ホクホクしながら装備を積んで、楽器を持って教室へと向かった。
生徒が音楽ホールにたくさんいてびっくりする。
全員、魔法の楽器は持っている。なんだ、あるじゃん楽器。
楽器がない子も1人いるけど、歌で頑張るんだろう。可愛い女の子なので、ぜひとも頑張ってほしい。
「一応、勇者の旋律の発動が出来るもののみに絞っている」
「わかった。じゃあ、今日は復習を兼ねて勇者の旋律から行こうか。最初は聞いてくれ。次は皆で演奏な。交互に行こう。日替わりで曲を変えていくから、サボらず頑張った方がいい。後半になればなるほどきつくなるぞ! 午後は魔物退治に行くように。ダンジョンに向かう冒険者に手伝いを申し出て無理やりついていくもよし、護衛を雇うもよし、熱意を期待してる」
「ま、魔物退治ですか?」
「そー。それも適正レベルな。一度も魔物退治したことないなら、二階で初心者を辻バフ……勝手に援護するだけでも結構レベルが上がる。上達のコツは、魔物退治と欲しい技の修練を同時に行うこと、弱い魔物、簡単な技から初めて、段々難しくしていくことだ。あと、強い兵士に手伝ってもらうのはお勧めしない。一番早く上達できるのは、結局同時期に魔物退治を初めた初心者同士で組んで丁度いい強さの魔物を倒し続けていくことだ。これは生産だろうとなんだろうと変わらない。まあ、ベテランに見守ってもらうとか事前に教えてもらうことは最低条件だけどな。ここのダンジョンは良質だから、何かを始めるには最高の環境だ」
「既にある程度魔物を退治した経験のあるものは?」
「難しいよな。人にはレベルという格があるが、同じレベルでも力が強いとか、手先が器用とか、剣術を覚えてたりとか、裁縫を覚えてたりとか、色々ある。そして、その格と魔物の格が等しいときのみ、魔物を退治すると強くなれる。ただ、格が釣り合う……もっと言えば、魔物がちょっと格上ぐらいの場合、面白いほど強くなったり腕前が上がったりするから、長い間成長できない時は敵の強さを変えるか、仲間を変えるんだな。格が違いすぎる仲間と組んでも、成長率は逆に落ちるんだ。なお、格は武器防具にも存在して、同じ武器でも威力が変わったりする」
あれ、カイル様がガーン! としてる。
「そ、それじゃ! この前の戦いは!? 十回倒したのは!?」
「レインとヒューバート、あんまり成長できてないだろ? 俺は扱える楽器がめちゃくちゃ増えたし、カイル様は凄く強くなったんじゃないか?」
「なんと!!」
「ええ!? あの戦いは何だったのですか!?」
「素材集めと俺の修行?」
「「そんなー!!」」
「その知識はどこで……?」
「偉い人が言ってた!!」
「はっ 最近ダンスの練習がやたらはかどったのは……!!」
「積み上げた格がダンスに使われたということでは?」
「ああああああ!!」
「親方は魔物退治した後は特に運動しないように細心の注意を払ってるし、格のコントロールは大変だよな」
3人がorzして静かになったところで、俺は授業を始めることとした。
楽器を操り、勇者の旋律を歌う。
午前中に歌って歌って歌って疲れたので、早めに帰ることとした。
いっぱい素材貰ったから、レベルの低くて在庫を圧迫してる楽器を提供してもよいだろう。楽器を初めたのは、実はこっちに来てからで、レベルの低い楽器なんて持ってなかったから、仕方なく1から作って、自分のレベルが上がる度に楽器のレベルもあげていったんだよな。
楽器制作の熟練度上げで、結構沢山、楽器がある。
「親方が、素材のお礼に処分予定の楽器を譲ってくれるそうです。最下級の格から下級くらいの格の装備ですが、よかったらどうぞ。楽器の格が高すぎる生徒が多いようなので、配ってみては?」
「ありがとう、クロウ! だが、怒られないのか?」
「処分予定だからいいんじゃないですか? 多分」
「無断か。一度貰えば返さんぞ」「どうぞー」
そして、教室に向かう。
怪我人が多い。頑張っているな。そして、やはり傷を癒やす手段は貴重なのか。
「では、今日は教師をレインにお願いする」
「私が!?」
「魔物を呼び寄せる曲だし、大勢だからな。念の為、俺は打ち消す曲を歌う」
「あ、なるほど」
その日も頑張って歌を歌い、お昼に楽器が販売されると皆大喜びだった。
午後には皆、魔物退治に向かった。
明日には置いていかれる子達が出始めるかな。
流石にレベルもスキルもそんなすぐには上がらないから。
10日後。修理品を届けて、サンプルを回収する。
後は、領主様に対するインタビューなのだが、カイル様が元気ないんだよな。
あの後慌てて魔法の猛勉強をして、一つ魔法を覚えられたらしいのだが、その後が全く進まなくなったらしい。
「ダンスは敵の攻撃をよく回避できるようになりますよ」
「そんなわけないだろう」
「本当ですって。知り合いのアサシンがダンスを納めてますが、凄くきれいに戦うんですよ」
「ならばその知り合いを連れてこい」
「無理ですって。あ、知り合いから習ったダンスの基礎を教えましょうか? 私は出来ないですが、見様見真似でお教えするくらいは出来ますよ」
「アサシンのダンスの基礎か……良いだろう、教えてみせよ。近々帝都で舞踏会もあるしな」
3ヶ月後。
剣舞を披露し、散華の貴公子と大絶賛されたカイル様は大喜びでその事を報告してくれた。吟遊詩人達も大活躍で、大いに面目を施したらしい。
じゃあ、満足した所でインタビューを始めますかね。
領主様の曲書きたい。
えっ 紹介したい人がいる? 俺は紹介してもらいたい人なんていないが。