黒歌達からアグレアスの情報を受けて半日が過ぎた頃、兵藤家の地下にある巨大魔法陣が備えられている部屋にて、「D×D」のメンバーが集まっていた。
今回の作戦はシンプルであった。黒歌から伝えられたアグレアスの座標にアジュカが禁呪に類する転移魔法陣を使用して、結界を突破しつつ複数回に敵陣に攻め入る。第一陣としてまずはシトリー眷属、デュリオ、グリゼルダと御使いがアグレアスの都市部に現れて、敵の注意を引くために暴れる。そして第二陣に、グレモリー眷属、大一、イリナ、そして彼らのサポートに幾瀬が参戦し、兵藤両親の救助と敵の戦力を削ぐことに集中する。追ってアザゼルも来て、動力室を狙う予定であった。
奇襲ゆえスピードが求められるが、現在いるメンバーの中で出来る限りの戦力が投入されようとしていた。黒歌とルフェイの話ではヴァ―リもリゼヴィムを逃さないように監視を強めており、この作戦を利用して一気に攻め入ろうと画策していた。
その話を聞いたアザゼルは腑に落ちない表情で、考えるように顎に手をあてた。
「ヴァ―リの執念が奴の居場所を掴んだ…。それもあるだろう。しかし、今回のリゼヴィムの行動には粗も目立つ。オーフィスを狙うのと大一とイッセーの親を拉致するのは確かに効果的だ。だが、たとえあの男が生粋の煽り屋だとしてもあまりにも性急すぎる。そう思わせることすらあっちの計算だとでも言うのか…?」
ぶつぶつとアザゼルは考え込むが、今は頭を使うよりも身体を動かす方が優先される状況であった。彼は考えることを中断すると、部屋に居るメンバーを見渡して檄を飛ばす。
「何が待ち受けているかわからん。細心の注意を払って、最悪の状況でもご両親だけは救出しろ。けどな、これも頭に入れておけ。奴は入っちゃいけない領域に土足で踏み込んだ。万死に値するだけの連中だ。絶対に許すな。倒せるなら、やっちまえ。俺が許す」
『はいッ!!』
これを合図に第一陣が転移する。戦いの火ぶたが切られた瞬間であった。
────────────────────────────────────────────
数十分後、第二陣として転移した大一達であったが、すでに地響きや爆発が辺り一帯で起こり、空では量産型邪龍が第一陣の方へと向かっていく。シトリー眷属や天界メンバーの尽力が感じられた。
中央広場から西部に位置する公園に転移した一行であったが、早々に幾瀬と彼の相棒である刃は目にも止まらぬ神速でその場から消えさった。
「行きましょう」
彼と別れてすぐ、リアスの言葉と共に一行はアグレアスを進んでいった。目的はアグレアスの庁舎。アグレアスの中でも規模の大きい建物で、アザゼルとしてはここが敵の拠点になると考えられていた。
消耗を避けるために街並みを理解しているリアスを先頭に進んでいく。最後尾で大一は浅い息のまま、敵の感知を続けていた。
『大丈夫だよ、大一。両親は助けられるさ』
(…そうだな。ありがとう、シャドウ)
シャドウの言葉に、大一は小さく頷く。冷静を保ってはいるが、無意識にも彼の緊張は高まっていた。大一と父親の会話をハッキリと聞いていたシャドウはそれを理解しているからこそ、彼の緊張に寄り添うこともできた。
一方でディオーグは無言であったが、そこにはどこか苛立ちが感じられた。それは因縁の相手であるオーフィスがやられたからか、またもや悩みに陥りかけた大一を見てか…。
(わかっているよ、ディオーグ。だから信じてくれ)
(…だったら証明して見せろ)
頭の中で2つの人格とのやり取りを済ませた彼は感知を強める。とにかく現状は敵からの奇襲に最大限の警戒をしながら移動していく。
十数分後、彼らは庁舎の近くにたどり着いた。物陰から確認すると、特徴的な形をした高層ビルの周囲に数多くの量産型邪龍が佇んでいた。手厚い守りを固めていたが、逆にそれが敵の本拠地がここであることの証明となっている。
攻め手を考えていると、小猫と大一が表情渋く呟く。
「…臭い、というか、気づかれてますね」
「1匹、明らかにこっちに対して魔力を向けているしな」
彼らの視線の先には1匹の邪龍が存在した。蛇のようにしなやかな身体、周囲の量産型とは一線を画すオーラ…それが映像でも確認した邪龍ニーズヘッグであることに、一誠は激情が込み上げてくる。祐斗が肩に手を置き、アーシアが手を握ったため、なんとか飛び出さずにブレーキを踏み続けることに成功した。
その横では大一が抱いたモヤを吐き出すように息を吐きだしている。少なくとも一誠への行動は必要ないと実感した朱乃は、作戦前の彼への行為が無駄でなかったと分かり胸を撫でおろした。
《グヘ、グヘへへへ。出て来いよぉぉぉ。いるんだろぉぉぉっ?》
ねっとりとへばりつくような声色を出すニーズヘッグの前に、一誠達は姿を現す。対峙するとその言い方にピッタリと思えるほどの異臭が彼らの鼻をついた。
この不気味な邪龍を前に、一誠が展開した神器からドライグの声が発せられる。
『ニーズヘッグか。お前がオーフィスをあんな姿にしたのか?』
《グヘ、グヘへへへ!そだよ、ルシファーの息子にうめぇドラゴンのたまごがあるって聞いてよ?そこに連れてってもらったら、そしたら、ちっこくなったオーフィスもいるもんでよ?俺がたまごさくれって言ったら、ダメだっつーのよ。でも、うまそうなもんだから、俺も強引にいっちまってよ。おめのおっとうとおっかあをルシファーの息子から預かったからよ?それを前にしてやったら、オーフィスが静かになったんだよなぁ。なんでだ?
んでよ、俺よ、オーフィスをぶ、ぶ、ぶん殴っちまったっ!で、でよ?オーフィスにお仕置きでもされっかと思ったけど、されないもんだから、つい調子に乗ってオーフィスさ、もっともっと殴っちまった》
喜々として語るニーズヘッグは、一誠の様子にまるで気づいていなかった。邪龍にとって垂涎ものの感想である言葉のひとつひとつが、赤龍帝の怒りの地雷をことごとく踏んでいることに。
なおも話し続けるニーズヘッグに、一誠はゆっくりと歩いていく。すでに小声で真紅の鎧の呪文を呟いており、相手が同情を必要としない相手とわかると、最後の一節を唱えた。
「───汝を真紅に光り輝く天道へと導こう」
真「女王」形態の鎧はいつにも増して、激しい紅の光を発していた。だが子の光すらも一誠の怒りと比べれば、大したことのないものであった。彼はすぐに複数回倍加の力を右こぶしにまとわせると、鈍重な一撃をニーズヘッグに入れこんだ。相手が展開した防御魔法陣などものともせず砕き割り、ニーズヘッグの巨体は一気に後方へと吹っ飛んで他の邪龍たちを巻き添えにした。
一誠の攻撃を皮切りに、他のメンバーたちも攻撃に転じる。庁舎前はあっという間に戦場と化した。朱乃の雷光龍、ギャスパーの黒い獣たち、白音モードとなった小猫の火車、ロスヴァイセの魔法によるフルバースト、その破壊力は頼もしいことこの上なかった。
「それじゃあ…俺らも行くぞ」
(潰す!)
『見せてやるぜ、僕らの実力ッ!』
大一の身体が隆起し、肌は龍の鱗を伴ったものへと変化していく。両腕は黒く染まっていき、そこから2本の黒い錨を生みだした。この錨を構える前に、2匹の邪龍が大一へと突っ込んでいく。彼はそれを避ける素振りは見せなかった。
『俺も相応の怒りは抱いている。この程度で負けるつもりはない』
落ち着いた声色であったが、そこから感じられる重さはずば抜けた印象であった。同時に彼の背中から巨大な腕が二本現れると、量産型邪龍の頭へと伸びていき、一気に重さを上げて地面へと叩きつけた。仲間達ほどの大規模な攻撃はできないものの、その実力は十分であった。
一方で、起き上がったニーズヘッグに一誠は容赦なく打撃を入れこんでいく。苦しみながら声を上げる邪龍相手に、容赦の2文字が介入する隙はなかった。
「ウチの龍神さまをいじめんじゃねぇよッ!」
踏みつけてくるニーズヘッグの足を掻い潜りながら、一誠は邪龍の鼻先にまたもや拳を打ち込み、吹き飛ばした。邪龍は先ほどの下品な笑いをすっかり引っ込めて、苦しそうなうめき声を瓦礫の中から発していた。
「イッセー、ちょうどいいわ。例のでケリをつけましょう。私もそのドラゴンに一発入れておかないと気が済まないものだから」
「…あれか。了解!」
リアスの一声に応じて、一誠は鎧の宝玉から複数の飛龍を発生させる。飛龍たちは彼女の回りを飛び回ると、魔力とオーラを同調させていった。間もなく、飛龍が鎧へと変化していきリアスの身体に張り付いていく。名を「真紅の滅殺龍姫(クリムゾン・エクスティンクト・ドラグナー)」、力を合わせることでリアス専用の赤龍帝の鎧を生みだすものであった。
「リアス!行こう!」
「ええ!よくってよ!」
2人は紅の閃光となってニーズヘッグに追撃していく。回数こそ制限があるものの赤龍帝の力も得たリアスとのコンビネーションは邪龍をも簡単に追い詰めていった。
「あらあら、私たちも負けていられませんわ」
『競う必要はないと思うが…任せろ』
一誠とリアスのコンビネーションにあてられたのか、期待するように視線を向ける朱乃に、大一は自身の黒い錨を差し出す。彼女がそこに雷光を纏わせると、大一は強化した脚で邪龍たちの間を縫うように高速で移動していく。すれ違いざまに雷光を纏わせた錨で痛烈な打撃を入れていく。大きくよろめく邪龍たちは過ぎていった大一へと注意を向けるが、それらは錨を叩きこまれた箇所に僅かながら雷光が帯電した黒い影がへばりついていることに気づかなかった。
ほぼ同時に朱乃がレーザービームのような雷光を複数本撃ち出す。帯電している黒影を目印として突き進んでいく雷光は、避けようとする邪龍たちを逃さずに的確に撃ち抜いていった。
湧いて出てくる邪龍たちを相手にまったく引かない彼らであったが、敵もしぶとかった。一誠とリアスの同時攻撃にダウンしたと思われたニーズヘッグが、完全に傷を癒した状態で起き上がってきたのだ。その手には小瓶が握られており、リアスは驚きの声を上げる。
「フェニックスの涙!?」
《便利なもんだなぁ、いまの傷がすぐに治るなんてよぉぉぉっ!もう許さねぇぇぞぉぉぉ、絶対になぁぁっ!》
復帰したニーズヘッグの身体からドス黒い瘴気が溢れ出していく。触れただけでも異常をきたしそうな雰囲気であったが、それで挑まない理由にはならなかった。
「浴びるだけで体に異変が出そうね」
「だとしても、涙が尽きるまでやるしかない!とことんまで付き合ってやるさ!」
蘇るのであればその度に叩きのめすまで、再び一誠とリアスが向かっていこうとするが…。
「ドラゴンらしい言葉だ。高揚してくるではないか」
彼らの間に黒いを身につけた男性…クロウ・クルワッハが介入した。
「ニーズヘッグ…なんと稚い気のことか」
《グヘへへへッ!クロウの旦那じゃねぇが!さっき会った時は思わずビビっちまったけどよ、一緒によ、俺とよ、こいつらさ、喰って───》
しかし邪龍の言葉は最後まで続かなかった。巨大なドラゴンの腕へと変化させたクロウ・クルワッハの一撃が彼の頭部に見舞われたのだ。
《い、いでええええよっ!?いでええええじゃねぇかよ!?な、なんで俺をなぐるんだよぉおおおっ!?》
「…貴様が、貴様たちが、あまりにも小賢しい真似をするものだからな。俺はオーフィスを通じてドラゴンを見ようとした。それを邪魔するならば───消し炭にするしかあるまい?」
戦いを前にしたクロウ・クルワッハは上を見上げる。庁舎を、いやその中にいるであろうひとりの人物に対して呟いた。
「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー、見ているか?多くの邪龍を手懐けたことで勘違いしたようだな。真のドラゴンは、生まれた時から死ぬ時まであるがままに思うがままにわがままに生きるッ!それが、ドラゴンなのだッ!」
龍の誇りを高らかに宣言するクロウ・クルワッハは一誠へと視線を移し、庁舎の最上階へと指さす。
「行け」
「…いいのか?」
「…さっきは悪かった」
それだけ答えるとクロウ・クルワッハは再びニーズヘッグに睨みを利かせる。トップクラスの邪龍の存在感と誇りは、その佇まいだけで圧倒的なドラゴンの格を見せつけるのであった。
ここにリアスが大きく声を上げる。
「イッセー、大一、アーシア!ここは私たちに任せて先に行きなさい!お義父様とお義母様を救うのは、『息子』だと、『娘』だと言われたあなたたちであるべきなの!」
この猛烈な乱戦の中、全員でここを突破するのは不可能に等しい。それならば今回の作戦の目的を、相応しい彼らに託すのは不思議ではなかった。
一誠はアーシアを抱きかかえて龍の翼を展開する。その横では大一も同様に翼を広げていた。
とはいえ、空中も邪龍が数多く飛んでいる上に、敵も彼らを易々とは逃がさないために数多く向かってきた。それを防ぐがごとく、祐斗が割り込んで聖魔剣を使った師匠直伝の剣術で邪龍たちを斬り捨てる。
「イッセーくん、行ってくれ!ゼノヴィア、イリナさんも付き添って欲しい!」
「任せろ!アーシアの護衛は得意なんでね!」
「私たち、教会トリオって言われるものね!アーシアさんをゼノヴィアと一緒に上までご案内するわ!」
彼女たちもイッセーの肩につかまり、猛烈な速度で飛び上がろうとする。それでもニーズヘッグはしぶとく体を起こして魔法陣を展開させた。
《い、行かせねぇぞぉおおおおっ!》
「貴様の相手は俺だ。───久方ぶりだ、見せてやろう」
相対するクロウ・クルワッハの身体が変化していき、本来の姿である巨大なドラゴンへと変貌を遂げていた。黒と金の入り混じったオーラがその場にいる全員を釘付けにさせた。
『邪龍最凶と謳われたこの俺の力をな』
口から火の粉交じりの息を吐きながら、その漆黒のドラゴンは両翼を広げて威風堂々としたその姿をさらけ出していた。その圧倒的な存在感に、ニーズヘッグは悲鳴を上げながら怯えていた。どれだけ強力な回復手段を持っていても、実力差がそれを無意味なものとしているのは双方ともに理解していた。
その証拠に半ば自暴自棄となって向かったニーズヘッグは、クロウ・クルワッハの剛腕の一撃によってはるか後方へと吹き飛ばされていた。一誠達のように建物に叩きつけるどころか、建物をいくつも倒壊させていくほどだ。
一誠の腕の中に抱かれているアーシアは、クロウ・クルワッハに礼を述べる。
「あ、あの、ありがとうございました!」
『───バナナ』
「え?」
『バナナとは、いいものだな』
「はい!」
この言葉を最後に、一誠達は上空へと飛び立つのであった。
────────────────────────────────────────────
一誠達が飛んでいくのを確認したリアスはすぐに警戒を強める。かなり遠くに飛ばされたニーズヘッグの相手は、クロウ・クルワッハが受け持ってくれたものの、邪龍はまだまだ彼女らに雪崩のように襲ってきた。
赤い鎧に身を包んだリアスは、向かってくる邪龍を睨みつける。一誠達を先に行かせたとはいえ、早々に援護しに行くことに越したことはない。
「まずはここにいる相手を片付けなくちゃね」
真っ赤な滅びの魔力の塊が邪龍たちに何発も命中していく。1回の倍加だけでもかなりの威力となっており、命中した邪龍たちはもがき苦しんでいた。
彼女の後ろから別の邪龍が大あごを開けて噛みつこうとするが、リアスは振り向きもしなかった。間もなく、その邪龍は横から現れた雷光龍によって、身体を痺れさせて倒れ込む。そしてほぼ同時に戦闘用に巫女服を身に着けた朱乃が降り立った。
「やるわよ、朱乃」
「ええ、ここが正念場ですもの」
背中合わせで邪龍たちと対峙するグレモリー眷属のトップコンビは、まるで負ける気がしなかった。愛する人達のために力を出す、この純粋な一点が彼女や仲間達の勢いを強めていた。
「でもよぉ、そう簡単に事が進むとは本気で思ってねえだろ?」
突如、発せられる声と同時に近くで倒れ込んでいた量産型邪龍の1匹が横に吹き飛ばされる。邪龍がどかされて巻き起こった煙の中からは、法被を羽織った中性的な顔の女性が現れた。少々離れているにもかかわらず、気持ち熱く感じるその女性は、先日のクーデターの中で見覚えのある相手であった。
「大一が何度か戦った相手…バーナとかいう炎の精霊だったかしら?」
「あんたらに覚えられてもねぇ。ったく、いきなりの奇襲とはやってくれるじゃねえか」
「あなた達がいつもやっていることでしょう?」
「言うねえ。さすがは期待の新星。敬意を示して…」
その瞬間、彼女の周囲に熱波が噴き出す。両腕は真っ赤に染まっており、その熱さにも劣らないほどの強い敵意がリアスと朱乃に向けられる。
「その綺麗な顔を焼け爛れさせてやるよ!」
そしてほとんど同じ頃、リアス達とは少し離れた場所では、ギャスパーが荒々しく舌打ちをする。目の前では気づかないうちに大量の発生させた闇の怪物たちが斬り刻まれていた。
《くそっ!これが「異界の魔力」か!これほど接近されているのに、気づけなかった!》
「それでもまだまだ出せるんだろう?まあ、負けるつもりはないが」
モックは腕から飛び出た突起を、威嚇するように音を出しながらすり合わせる。彼の水の魔力による攻撃とこの突起によって、闇の怪物たちはあっという間にやられていた。得体の知れない相手ではあるが、その枠組みで言えば自分も大差ない。
ギャスパーは再び怪物を発生させようとするが、そこに祐斗と小猫が割り込んだ。
「待つんだ、ギャスパーくん。キミの能力は数の多い邪龍にぶつけた方がいい。ロスヴァイセさんと一緒に邪龍の方をお願いしたい」
『たしかサメの魔物でしたね。私と祐斗先輩で相手します』
祐斗は聖魔剣を、小猫は白音モードの状態で周囲に火車を展開させる。ギラギラとした闘争心に対して、モックはダウナー気味にため息をつく。
「これまた道理を外れた相手ばかり…だから嫌いなんだよ」
────────────────────────────────────────────
一誠達と共に飛び上がった大一は周囲にいる邪龍たちに攻撃を与えていく。ゼノヴィアやイリナも聖剣による斬撃や波動で攻撃していくが、まるでキリがなかった。
それでも最上階を目指して彼らは突き進むしかなかった。ビルの半分に差し掛かるかというところで、大一は目を細める。その視線は一瞬だけビルの方に向けられ、彼は共に飛んでいる一誠達に声をかける。
「一誠、アーシア、父さんたちを必ず助けてくれよ。ゼノヴィアとイリナは2人を出来る限りサポートしてやってくれ」
「いきなりなんだよ?兄貴も一緒に───」
「そうしたいのは山々だが、まずは父さんと母さんの救出が絶対だ。そのためにもリゼヴィムに食い下がれる可能性があるお前が行くべきだ。それに俺にしかできないことがあるからな」
「それって───」
「ここであれこれ説明している暇はない。とにかく何があっても突き進んで、助けてくれ。いいな?」
「おう!」
「わかりました!」
一誠とアーシアの強い返事、ゼノヴィアとイリナも頷いたのを確認すると、大一は飛ぶ速度を上げていく。そしてちょうどビルのちょうど半ばのところでその階層に突っ込んでいく。硬度と重さを上げた彼の突進は、その階の柱のひとつにぶつかった。その瞬間、柱から巨漢が飛び出していき後退していく。
さらに追撃するように大一は速度を落とさず、その相手に突っ込んでいきビルの反対側へと押し込んでいき、窓を突き破った。
真っ逆さまに落ちていく彼らはもみ合いながら、庁舎の高層ビルから少し離れた場所の使われていない建物の屋上に着地した。ギリギリのところでもみ合いから離れて、互いに翼を出して着地したが、その瞳は相手を睨みつけていた。
「半ばまで来たところで叩き落そうとしたんだが、気づいていたか…」
「俺も感知するだけなら出来るようになってきたからな。これで3度目…そろそろ決着をつけようか、ギガン」
「後悔するぞ、龍交じりの悪魔」
一誠視点だと原作と変わらないため、それ以外のメンバーのバトルになると思います。