この物語はフィクションです。
実際の運転では速度制限をきちんと守り、安全運転を心がけましょう。
始まり
【22時 とある峠】
(…もうこんな時間か。
早く帰んないと…。)
家路を目指して走っていると、背後から車のヘッドライトが迫るのが見えた。
迅斗
(何だ?やけに飛ばしてるな…。)
競うつもりは無いので、ハザードランプを点灯させて車を路肩に寄せる。
すると、背後に迫る車は直ぐさま自分の真横に並んでいた。
迅斗
「うわ…!」
車は軽々と追い抜き、瞬く間に視界から消え去っていった。
迅斗
「はえ~、追っかける隙も無かったな。」
【翌日 埼玉のとある大学】
迅斗
(ふ~、講習きっついな…今日はこのへんで帰ろ。
アイツも待ってるだろうし。)
将来を考えて本音は高校より楽できると思って入った大学だが、レポート等に追われる毎日で、正直、今までの学生生活よりキツいとは思いもしなかった。
照
「よ!ジント!久しぶりだな。」
駐車場で待っていたのは、同じ埼玉に住む幼なじみ…
昔から楽天的な男で、クラスでもムードメーカーな存在だった。
迅斗
「久しぶりって、先週会っただろ。」
照
「ジョークだよ、ジョーク。
ったく相変わらず固ぇな~。」
迅斗
「悪かったな。」
照
「それより、そろそろ行くか?
今日は忙しいから先輩行けないって連絡来たから、俺ら2人になるな。」
今からどこに行くかというと、ここから北へ少し走った所にある峠だ。
そう、俺たちは俗に言う走り屋ってやつ。
高校を卒業してすぐ免許をとって、バイトで地道に貯めた金で車を購入と言っても、俺の場合まだローンは残ってるが…。
迅斗
「EK9いい調子みたいだな、音が現役バリバリってやつだ。」
照
「だろ?親戚がメンテしてくれてるからな。」
舞依
「すっご…照の車ってシビックだったんだ。」
俺たちの前にやってきたのは、照と同じく幼なじみの
運動神経抜群で、中高と陸上一筋。
意外な事に趣味は車で、俺たちと同じ時期に免許をとった。
ちなみに俺と同じ大学に通ってる。
舞依
「あたしもさ、ついに車が納車されるんだ。」
照
「え、マジ!? 車種は?」
舞依
「それは来てからのお楽しみ。
それよりさ、今度あたしも入れてよ!
その…モタスポ同好会?」
迅斗
「ず、ずいぶん急だな…。」
照
「いいね~先輩も喜ぶと思うぞ。
次、会ったら話つけとくわ。」
舞依
「お願いね!2人とも、それじゃ!」
舞依は足早に俺たちの元を去っていった。
照
「…なんつうかさ、変わったよな…舞依って。」
迅斗
「あ、ああ…。」
照
「高校までは、いかにも体育会系な女子って感じで、髪も今より短くて…活発なのは相変わらずだけどな。」
迅斗
「雰囲気は180°変わった。」
照
「高校デビューならぬ、大学デビューってやつ?」
陸上の強豪から推薦を受ける程だったのに、舞依はそれを蹴って今の大学を受けた。
入学して間もない頃、何故この大学に入ったのか聞いてみたが、その時は「陸上に飽きたから」と答えた。
彼女は飽き性というわけでもなく、あれだけ熱中していた陸上を、呆気なく飽きてしまうものなのか…。
照
「よし、そんじゃ俺は先行ってるぜ。」
迅斗
「ああ、分かった。」
照のEK9は駐車場を出て、颯爽と走っていった。
あ、自己紹介遅くなった。
俺は
幼なじみの2人からは、漢字のせいでジントと呼ばれている。
慣れたのか今は全く気にならない。
子供の頃から機械が好きで、親の影響もあって車に熱中するようになった。
中学3年の頃、小中高のOBだった先輩に峠へ連れていってもらったのが切っ掛けで、走り屋になりたいと思い、現在に至る。
面接官にクスっと笑われるであろうレベルのシンプルな動機だが、先輩が言うには、30までは楽しい事は気が済むまでやりきっておけ。
と、そんな言葉に動かされ、俺は暇さえあれば照と一緒に峠へと赴いている。
迅斗
「…よし、行くか。」
俺は、駐車場を後にして家へと向かった。
つづく。