U-17合宿出発前日の丸井くんと幼なじみの女の子のお話 作:一花*
幼なじみのブンちゃんはどんな人かと言うと、ひとことで言えばもうジャイアンで。
本人にそれを伝えると「こんなにイケメンで歌も上手くて気遣いも出来るオレのどこがジャイアンなんだよ、一つも当てはまってねーし」なんて言うんだけど。
いえ、あなたのその我儘で横暴で意地悪な所は間違いなくジャイアンです…。
私がそう返すと「んじゃ、仮に俺がジャイアンなら、なまえは“のび太”だな!いつまでも朝弱い所とか、いつも同じ手に引っかかる単純な所とか、のんびり屋で鈍臭さい所とか、もうそのまんまだろい。」なんてまた痛いところをついてくる。
その後には決まって「んで、ジャッカルが“ドラえもん”」と続くんだけど、いつも私がブンちゃんにからかわれている時に「その辺にしとけよ」と助け舟を出してくれるのはジャッカルだから、“私=のび上がる”説が確定されたみたいで本当に悔しい。
そんなくだらないやりとりを始めて6年。
ジャッカルが来る前からだと、10年以上もうずっと、私とブンちゃんは幼なじみだ。
「ねぇ、なまえ。さっきC組の子に、丸井が“放課後時間あるかな”って呼び出されてたらしいけど、聞いた?」
自分が食べ切れる量よりも随分と大きめのお弁当を鞄から出し、“お弁当がこんなに鞄を占領するのも今日までか”と少し切なくなっていたそんな矢先、小声で静かにそう語る親友のびっくり発言に思わず手が止まってしまった。
なぜ私がこんな大きめのお弁当を持ってきているのかというと、うちのお母さんが作るおかずが好きで、昼食時に必ずと言っていい程現れる誰かさんが、横からほぼ摘んで行くからいつからかこうなって…。
『えっ嘘!?……だ誰に?』
「ほら、去年丸井と同じクラスで、吹部でクラリネット吹いてるあの綺麗で細い…」
『あぁ…可愛いよね、あの子。そっか、あの子か……あの2人なら…まぁお似合いだよね…』
連日続く、幼なじみで赤髪の彼が可愛い女の子から告白されたという噂。告白されているのは彼だけじゃなくて、男子テニス部のレギュラー陣はみんなそうらしいのだけれど。
11月のよく晴れた麗かな午後、バレンタインでも海原祭でもクラス替えでも無いのに、その回数はむしろ今までよりも増えていて。
事の発端は夏にあった“全国中学生テニス選手権大会男子団体戦”において、レギュラーとして活躍したの男子テニス部のメンバーが、U-17日本代表候補合宿に特別参加することが発表されてからだった。
中学生が参加する事は異例ですごい快挙らしく、しばらくは学校中がその噂で持ち切りだった。
なぁなぁ、なまえ聞いてくれよい!と、嬉しそうに報告に来てくれたジャイあんもとい赤髪のブンちゃんに、お祝い名目でコンビニのアイスとお菓子を奢らされたのは先月の話。
合宿に行っている間は当然学校には来ないし、会えない。その合宿の中で認められ、代表に選ばれてしまうと更に会えない上に、もっと有名に、より人気者になってしまうのは明白で。
そんな “手の届かない存在” になってしまう前に、なんて、恋する女の子が考えることはやっぱりみんな同じみたい。
しかも今回はよりにもよって、ブンちゃんと去年同じクラスで楽しそうに話している所を何度も見かけた、あの可愛い子だなんて…。
言葉とは裏腹にあからさまに落ち込んだ私を見て、親友が呆れたかのようにこう言った。
「だからさ、そんなに落ち込むくらいなら、なまえこそもう言っちゃえばいいのに。また丸井が他の子と付き合ってから、後悔しても知らないよ?会えないのはなまえも同じなんだよ。いいの?」
『うーーん…。まぁ、そうなんだけどさ…。でも…もし上手くいかなかったら、とかさ…』
うわ、でた!っと、そう言って露骨に嫌な顔をした彼女が、“またですか?”と言いたげな目で私をジッと見ている。彼女の鋭い視線が痛い。
続けて放たれた“丸井のことになると、本当に乙女発揮するよね”なんて言葉が、普段は乙女じゃないと否定されているようで、ちょっと心外だ。
私がずっと小さい頃から想い続けているブンちゃん。
二人で過ごした小さな頃の思い出はこうだ。
“2人で分けて食べなさい”と渡されたお菓子は彼によって8対2(当然私が2)に分けられ、
“いいモンやるから手ぇ出して”と言われて素直に出すと、渡されたのは両手いっぱいのダンゴムシだったり、
幼稚園までだが、彼の中でのブームが終わるまでしばらくスカートめくりが毎日続いていたし、
“オレが漕いでやるよ”と頼んでもない2人ブランコはまるでジェットコースターで、
彼に付き合わされた戦隊ごっこでは、ヒーロー役の彼にやられる敵役はいつも私なのだ。
もちろん悪い思い出ばかりじゃなくて、私が泣いたときは“大丈夫か?”と声を掛け、面倒くさそうにしつつも泣き止むまで傍に居てくれたし(彼のイタズラせいで泣くことが大半)、
私が作ってもなかなか完成させられないシロツメクサの花冠は簡単に仕上げてくれるし(“お前似合わねーなー”の言葉とセット)、
私が秋にどんぐりや綺麗な落ち葉を拾って袋に集めていると、“まだ終わんねぇの?”といいつつも、終わるまで待っていてくれたし(長く待たせようなら独特な香りの銀杏の実を混ぜてきて台無しにされる)、
小学生の時クラスのみんなでやったドッジボールで同じチームになると、“お前鈍臭いからオレの後ろに隠れてろ”と守ってくれたし(敵の時は一番に狙われる)、
昔は内気でなかなか友だちが出来なかった私のクラスまで来て、“コイツ、オレの幼なじみのなまえ。本当鈍臭くてさ〜”と馬鹿にしつつもそう紹介してくれ、友だちの作り方を教えてくれたのは彼で。(そのせいでいじられキャラになり後々困る)
沢山いじめられることはあっても、暴力は一度も無いし、困っているとすぐに助けてくれる。昔は気付かなかったけど、ぶっきら棒な彼の言葉の裏にはいつも優しさが隠れていた。
(あれ、今思い返すとそうでもない?)
明るくて面倒見がよくて、友だちが多いムードメーカー。
空気も読めて、いつもクラスの中心に居て、クラス外の友だちも多くて、男女分け隔てなく誰にでも自分から話しかけに行ける。
食いしん坊で、食べるの作るのも好きで、持ち前の器用さを生かし、大抵のことはなんでもさくっとこなしてしまう。
だから彼はモテる、それもかなり。小学校の時から人気はあったけど、中学に入ってからその人気はうなぎ登りで。
そんな彼だから告白されて何度か付き合うこともあって、でもどれも恋人らしいこともしない程短い間に、彼の方から別れを切り出していた。
理由を聞いてみると、“なんか違った”や、“面倒になった”だの、“アイツとは友達のままが合ってた”だの、そんな理由のオンパレードで。
最近は告白されたからと容易に付き合うことも無くなり、それによって距離を置くしかなかった彼との距離も、今は元通りになってひとまず安心していたのだけれど…
「そういえば丸井遅いね。
今日はジャッカルくんが迎えに行くの?」
「いや、そんな話は何もしてねえけど。
赤也連れて購買にでも行ってるんじゃないか。」
そう親友に話しかけられて答えているのは、私のもう1人の幼なじみで、同じクラスで隣の席のドラえもんもとい、ジャッカルだ。
心が広くて穏やかで面倒見がいい彼は、分け隔てなく優しい人で。それ故に損することも沢山あるのだけれど、それでも人に優しくすることをやめない、本当にドラえもんみたいに、いつも私の相談に乗ったり、助けてくれる。
親友がジャッカルの前でも平気でそう話すのは、私の秘めた恋心を知る数少ない相談相手の1人だからだ。
「そっか…。私、その時どんな様子だったのかとか、ちょっと詳しく聞いてくるよ」
萎え切らない私と、いつまでも登場しない噂の主が気になったのか、親友は自分の弁当を広げるのを止め席を立ってそう言った。
『え!いいよ、いいよ、遅くなるし食べよ!』
「いいから。」
言い出したら聞かない、行動の早い彼女はもうクラスを出ようとしていて。
厳しいことを言いつつも、いつも私を見放さずそばにいてくれる彼女には本当に頭が上がらない。
私にも彼女のみたいな行動力があればなぁ…。
「なまえも少しは見習ったらどうだ?」
同じことを思ったのは、どうやら私だけではないみたいで。
バツの悪い顔をしているであろう私に、ジャッカルが少し笑ってそういった。
『ジャッカル〜…』
「なんだよ」
『今の話、どう思う?』
「どうって…ないと思うぞ、多分。」
『本当に!?』
「…いや、でもわかんねーな」
『え、どっちなの…』
「部活も終わったし、いつまでも一人で居ないだろ、ブン太も。」
彼の一番の理解者で、過ごす時間が一番長いジャッカルがそういうと、本当にそうなってしまうんじゃないかと思えるくらい説得力があって。
「何でなまえはいつまでも言わねえんだよ?」
『だって、もしブンちゃんが気まぐれでOKしてくれても、他の子たちみたいに、“なんか違った”とか、“やっぱり幼なじみのままがいい”とか、数日後にそんなこと言われる未来しか見えないんだもん…。』
私よりずっと可愛くてお菓子作りも上手な子たちでもダメだったんだよ?と続けると、ジャッカルは困ったように「あ〜…それは…」っと呟き、返す言葉を選んでくれているように見える。
ほら、やっぱりジャッカルもそう思うんでしょ?そんな風に簡単に離れてしまうくらいなら、もうずっとノロマで鈍臭い“のび太”のままでもいいかな。
別れてもケロッとしている彼と、いつまでも悲しみに暮れている“元”彼女たちを見て、いつからか私もそんな風に思うようになって。
もし付き合えて別れたとしても、ブンちゃんなら今までと変わらず接してくれそうだなぁ。…あ、それはそれで余計にヘコみそう。
なんてことを考え一人傷付きながら、未だに答えを探している優しいドラえもんに、いつまでも気を遣わせるのがそろそろ可哀想になって来たので、わざとらしく指を立ててこう返してみることにした。
『わかった!!ジャッカルが四次元ポケットから、惚れ薬的なもの出してくれれば、もう全部解決だね♪』
「だから俺はドラえもんじゃねえし、頼まれたって何も出せねえよっ。いい加減そのネタやめろ。」
『あはは、いいじゃん!これも今日までだよ〜。』
そんなこといいつつ、いつもこの使い古したネタに付き合ってくれるんだよね。
ジャッカルの気持ちのいいツッコミが楽しくて、変わらないこの感じに安心して、少し元気が出る。
惚れ薬じゃねぇけど、と言って私の彼が机にぽんと置いてくれたのは、私を悩ませる噂の主が好きな青りんご味の風船ガムで。
『さすが相棒、常備してるとは…!』
なんてわざとらしく拍手すると、“この間大量に買わされた。アイツ、ガム切らすとうるせーからな”なんて返ってきて、ほらやっぱりジャイアンじゃんって思うのは私だけ?
ジャッカルがくれたこの風船ガム、昔よくはんぶんこして食べてたなぁ。
くじ付きで、なかなか出ない“あたり”だったりすると、すごく喜んで。
一口目が酸味が勝つのか酸っぱくて、徐々に広がる甘さと青りんごの爽やかな風味がたまらなく好きだ。
最初この酸味がちょっと苦手だったけど、ブンちゃんが好きだって聞いたら、私もいつの間にか好きになってたんだよね。
こんな風にいつまでも引きずって、ずっと終わりに出来ないこの初恋が、今日は随分と滑稽に思える。
もし“あたり”だったら、好きだって言ってしまおうかな、イケメンで歌も上手くて気遣いも出来るハイスペックなジャイアンに。
ダメでもしばらく会えないから、失恋の傷も意外と早く癒えるかもしれないし…
『そういえば、ジャイアン本当に遅いね〜』
なんて初恋の終着点を、あるはずもない小さな“あたり”に賭けながら包みを開けていると、中身を確認する前に、見覚えのある重そうな黒いパワーリストを付けた手に、ヒョイっと銀紙ごとさらわれて。
しまった、と思った時にはもう遅かった。
「おい、誰がジャイアンだよ。」
こんなことするのは一人しか居ないと思いつつ見上げると、恐らく先ほど奪われたものと同じもので、既にライムグリーン色で綺麗に膨らんだそれを咥えつつ、不満そうにこちらを見ながら立っている赤髪の彼が居た。
「いい加減そのネタ飽きねーの、“のび子”?」
のび太じゃなく“のび子”なのは、ここ数年の彼なりの気遣いらしい。
『いいんです、今日でしばらく見納めでしょ?それよりさっき取ったガム返して。』
「いいや、よくねえ。
そしてこれはもうオレのガムだ。」
本日2度目のやりとりだったので適当にあしらったのだが、それを知らない彼は納得がいかなかったようだ。
『イケメンで歌も上手くて気遣いも出来るハイスペックなジャイアンさん、ガムはあげるから、あたりかどうかだけ確認させてください』
「おい、褒めてるけど、結局ジャイアンじゃねーか。」
そう言いつつガムを握ってない方の手で、私の鼻を思いっきり摘んでくるので息が出来なくて、むぐっとなる。
ごめんてばと謝ってやっと解放されるのだけど、彼はそんな私の顔が滑稽だったのか、鼻声がツボだったのかなんなのか、さっきから楽しそうに笑っている。
「くっはははは!お約束すぎんだろい。変わんねーな、ほんと。」
『…………。』
いつもはここで怒るところなんだけど、こんなやり取りもしばらくないのかと思うと、なんだか愛おしく思えて、反論する気になれない。
「おい、なまえどうした?」
私のいつもと違う反応が気になったのか、彼がそう訊ねてきた。
『ううん。何でもない!』
気を遣わせちゃった。旅立つ前の人に気を遣わせるなんて…。最後まで明るく楽しいまま送り出そうって決めたてたのに、随分と感傷的になっていたようだ。
腹でも壊したのか?なんて聞いてくるから、“違うに決まってんだろい”といつも通り彼の口調を真似してそう答えると、プッと笑って“パクんな”と小突いてくる彼と、やれやれという感じでこちらを見ているジャッカルが居て。
あの頃と違い、私だけ二人と過ごす機会は減ってしまったのだけれど、歳をいくつ重ねても変わらないこのやりとりが心地よい。
二人を見ていると、彼らと過ごす最後の日に、私情を挟んでごちゃごちゃと考えて過ごすのがもったいないような気がして。
うん、やっぱりこれでいい、私たちはこれがちょうどいい。このまま送り出せたら…と、この長すぎた初恋に蓋をして、心の片隅に仕舞うことを密かに決意した。
「なら大丈夫か!今日さ、ジャッカルと食い納めにら〜桑行くんだけど、なまえも来るよな?」
まるで当たり前かのようにそう言ったブンちゃんの予想外の提案に、“うえっ”っと思わず変な声が出た。
なに今の、と私の反応とは対照的に彼は鼻で笑って、冷ややかな目をこちらに向ける。
ちょっと待って、さっき話してたC組の子は…?なんて聞けるはずもなくて。
『いいの、私も行って…?だって今日は最後だし、いつものクラスの人とか、他の子とか、色々さ…』
「別にいいよ、最後じゃねーし。しばらくしたら戻って来んだから。最近一緒に行ってねーじゃん。せっかくだから一緒行こうぜ?」
やめてよ、必死に蓋をしようとしてるのに、そんな簡単に期待持たせるようなこと言わないで。
私の気持ちを知らない彼が、本当にいつも通り“幼なじみとして”誘ってくれている事が悲しいのと同時に、最後の放課後を過ごす相手として、ジャッカルのおまけでも私を選んでくれたのがすごく嬉しくて……乙女心はすごく複雑だ。
そんな気持ちを悟らせまいと、私から出る言葉はいつもいつも可愛くない。
『どうせ特別に奢らせてやるよ、とか言うんでしょ』
「さすが、なまえ!!言われる前からその気だったとは感心するぜい」
グッと力強く親指立ててグッジョブとウインクする彼は本当に調子がいい。
『まぁ最後だしいいけどさ…。
でもさ、ら〜桑ならいつも通りツケでいいんじゃない?』
「おいっ!!なまえ、聞こえてるぞ!」
『えへへ、ごめんてば…』
調子のいい彼に、私も調子良くこう答えると、噂のラーメン屋さんの店主の息子から小突かれる番だった。
そんなやりとりをみて楽しそうに笑った彼は、どうやら先を急いでいるようで、相棒を急かした後、念を押すように指を指してこう言った。
「んじゃ、ちょっと用事済ませたら迎えに来っから、絶対待ってろよ!」
『う、うん…。』
やっぱり用事ってさっきの、だよね…。ってことはもしかして断るつもり…なのかな?
しばらく会えないんだし、もし付き合うなら一緒に帰ったりとかするよね、普通…。
突然湧いてきた淡い期待に、“さっきの決意はどこに行ったんだ”と自分にツッコミを入れていると、彼とすれ違いに戻って来た親友にハッとして。しまった、すっかり忘れてた。
『あ、今日お弁当はいいのー?』と叫ぶと、
“あ〜…残してくれてたら、全部食う!”なんて、いつまでも食いしん坊な彼が手を振りつつそう言った。
一瞬“えっ!?”と思ったが、彼の分まで作り始めてからの母は、もう11月だというのに未だに毎日欠かさず痛み防止シートと保冷剤を忍ばせてくれているし、大丈夫だよね。ブンちゃんお腹強いし。(彼がもしゲームのキャラなら、アビリティ一覧には“おばちゃんキラーEL”も絶対あると確信している)
お待たせ、と小走りで戻って来た彼女に急かされ、手早くお弁当箱を開けると、目の前に広がる信じられない光景にゾッとした。
『うわっ…』
ハート型のハンバーグ、ハート型の卵焼き、型抜きでくり抜かれ至る所に飾られるハート型のハムと、ハート型のにんじんのグラッセ。
コーンやブロッコリーなどの他のおかずも、ハートの描かれたカップに入っており、お弁当の中身はこれでもかと言うほど、ハートづくしで。
極め付けはお弁当箱とは別に入っていた、機械で造られたであろう “だいすき” の文字が切り抜かれたメッセージ海苔が巻かれるおにぎり。
もう一個 “がんばって!” バージョンのも出てくるじゃん、なにこれ。
この場に彼が居ないことを、ただただよかったと、心底ホッとしたいた。
「なにー?……わーお。お母さんやるねー、なんか…応援してくれてるんじゃない?」
私は絶対に嫌だけど、と付け加えて他人事のように彼女は笑うが、こんな応援は要らない。いや、絶対楽しんでるでしょ…!もうこんなの絶対あげれないじゃん。
嫌がらせにも近いありがた迷惑な気遣いにムッとして、やたら目に付く沢山のハートを少しでも早く目の前からなくしてしまいたくて。
怒りと不安と少しの期待も一緒に、やたら綺麗に出来たハートの卵焼きを、勢いに任せて飲み込んだ。