D×D 悪魔の兄弟   作:水飴トンボ

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短めのまとめ回となります。直近の感想を受けて思ったのですが、やっぱりヒロインの存在って重要ですね…。


第23話 今後に向けて

 コカビエルの襲撃から数日後、オカルト研究部では新たな仲間としてゼノヴィアが入ってきた。なんでも神がいないことに吹っ切れて悪魔になった。駒は祐斗と同じく「騎士」、すでに転入手続きも済ませて駒王学園の2年生として生活していた。むしゃくしゃして行った決断に後悔は…

 

「うぅむ、しかし、神がいない以上、私の人生は破綻したわけだ。だが、元敵の悪魔に降るというのはどうなのだろうか…。いくら相手が魔王の妹だからって…」

 

 大いにしていたその姿に、部員も苦笑い気味であった。

 イリナの方はゼノヴィアのを含めたエクスカリバー5本とバルパーの遺体を持って教会の本部へと帰った。元々ゼノヴィアよりも信仰深い彼女が神の真実を聞かなかったことは幸いだったであろう。

 今回の一件は3勢力共に深刻に見ていた。特に堕天使側はコカビエルの単独行動と知ったことで、グリゴリ側である白龍皇によって事を終息させた。管理責任もあってか自分たちの問題は自分たちでつけようとしたわけだ。

 さらに堕天使総督であるアザゼルから悪魔と天使に会談を要求され、開催することが決定した。今回の一件の当事者でもあるリアス達も招待されているなど、各勢力にとって今後を大きく左右するものになることは間違いなかった。

 前途多難な今後に不安を覚える中、ゼノヴィアはアーシアに向き合う。

 

「…そうだな、アーシア・アルジェントに謝ろう。主がいないのならば、救いも愛も無かったわけだからね。すまなかった。キミの気が済むのなら、私を殴ってくれても構わない」

「…そんな、私はその様な事をするつもりはありません。ゼノヴィアさん、私は今の生活に満足しています。悪魔ですけど、大切な人に、大切な方々に出会えたのですから。私はこの出会いと、今の環境だけで本当に幸せなんです」

 

 アーシアは微笑みながら、ゼノヴィアの謝罪を受け入れる。その対応にどこか安心した様子になるゼノヴィアは、もろもろやることがあるようで部室をあとにしようとするが、それをアーシアが引き留めた。

 

「あ、あの!今度の休日、皆で遊びに行くんです。ゼノヴィアさんもご一緒にいかがですか?」

「今度機会があればね。今回は興が乗らないかな。ただ今度、学校を案内してくれるかい?」

「はい!」

「それと我が聖剣デュランダルの名にかけて───。そちらの聖魔剣使いとも再び手合わせしたいものだね」

「いいよ。今度は負けない」

 

 アーシアと祐斗にそれぞれ話したゼノヴィアは部室をあとにした。

 

────────────────────────────────────────────

 

 次の休日、大一は珍しくショッピングモールへと来ていた。最後に来たのがいつなのか覚えていないほど久しぶりなのだが、この場にいること自体が居心地の悪さを感じた。理由は至極単純、右を向くと女性用の水着が目に入り、左を見てもこれまた別の女性の水着が目に入る。そこは女性用の水着売り場であった。

 この日、大一はリアスと朱乃に誘われてショッピングに来ていた。好んでこんな目のやり場に困るような場所に連れてこられたわけじゃない。実際のところは付き合わされているというのが正しいだろう。

 

「夏も近いのよ。露出の多くなるこの季節…特に水着!これでイッセーの気持ちを射止めて見せるわ!」

「あらあら、私達にはその想いを隠そうともしなくなったのね」

「友人が弟に惚れているのをこうも見せつけられるのは、すごく複雑な気持ちになるんだが…」

 

 気合いを入れるように複数の水着を持って宣言するリアスに、朱乃は見守るような微笑み、大一は困ったように渋い表情になる。今回の目的は、学校で控えたプール開きのための水着であった。準備するにしてもいささか早いような気もするが、リアスの意気込みは目に見えて本気さを感じさせた。

 リアスは2つの水着を手に取って、大一に見せる。片方は赤色のビキニ、もう片方は紫色のスリングショットであった。チョイスにかなりの疑問を持つ大一に対して、彼女は問いかける。

 

「それで大一、どれがイッセーの好みだと思う?」

「知らないですよ。本人に訊きなさいよ。あいつのことだから目を輝かせながら答えますよ。というか、俺は荷物持ちに呼ばれたんじゃないですか?」

「披露するまでのお楽しみにしたいのよ。それに男性の視点からの意見も欲しいの」

「あいつだったら露出激しければ、喜びそうな気もしますけどねえ。いやでもこだわりが強そうなところもあるからなあ…」

「…やっぱり着てみるしかないようね。チェックお願いね!」

 

 そう言って、リアスは試着室に入る。この気合いの入れようには呆れを越して、逆に感心すら覚えてしまう。恋愛に対して本を読んで勉強するわりには、そそのかされて裸エプロンをやってしまうような間違った行動力のなせる勢いだろうか。

 

「まったくいい迷惑だ」

「休日でもほとんど変わらない過ごし方をするあなたにはちょうど良かったんじゃないかしら?」

「余計なお世話だよ」

「うふふ、いいじゃない。この後、みんなでお茶でもしましょう。それにこういうことに慣れておかないと、いざという時に困るんじゃないかしら?ただでさえ、イッセーくんにいろいろ先を越されているんだから」

 

 朱乃が意地悪そうな笑顔を向けて大一に話す。一瞬、その意味を問い詰めたくなった彼だが、分からないわけではない。一誠は傍から見れば、リアスやアーシアと美女から好意を持たれている。男女の関係においては、間違いなく兄である大一よりも進んでいると言えるだろう。もちろん大一とて色恋沙汰にまったく興味がないわけでは無いのだが…。

 大一はごまかすように頭を掻くと、朱乃の方を見る。

 

「なんか当たりが強くないか?」

「悩みすぎてはダメと思っただけよ。この前の戦いでも白龍皇が出てきた時に、様子がおかしかったもの」

「気づいていたのかよ…」

「だってあのタイミングで、あなた自身の魔力が急に乱れたもの。直前にあなたと魔力を合わせた私だから気づいたようなものだけど。リアスもそれが分かっていたからこそ、今日誘ったんじゃないかしら?」

「そういうこと」

 

 リアスが試着室から顔だけ出して、2人の話に割り込む。この話は彼女の耳に入っていたようだ。

 

「コカビエルの言葉やあなたの魔力の乱れ、知る必要があることが増えたのは事実だわ。でもあなたのことだから、そのことに必要以上に思いつめちゃうんじゃないかと考えたの。私としては少しでも重荷を降ろしてほしいのよ」

「ご心配どうも。俺は大丈夫ですよ」

 

 大一のにべもなさそうな様子の返答に、リアスは目を細めて疑いの視線を向ける。彼の反応は弟が悪魔になった時や祐斗を心配していた時と何も変わらないのだ。あくまで自分の責任、あくまで自分の弱いところを見せないようにする…。この3年間、彼のそんな態度にはリアスとしても悩みの種でもあった。

 

「もう、いつもそうやって…」

「リアスの気持ちも分かるけど、その状態だと真面目な話も締まりませんわ」

「ん…まあ、そうね。今は3人で楽しみましょう。ということで、こんな感じでどうかしら?」

 

 リアスは試着室のカーテンを開ける。抜群のプロポーションに、赤色のビキニはよく似合っていた。見せつけるようにポーズを取る彼女に、朱乃と大一がそれぞれ感想を述べる。

 

「似合っていると思うわ」

「良いと思いますけど…狙いすぎじゃないですか?」

「ふっふっふ、まだ一着目だもの。完璧なものを見繕って、プール開きを成功させるわよ!」

(プール開きの成功ってなんだよ…)

 

 再び試着室にこもるリアスを見届けながら、大一は心の中でツッコむ。とりあえずこの場での言及は避けて、今は楽しむことに集中するつもりだろう。そうすることで大一の方も余計な考えをしなくても済む、という算段なのは彼も分かっていたがそれでよかった。これ以上、話したところで彼の考え方も変わらないのだから。

 

「私も選ばなくちゃ。うーん…これとかどう?」

「別に俺に訊かなくても」

 

 手近なところから選んだ白いビキニを見せる朱乃に大一は答えるが、その言葉に少し頬を膨らませて反論する。彼女は後輩もいないと女子っぽさがより出やすいのだろうか。

 

「リアスも言っていたけど、他の人の意見は聞いておきたいの」

「ハイハイ…言っても朱乃さんだってリアスさんに勝るとも劣らずの美人なんだから、似合うと思うよ」

「そういう言い方は事実でも、女の子としては誤解されるものよ。まあ、ちょっと着てみるわね。イッセーくんみたいに覗きは無しよ」

「しねえよ!」

 

 朱乃が試着室に入ろうとする瞬間、その隣からリアスの声が聞こえてきた。

 

「イッセーは渡さないわよ、朱乃!」

「あらあら、でしたら油断しないようにね」

「むぅ…負けないわ!」

 

 闘志を燃やすリアスの声を聞いて、朱乃はくすくすと笑いながら指を唇に当ててウインクする。少なくとも彼女はリアスをおちょくっているのを楽しんでいることだけは、大一には分かった。

 




これにて3巻分は終わりです。次回からはいよいよ4巻になりますが、オリ主は戦力になれるのか…?
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