D×D 悪魔の兄弟   作:水飴トンボ

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いよいよ教会側との勝負がスタートです。


第178話 教会の挑戦

 教会のクーデター組との決戦の日、一行は兵藤家の転移魔法陣がある部屋に集まっていた。今回はアザゼルと天界スタッフ、幾瀬が裏方としてサポートに動くことになっている。

 アザゼルは一歩前に出て、皆に話しだす。

 

「いいか、今回の一戦は教会のクーデター組とのケンカだ。場所は、この転移魔法陣の先に急遽設けたレーティングゲーム用のバトルフィールドで行う。相手もそれを承知したんでな、この地よりは派手に暴れられることは先に伝えておこう」

 

 戦いの開始は深夜0時、相手は魔法陣を通ってそのフィールドに現れる。「D×D」側が用意した魔法陣やフィールドを受け入れたことには驚きものであったが、そもそも今回の戦い自体こじれることになれば、禍根を残すことになるのは明らかであった。そのため双方とも一線は守るという意識があるのだろう。

 そんな戦いが繰り広げられるフィールドは、駒王町がモデルとなっていた。学園を中心に半径10キロの周辺地域が再現されている。このフィールドを作るにあたり、トライヘキサの封印も研究しているロスヴァイセが助力をしたようだ。

 

「相手は中規模の部隊ふたつに分けるとのことです。主にエヴァルド・クリスタルディとヴァスコ・ストラーダをリーダーとしたふたつの部隊となります」

 

 椿姫の報告について、すでにソーナがチーム分けを済ましていた。クリスタルディに対しては、デュリオ、グリゼルダ、イリナを筆頭とした「御使い」の参戦メンバーに、匙を除いたシトリー眷属がバックアップを行うチームで迎え撃つ。一方でストラーダには、グレモリー眷属に大一と匙が加わり、黒歌、ルフェイ、幾瀬がサポートというチームで相手をする予定であった。

 しかしここでソーナのチーム分けに異を唱える者が現れた。

 

「ソーナ前会長、僕もジョーカー側に付いてもいいですか?」

 

 祐斗の申し出に仲間達が驚くが、事情を知るメンバーはすぐに察する。それについてソーナも切りこむ。

 

「…エクスカリバー、ですね?クリスタルディ氏は元エクスカリバーの使い手と聞いています」

「はい、現役を退いたとはいえ、数少ない天然のエクスカリバー適合者です。話では、若かりし頃に一時期3本のエクスカリバーを同時に使いこなしていたと聞いています」

 

 ソーナの問いにグリゼルダは答える。かつてフリードも同じように扱っていたが、純粋にレベルアップした祐斗をあしらったのだからその実力は彼と比較にならないほどだろう。グリゼルダの話ではエクス・デュランダルの精製の過程で作られたエクスカリバーのレプリカを有しているのだと言う。ストラーダもデュランダルのレプリカを手にしており、本物と比べるとかなり劣るとはいえ、彼らが使えばその力は本物にも劣らないほどのようだ。

 

「…戦わせてください。僕はもう1度、エクスカリバーを、エクスカリバーの使い手を超えたいと思っています。これは復讐ではありません。挑戦なんです!」

 

 決意の炎をメラメラと灯しながら、祐斗は訴える。彼の人生に根深く関わっているエクスカリバー、その使い手が現れたことに複雑な心境が垣間見られるが…。

 全員が反応に迷っていると、第三者の声が響く。

 

「やらせてあげてもよろしいのではないでしょうか?」

 

 皆が視線を向けると、そこにはアーサー・ペンドラゴンが立っていた。彼も聖剣の使い手としてはこの場に現れたのは当然とも言えるだろう。

 穏やかな微笑を浮かべながら、彼は続ける。

 

「剣士のこだわりは、剣士にしか癒せませんよ。ねえ、木場祐斗くん?

 代わりと言ってはなんですが、私はヴァスコ・ストラーダとの戦いに参戦致しましょう。長年、興味がありましたから。最強のデュランダル使いと称されたご老体の力にね」

 

 なんとも唐突な提案であったが、その意図を組んだリアスは大きく息を吐くとソーナに述べる。

 

「…ソーナ、そちらに入れてあげてちょうだい」

「いいのですか、リアス?」

 

 確認を受けたリアスは小さく頷くと、祐斗へと真っすぐに見る。

 

「祐斗、今度こそ、あなたの気持ちに決着をつけなさい」

「はい、ありがとうございます」

 

 主の言葉に跪いて、祐斗は感謝の言葉を口にする。心強いほど勇敢な顔であったが、どこかうつろにも感じ、並々ならぬ思いが察せられるのであった。

 

────────────────────────────────────────────

 

 作戦の打ち合わせを終えて、あとは時間が来るのを待つ中、大一の頭の中でシャドウの不安げな声が響く。

 

『なあ、大一。復讐って許されることなのかな?』

(さっきの祐斗のことか?あいつはそもそも挑戦って言っていただろう)

 

 答える大一は、壁際で一誠が祐斗に話しているのサッと目を向ける。先ほどの祐斗の様子には強さと同時に、おぼろげで不安定さも感じさせられた。それに気づいた一誠が彼に対して何かしらの話をしているようであった。

 その様子を見て、大一は安心した感覚を抱いて瞑目する。自分がいなくても彼らは十分に進んでいける。分かり切っていたこととはいえ、3年生として卒業する身を踏まえれば改めてその想いを実感するのであった。

 

『大一?』

(ああ、悪い。ちょっと考えに耽っていた。それでお前の質問だが…俺には答えは出せないな)

『まあ、それもそうだよな…』

(ただお前や祐斗の復讐が肯定されて、教会の人たちの復讐が否定される筋合いは無いと思っている)

 

 復讐が許されることか、それは当人や立場によって変わるだろう。ただ祐斗のエクスカリバー関連について否定をせず、シャドウの起こした混乱を背負うことを決めた。それならば今回の一件について、自分が恨みを向けられる対象であることも受け入れていた。それを理解しているからこそ、これからの戦いに迷いは無。教会の戦士たちを相手に、自分の取るべき行動も…。

 

(いずれにせよ、お前を消させはしないよ。俺にとって、お前は身体の一部のようなものだ。つまり必要な存在だ)

『…僕はキミに迷惑をかけてばかりだな。本来なら切り捨てられても当然なのに』

(今更、そういうこと言うなって)

(小僧の言う通りだ。あと「キミら」の間違いだろう)

『反論の余地なしだ』

 

 大一がディオーグ、シャドウと話を進めている姿は、傍から見れば目を閉じて集中しているようにしか見えなかった。仲間内でも何度も晒してきた姿なので、特別気にすることは無かったが、ロスヴァイセは気にしたようにチラチラと視線を送っていた。

 

「…大丈夫ですか?」

 

 そんな彼女に小猫が顔を覗き込みながら問う。あまり大きな表情の変化が見られないものの、心配してくれていることが伝わる。

 

「だ、大丈夫ですよ。私はいつも通りです」

「…大一先輩のことを気にしていたようですが?」

 

 小猫の言葉に、ロスヴァイセは頭を掻く。自覚あるほど抱え込みやすい性格、恋人から幾度となく指摘されてきた面倒くさい面、生島への謝罪がつい数日前の出来事であったことを踏まえると、彼女が大一を心配するのも至極当然であった。

 しかしその事情を一から十まで説明するのは、さすがにためらわれる。大一と生島の過去の根深さは簡単に明かしていいものではない。

 どう答えようか考えあぐねるロスヴァイセに、小猫はいつもの調子で話し続ける。

 

「…先輩なら大丈夫だと思いますよ。あの人は強いですし、ひとつひとつ乗り越えることが出来ますから。それに今回はロスヴァイセさんも力を貸してくれたんでしょう」

「私は力を貸すなんて大層なことは出来ませんでした。本当はもっと力になりたかったのに…」

 

 自分の行動について腑に落ちない様子のロスヴァイセを見て、小猫は不思議そうに眉を上げる。そして手招きをして彼女の姿勢を低くさせると、周囲に聞こえないように耳打ちする。

 

「…やっぱり助けてもらったから好きになったんですか?」

「んなっ!?わ、わたしは…そ、そういうのじゃ…!」

「ちょっと気になっただけです」

 

 赤面してうろたえるロスヴァイセに対して、にべもない様子で話す小猫は肩をすくめる。年上があたふたとしており、年下が貫禄ある落ち着きを見せるという対照的な光景であった。

 

「た、助けてもらったからとかじゃなくて…安心するだけです。仲間内でシンパシーを感じるから肩を並べている実感がありますし…魔法の件で話す機会も多いですし…ま、まあユーグリットの件で助けてくれた時は確かにかっこよかったですけど…その前に私の心配を受け止めてくれた時から嬉しかったし…よ、要するにただそれだけですよ!誤解しないでくださいね!」

「…ギャグで言ってます?」

 

 小猫としては大一への心配をする一方で、ロスヴァイセも気負っているように思えたため、同じ「戦車」としてその緊張をほぐすことと、彼女の本心に探りを入れる目的で挙げた話題ではあるが、予想以上の回答に困ったように目を細める。

 しかし同時に腑に落ちた。どういった経緯や事情があったかは知らないが、大一の包み隠した心配をいち早く気づき、その解決に一役買ったのは、彼女なりの好意が起因していることに。

 感づいてはいたが、増えるライバルの存在に小猫は小さくため息をつく。一気に弛んだ緊張の中、数分後にソーナの合図の下、一行は転移魔法陣で決戦の場へと向かうのであった。

 

────────────────────────────────────────────

 

 フィールドに移動してから数分後、感知によって敵のチームがどこにいるかを把握した一行は予定通り別れてそれぞれの相手の元へと向かった。

 

「来たか…」

 

 レプリカの駒王学園の校庭で、リアス達はストラーダ率いる戦士の一団と接敵した。レプリカではあるが、かつて聖剣関連でコカビエルが大暴れしたこの場所で、またもや聖剣関連の挑戦を受けるのは奇妙なものであった。

 相対する戦士たちはエクソシストの神父服やゼノヴィア達が来ていたようなボディスーツを身に着けている。共通するのは「D×D」に向けてくるギラギラとした敵意であった。唯一、その強い敵意が感じられないのは彼らを率いるストラーダのみだ。

 そんな彼はしわだらけの顔に、年相応の落ち着きを見せながら話す。

 

「さて、挑戦を受けてくれたことには礼を言おう。ふむ…教会の主要メンバーはクリスタルディの方に向かったか」

 

 ストラーダは目を走らせながら呟く。それ自体にはあまり残念と思っていない様子であったが、間違いなくゼノヴィアに対しては走らせる視線が一瞬止まっていた。

 はちきれんばかりの肉体を有する老人を相手に、リアスは声を上げる。

 

「あなた達の挑戦、受けて立つわ。ストラーダ猊下」

「若さに溢れている…他の者も同様だ。しかしこちらも逸る気持ちが抑えられない者も多くてな。まずはそちらを相手してもらおう」

 

 その言葉を契機に、戦士たちが一斉に戦闘態勢に入る。光の力が宿った刀剣類、聖水や十字架など手に握る得物を構え、間もなく百人近い相手が突き進んできた。

 

「行くわよ、みんな!」

『はいっ!』

 

 リアスの号令と共に、教会の戦士たちを迎え撃つ。武器がぶつかり合う金属音、魔力による爆発音などが騒がしく耳へと響きだした。

 大一も龍人状態へと変化すると、向かってくる教会の戦士に魔力の塊を吐き出す。しかしそれは剣によって丁寧に軌道を逸らされ、一気に距離を詰められていった。相手は教会の戦士たち、悪魔や吸血鬼との戦闘経験もあり、素人とはまるで違うのだ。その実力は油断ならない。

 

「負けるか!」

 

 彼の近くで鎧状態の一誠が相手を殴り飛ばす。吹き飛んだ相手は背中から叩きつけられて、ふらつきながら立ち上がろうとしていた。

 確かに相手の戦士たちは油断できない相手であったが、経験値であれば彼らも同様であった。多くの強敵との戦いは彼らを大きくレベルアップさせており、向かってくる相手をことごとくなぎ倒していった。

 もっとも彼らの本領は発揮されていないだろう。というのも、相手は教会の戦士たちでクーデターでも死者を出してきたわけではない。同盟の相手であり、殺すこと自体が恨みにも繋がるため、クリフォト相手に遠慮なく叩きのめすのとは違うため、抑えながら戦う必要があったのだ。

 大一は相手が振り下ろしてきた剣の一撃を、黒影で作り出した2本の錨で防ぐと、そのまま腹部に蹴りを入れて突き離す。

 しかし距離を取る前に他の戦士2人が連続で剣を振るい、大一を押し込んでいった。そのうちのひとりである男性が忌々しそうに口を開く。

 

「やはりそうか…!本物だったんだな!」

『何の話だ?』

「赤龍帝の兄が『犠牲の黒影』を所持していることだ!数日前の戦いで、あんたが発動させた時にもしやと思ったが、武器を交えて確信した!それが本物であることも!」

 

 男性が剣を振るう速度は間違いなく上がった。共に押し込んでくる女性も何も言わないが、その連続の攻撃から恨みを感じられる。

 

「そいつだけは許せない!俺らの親友を狂わせて、死へと導いた原因だ!」

「あなたを倒す…!」

 

 怒りを向けてぶつける彼らに対して、大一は体重を一気に上げると錨で押し込んでくる相手の剣を払いのける。2人の戦士はすぐに後退し、今度はボウガンを手にした少年が彼に向けて矢を放ってきた。併せて、先ほどの2人も別の剣を素早く用意すると、斬撃に聖なる力を乗せて飛ばしてきた。

 

『だったら…これだ』

 

 向かってくる攻撃に対して、大一は落ち着いて魔法陣を展開させると矢を防いでいく。さすがに彼としても光の攻撃を受けるのは避けたかった。

 正面からの攻撃で動きを止められていたこの状況に、後ろから槍で刺突を狙う戦士もいたが、感知していた大一は背中から生みだした影の腕で槍を掴んで防ぐ。

 

「くっ…この化け物が!」

「お前のせいで…!お前らのせいで…!」

『…少し多いな』

 

 恨みつらみを口にしながら大一に向かっていく戦士の数は確かに他のメンバーよりも数人多く、攻める勢いも激しかった。

 それに気づいたギャスパーが黒い影の獣を生みだし、匙が禁手の鎧姿でラインを伸ばす。

 

《先輩、援護します》

『なんとか捕縛して…』

『来るな!彼らは俺が相手をする!』

 

 援護の向かおうとした後輩たちを一喝すると、大一は後ろから攻めてきた相手の首を尾で巻き付けるとそのまま前方へと投げ飛ばす。同時に魔法陣を解除すると、強化した脚部で一気に右へと走り込み、攻撃を錨で防ぎながら注意を引いていった。

 他の教会の戦士を相手にしていたロスヴァイセはわずかに見えた彼の表情に、背中を撫でるような寒気を感じた。その覚悟を決めた雰囲気は、どうしても以前の自分を思い出してしまうのだ。ユーグリットの時のように、自らの犠牲を覚悟するあの時を。

 

(大一くん、やっぱり…)

『俺がケリをつけなければ』




原作と変わらないでしょうから、祐斗側の一戦はまるまる飛ばします。
そしてオリ主は相変わらずなのか…?
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