「悪い・・・待たせちまって。」
タケルが全員に向けてそう言ってカウンターに腰かけるとうさぎがタケルに向けて
こう聞いた。
「それでですがこれからどうなされるおつもりですか?あの子が草薙の妹でしたら
私たちが今まで知らなかったことが理解できませんし先ほどのあれは一体?」
「その事についてなんだが・・・皆に伝えなきゃいけない事があるんだ。」
タケルがそう言うと同時に・・・膝に両手を置いてこう言った。
「あの子は・・・草薙タケル・・・俺の妹でSSS級危険魔法所持者として本来は
禁忌区域最奥監獄に幽閉されていたんだ。」
「きききき禁忌区域って・・・然も最奥監獄!あの弦神島で最大の刑務所ですわよ!!
海底近くでおまけに海底のアンカーと同じくらいの深度ですから脱走なんて
無理のはずですわ!?」
うさぎがそう言うが・・・そうなんだがなとタケルはこう続けた。
「あの子はそれだけ危険なんだ・・・昔俺のいた故郷で多くの人達を殺してしまった・・でもこれだけは覚えて欲しいんだ、やりたくてやってるわけじゃない。暴走しちまうのは
放置されてしまった時か自分に危害が及んだ時だけで・・・普段は大人しいんだ。」
「それってつまり・・・あの子は」
うさぎが何か言おうとした時にルクスがこう答えた。
「オーバーフローコンプレックス、血統ではない・・・つまりは特殊な魔力を持った
普通の子供がその魔法と発動に必要な魔力を放出できずに溜まりに溜まって暴発して
辺り一帯に散らばらせて異常現象を引き起こすんだ。」
「じゃ・・・じゃあ今こうしている間にも危険なんじゃないので」
「その心配は無用だよ、オーバーフローコンプレックスは魔力を
一定以上放出させることで安定できるんだ。恐らくだけどここに来る間に
大量の魔力を放出している事だから再充填するまでにはそれなりの時間が
掛かるはずだよ、幸いにタケルの妹のその症状は風船のように破裂して辺りを
汚染する手合いじゃなくて満杯にならなきゃ大丈夫だよ。」
それを聞いてうさぎはほっとした様子であったがゼノヴィアがルクスに近づいて
こう聞いた。
「今の・・・本当じゃないのだろう、お前は何を黙って」
「・・・ゼノヴィア、嘘は時に誰かを安心させることが出来るんだ。もし本当の事を言ったとしてもそれで皆が不幸になるかもしれないんだったら僕は泥を被るよ。」
ルクスの言葉を聞いてゼノヴィアはそうかと呟いて立ち去ろうとするのを・・・
イリナが耳を立てて聞いていた。
「(嘘が皆を救うんだ・・・話してもらえるなんて寂しなあ。)」
イリナはそれを聞いて少し俯いていた、今迄は嘘は罪であり真実こそが人を救う
鍵であると思っていたのに・・・その嘘で誰かが救えるという事と同時にタケルの重みがそれだけ重かったことに自身は何が出来るんだろうと思っていると・・・だけどと
ルクスはタケル二向けてこう言った。
「緊急事態ナノは変わらないよ、仮にもSS級指定の魔法持ちの子だから
放って置くわけにはいかないよ。」
「けけけけけど・・・タケル君の妹なんだよ、必要な事は知っているんだけど
だけど・・・此の儘じゃあ。」
イリナがそう言っているがタケルがこう呟いた。
「・・・分かってる、俺だって何とかしてえのは分かっているけど此の儘キセキを
置いて置くのは危険だってのも分かってるけど・・・其れでも俺はキセキを・・・
今日だけは自由に・・・!」
タケルがそう言いながら俯いていた、今迄外の世界など見たこともなく自由に
遊んだこともないキセキを楽しませたいという想いがある中ルクスが全員に向けて
こう言った。
「本来だったら審問会かデュラハンに引き渡すべきなんだろうけどそうなった場合
彼女の魔法が満タンを待たずに暴発するかもしれないから・・・
・・・・・僕達35試験小隊が護衛を引き受ける。」
「・・・・は?」
タケルはルクスの提案を聞いていや待てと思っているがルクスは更にこう続けた。
「僕達が護衛に入る事で草薙キセキを安全に尚且つ誰も犠牲者を出すことなく
監獄に送り届けれる事が出来ずはずだよ。」
「けど・・・そうなったらお前らに迄違反行為の罰が」
「じゃあどうするの?大人しくキセキちゃんを引き渡したとしてまた暴発する危険性を孕ませる気かい?」
「・・・・」
「其の為僕達はキセキちゃんを護衛するんだけど・・・まあ一時間は君と楽しく
過ごしたほうが良さそうだね。」
「・・・はい?」
タケルはそれを聞いて何言ってるんだと思っているがイリナは良いねと言って
こう続けた。
「じゃあ先ずはキセキちゃんの服を何とかしなくちゃね!服ってここので
良いのかな?」
「ああ、そう言えば服が何着かあったが全部男物だからな・・・
寸を詰めなければいけん。」
「後は帽子だね・・・ハット帽子よりも普通の帽子が良いから何処かあるかな?」
「でしたら私が縫ってあげますわ、こう見えて私編み物もできましてよ!」
うさぎがそう言って胸を張っている中タケルはそんな全員を見て・・・こう言った。
「皆・・・ありがとう・・・!」
次回はキセキとタケルとの自由時間。