆肩たたきしてくれるとうれしいな!」

 

 リリスを抱えながら、誘うようにリゼヴィムは空中で手を振る。その様子に怒り心頭のヴァ―リは白く輝く翼を広げて飛び出していった。

 

「おい、ヴァ―リッ!」

 

 アザゼルが引き留めようとするが、今のヴァ―リには制止の声はまるで届いていない。2人して空中で戦い始めるのであった。

 

「クソッ!どうしようもねぇな、この状況じゃ!おい、リアス!手分けして量産型とかいう邪龍どもの殲滅と住民の避難をさせるぞ!上の連中がどうであれ、ここに住む者達に非は───」

 

 指示の途中でアザゼルは言葉を切る。ほぼ同時に彼に向かって無角がその巨大な刀で突進してきたのを、彼は光の剣で防ぐ。

 

「こ、こいつ…!!」

「もっとも厄介な司令塔は早めに潰すに限る」

 

 アザゼルが苦慮している様子に反して、無角はあまりにも淡々とした様子であった。互いの得物がぶつかり合うが、不意打ちを決めた無角の方が僅かに押している印象があった。すぐに一誠達が加勢しようとするが、アザゼルは短く言い放つ。

 

「お前らは吸血鬼たちの救助だ!こいつは俺が引き受ける!それとヴァ―リも…!

 

 これだけ言い残すと、アザゼルは堕天使の翼を広げて後ろに飛び、敵の攻撃の勢いを逃しながらその場から離脱していった。

 リアスがグッと歯を食いしばるが、手早く仲間達に指示を飛ばした。

 

「皆、できるだけツーマンセルでお願い!私と朱乃、祐斗とロスヴァイセ、ゼノヴィアとイリナさん、イッセーと大一…」

 

 リアスがきびきびと指示していくのに対して、大一は首を横に振る。

 

「いや、俺はヴァ―リの方の援護に行きます。一誠なら一人でも大丈夫でしょうし、あいつの情報や性格を少しでも知っている俺が行くのが確実でしょう」

「…わかったわ。ゼノヴィアとイリナさんはアーシアと気絶している小猫とギャスパーを外へ退避させるのもお願いね。たしか東門の先に地下シェルターがあるから、そこに住民を各自誘導すること。アーシアはケガをした住民の回復をお願いするわ」

 

 全員が指示に対して頷くと、一斉に散開していった。

 

────────────────────────────────────────────

 

 大きく飛び上がった大一は数十メートル先で戦っているヴァ―リへと目を凝らす。先ほどから魔力の塊を撃ち出しているが、余裕たっぷりなリゼヴィムはバカにするようにジグザグに飛び回ってそれを回避していた。

 大一は龍人状態へと変化すると、ヴァ―リの横について引き留めるように肩に手を置く。

 

『落ち着け、ヴァ―リ!相手の特性上、神器では勝てないことは分かっているだろう!』

「邪魔をするな、兵藤大一!俺がここで決着をつけなければ…!」

「うひゃひゃひゃっ!こいつは面白い援軍が来たなッ!いいぜ、2人がかりで来てみな」

「お前だけは…俺が倒す!」

 

 ヴァ―リは大一の腕を振り払うと、魔法陣を展開させる。かつてロキと戦う為に学んだ北欧の攻撃術式であった。そこから撃ち出された波動は、純粋に攻撃力に特化しており、大規模なビームのようであった。

 

「いやいや、しばらく見ないうちにこんな攻撃まで出来るようになったなんて…クスン、お祖父ちゃんは感動して涙がちょちょ切れちゃう!でもよぉ…」

 

 軽く上唇を舐めるリゼヴィムは、リリスを抱えていない方の腕に強力な魔力を纏わせると、大きく縦に振り下ろす。するとパックリと撃ち出された波動が左右に割れていった。

 

「ヴァ―リきゅん、甘すぎるぜ?これくらいなら、リリスちゃんいなくてもやれちゃうわけよ?俺様、仮にも魔王の息子だもん♪」

 

 追撃するように魔力の塊が飛んでくる。大一は素早くヴァ―リの前に行くと、魔法陣を展開して向かってくる攻撃を防いでいく。硬度はしっかり上げているが、魔力が当たるたびにその衝撃がビリビリと腕に伝わってくる。

 

『この空中じゃ重くしてもあまり意味が無いか…!』

『だったら、さっさとあいつに接近して全力の重さで叩くしかねえだろ』

 

 口から出てくるディオーグの言葉が正しいのも大一にはわかっていた。しかしそれが簡単に叶わないのだから厄介なのだ。リゼヴィムの実力はサーゼクスやアジュカに並ぶレベルの「超越者」の領域なのだ。悲しいが、彼と戦うよりも今はヴァ―リを抑えて戦いを避けることの方を優先させるべきであった。もっともヴァ―リの方も頭に血が上っているようで、彼を止めるのも一苦労であったのだが。

 

「邪魔をするなと言ったはずだぞ!」

『とにかく落ち着け。お前だって消耗しているんだろう。もっと勝てる算段を整えてからでもいいはずだ』

『そうだそうだ。まったく暴走列車のごとく、やってもプラスにならねえんだよ。これだから神滅具持ちは…』

『シャドウ、煽るな!…マズいッ!ヴァ―リ、離れろ!』

 

 感知した時には遅かった。リゼヴィムの撃ちだした魔力は軌道を変えて、展開されている魔法陣を避けていき、大一とヴァ―リに何発も命中していった。ユーグリットやクロウ・クルワッハとも戦ったヴァ―リの方がダメージの蓄積は酷かったようで、白い鎧に包まれる体はふらりとよろけると真っ逆さまに落ちていった。

 

『シャドウ、網だ!』

『気が乗らないけどやるよ』

 

 大一の変化していない義手から、黒い影が触手のように伸びていく。近づいていくと網のように広がっていき、落ちていくヴァ―リを捕えて落下を阻止することに成功した。

 安堵するように大一は息を吐くが、それも長く続かなかった。リゼヴィムが猛スピードで伸ばした黒影のちょうど半分辺りを面白そうに軽くはらったのだ。シャドウも神器であるため、触れられた部分はあっという間に消え去り、ヴァ―リはそのまま城の屋根に落下していった。幸い、残った黒影がクッションになっていたため、そこまでの衝撃は無いように思えたが、この状況でリゼヴィムと一騎打ちという最悪の状況が完成していた。

 大一は静かに唾を飲み込む。相手はおふざけ半分の飄々とした態度のはずなのに、感じるプレッシャーは凄まじいものであった。黒い陽炎のような不気味さ、裏を返せばそれがカリスマ性にも繋がるのだろうか。

 緊張した面持ちの大一を、リゼヴィムは値踏みするように視線を送る。

 

「兵藤大一…赤龍帝のお兄ちゃんねえ…どうだ、ウチ来ない?」

「一誠に断られたからって今度は俺か?ふざけているな」

「うひゃひゃひゃっ!言ってくれるねえ!でも正直なところ、赤龍帝より本気だぜ?」

 

 大一は眉をピクリと動かす一方で、リゼヴィムは蛇のようにしつこく鋭い目つきを向けて話し続ける。

 

「お前の弟くん含めて、まさに『正義』って感じだろ?あの率直さは、もう俺の肌に合わないのよ。キラキラのピカピカに平和への信念、あれは参ったわー!だからマリウスくんにもあんな啖呵を切れるわけだ。

 しかしお前さんは違うね。信念がブレブレだ。考え方に自信が無いのが見え見えってやつ?その割には悪魔としての責務なのか、俺を倒すためにすぐに準備を始めた。感情を殺して動けるのは優秀だよね~!おじさん、憧れちゃう!我慢もすごいだろうしね!」

 

 いまいちリゼヴィムの言うことを大一は呑み込めなかった。一誠やリアスと違うのは理解しているが、立場を大きく変えるような意識や行動などしたつもりは無い。そのはずなのにリゼヴィムの言葉は、大一の心の肌をチクチクと針でついてくるのだ。別の種族の価値観、たまに感じられる仲間との考えのズレ…そういったものが頭に思い浮かぶ。

 

「そもそもな、無名でもオーフィスやグレートレッドに生身で喧嘩を売って食い下がるような化け物龍に、持っているだけで廃人まっしぐらの真っ黒神器、このふたつをその身に宿しているような奴が『悪魔』じゃないと言えるわけねえだろ!こっちは楽しいぜ!赤龍帝のお兄ちゃんよ!我慢も責任も無く思うがままに動けるってのは!うひゃひゃひゃっ!」

 

 リゼヴィムの不快さしか無いはずの笑い声が彼の耳に反響していた。

 




真面目な人ほど…とかはよく言われますよね。
しかしこれまた感想で指摘された予想でしたね…。
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