基地に着き、補給を終えると、私は空を飛ぶ。
爆装にする為に、今まで履いていた微妙なストライカーのG50とMC200から、新着の装備であるMC202に履き替える。
それ以前より、設計されたFw190やBf109には、劣るがダキア、モエシア、ガリアのストライカーには、引けを取らない性能となっており、戦闘爆撃機として使える。
最も私としては、Fw190や零式と言ったストライカーないし、リベリオン製のP-40が欲しい。無い物ねだりだが、火かき棒とカルカノとバールという、安っぽいホラー映画の主人公の武器かと言う現状から、いつ離脱が出来るのだろうか?
考え事をする間に、準備は出来た。カールスラントの整備兵は、優秀である。
今度の僚機は、ハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユというらしい。ぜひ、同じハンナがつくルーデルぐらい頑張ってほしいものだ。
と、ハンナに、伝えると渋い顔をされた。確かに空戦ウィッチと地上攻撃ウィッチを比べるのは、いけないことか。ロスマンに言わないように、伝えておいた。流石の私でも、クルピンスキーに彼女がやるような、お小言は応える。
まだまだ、蟻のように、地を黒く埋め尽くすネウロイ達。通信でルーデルが、「行くぞ!」と言っている。元気な奴だ。ハンナ、あっちのハンナもやっているから、急降下を教えてやると急降下を始める。急降下の極意は、一に度胸、二に度胸、三に角度だ。等と伝えると「わかってます。大尉殿。」と返されてしまった。
全く、生意気で可愛いやつだ。今度、角度90で対空陣地に急降下する訓練をつけてやろう。そう伝えたら、目を剥いて、呆気に取られたようだった。顔がコロコロ変わってやはり、面白いやつだ。
右、左と木の葉が落ちるような機動とバレルロールを組み合わせる。ダイブブレーキは一番、最後だ。何故なら、中途半端に、急降下を止めると良い的になる。騎馬突撃で、足を止めた者から先に死ぬのと一緒だ。
だからといって、やり切ったら生き残るかは微妙だが、死中に活あり、死ねば助かるのにという奴だ。私は、更にスピードを上げる。ハンナはというと止まろうとする、仕方が無いやつだ。
「た、大尉殿!」
ハンナの首根っこを捕まえると一緒に、急降下をしていく。これぐらいで、死にはしない。死ぬのなら、ルーデルはもう死んでると教えてやると明らかに、動揺した顔付きをする。まだだ、まだ、ハンナから汗が吹き出る。こんなに冷たい空なのに、何故、汗が出るのだ?私は、実はウィッチの教官の才能が、あったのではないかと一人納得した。
急降下の位置エネルギーも増した、数キロ程度の小型爆弾を何十発もばら撒く。十何発かが、不発だ。OM社製の爆弾だ。赤いエナメルの塗装を見たときに、嫌な予感がしていたんだ。
一方で、急降下が終わると、呆けていたハンナが、蘇り、バリバリと撃ち始める。喜んでいるのか、何かを叫んでいる。敵中に、入ったのだから、そこら中にスコアがうようよとしてるのだ。私は、火かき棒で、次々にネウロイを薙ぎ倒す。頭が良くなったのか、地上ネウロイが数で押し切ろうとする。
ネウロイをスコアにするのに、夢中なハンナを捕まえると急上昇を始めた。
「大尉殿!さっきから、何なんだ!首が折れるかと‥‥。」
私が、静かに指を出し、そこを示す。ハンナは、そちらを見る。すると、そこには、明らかに戦車の様なネウロイがいた。形状からして、恐らくは、駆逐戦車で主砲は152mm辺りだろうか?あれに撃たれたら、流石のウイッチも多分死ぬ、私は避けれるから良いが、多分このルーキーのハンナは、ルーキーからターキーに変わっていただろう。
全く、手のかかるルーキーだ。そんな事を私が言うと、「大尉殿が、勝手に降下して、敵中に叩き込んだのでしょう!」言われてみれば、そうである。まぁ、よくある事だ。気にするな。
そして、もう一度、急降下を始める。いくら、ネウロイとは言えど、相手は駆逐戦車、砲塔旋回は出来まい。
私の手を借りずとも、今回はヒュンヒュンと打ち上がる花火のような対空砲火をハンナは避ける。
やはり、私には、教官の才能があるらしい。前世では、新人を殺すから止めろと言われたが、この世界では、ちゃんと価値がある。今度から、見込みがありそうな奴を教育してやろう。私のそんな決意とは、別にして、ハンナは地上型ネウロイの撃破スコアを伸ばす。時々、周りが見えなくなって、ルーデル達の急降下爆撃の範囲に行こうとするので、引き留めるので、精一杯だった。
夕暮れになる頃には、ハンナと私のロッテとルーデル達は、地上型ネウロイを殲滅するのに、成功した。
基地に帰ったのは良いものの、ロスマンにハンナへの訓練が漏れ、すこぶる、長い説教を食らった。やってみせて、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやる教育をしたと言ったのが、より、ロスマンの逆鱗に触れたらしい。ガンガン怒られている私を尻目に、ロスマンのマークから、開放されたクルピンスキーは、いろんなウイッチに粉をかけている。世の中は、不公平である。
やっと、開放された私は、夕飯にありつく為に、食堂に急いだ。早くしないと、ふかし芋だけになってしまう。バターが無いふかし芋とザワークラウトだけは、許してほしいものだ。ジャーマンポテトなどと言う気の利いたものは、カールスラントには、存在しない。ジャーマンが、ふかし芋ならそこら中にあるが。
食堂につくと、銀髪の少女がいる。話しかけてみようか、こんばんわと声をかけるとビクッとする。私は、そんなに怖いのか?
「大尉殿はじめまして、ハイデマリー・ヴァルプルガ・シュナウファー少尉です。」
まるで、話すと動作からウサギのような雰囲気である。身に纏う神秘的な雰囲気とは対称的だ。
話を続けていくと、彼女は夜間ウイッチらしい。なら、私と一緒だなと伝える。私は、夜間も朝も昼も飛んでいるから、なんて、言葉をかける。
若干、引かれたのか、ハイデマリーは「は、はい。」としか、返してくれない。これは、これで、ハンナと違って可愛いやつだ。奥ゆかしい女性と言うのか?
彼女と共に、楽しい食事を済ませて、また、出撃する事とした。
今日の僚機は、ハイデマリーだ。私は、また空を飛ぶ。最近、魔力総量はギリギリだが、回復量は異常だと言われてしまった。何故だろうか?やろうと思えば、誰だって、できる事なのに。
暗闇に浮かび上がる、ハイデマリーと私、ハイデマリーは、ハンナと違って危なくはない機動をする。こちらをカバーするように、私の動きに合わせる彼女に才能を感じる。人の補佐を出来るウイッチは、人に教えるのだってうまい。私のようにだ。
素直に、ハイデマリーを褒めると嬉しそうにする。生意気なハンナも可愛いが、ハイデマリーも可愛い。そして、私のレーダーにネウロイが引っかかる。では、ネウロイにも教育を始めようか。
私は、カルカノを撃ちながら、降下を始める。少しでも、ゆっくりと降下する為に、ストライカーのエンジンを切り、カルカノを撃っては、装填を繰り返す。私のような魔力が少ないウィッチは、ホバリングやVTOL(垂直離陸)等は、出来ないから仕方がない。
最近、思うのだが、もしかしたら、カールスラント軍に、武器をくれと言ったらくれるのでは、なかろうか?
ハイデマリーは、援護射撃をする。先程とは違い、地上型ネウロイが小さく、私のレーダーに、新手が引っかかった。エンジンに火を入れ、上昇をし、ハイデマリーに航空型ネウロイが来ることを伝える。
地上型ネウロイを囮にして、ウイッチを狩る戦法をしてくるようだ。なるほど、賢くなったなネウロイ。私は、カルカノに装填し、ポテトマッシャー(手榴弾)を投げ、ネウロイの前に言った時に撃ち抜き、誘爆させる。
次に、火かき棒を投げて、カルカノで撃ち、火かき棒の投擲中の回転を加速させ、ネウロイの編隊を叩き落とす。空白が出来、カルカノに素早く弾を込める。慣れてない兵士は、ボルトアクションのこの動作に、指を挟んで折ってしまう。
いつも通り、背中からバールを引き抜き、上昇して行く、ハイデマリーより、ネウロイは私を追いかけてきている。ネウロイに嫌われる理由は、わからないが。
ハイデマリーが、安全なら私が囮になる分は、問題はないだろう。
私は、上昇して背中に迫るネウロイ達の吐き出す火を感じながら、避け、エンジンを止め、それにより体は推進力を失い、落下していく、首と足を振り、体勢を逆落としにし、ネウロイ達とノックオンとして挑む、カルカノを前面に押し出して、槍騎兵の様に、突撃姿勢をとる。
右手で、カルカノを保持して、左足のストライカーのエンジンに火を入れ、トルクにより、私は回転していく。
次に、左手でバールを持つ、私の体が小さいことにより、ネウロイ達が、狙う点、投影面積は少なくなる。
必要最低限にシールドを圧縮し、位置エネルギー+体重+重力+回転の力により、威力が増す。シールドタックルで、ネウロイを撃墜していき、去り際に手榴弾を遠心力で、撃ち出す。
弾け飛ぶネウロイ、ばら撒かれるネウロイ片にまるで、冬の雪の日の様な錯覚を起こす。
あらかた撃墜した後に、ハイデマリーと合流して、帰投をする。今は、これで、ベルリンの保持は続くだろうと思った。
翌日、勝手に深夜に出たことについて、ヴィルケ大尉に絞られた。ロスマンからの報告もあったらしく、なかなか堪え、途中で、返事がおざなりになっていると追撃を食らった。パットン戦車師団だって、こんなに追撃をしないに違いない。
やはり、また今日も、昇進帰国要請が来た。私は、お決まりの帰国辞退と昇進辞退を素早く書き、投函する。
そして、今日も緑茶を飲んでいると黒い髪と扶桑の軍服が、視界に現れる。珍しくて、つい話しかける。名前は何ですかと?聞きながら、緑茶を出す。彼女の名前は加藤武子というらしく、彼女に続いて、扶桑ウィッチ達がやって来た。なるほど、ガーランドも黒髪だが、扶桑ウィッチはまた別の黒さがある。
クルピンスキーが、扶桑ウィッチの一団に口説きにかかっていた。しかし、すぐにロスマンがやってきて回収していった。武子と話しているとスオムスの話になった。彼女の友人が、どうやらスオムスにいるらしい。
詳しく話を聞こうとしたら、警報がなった。全く、忙しい奴らだ。
倉庫に向かう中で、なぜ今まで武子達が居なかったのかを聞いたが、脱出する一般国民の船を護衛していたらしい。
同じ義勇軍でも、一方は最前線、一方は後方だなんてなかなか違うなと言ったら、少し、彼女の目が細くなった。私が、スオムスにいる友人とやらにかけて、皮肉を言ったとでも思ったのか?
私は、ため息がつい、出てしまった。また、あの二つの剣を持った大型ネウロイが現れた。最初に現れた大型ネウロイ、そろそろ、私としてもここら辺で、このネウロイと決着をつけたいが、向こうはすぐ逃げる。
私は、逃げるフリをして、退いて行く。やはり、剣を投げてきた。予想通りで、拍子抜けするが、私は剣の風圧に乗り、上昇していく。ネウロイは、慌てて追いかけてくるが、遅い。そして、私は降下する。
ネウロイは、学んでいるようで迎え撃つように、ホバリングをして、剣を構える。すかさず、私はストライカーのエンジンを切り、両手両足を大の字に広げて、空気抵抗を増やし、スピードを殺し、カルカノを私から見て、右と左下を撃ってから、真ん中を撃つ。
避けようとしたネウロイは、左下方向に避けて、予め撃っていたカルカノの弾が、直撃し、一瞬だが、硬直をした。
ストライカーに、火を入れ、カルカノを背中にしまい、背中からバールを引き抜く、そして、火かき棒を投擲した。ネウロイは、火かき棒を弾くために、剣を振るう。振るいきったネウロイの頭部のような場所に、バールを叩き込み、拳の先にシールドを発生させ、突き刺したバールを殴り、更に、深くへと打ち込む。
最後は、ベレッタを引き抜き、全弾同じところに叩き込み、カルカノから外したバヨネットもついでに差し込み、赤い菱形のコアが見えた。手持ちの武器は無く、左足のストライカーを射出し、コアに叩き込んだ。一層の光が発生して、私は片肺でなんとか耐えた。
やっとヤツとの戦いを終わらせた。一つの達成感が私を包み込み、通信がやっと入ってきた。
「ネウロイ!第五次攻勢終了を確認。防衛に、防衛に成功しました。」
私が、基地にたどり着くときには、あちこちで歓声があがっていた。
壊れた町並みに、ここまで、人が居たのかと思った。ついでに、基地に入ると私は、整備兵の喜びと何故、片方しかストライカーが無いのかという質問をよそに、部屋に入って、寝た。
おそらく、ロマーニャに居たときも含めて、一番清々しさがある就寝が出来た。