D×D 悪魔の兄弟   作:水飴トンボ

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今回は基盤づくりです。つまり原作とほとんど大差ないということです。


第55話 意外な襲撃

「そろそろ時間ね」

 

 ディオドラとの試合の日、メンバーはオカルト研究部の部室に集まっていた。全員が中央の魔法陣に集まり、転生するのを待つ。

 相手は若手悪魔の中でも底知れない雰囲気があったが、アーシアの一件もあったため全員が気合いを引き締めていた。

 間もなく、魔法陣が光だし全員が目的地へと転生されるが…。

 

 たどり着いた場所は、開けた場所であった。等間隔に大きな柱が立ち並んでおり、後ろには巨大な神殿が鎮座している。空の白さから例の異空間であることは間違いないはずだが、どうも異様な雰囲気が漂っているように思えた。

 

(おい、小僧。錨をだしとけ)

(言われなくても、試合だからな)

(今回は多数の敵を薙ぎ払わなきゃいけねえのか?)

(…相手の眷属の数はこっちと大差ないはずだが?)

(あ?じゃあ、さっきからこっちに向かってきている千近くの魔力はなんだ?)

 

 ディオーグの言葉に驚きつつ、大一はすぐに錨を出して魔力探知を始める。しかし存在に気づく前に相手から姿を現した。

 神殿とは反対側に多くの魔法陣が現れる。それどころか数はどんどん増えていき、リアス達を取り囲むようであった。次々に現れる魔法陣の文様はアスタロト家のものではないのが、全員に戦闘態勢を取らせた。

 

「全部、悪魔。しかも記憶が確かなら───魔法陣から察するに『禍の団』の旧魔王派に傾倒した者達よ」

 

 あっという間に「禍の団」のメンバーがリアス達を取り囲むと、そのうちのひとりが挑戦的に宣言する。

 

「忌々しき偽りの魔王の血縁者、グレモリー。ここで散ってもらおう」

 

 旧魔王を崇拝する彼らにとって、新魔王の血縁者であるリアスはたしかに目の上のたん瘤ともいえる存在だろう。

 それにしてもテロリストである「禍の団」がレーティングゲームに介入してくること自体が疑問であった。たしかに別の時空間ではあるが、監視の目も多いはず。3大勢力が手を組んだ今、警備が厳重になっているため尚更であった。

 その疑問の解消する事態がすぐに起こった。

 

「キャッ!イッセーさん!」

 

 悲鳴の方を見ると空にアーシアを捕らえたディオドラの姿があった。

 

「やあ、リアス・グレモリー。そして赤龍帝。アーシア・アルジェントはいただくよ」

「アーシアを放せ!このクソ野郎!卑怯だぞ!つーか、どういうこった!ゲームをするんじゃないのかよ!?」

「バカじゃないの?ゲームなんかしないさ。キミたちはここで彼ら───『禍の団』のエージェント達に殺されるんだよ。いくら力のあるキミたちでもこの数の上級悪魔と中級悪魔を相手にできやしないだろう?ハハハハハ、死んでくれ。速やかに散ってくれ」

 

 ディオドラの言動で彼が「禍の団」と通じていたのは明らかであった。彼としてはそうすることが自分のやりたいことをやれるという至って欲望に忠実な理由であった。彼はそのままアーシアをさらうつもりのようだ。

 すぐに怒りの形相でゼノヴィアが一誠からアスカロンを受け取って攻撃を仕掛けに行くも、魔力の弾によってはじかれる。

 

「イッセーさん!ゼノヴィアさん!イッ───」

 

 アーシアは助けを請うが、無残にもその途中でディオドラとともに消えていった。

 

「アーシアァァァァッ!」

「イッセーくん!冷静に!いまは目の前の敵を薙ぎ払うのが先だ!そのあと、アーシアさんを助けに行こう」

「祐斗の言う通り…と言いたいが、どうやってこの状況を切り抜けるかだな。数が多すぎる!」

 

 睨みを利かせながら、周囲の悪魔たちとはこう着状態になる。しかし戦いの瞬間は近い。すでに相手は大なり小なり魔力を溜めており、それが一斉に撃ちこまれれば無傷とはいかなかった。

 一触即発の状況で、今度は朱乃の驚いた悲鳴が聞こえる。その方向を見ると、隻眼の老人が彼女のスカートをめくり下着を覗き込んでいた。

 

「うーん、良い尻じゃな。何よりも若さゆえの張りがたまらんわい」

「あんた誰だ!?」

 

 すぐに大一は朱乃の手を引き、老人から彼女を引き剥がして抱き寄せる。見たこともない男であったが、どうも魔力から只者じゃないのはわかった。それどころか生命力も生物とはまた異なった雰囲気が見受けられる。

 不信感を隠さずに老人を睨みつける大一に、リアスが声をかける。

 

「大一、その人はオーディン様よ!どうしてここに?」

「うむ。話すと長くなるがのぅ、完結に言うと『禍の団』にゲームを乗っ取られたんじゃよ」

 

 禍の団と繋がっていたディオドラの手引きにより、この場には大量のテロリストが入り込んでくる形となった。しかもゲームフィールド自体が強力な結界に覆われているため、救援も難しかった。そこであらゆる術式に通じるオーディン自ら、彼女らの救援に現れたのであった。

 そして彼の存在は当然ながら敵にも注目される。

 

「相手は北欧の主神だ!討ち取れば名が挙がるぞ!」

 

 一斉に大量の魔力の弾が向かってくる。数える暇もないくらいの多さであったが、オーディンが杖を地に一度ついただけでその魔力が消え去った。その実力の一片だけでも、神の名にふさわしいものであった。

 オーディンは全員に小型通信機と特殊な魔力を施すと追い立てるように言葉を発する。

 

「それが神殿までお主らを守ってくれる。ほれほれ、走れ」

「でも、爺さん!ひとりで大丈夫なのかよ!」

「まだ十数年しか生きていない赤ん坊が、わしを心配するなぞ───グングニル」

 

 左手から槍を出したオーディンの一撃に、大一は目を疑った。鋭く、全てを貫くような破壊力は、縦に並んでいた悪魔数十人を一瞬で消し去ったのだ。

 目の前の光景に空いた口が塞がらないほど驚く一方で、ディオーグは舌なめずりをしながら別ベクトルで好奇の感情を向けていた。

 

(あれは本気じゃねえな。こいつは面白い。あれくらいの奴を複数相手に出来るくらいが最低限度だな)

(お前…あれ神クラスだぞ…!?)

(神だろうがなんだろうが、俺の名を知らしめるにはちょうどいいだろうが!)

(…ちょっとついていけない)

 

 そんな問答の間にもオーディンは禍の団相手に睨みを利かせていた。もはや意気揚々と向かってくる相手はおらず、出方を窺って半分腰が引けている者までいた。

 

「すみません!ここをお願いします!神殿まで走るわよ!」

 

 リアスの指示のもと、彼女らはアーシア救出のために神殿へと向かっていった。

 

────────────────────────────────────────────

 

 神殿の入り口に入ると、通信機から聞き慣れた声…アザゼルからの通信が入った。

 

『無事か?こちらアザゼルだ。オーディンの爺さんから渡されたみたいだな。言いたいこともあるだろうが、まずは聞いてくれ。このレーティングゲームは「禍の団」の旧魔王派の襲撃を受けている。そのフィールドも、近くの空間領域にあるVIPルーム付近も旧魔王派の悪魔だらけだ。だが、これは事前にこちらも予想していたことだ。現在、各勢力が協力して旧魔王派の連中を撃退している』

 

 アザゼルの話ではグラシャボラス家次期当主の不慮の事故も彼らが関わっており、ここ最近は現魔王に関する家計の不審死が続いていた。現状、首謀者と予想されるのが旧ベルゼブブと旧アスモデウスの子孫であり、リアス達は最初から狙われていたということになる。

 また先日の試合でディオドラが急に強化されたのも、オーフィスの力を借りたことが予想されていた。

 アザゼルの話を聞いたとき、大一は一種の疑念が生じた。彼の話をすり合わせると、ディオーグの話していたドラゴンが何者なのかが予想できる。しかしそれが真実であった場合、自分の身体にいるドラゴンがより得体の知れない存在に思えてしまった。

 とにかく攻め込んできたテロリスト相手にもろ手を挙げるような者は上位陣にはいない。各勢力のトップクラスが、今回向かってきた禍の団の討伐に動いていた。

 話の区切りに一誠がアザゼルに言う。

 

「先生、アーシアがディオドラに連れ去られたんです!」

『───っ。そうか。どちらにしてもお前逹をこれ以上危険なところに置いておく訳にはいかない。アーシアは俺達に任せておけ、そこは戦場になる。どんどん旧魔王派の連中が魔方陣で転送されてきているからな。その神殿には隠し地下室が設けられている。かなり丈夫な造りだ。戦闘が静まるまでそこに隠れていてくれ。あとは俺達がテロリストを始末する。このフィールドは禍の団の所属の神滅具所持者が作った結界に覆われているために、入るのはなんとか出来るが、出るのは不可能に近いんだよ。神滅具「絶霧(ディメンション・ロスト)」。結界・空間に関する神器の中でも抜きん出ているためか、術に長けたオーディンのクソジジイでも破壊出来ない代物だ』

 

 アザゼルとしては敵を倒すのと同時に、これ以上リアスたちを巻き込みたくない感情もあった。もとよりこの戦争状態は、旧魔王派をあぶりだして一気に掃討するもの。リアス達が巻き込まれる必要は無かった。

 しかしそれで引き下がるような彼らではない。

 

「アーシアは俺達が救います」

『おまえ、今がどういう状況かわかっているのか?』

「む、難しいことはわかりません!でも、アーシアは俺の仲間です!家族です!助けたいんです!俺はもう二度とアーシアを失いたくない!」

 

 一誠の言葉を聞いたリアスは不敵に笑う。

 

「アザゼル先生、悪いけれど、私達はこのまま神殿に入ってアーシアを救うわ。ゲームはダメになったけれど、ディオドラとは決着をつけなくちゃ納得出来ない。私の眷属を奪うという事がどれほど愚かな事か、教え込まないといけないのよ!」

「アザゼル先生。私達、三大勢力で不審な行為を行う者に実力行使する権限があるのでしょう?今がそれを使う時では?ディオドラは現悪魔勢力に反政府的な行動を取っていますわよ?」

 

 続けざまに一誠をフォローするリアスと朱乃に対して、アザゼルは半分困ったように、半分期待していたように応える。

 

『…ったく、頑固なガキどもだ…。ま、いい。今回は限定条件なんて一切無い。だからこそ、お前逹のパワーを抑えるものなんて何もない。───存分に暴れてこい!特にイッセー!赤龍帝の力を裏切り小僧のディオドラに見せつけてこいッ!』

「オッス!」

 

 アザゼルのお墨付きに一誠は強く答える。彼だけではないだろう。仲間を奪われたことに皆がここでやれることとして、ディオドラと戦うつもりであった。

 

『最後にこれだけは聞いていけ。大事なことだ。奴らはこちらに予見されている可能性も視野に入れておきながら事を起こした。つまり多少敵に勘付かれても問題の無い作戦でもあると言う事だ』

「相手が隠し玉を持ってテロを仕掛けていると?」

『それが何かはまだわからないがこのフィールドが危険なことには変わりない。ゲームが停止しているため、リタイヤ転送は無い。危なくなっても助ける手段はないから肝に銘じておけ。───十分に気をつけてくれ』

 

 最後にこれでもかというほど念を押したところで、アザゼルとの通信が切れる。この時点で皆が不穏な予感はあるものの、いますぐに対応できるものでもない。まずはアーシアの奪還、そしてアザゼルの話していた地下に逃げ込むことであった。

 

「大一、小猫。アーシアは?」

 

 リアスの促しに、2人は各々のやり方でアーシアの位置を探る。間もなく探し当てた場所は、2人も同じ場所を示していた。神殿の奥だ。

 

「…あちらからアーシア先輩とディオドラ・アスタロトの気配を感じます」

「幻術らしきものもない。確定だな」

 

 居場所がわかればやることはひとつ。リアス達は仲間を取り戻すために奥へと突き進むのであった。

 全員の気持ちがひとつになる一方で、大一の身体に宿るディオーグだけはまったく別のことに気が向いていた。彼は声を発することなく、それでいてぎらついた感情を宿らせて自分なりに探知をしていた。

 

(間違いなく近くにいる。しかもあいつだけじゃない。あの時、戦いに割り込んだ別の龍…そうだ、この感覚だ。別次元にいるが間違いない。これは体に閉じ込められているのがもったいないくらいだ)

 




オリ主がアホみたいに強ければ違った展開にも出来たのかな等と思いました。
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