結局、帰ってきたところで、二人に捕捉され、怒られた。向こうが乗ってくれと言われたから、陸戦ストライカーに乗っただけだ。私は悪くないと素直に言ってしまったからだろうか?私は悪くないのは、当たり前の話だ。
また、私は空にいた。飛び上がる。今日の僚機は監視役なのか、ロスマン曹長だ。彼女は事細かに、補助をしてくれる。二人の身長が合わせて、3メートルにも満たない悲しさがある。しかし、ロスマンやエーリカは、実験機である先行量産Bf109F型を引き渡されていた。一方で私には、MC202である。
リベリオンからパッカードでも、ブリタニアからマーリンでも輸入して載せて、MC205Vを早く飛ばすんだ。24気筒直列液冷エンジンなんて、作って嬉しい美術品や工芸品よりまともなストライカーを作ってほしい。技術者は常にサラブレッドを作ろうとする。こっちは軍馬が欲しいのだ。
ロスマンと水平に飛んでいく。彼女はどんなカバーもお手の物だ。レーダーにより、私はネウロイたちをスコアに変えていく、等価交換だ。私が突出しても、すぐにロスマンは牽制をする戦いやすい。何故か、渡される火かき棒を振り回し殴りつけ、飛ばした先にMP40を撃ち込む。スコアの出来上がりだ。3分よりもすぐできる。
背負子から、クナイを出すとワイヤーごと投げる連続で投げると蜘蛛の巣型にワイヤーが広がる。相手のネウロイ編隊は巻き込まれる。その足止めにロスマンは、冷静に弾を撃ち込んでいく。この場合、スコアは共同なのか、ロスマンのスコアなのか?まぁいい、私は地上型ネウロイをスコアにするために、銃を放つ。制空権の大切さは、この世界だとネウロイが人類に知らしめた。なら、ネウロイにも制空権の大切さを叩き込んでやろう。ロスマンにそう伝えると呆れた声で援護しますと言われてしまった。
ルーデルなら、この会話は喜ぶぞ。お気に召さなかったロスマンを置いて、急降下いや逆落としを開始した。後ろのロスマンが、機銃から金切り声を唸らせる。躊躇がなく、味方の背中から機銃を撃てるのは上手い証拠だ。私からしてみたら、最高のパートナーかもしれない。スムーズに降下する。対空砲火が少ない。ロスマンのおかげだが、歓迎が少なくなったように感じる。パーティーはサトゥルヌス祭クラッカーがないと盛り上がらない、ありえないと広告会社が宣伝したが、確かにと今思っていた。
随分と歓迎が少なくて、つまらない。MP40でこちらが、逆にサトゥルヌス祭クラッカー代わりに、歓迎してやる。随分と歓迎にネウロイは、気を召したようで、スクラップの山ができた。ロスマンから通信が入る。
「突出しすぎです!死ぬ気ですか!十字砲火の中に、逆落としで入るなんてありえません!」
何を言う、ここに私が居るではないか、それに今ので、死ぬくらいなら、私は30回は死んでいる。あれぐらい、ルーデルやアーデルハイドでなくても、ハンナ(マルセイユ)やエーリカと言った年少者でも避けられるだろう。馬鹿を言っちゃいけない。弾は相手の砲身から出る。そして、砲身から離れれば離れた分だけ、わずかな角度差が広がり、収束しなくなる。
なら、砲身から近ければ近いだけ、砲身さえ分かれば避けられる。だから、至近戦では、ナイフを持ったプロがライフルやハンドガンを持った奴等をのせるのだ。これは、帰ったら、ロスマンにCQCを叩き込まねばならない。それだけじゃ偏るので、CQBも教えよう。適切な距離で適切な武器を使うことが、出来るのでプロとアマは違うのだ。
説明したところで、ロスマンは顔を顰めた。完璧な説明だった筈だが。最近、気付いたが対人戦の話をすると顔を顰めるウィッチばかりだ。やはり、私が学校であんなに怖がれたのは、対人戦に特化していたからだろうか?とはいえ、軍人なら誰だって躊躇なく引き金を引けるはずだ。現に、一般人の私が出来たのだから、エースの彼女なら出来るはずだ。
昼間の飛行は、ここで終わりと基地に向かう。帰りがけに、ネウロイが上空の積乱雲から、雲を割るように降下してくる。私の真似か?
「アイリス大尉!!敵接近中!早く準備を!」
私は、ゆっくりと逆落としでやって来る五機のネウロイにMP40を構え、急上昇する。正面同士、距離が近付いてくる。
「大尉!危険です!止めてください!もう!」
ロスマンが諦めたのか、援護を開始する。最初からそう来ればいいのに、私は更にエンジンを吹かす。正面戦闘はチキンレース。最後に勝つのは、度胸があるやつか、そもそも挑まないやつだけだ。ネウロイが、発砲する。最低限の手足の動きの反動で避ける。武器を持った腕を振り回す事で生まれる機動、すなわちAMBACに似たようなモノだ。
空挺をしていた時から、手足で軌道を変えたりしていた為に、ガンダムを見たときはそうなのかと思った。まさか、こうして役に立つとは、世の中とはわからないものである。最低限の機動で上昇をして、ネウロイが目前だ。ネウロイは、恐れたのか避けようとする。しかし、避けようとした機体は、ロスマンが撃墜する。流石はできる女だ。
次にネウロイ達に向かい、エンジンをフル回転させた。そのままシールドで貫き、終了だ。
基地に着くとロスマンが近寄ってきた。何かと思えば、頬に強烈な一撃。しかし、私はピンポイントにバリアを出せるため、ロスマンの手が弾かれた。怪我をしたんじゃないかと心配して、医療ウィッチに引き渡す。ロスマンを怪我させたなら、エーリカやクルピンスキーと言った愉快なメンツと決別するかもしれない。それは嫌だ。
夕暮れになってきた。どこで覚えたのか、ハンナがポーカーをしようと言うので、何人か軍人を見繕うことにする。良いのが居ないか、世間知らずそうなハインリーケを捕まえた。後は誰がいいのか。ヴィットマンとカリウスと言う、コンビが居たので誘った。後一人連れてくるか。クルピンスキーを捕まえた。これでメンバーは揃った。
カードを私が引く。見なくてもわかる。勘が良いのだ。私がカードを見ずに、カード交換をせず、ベットをするとクルピンスキーは笑っている。ハインリーケはよく分かってないらしい。交換を済ませたハンナは、普段の私の教育のせいかレイズしてきた。陸軍のお二人さんは、なんとも言えない。私は、またカードを見ずにレイズをした。ハインリーケは降りるらしい。なかなか、可愛いやつだ。
今日の夜に飛ぶときは、僚機にしてあげよう。クルピンスキーは、悩んだが、フォールド(降りた。)。ハンナはレイズで、残りのヴィットマンとカリウスも降りた。流石はエース達だ。引き際を知ってるらしい。私はハンナが自信満々だ。
「ストレートフラッシュだ。」
キング、クイーン、ジャック、10、9である。
どうだと言ってくるハンナに、そうかと伝え、テーブルのワタシの手札を開く。
エース、エース、エース、エース、ワイルドカード。ファイブカードだ。悪いなハンナ。私の勘と動体視力によるカウンティングは、見ずにでも、こういう事を可能にする。あと、自信があるのが、顔に出すぎだ。
その後は、ハンナも感覚を掴んだようで、ハインリーケがカモになった。カウンティングが出来る。私には問題はない。ハインリーケもそこそこ楽しんでいる様だ。一番は、クルピンスキーが楽しんでいる様だが。
ボロ勝ちをしたので、ハインリーケに何をするのか考えていたところ、見るからにギャングなおじさんがやってきた。祖国の危機にギャングが志願したのかと思っていたら、ハインリーケの部下らしい。面白い連中だな。階級は私が一番上なので、彼らにこれをあげよう。カルカノの薬莢である。カルカノを処分したは良いが、弾があったのを忘れていた。それを皆に配ってお開きになった。
私は、再び、飛び立つ。ハインリーケを捕まえて、連れて飛ぶ。この攻勢を抑えれば、ライン川までハイキングだ。ジャガイモだらけだと思うとちょっとあれだが、貴族だろうが、将官だろうが、あの様にやって食べているのを見ると多分、カールスラントでは、正しいのだろう。
質素な料理の軍隊は、強いと聞く。イギリス、ドイツ、ソ連、アメリカ。皆、質素だ。では、ブリタニアとカールスラント等などは、強いのだろう。ロマーニャは、ロマーニャだから、空軍以外は良いところはない。資金がないのは、悲しいのだ。
暗闇とはいえ、件のレーダーは衰えない。その上、特殊空間把握能力があると言ったら、ハイデマリーが教えてくれた魔導針もある。能力と魔導針は、昼夜問わずに使っているが、便利だ。目よりも正確に、いや、目と合わせることにより、3D立体式のレーダーになっていると言うべきか?考えながら、反応がある方に、MG151を撃ち込む。ハインリーケが「真面目にやるのじゃ!何故、そなたはそんな調子で、次々にネウロイが墜とせるのじゃ。不思議でならん。」と言ってきた。
体質の問題だ。魔力の回復が早いとはいえ、基本は私の魔力は、飛べるぎりぎりなのだ。だから、シールドを圧縮する技術やシールドを動かす技術を覚えないといけなかった。
人より魔力が少なくて、努力している結果だと伝えると、「努力でそうなれたら、ウィッチが皆、そうなってると思うのじゃ。」
なるほど、ハインリーケの言葉には、一理がある。つまり、私のように鍛えたら、元から魔力があるウィッチはもっと強くなるだろう。クルピンスキーかハンナあたりで試してみよう。ルーデルで試してみたい気もするが、昨日も一日に18回出撃をしていて、試す時間はないからな。
あぁ、そうかと独り言つ。今から、ハインリーケを鍛えるか。よし、行くぞハインリーケ。私は、速度を上げる。いきなりの動きに呆気に取られたようだが、ハインリーケは着いてくる。可愛いやつだ。子猫のようだな。ハンナは、子犬のようだし、可愛らしい限りだ。夜間飛行なので、元々高度が高い空域ではあったが、私は一番高い所まで昇った。
「いきなり、何だというのじゃ!」
ハインリーケは、怒っている。ロスマンやヴィルケ大尉と比較したら、随分と可愛いものだ。クルピンスキーなら、ベタベタ体に触るだろう。
作戦をハインリーケに伝える。
高高度から、今は目視や魔導針では見えないがもうすぐ爆撃型の大型ネウロイが来ると伝えた。目下、夜間であるから爆撃型ネウロイは高度を下げて、爆撃する。だから、奴の真上を叩くのだと。もちろん、対空砲火を浴びながら。
濃密な弾幕とむせ返るような熱量を浴びながら、私はハインリーケとダイブする。急降下は死へのダイブとよく言うが、私からしてみたら、楽しい飛び込みにしかすぎない。前世では、空を飛べずに、パラシュート降下をしていたのだ。このように、好きな機動で動ける今などは、何が死のダイブか。
ハインリーケは、経験が少ないのか急降下で黙ってしまった。私は慣れたものだから、8Gがかかっても吐かないから、食べるがハインリーケは、吐きそうになってるのだろうか?私からしてみれば、吐く理由はない。慣れればルーデルの様に、急降下に堪らなく愛を感じるだろう。それにしても、この大型ネウロイは、対空砲火が薄い。CIWS程度はやる気を出してもらわなければ、ハインリーケの訓練にはならんだろうに。
落胆する私のレーダーに、ある反応が入った。やるじゃないか。シースパローのようなミサイルが何十発も飛んでくる。恐らく、小型ネウロイを追尾システムとした兵器だろう。私は、笑った。こうではなくては!
「何を笑っておる!何かが大量に来るぞ!避けなければならん!」
何をいっているんだ?全部叩き落とすぞハインリーケ。MP40の銃声が夜空に木霊し、私のワイヤークナイが夜空を駆ける。次々に、爆散するシースパローやエグゾセのようなもの。飛び散るネウロイ片。正に花火である。昼間、出迎えに物足りなさを覚えていたから、やってくれたのかはわからないが、ここまでやってくれたのに、派手にコアを引き釣りだしてこのネウロイを殺さないのは、不躾で無作法で無粋だ。
にやりと口角を上げる私に、ハインリーケがビックっとした気がする。だからといってなんだという話だが。巨大なネウロイに、空戦陸戦問わずにウィッチ達が集まってくる。私達が近くにいるのに、怖かったのかアハトアハトの砲弾が飛んでくる。火砲が一気にこちらに向く。舞台は整った。私は、シールドを纏わせたパンチで、軽くネウロイの外装を剥がすとバールで更にこじ開ける。
引き攣った顔のハインリーケに、コアを撃てと言う。
「な、何をやって言ってるのじゃ!」
まったくもって察しが悪い。ハインリーケの上着から、ベレッタM1934を引き抜く。まて、私には配備しないのに、輸出だけはして、ロマーニャ軍め。ハインリーケにベレッタを握らせると後ろから、狙いをつけさせてやる。私が触れて、後ろから抱きつくような形になるとより、驚いたようで体が強張る。
「ちょっと待つのじゃ!答えが‥‥。」
待つような時間はない。私はハインリーケの指に、指を重ねると引き金を引かせた。パンと乾いた音が夜空に響く。更にもう一発、まだだ。最後の一発は残して撃った。
この場合、教導なので全弾使うのは、プロではないと教えるためだ。相手にトドメを刺すにも、自分の口に咥えて撃つのもよし。最後の一発は、プロなら残しておくものだ。
巨大なネウロイが、塵になっていく。歓声が夜空を包み、やがて、空は黒から藍に、藍から紫へと色を変えた。夜通し、戦っていたのか。通りで疲れるわけだ。スコア1は、ハインリーケ、お前にやるから後始末を頼む。そう伝えて、私は基地に帰っていった。
移動中に寝ていて、目が覚めるとハインリーケが話したのか、ヴィルケ大尉とロスマンとガーランドにしこたま怒られた。解せぬ。