D×D 悪魔の兄弟   作:水飴トンボ

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巻き展開なのかすらも分からなくなってきました…。
とにかくやる気がある内に書くを目標にしていきます!


第4話 接敵の状況

 一誠が悪魔になったことを告げられてから一週間は過ぎただろうか。ハーレムを築けるとわかった以上、悪魔になったことをあっさりと受け入れ、最初に仕事でもある簡易版魔法陣となっているチラシ配りに精を出していた。やる気はとてつもないのだが、その内に空回りしそうな勢いで兄として心配になるところも散見された。実際、この前はいよいよ契約を取ってみようということになったのだが、魔力が低すぎて目的地へ転移できないという前代未聞の状況に陥った。結局、その日は自転車で依頼主の家へと行ったのだが、これが続くのは避けたいだろう。もっとも依頼者の評判は悪くなかったのだが。

 

「大一ちゃんの弟ねえ。契約取ってみようかしら?」

「紹介はできますけど、そういった考えで契約はしない方が良いですよ。あくまで自分の感性に従ってください」

「悪魔だけに?」

「別にダジャレを言おうとしたわけじゃないのですが」

 

 大きな段ボールを2つ抱えながら、大一は答える。彼も今は悪魔の仕事中で、契約相手の男性(心は乙女)を相手に仕事していた。彼の名は生島純。小さな飲み屋を経営しているのだが、店の改装や荷物の整理など力仕事が必要な時に大一を呼んでいた。なぜか冥界や悪魔事情について精通している節がある。聞けば、彼の亡くなった親が利用していたためそこから知ったようだ。

 

「あたしの甥も駒王学園に入りたがっているのよねぇ。もしかして悪魔になっちゃうのかしら?」

「学園には現在2人の爵位持ちがいますが、どちらも一般人は勧誘していませんよ。特別な家系だったり、神器を持っているとかそういった理由が無ければ巻き込むことはしないのでご安心ください」

「あら、じゃあ大一ちゃんもなにか持っているの?」

「…いちおうありますね」

「今度、機会があったら見せてもらうわね」

 

 嬉しそうな野太い声で生島は話す。本気で断れば追及はしないだろうが、断る理由もなかった。そもそも大一の持つ力は特別なものでもないのだから。その後、生島は電卓で帳簿をつけ始めたため、しばらく無言のまま仕事に没頭していた。

 2時間くらい経ったところで大一はようやく全ての段ボール(中身は全て処分するもの)を店の外の片隅に運び出す。明日の朝に知り合いがトラックで持っていくようで、外に出してほしいと頼まれたのだ。

 戻ると生島も終わったようでテーブルには帳簿やペンなどは片付けられていた。

 

「お疲れ様。帰る前にココア飲んでいきなさいよ」

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

 

 椅子に座ると、湯気のたった熱々のココアが差し出される。一仕事を終えた後に差し出されるこの熱さは、彼の温かみのように大一は感じられた。彼と契約を取って約2年となるが、見た目の強烈な印象とは違い細やかな気づかいと優しが身に染みる相手であった。

 生島は慣れた手つきで自分のカップをかき混ぜると、ゆっくりとすする。

 

「大一ちゃんが来てくれて助かったわ。頼もうとしていた店の子が風邪ひいちゃったからね。最悪自分でやろうとしたくらいよ」

「お役に立つのが我々の仕事なので」

「あら!でも無理はダメよ。悪魔だって疲れるときは疲れるんだから!私は大一ちゃんの少ないお客として二人三脚でやっていくつもりだからね!」

「…そのご厚意感謝します」

 

 ありがたいし、100%善意の言葉なのはわかるのだが、その勢いに少し気押しされる大一であった。

 

────────────────────────――――――――――――――――――

 

 生島の言う通り、大一の悪魔としての仕事は他のメンバーと比較すると、決して多くは無かった。中学3年の頃に悪魔になった彼は一誠のように契約を取らせるようなことはせず、初めの一年近くは戦い方を叩きこまれたからだ。

 昔から悪魔は完全実力主義の社会。かつて起こった悪魔、天使、堕天使の三大勢力による戦争が終わってからも睨み合いは続いている。さらに悪魔間では戦いをレーティングゲームと呼ばれる一種の競技として取り入れられるほど、強さへの執着があった。

 悪魔は己に眷属に強さをどこまでも求める。強いほどその名は轟き、存在価値にもつながるのだ。だからこそ悪魔となった以上、遅かれ早かれ戦いという残酷な面に直面する。

 

 ある日のことだ。はぐれ悪魔が現れたとのことで、リアス達に討伐命令が出た。主人の元を離れたはぐれ悪魔、訳ありの存在もいるが、大体は力に溺れてただの怪物となる者がほとんどであった。そんなはぐれ悪魔が自分たちの陣地に侵入してきたら、始末することも悪魔の仕事である。すでにリアスは自分の眷属を連れて、目的地へと向かっていた。

 その一方で、夜の街を大一は徘徊する。その表情は相変わらず疲れが見えていた。

 彼がひとりで別行動をしているのはリアスの指示によるものであった。一誠が殺されて以来、この地に妙な堕天使が入り込んでいることがわかった。彼はその堕天使の捜索に当たっていた。そもそも堕天使が入り込んでいるのならば、何かしらの報告があっても良いはずなのに、一つも音沙汰がない。神器持ちという理由だけでいきなり人間を襲うこともあまりに唐突だ。

 そこではぐれ悪魔の討伐中に動きがないか、大一が警戒することになった。今回の討伐は一誠に悪魔の特性を利用した戦いを見せるためである。悪魔の駒(イーヴィル・ピース)…転生悪魔を生みだすための道具だ。チェスの駒をモチーフにしており、駒ごとにその特性は変わる。リアスはそれぞれの特性を活かした戦いを一誠に見せたかったようだ。そのため特殊な状況下でなければ、特性を発揮しきれない“兵士”である大一は除外されたのだ。

 また大一は他のメンバーよりも魔力に敏感であった。おかしな動きがあれば、リアス達よりもすぐに気づける自負があった。

 とはいえ、話し相手もいない状態で一人歩くのはあまりにも退屈であった。別にはぐれ悪魔と戦いたいわけではないし、任されたのはリアスなりの信頼はあるのだろう。それでもやはり一人だけはぶられているという気持ちはあった。

 加えて、一誠がはぐれ悪魔との戦いにどういった感情を抱くかも不安であった。はぐれ悪魔は人間すらも食らう怪物だが、それを倒す悪魔も血生臭いものだ。漫画やゲームで戦うのとはまるで違う。早々に受け入れられるか、それとも腰が引けるか…。

 その時であった。彼の背中に向かって真っすぐに光る銃弾が飛んでいった。しかし大一はそれに気づいていたかのように身をひるがえして避ける。銃弾は道路に当たり、そこに小さな焼け焦げた跡を残した。

 

「おーう!まさか俺の攻撃をあっさりと避けられるとは!ちーっと甘く見てたかなぁ?」

 

 おちょくるように狂気的な笑い声をあげたのは、白髪の男であった。手には銃を持ち、ニヤニヤしながら暗闇から現れた。その魔力は大一が想像していたものとは違っていた。

 

「堕天使…じゃないな。誰だ?」

「俺はフリード・ゼルセン。なーに、悪魔祓いの組織の末端ですよ」

「へえ、珍しいな」

 

 悪魔祓い(エクソシスト)は神から祝福を受けた者。悪魔をも屠る力を持つ、いわば天敵だ。もし出会うとしたら堕天使を考えていたので、この男の登場には驚いた。同時にこの男が何かを知っている可能性が出てきた。自分を狙った攻撃は明らかに敵意あるもの。いくら悪魔祓いとはいえ、悪魔の領地でいきなり喧嘩を吹っ掛けるのは怪しさこの上なかった。

 ふと大一は一誠が教会に行った話を思い出す。リアスが二度と近づいてはいけないと念を押していたが、そもそも弟が教会なんかに行く理由が無い。たしか道案内でシスターに会ったという話を小耳にはさんだが、これもまたタイミングが合いすぎな気がした。

 いずれにせよ、この男から聞けることは多そうであった。

 

「何かありそうだな。フリード、悪いが俺と一緒に来てもらおうか。いろいろ訊きたいことがあるのでな」

「うんうんうん?悪魔は存在がクズだけど、頭の中身もクズなのかな?まさかと思うけど、俺に命令とはクズのくせに無礼極まりじゃね?」

「いきなり弾丸撃ち込んでくる奴よりは、良識あると思うが」

「はーっ!言ってくれますね、悪魔さん。俺ちょっと感動しちゃいました。そこで特別!本当に特別だけど、俺が直々に殺して差し上げます!来世では良いことありますようにーって」

 

 フリードが猟奇的な笑顔で銃を構えるのに対して、大一はどこからともなく長い柄の武器を取り出す。その眼は鋭く、いつもの気怠さは感じられなかった。

 

「今から自分のラッキーな命運を祈りなさいよ、クズ悪魔さん!」

「悪いが手を抜くというのができないタイプでな。その汚い口ごと黙らせて、縛り上げてやる」

 




ということで、次回に初バトルです。記念すべき相手は、皆さん大好き(?)なフリードです。
予想はしていたけど、彼の口調は難しいな…。
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