転生ウィッチーズ(小説化)   作:連邦士官

2 / 16
2話

 

 ヘルシンキに着いたばかりの私に、上司の大佐は、呆れた声でこう言った。

「しょうがないから、カールスラントに行け。」

 

 あの船に居た記者は、随分と失礼な記者であり、義勇軍の私が、そのウィッチだとは、知らずに、毎回崩壊する国家に行こうとして、現地に着けないを繰り返す、記者の間だと死神なんて、呼ばれてるウィッチもいるらしいぜ、なんて言ってきた。

 

 まぁ、確かに事実ではあるから、黙っていたが、今、改めて思うとイライラしてきた。多分、この移動だらけの生活のせいだろう。まともなベットが恋しい。

 

 再び、スオムスから、とんぼ返りしてきた私に、あのお優しいバルトランドの入管職員はニッコリと笑い、厳重な身体調査を行うのだった。

 

 「はい、アイリス大尉はこれで終わりです。ご協力ありがとうございます。」

内心は、もう来ないでくれと思ってるに違いない、私の直感はよく当たる。向こうからしたら、明らかに私は、怪しいのだから仕方ない。

私だって同じ立場ならそうするから。

 

 再び、入国審査を済ませて、ロストクに入ると、随分な騒ぎになっていた。通行人の爺さんを捕まえて、国際ネウロイ監視航空団の書類を見せて、どうしたのかを聞いていく。

「あぁ、知らないのか?ダンツィヒ近くまで、ネウロイが攻めてきたんだよ!みんな、ハンブルクやキールに、ここに船に乗りにやってきてる。」

なるほど、今回は、どうやら、国家が崩壊する前に、間に合ったようだ。爺さんにお礼に1マルクを握らせると、私はベルリン行きの列車に、乗り込んだ。

 

 腹が空いたので、何か食べようと食堂車に入り、身分証明書の提示を求められて、私は、パスポートと監視団の書類を見せた、すると、まだ頼む前なのに、ビーツのスープとふかし芋、ヴェルスト、ボロニアとハムにベーコンという、肉肉の山に向かい入れられた。

どうやら、カールスラントは、軍人に優しい国らしく、私のなけなしの大尉の階級章が効いてるらしい。なにより、国際ネウロイ監視航空団という肩書も効いてるようだ。

 

 そうして、私は食べてる間に、備え付けの新聞を読むとカールスラント航空団の勇姿を見よと、次々に受勲される兵士やウィッチに、昇進する兵やウィッチに将軍の姿、総司令官がルントシュテット元帥に変わったとする記事。

 

 最後になお、戦線は後退しました。と書いてある。まさに、末期戦の臭いがする。

 

 ベルリン駅につくと、私は待ち合わせの場所にいたが、ホームに仰々しい装甲列車が止まり、駅員にそちらに案内をされ、私を迎えたのは、今、さっき新聞に載っていたアドルフィーネ・ガランド大佐の副官であると名乗った。

 

 案内されるがままに、部屋に入ると長髪の女性がいた。彼女がガーランドであろう。首には鉄十字勲章がぶら下がっていて、身長が大きい。

 

 「端的に言おう、我がカールスラントは、今現在、建国以来の危機にさらされている。具体的にいうと、駅で売っている新聞にあるように、ニュルンベルクまで陥落をしている。従って、歓迎する余裕はない。」

その顔は、はっきりと言って、落胆したような表情である。それもしょうがない。本来ならば、私は、正式名称として、国際ネウロイ監視航空団付きロマーニャ義勇軍司令官などと言う、大層なお名前なのだ。

 

 実際、少なくても、輸出が止まり余っていた他国に売る為のストライカーを予備用として6機に、カルカノを10挺ほど、マッキから渡されていたのだ。

 

 少なくとも、そこから推察をすると、小隊規模のウィッチを派遣してくれた等と思ってしまったのだろう。申し訳無さは、あるにはあるが私は悪くない。

 

 早速、任地について、聞いたのならば、すぐに返事がやってきた。

「今の前線は気を張っていて、他国のウィッチを受け入れる準備ができていない。このまま、ベルリンに残って、我々の補給路を確保してくれ。」

わかりましたと私は言うが、ガーランドは、急いで来た副官からもらった資料を見ると怪訝な顔をしていた。私のストライカーが二線級なのが、わかったのだろうか?すぐに、追い出されてしまった。

 

 少しの時間が流れ、私が、ベルリンの防空基地に着いた時には、基地はひっくり返るような騒ぎになっていた。基地の前に市民がいる。取り敢えず、基地に入るために歩哨に身分証を見せてから、質問をしてみるとその答えが、私をまた驚かせた。

 

 「もうすぐ、カールスラントから国民を離脱させる、第一弾の作戦のベルリンからの撤退戦が始まるのです。」

とすると、あのガーランドの怪訝な顔は、これが原因だったのか、私としてもそれ以上は追求できずに、私は早く、空を飛ぶことにした。

 

 基地の中は、ごった返していた。それこそ、魔女の鍋をひっくり返したようなものだ。そういえば、ウィッチという魔女は自分の方だったなと1人フフッと笑うと、近くにいたカールスラントウィッチは、眉を顰めた。

 

 「私は、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ大尉です。貴女はロマーニャ人でしょう?なぜ、撤退の準備をしないの?」

どうやら警戒されているのかそれとも、前線になってきた緊張感からか、ピリピリしているようだった。

 

 なんと答えたらば、良いのだろうか?取り敢えず、ベルリンに骨を埋める覚悟できたとでも、言っておこう。そう伝えると困惑した表情になり、「えっ‥‥あっ、あぁ、そう。」と返されてしまった。

毒気が抜かれたようで、ある程度は、柔らかくなったが今度は時折、可哀想な子を見るような目つきになる。かなり辛い。

 

 「ところで、ストライカーは来ていましたが、いつから飛べますか?」

そう聞かれたので、テストパイロット時代と同じ回数、日に3回の出撃と答えたら、目を剥いた後にコホンと咳払いをして、「なるほど。無理はしないように。」と言われてしまった。

 

 なにかしてしまったかなと思いながらも、案内された倉庫に着き、ストライカーを長旅で動かしてなかったので、試しで起動していると早速警報が聞こえ、私は急いで、空にあがる。

 

 

 

 頭がクリアになる。上がるときには、大きく見えたあの基地が、あんなに小さく見える。ともすれば、私は随分と小さい存在かもしれないなどと感傷に浸っていると頭の中に、敵性ビーコンが表示される。

 

 すぐさま、私はカルカノを構えて、冷静に撃ち抜く、相手は小さいネウロイだ。主翼を撃ち抜いた。そして、私は2発目を放ち、相手は金属片になる。

 

 さっきのは、囮とばかりに太陽を背にして、ネウロイの三機編隊が、私に襲いかかろうとする。こう言うときは、こんなボルトアクションのカルカノでは、役に立たない。

 

 本来ならば、ベレッタM1934を貰えるはずが、私は義勇軍であるから、正規軍の装備交換で、残っていたベレッタM1915である。すぐ様、太もものホルスターから引き抜き、全弾を相手に叩き込む。二機が火を噴き、傾いていく。

 

 残ったネウロイが吐き出した、光が頬をかすめる。シールドがあっても、熱を感じる。相手がインメルマンターンを決め、こちらの背面に迫ってくる。私は背中に敵を感じながら、スピードを上げて、私を相手に追わせる。手足を振り、その反動を使い、敵の弾を避ける。学校で背中に目をつけた上に、気持ち悪い動きをするやつと言われた技だ。

 

 そして、垂直に急上昇をして、エンジンを止める、そうすると機体は失速し、ネウロイの後ろに、自ずと落ちていった。再び、エンジンに火を付けると、最後の一機に魔力を載せたカルカノのバヨネット(銃剣)を叩き込む。

 

 これで、固有魔法が言うには、敵は居なくなった筈だが、油断はできない、すぐ様、カルカノとベレッタに弾を込めると目を皿のようにして、確認をする。ダブルチェックは大事なのだ。

 

 飛行を始めた時は、昼頃だった時間も、もう、夕方である。空には、星々が瞬き始めていた。しかし、地上にも、人々が家に明かりを灯し、まるで地上にも星の海があるように見える。人々もまた星と同じで尊いのかもしれない。基地に帰る頃には、完全に夜になっていた。

 

 「大尉!勝手に出撃されては、困ります!」

ヴィルケ大尉が私に怒りを露わにするが、いまいち、怒りきれていない。なにせ、カールスラントウィッチが確認しに、来た時には、私はネウロイを4機撃破していたという、戦果があるのだろう。それに、名前だけだが、形式上はロマーニャ義勇軍の司令官というのも、影響しているかもしれない。

 

 「はぁ、わかりました。今日は部屋に、もう帰ってください。」

諦めたようだ。私は悪いことをしたかなと思いながらも、部屋に向かった。

 

 翌日、食事と牛乳を合わせて食べている、背が大きめで、顔に一文字の切り傷があるスカーフェイスの女性に会った。私の戦果を知っていたようで、毎日一機でも多くネウロイを叩けば、やがて世界は平和になると語っていた。昨日の襲撃で撃墜されて、足の骨にヒビが入っているとも語っていたが、哨戒任務に出るそうだ。カールスラント人は感覚がおかしいのだろうか?

 

 兎も角として、私も哨戒任務に、出ることとした。出撃願いを出しに行くと苦い顔をするヴィルケ大尉。私が何かをしただろうか?

 

 

 

 そうして、もう一度私は空にいた。この浮遊感が堪らない。もしや、あのスカーフェイスの女性もらこの感覚を得たからか?などと他愛もないことを考えていると、あからさまに巨大なネウロイが、その姿を表した。

 

 その姿は、人の様なシルエットであるが、ジェットエンジンの様な推進装置が背中にあり、威圧感からして、明らかに昨日の様な小型のネウロイとは違うことを告げていた。

 

 思わず、逃げたくなるようなネウロイだが、相手の方が速いのは、目に見えている。戦うより、他に道はない。カルカノで狙撃をするが、すぐに避けられてしまった。

 

 私は急降下を始め、降下する位置エネルギーによって、普段は出せない速度を出し、相手を混乱させるつもりだったのだが、即座に飛びついてきたそのネウロイは、私に腕のような部分で5連打を与え、私は危うく、墜落しかける羽目になりつつ、あったのだ。

 

 機体からは煙が出ており、外板は所々であるが剥がれている。その姿に満足したのか件のネウロイは、ボロボロの私を尻目に、優雅に撤退していくのであった。

 

 傷だらけの私が、基地に帰ると医療系ウィッチの下に、連れて行かれて治療を受けた。なかなか温かい。温泉に使っているような気分になった。

 

 その内に、寝てしまい、次の日になり、私はまた出撃をするが、今度は、あの正体不明のネウロイが、槍を持った様なネウロイを連れて、やって来たのだった。

 

 私が、ベレッタを引き抜き、撃った後に素早く、カルカノを撃ち込むと、二機のネウロイは、呆気なく、何処かに撤退していった。もしや、観測データやウィッチの機動データを録っているのだろうか?ヴィルケ大尉に報告をすると、上に報告書を書くから、詳しく話しなさいと言われた。

 

 次の日である。ベルリン撤退戦も3日も過ぎて、やっと半ばを越えた頃、空を埋め尽くす程のネウロイの大編隊が、やって来るのだった。焼ける町並み、墜ちるウィッチ、そこにはカールスラントや扶桑などと言うのは、関係なく、大量のウィッチが墜とされていた。

 

 私には、予備の機体があり、それは性能的に劣ってはいるが、ストライカーはストライカー、ヴィルケ大尉に頼まれて、カールスラントウィッチに、予備機を貸出をしたので、私には、飛ぶための足がない。直るまでは、幾らかかるかは、わからないので、私は転がっていたMG34を片手に、もう一方の手にはMP40を持ち、鉛玉をばら撒いた。

 

 隣には、怪我をしていた男性の兵士が協力してくれて、スポッターになっていたのだが、私は、本当は正直スポッターなど必要ないのだ。 相手の速度や入射角に距離、また360度の視界があるのだ。

 

 それに、この大混戦、どこ撃っても敵に当たる。そんな一種の高揚感が、その時の私を支配していた。

 

 「た、大尉!今、一撃で三機も撃墜しましたよ!凄いです!」

男性の兵士、名前はイェーガーだったかが叫ぶ。それを無視して、私は弾幕を張る。吸い込まれるように、ネウロイが墜ち、その数が、十機を数えた頃、無線がなった。

 

 「大尉、直りました。至急、滑走路に来てください。」

整備兵の声に、私はイェーガーを担いで、滑走路に向かうのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。