転生ウィッチーズ(小説化)   作:連邦士官

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13話 空にある荒野

 マロニーとガムランとの会談。あれから5日後、ガリアは平穏だ。カールスラントが長引かせていた間に、ガリアは何をしていたかと言うと塹壕を増やして簡易的な要塞や野戦陣地を建築して鉄道で繋いでいたらしい。

 

 この平穏な5日間にも、ガリアの隣国であるベルギカとその奥にいるネーデルラントにネウロイが攻め込み、多くの領土が占領されて低地国家はネウロイの道路に変わる。前世と同じで地理的な要因か、ベネルクスの様な国々がネウロイの道路に変わった。 

 

 しかし、それを予見していたのか、ガムラン率いるガリア軍は北部にガリア軍の機動戦力及び火砲を集めていた。学校を出たてのウィッチやそこら辺を歩いてそうな若者、みんな軍服に着られていて銃を背負っている。新兵には新しい兵器を渡している辺りはまだ、新兵思いなのかもしれない。

 

 ここまでになるとガリアには不思議な高揚感と一種の楽観視が混在していた。

 

 輸送を手伝わされたタクシー会社やバス会社に出荷用のトラックを軍に徴発されたのを不満に思い、ここに至ってまでストライキやデモ活動を行い、軍人から顰蹙を買い、ブリタニア人から笑いの種になっているのだった。ガリアは不思議な国だ。

 

 そして、待ちに待ったネウロイとの一大決戦、初戦でガムランはパリからランスに移り、人々に国歌を歌わせ、エラン・ディタールと吶喊させる。ガリアには類を見ない熱狂があった。

 

 私は飛びながらに、ガリア人はやはり不思議だと思いながらネウロイを数十機以上叩き落とす。ガリアのウィッチたちは私をアテネだのワルキューレだの、ニヴルヘルから来たウィッチだの、妖精に攫われて影の国で鍛えた戦士だの言いたい放題である。

 

 いや、ひどい言われようだな。私が何をしたというのだ?とりあえず、また二十機ほど戦略爆撃機型ネウロイを叩き落とす。この大型ネウロイを餌に小型ネウロイが肉薄してきたので、殴って叩き落としネウロイの残骸が消える前に太陽を背に急降下してくるネウロイに当てて撃墜する。

 

 全く、スコア稼ぎのチャンスだろうにガリアウィッチは何故、私と同じことをしないのか?少なくても、クルピンスキーやエーリカやバルクホルンにハインリーケも出来たぞ。

 

 地上は制空権が無いので爆撃機が飛ばせない、これによって小型の陸上ネウロイがまるで海面のように群れを成している。私は背負子から手榴弾を取り出し、急降下をしながら叩きつけネウロイを爆破させる。すれ違いざまに、MG151とMP40を水平射撃をする。跳ね上がって片手で撃つのが難しいのなら、地面に水平に飛び、体に銃を並行にして跳ね上がってもネウロイに当たるようにすれば良いだけだ。簡単な話だ。

 

 八十機ほど撃滅していたら、ネウロイがアルデンヌを越えてきたとうるさく通信がなる。やれやれ、しょうがないやつだ。私はアルデンヌに向かい、森から出てこようとする二百六十機のネウロイを装甲車の機関銃を使いながら迎撃する。こうすれば飛ぶ魔力を温存出来るのだ。おい、そこの対空砲座。水平射撃しろ、ネウロイがよく吹き飛ぶ、シュナイダーの砲は優秀だな。

 

 何とか、アルデンヌからのネウロイ襲撃を抑えたのだが、通信が入る。カールスラントのエルザス=ロートリンゲンのロレーヌの森林からも一点突破のネウロイが現れ、マジノ線の一部が破壊されかけたところに、見たこともないほど巨大な陸上戦艦によってマジノ線の一部が破壊されそうらしい。

 

 「アイリス大尉!救援に向かえ!マジノが落ちればガリアは丸裸にされる!」

マロニーは私に行けというので仕方がない。私は、アルデンヌを後にして、100キロ程度を飛びロレーヌへと迎撃を始めた。

 

 マジノ線は立派で、鉄とコンクリートの重厚感がある作りだ。ある種の美的センスがあるのがガリアだからなのだろう。確かに言われてみれば近づくとドンドンと音がなっている。私のレーダーで確認をすると巨大なネウロイが体当たりをしている。私がネウロイのコアをMG151で狙い撃つとネウロイはスクラップになる事でこの世から撤退を始めた。全く、濃い一日だ。

 

 「アイリス大尉、マジノ線内には地下鉄道があり、電車があります。乗って行ってください。その移動間にストライカーの整備と弾薬の補給をします。」

マジノ線の司令官からの優しいお誘いに乗る。私はマジノ線内の地下鉄内の食堂車に案内をされフルコースを頂く。地表は戦闘しているのに良いのだろうか?マジノ線だけは豪華だな。弾薬の補給から爆弾に至るまで用意をしてもらった。1時間20分ほどでアルデンヌの近くに到着した。

 

 ストライカーを履くと対地爆弾の代わりに280mm徹甲弾をもらい、手に抱え飛ぶ。一直線に高度を上げて飛ぶと上空から急降下をして、ネウロイの群れに炸裂させる。ネウロイの反応が吹き飛ぶ。しかし‥‥。

 

 「全軍、北部軍はパド=カレーへ撤退!パリが、パリがランスを強襲占領したネウロイにより陥落をした!」

何を言ってるんだガリア人、首都が落ちてからの戦争だろうにどうせ、ランスとパリしか陥落してないのだから、ランスを奪還して、敵の補給路と退路を封鎖してパリごとネウロイに鉛の雨を降らせれば勝てるだろう。それぐらいの気合を入れろ。

 

 この会戦の結果により、もはやガリア軍は撤退を始めている。私は仕方がないと諦めたが、補給物資が沢山あるので殿として逃げ遅れたガリア軍を助けていた。彼らから弾薬を貰う。補給はそれで大丈夫だ。おい、ショーシャを寄越すのは辞めろ。

 

 むっ、帰りがけに私のレーダーに友軍反応がある。ネウロイに追われているようだ。ウィッチはネウロイを追いかけることがあっても、追われるわけが無いのだが。私は追われたことがない。変なのにはよく遭遇しているが。

 

 「た、たすっ‥‥。」

見るからにネウロイ数機に囲まれていたウィッチを見つけてしまったので助ける。名前はジャンヌ・アカール。その後に、同じような状況のジャクリーヌ・ド・ピュイビュスクを見つけて合流した。全く、弾幕があったなら当たらない位置で前進すればよいのに。

 

 背負子に載せてある重いクラスター爆弾を陸上型ネウロイの上から降らせて、迫撃砲弾の安全装置を解除し弾を投げ、白燐弾でネウロイを焼く。怪我をした航空ウィッチを背負子に括り付けて、銃座代わりに敵中を突破した。

 

 「ア、アイリス大尉!何を考えているんですか!」

アカールが私に言うが、これが一番安全だから仕方がない。騒ぐな、ピュイビュスクが驚いているだろうが。

 

 「アイリス大尉の行動に驚いているだけです。」

ピュイビュスクの発言のほうが私を驚かせる。これはガリアのウィッチは訓練しなければなるまい。

 

 それからまた5日の休息。ネウロイにやられた軍の編成が済み、ガリア国民はこれは全てガムランのせいだと引責を求めて、参謀総長とガリア総軍司令官から引き摺り下ろされた。代わりにその地位についたのは

「アイリス大尉、君には勲章を。」

ガリア軍の予備役になっていて、この現役復帰したマキシム・ウェイガン上級大将らしい。パリ陥落を受けて、またガリア首相は交代したようだ。今のガリア首相は皆に人気のあるペタン元帥だ。

 

 勲章の授与より、私は戦闘をしなければいけないと言うとリールとランスがネウロイに支配された今、最前線になっているカンブレに配属された。良いやつだなウェイガン。5日間も昼夜問わずにネウロイに会いたくて飛んでいた私からすれば非常に嬉しい。流石だな。

 

 「アイリス大尉、立派な基地がなく壊れかけた基地しか無いので恥ずかしいのですが。」

カンブレ基地につくとわざわざ司令官であるアンリ・ジロー少将が声をかけてきた。いや、大丈夫。戦車に野砲に分隊火器の分散配備とかマジノ線建設費で武器更新が出来てない方が恥ずかしいから。

 

そういう風に伝えるとアンリ・ジローは集中配備をすると言っていた。何だガリア軍上部は良い奴らだな。ダンケルクとカレーから次々に入るリベリオンの物資により、そこそこ軍備は良くなってきていた。

 

 食事はリベリオンの乾パンに、リベリオンのプロセスチーズを乗せて、リベリオンのコンビーフかリベリオンのランチョンミートを乗せて、リベリオンのスープ缶のスープが付く。副菜はリベリオンのいんげん豆の水煮とリベリオンのとうもろこしの水煮をリベリオンのポーク・アンド・ビーンズの缶詰をかけたものだ。

 

 缶詰だらけである。あとカールスラントにもいた粉末で練るマッシュポテトもついてきて、アルマイトのプレートに盛られ前世でよく見たアメリカの刑務所みたいな食事だ。士官でウィッチである私でこれなのだから一般兵は恐ろしいだろう。

 

 いや、よく見たら不味いと言いながらワインで流し込んでいる。ガリア人はすごいなと思って食事を終えた。コンビーフに乾パンを乗せるより、茹でたペンネに玉ねぎを刻んでコンビーフと共にオリーブオイルで炒めた料理のほうが美味いと思った。

 

 リベリオンのクラッカーにピーナッツバターを塗りデザートと言い張る厨房にガリア人が抗議しているのを一瞥をして、空を飛ぶ。食べ物は窮地なら仕方がないだろうに。じゃがいもにじゃがいもを重ねるじゃがいものカールスラントよりはマシだろうに。

 

 

 原隊が滅びた為に私とアガールとピュイビュスクは同じ部隊になった。書類仕事は彼女たちにやらせよう。ピュイビュスクは士官学校を出て無いらしく、わからないと言っているので実地でわからせよう。教えるのは得意なんだ。

 

 

 空を飛び、私は適当なネウロイの編隊のど真ん中に入り、相手を照準の真ん中に捉え次々に落とした。おそらくこのネウロイは偵察機だ。私に近づかれるまで気付かないとは、私の魔法よりも鈍い偵察機だ。殲滅をすると私は基地に帰投した。

 

 「諸君。相手の補給路を攻撃するために、このカンブレ基地からモンス、シャルルロア、ブリュセルを攻撃する。これが上手く行けば、ブルージュにブリタニアが上陸し、リールを奪還できるであろう。それができれば相手の補給地点はルクセンブルクまで下がる。繰り返す‥‥。」

軍上部は無茶を仰る。地図を見ると右翼による突破、この右翼に敵戦力を集中させ、ブリタニア軍に揚陸をさせる。そして、リール近郊の兵力を持って間に包囲したネウロイを撃滅。

 

 これによってダンケルクとパ=ド=カレーの集積地強化と共にベルギカの港を手にして集積地を手に入れつつ、孤立しているネーデルラントの孤島と補給線を繋ぐわけだ。最も低地国家は、地盤がゆるく、長大なネウロイが出れない傾向があるので、この作戦は成功しそうといえば、成功しそうだ。

 

 カールスラント軍並みの軍事力とリベリオン並みの工業力、ブリタニアの揚陸を支援しうるほどの扶桑のような海軍力があればな。右翼は性質上常に挟み撃ちされる形になる。数千のネウロイの海を進み。補給線を確保し、飛び石のごとくに入れた都市を維持しなければならない。

 

更には、そこの上に、リベリオン規格、ブリタニア規格、扶桑規格の兵器の補給が乗りかかってくる。拳銃弾だけでも十数種類あるのだ。ガリアにその維持ができるとは到底思えない。ガリアが何を思ってるのかは疑問ではあるが、目と鼻の先のモンスは落とせるだろう。

 

 向こうがわざわざアルデンヌを使ってきたのを見習って、こちらもアヴスノワの森と丘に紛れて、ひっそりと進軍すれば出来るだろう。森を使うのはネウロイだけではないのだ。ガリアがシュリーフェン・プランの小モルトケ版を見て改造したのだろうか?マンシュタインプランに近いのかもしれない。結果が、マンシュタイン寄りならいいが小モルトケになった時には地獄である。

 

 まぁ、まだマジノ線は破られてはいないのでマシかもしれない。それに、ジークフリート線はお粗末だったから破られたが造られた意味はあったのかもしれないと思う。マジノ線に陸上型ネウロイが殺到するのが少ないのもカールスラント軍が真面目にチェコの針鼠代わりに、コンクリートで出来た巨大なピッグをそこら中に設置したお陰だからだ。

 

 「諸君らの奮戦を願う。得に、アイリス大尉。義勇軍として、名誉ある先陣を切らせてやろう。」

ウェイガンが私をご指名のようだ。スコアをくれるとはなんと気前が良いのだろうか。気前ついでに、まともな軍をくれると助かるのだが。士気が高いのは良いが、一会戦で蹴散らされる新兵。ウィッチとして配置されたは良いが、初めてのネウロイにおびえて、漏らしながら、もうスクラップになっているネウロイに銃剣を突き刺し、叫び泣いているお嬢さん方の世話はしかねる。

 

 その点、先陣ならばそのお世話はない。スコアも稼げて楽なのだ。私は気楽に空を飛び始めた。

 

 

 

 

 

 

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