「キセキを・・・殺してくれないかな?」
「キセキを・・・お前。」
タケルはそれを聞いてあの時の事を思い出した、5年前・・・自身の力が無いばかりに
多くの人達が死んだあの事件を思い出してタケルはキセキに対して
思いとどまらせようとするとキセキは・・・涙を流してこう言った。
「今日はね、本当にうれしくて楽しかった。こんな日が来るなんて一生無いって
思ってたから・・・キセキは幸せだったよ・・・十分に・・・けど分かるでしょ
お兄ちゃん?キセキは一杯人を殺して・・・其れよりも多くの人達を不幸にして・・・
お兄ちゃんはキセキのせいじゃないって言うけど・・・私分かってるの、
5年前のあれは自分の意思で・・・キセキの手でやったって事を。それにね、キセキの力は前よりも強く成り始めてね・・・多分放って置けばあの時以上に
また多くの人達を殺して・・・不幸にさせちゃう。だからキセキは
死ぬべきだって・・・消えなきゃいけないんだって思うの・・・けど・・・
私はお兄ちゃんが・・・お兄ちゃんの手でキセキを終わらせてくれると・・・
嬉しいだよ?」
だからお願いと言ってキセキは・・・涙を滲ませてこう言った。
「キセキを・・・殺してくれない?」
其れに対してタケルが出す答えは・・・これだ。
「妹を殺したい兄貴がこの世の何処に居るんだ?」
「・・・・」
「誰が何と言われようとも俺はお前の兄貴だ、例え世界中の誰もがお前の死を
望んだとしても・・・俺が・・・俺だけはお前が生きている事を望んでるんだ。」
「・・・お兄ちゃん。」
「家族ってのは・・・兄貴ってのはそう言うもんだろ?」
タケルは悲しげだがそれでも・・・微笑を浮かべてキセキの頭を撫でるとキセキは
それを聞いて・・・顔を俯かせて声を押し殺して泣いていたのだ。
「お兄ちゃん・・・けど・・・けど・・・。」
「例えお前を殺さなくちゃいけなくなったとしても・・・
どうしようもなくなったとしてもその時は・・・
・・・・・俺がお前を殺して俺も死ぬ。」
それを聞いてキセキはえ・・・っと聞いてタケルを見ていた。
今迄広い広い孤独感を持っていたキセキにとってタケルの言葉は急激に和らいだのだ、『俺がお前を殺して俺も死ぬ』と言うのは陳腐であるがキセキにとっては殺してと
言うよりも大事なものとなったのだ。
そしてキセキはタケルに向けてこう聞いた。
「ほんとに・・・ほんとにそれで良いの?・・・だってお兄ちゃんには・・・仲間が」
「良いや約束する、そしてその時が来るまで俺が絶対に守ってやるから・・・
本当の限界の時まで。もう決めたんだ、お前を殺すことはできないけどお前を
守る事だけは必ず・・・貫き通して見せるって・・・だから、兄ちゃんに最後まで
頑張らせてくれねえか?」
タケルはそう言ってキセキの左手に手を添えるとキセキは・・・涙を流して
こう言った。
「ほんとに・・・お兄ちゃんのそういう所・・・頑固なところは変わってないね。
約束・・・守ってね。」
「ああ、今日が終わっても必ずまた会いに行く。」
「・・・うん。」
「異端審問官になれば金だってもっともっと稼げるんだ、そうすれば会う時間も・・・もっと増えれるんだ。」
「・・・うん。」
「そんで・・・何時かきっと」
「お兄ちゃんが約束を守るんだったら・・・キセキもうちょっとだけ頑張るよ。」
キセキの言葉を聞いてそうかと言うと・・・タケルは其れじゃあと言って
離れていった。
だがタケルは知らなかった・・・今もうキセキの心が限界に近付いている事を、そして何よりもキセキの今の心の救いが・・・共に死んでくれるというそれだけが心の拠り所となっている事にタケルは気づけなかった。
カフェテラスから出たタケル達は街を案内しながら学園に向かっているとキセキが
タケルに向けてこう聞いた。
「ねえお兄ちゃん、あのぐるぐるしているのってなあに?」
「ああ、あれは観覧車だな。最近出来た移動遊園地だろうな。」
「ほえ・・・おっきい。」
キセキはそれを聞いて観覧車を見ているとタケルはキセキに向けてこう聞いた。
「乗ってみるか?」
「え・・・乗れるの?あんなにおっきいよ・・・昇の大変だよ??」
「いや昇る訳じゃないんだ、あれが動いているだろ?下に降りた
あの乗り物に乗って一周する奴なんだ。島が一面見渡せれるんだ。」
綺麗だぞと言うとキセキと共に向かって行った。
「楽しそうだねタケル君。」
イリナはそう呟きながらタケルとキセキのその光景を眺めていた、この光景だけは
ずっと・・・此の儘残したいと思ったその時に・・・背後に誰かがいるという感覚が働き振り向いた瞬間にそこにいたのは・・・
・・・・・鐵がそこに立っていた。
「貴方は!」
「待て、俺はお前達と戦う気は無い。そして何よりも俺は彼女を迎えに来ただけだ。」
「・・・信頼できません。」
「確かにそうだろうな、だが俺ならばお前達を・・・全員戦っても1分未満で
殺せる。」
「・・・・・」
「だがそれはしたくない、もしそれをして草薙キセキが暴走でもすればそれでこそ
取り返しがつかん。今あの子の暴走の要因を取り除いて尚且つ安全に施設に入れるには
これしか道はない・・・学園までの道中の護送用車両が近くにアル・・・今はあの2人の思うとおりにさせる。」
其れだけだと言って鐵は移動遊園地の屋台からホットドッグを食しているのを見て
あははとイリナは大丈夫だよねと呟きながらその光景を眺めていた。
次回は観覧車。