それでは皆様第9話、どうぞ。
とある日、第55層の[グランザム]、血盟騎士団本部の前には攻略組を始めとしてキリトや俺が集まっていた。
どうやら殺人ギルド[ラフィン・コフィン]の摘発、討伐の作戦会議のために集まっているようだ。
キリト「ダンテ、お前も来たのか。」
ダンテ「まぁな。アスナに依頼されてきたが、結構大所帯になったな。」
既にこの場には三十名近くのプレイヤーが集まっており四方から他愛の無い世間話が聞こえてくる。
広場の柱に腕を組みながら背もたれ代わりにしていたが、ふとこちらにかつての攻略仲間のプレイヤーのディアベルがこちらの存在に気付き、走り寄ってきた。
ディアベル「やぁダンテ!キリト!君達も来ていたのかい?」
ダンテ「ディアベル、お前か......まさかおまえが今回の指揮官か?」
ディアベル「ああ、本当は血盟騎士団の方が担当する予定だったが今後の攻略も考えて僕が指揮することになったんだ。まさか君がいるとは、とても心強いよ!!」
ディアベルがそう笑顔で説明してきた。あの始まりの攻略以来、あまり会う事は無かったが今は[解放軍]のキバオウと対立し、一派閥ギルド[アインクラッド攻略団]というギルドでリーダーを務めているらしい、彼の人柄の要因が大きいのか強行策しかしない軍から抜け出してきたプレイヤー達が彼の元に集い、今では血盟騎士団、青龍連合に次ぐ有力ギルドになった。
ディアベル「あの時、君が助けてくれなかったらこうしてみんなと生きていくことが出来なかったよ。本当にありがとう。」
ダンテ「お礼ならミックスベリーパフェでも奢れ。」
キリト「ダンテ、お前.......」
ディアベル「ははは!君は変わらないな!!それなら今回の討伐が終わったら是非奢らせてくれ。」
キリトはこめかみを押さえたままため息をして、ディアベルは目を大きく開いたと思ったら大笑いしてきた。
ダンテ「言ったな?あとで無しにしてくれって言っても知らないからな?」
ディアベル「わかったよ。さて.....それじゃあみんな!!今回の討伐戦のミーティングを開始する!集まってくれ!!」
ミーティングが終わってしばらく時が経ち、目的地まで向かう途中までは順調だったが情報が漏れたのか待ち伏せに遭った。
ディアベル「!!?上だ!総員、戦闘開始!!」
PK集団「皆殺しにしてやれぇ!!!」
半ば混戦状態の中、一人のPKプレイヤーがこちらに向かって襲ってきた。
「ヒャッハー!!お前が[白銀の銃剣士]だな!?遭いたかったぜぇ?」
ダンテ「そうかい?こっちは遭いたくなかったがな。」
PKプレイヤーが歪な短剣でこちらに何度も刺そうとしてくる攻撃をリベリオンで弾く、そんな膠着状態が続いたのか向こうが痺れを切らし、苛立ちを露わにした。
「っ!?いい加減死ねよぉ!!」
ダンテ「ここら辺で終わらすか......ほらよ!!」
「あ?........ぐはぁ!?」
武器破壊を狙い、相手が何が起こったのか理解出来ない様子の隙を突いて横腹に蹴りを入れ、吹っ飛ばす。
ダンテ「さて、一人一人相手するのは面倒だな。これでどうだ!!」
ベオウルフに切り替え、クイックシルバーで時の流れを遅くして周囲の鍔迫り合いをしているPKプレイヤー達に横槍を入れながら戦場と化したフィールドを走っていくとこちら側の一プレイヤーがレッドプレイヤーにやられそうになっていた。
ダンテ「くそ!?間に合え!」
レッドプレイヤー「これで死.........」
リベリオンで[スティンガー]で当てるがHPが少なかったのかポリゴンとなって散った。
ダンテ(......初めて人を殺したが.....あまり良いものは感じないな......)
しばらく戦闘が続き、討伐隊が優勢になり次々とオレンジ、レッドプレイヤーを拘束していった。やがて先程の騒動が嘘のように静まり返る。
拘束されたプレイヤーの罵声が飛び交う中、別方向から悲鳴が聞こえてきた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「なんだこいつ!?」
ダンテ「??.....まさか。」
悲鳴がこちらに近づくと一番会いたくない青いロングコートのプレイヤーがこちらに歩いてきた。
バージル「ここにいたか、ダンテ。」
ダンテ「.......今回の情報漏洩の原因はお前か、いい加減しつこいぞ。」
バージル「有象無象のやり取りなんぞどうでもいい。貴様との決着をつけることが出来れば何でも利用するだけだ。」
バージルのカーソルをみるとオレンジになっていた。そんなやり取りをしてるとディアベルの指揮の下、複数のプレイヤーがバージルの周囲を回り込む。
ディアベル「相手は一人だ!冷静に攻撃しろ!」
キリト「っ!?よせ!そいつは他の奴らとは違う!!下がれ!」
バージル「煩い蝿共だ。消えろ!」
バージルがフォースエッジで[ラウンドトリップ]でブーメランのように動かし、周囲のプレイヤーを蹴散らした。そのままディアベルに襲い掛かる。
目の前の出来事に思考が追いつかなかったのか膠着していたまま棒立ちしたままだ。
ダンテ「チィ!?」
ディアベル「っ!?な、何が?」
俺はエボニー&アイボリーで弾いてく、そのままフォースエッジはバージルの下に戻る。
ダンテ「バージル、こう何度もやり合うのは面倒だ。場所を変えてやり合おうぜ?いい加減、決着をつけようと思っていたからな。」
バージル「.......いいだろう。ついて来い。」
そう言い、剣を収めて奥の方に歩いていく。この状況を放置するのは不味いのでディアベルには後始末を任せることにしよう。
ダンテ「ディアベル、悪いがパフェの件は無しだ。先に戻ってくれ。」
ディアベル「し、しかし......」
ダンテ「......頼む。」
ディアベル「わ、わかった。」
そんなやり取りをしてバージルの後を追うとするが、一人のプレイヤーに声を掛けられる。
キリト「ダンテ、俺も行くぜ。」
ダンテ「....お前も帰れ、キリト。」
キリト「だが.....」
ダンテ「帰れ!!」
キリト「っ!?」
初めて友人に怒鳴られたのか気圧されるキリトだが気を引き締め、意地でも食い下がるようだ。眼光は強く光っている。
次第に両者の会話に怒気が出てくる。
キリト「何がお前をそこまで駆り立てるんだダンテ!?」
ダンテ「お前が知る必要はない。」
キリト「また足手まといか!?もうあんな....」
ダンテ「そうじゃない。」
キリト「じゃあなん......」
ダンテ「俺の兄貴なんだよ!!....現実世界のな。」
あまりの事実に驚いたのか、その言葉を最後にキリトは黙ってしまう。
キリト「....兄?....奴が?」
ダンテ「.......これは身内の問題なんだ。不満はあると思うがここから先は立入禁止だ。」
そんな会話を聞いていたのかディアベルを始め、全プレイヤー達が唖然とした顔でこちらを見ていたがそれらを無視し、歩き始める。
キリトSIDE
普段は退屈そうにしていたり、楽しそうにこちらを弄ってきたりしていたあのダンテが怒鳴り声を上げた。
はじまりの街からいつも助けてもらってばかりでいつも申し訳なく思っていたが、あの男、バージルの事に関しては一切関与させてくれなかった。その苛立ちが募り喧嘩のようなやり取りをしてると想像もしなかった答えが返ってきた。
ダンテ「俺の兄貴なんだよ!!....現実世界のな。」
そう聞いた途端、言葉が出なかった。俺も現実世界の家族との問題があったため、これ以上は言葉が出なかった。
彼はそのままバージルの後へ歩いてく、俺はただ後姿を見ることしか出来なかった。
ディアベル「キリト、これ以上の深入りはダメだ。此処からはあの二人の問題だ。」
キリト「......ああ、わかった。」
俺たちは捕縛した犯罪プレイヤー達を連行しながら重い足を動かした。
ダンテSIDE
俺はバージルの後を追い、広い一本道に着いた。そこには奴の後姿が見えていた。
バージル「やっと来たか.....」
ダンテ「.....いつまでそうしてるつもりだバージル、[あの時]やこの世界での事も、ずっとそうしてるつもりか?」
バージル「言ったはずだ、力が無くては何も守れない、何もできない。あれ以来、心の中でずっと力を欲していたのだ。そしたらいつの間にかこの世界に巻き込まれた....理由は不明だが、力を試すにはこの場所は最適だった。」
淡々と呪詛のように呟くバージルを見てどこか呆れた。
ダンテ「力ねぇ....そんなことに固執しても過去は変えられない。今のお前じゃ本当の意味で強くなれない、彼女みたいにはなれないぜ.....」
バージル「......黙れ!!!」
その怒号を合図にバージルがフォースエッジで斬りかかり、こちらも同様にリベリオンで斬りかかる。互いの手で相手の剣を掴み、血が流れていく。
至近距離でお互い睨み合いながら俺は言葉を続ける。
ダンテ「俺達が大事にするべきことは彼女から教わった優しさと気高さだ!!」
お互いの腹に蹴りを入れ、距離を取る。
ダンテ「....俺の魂がこう言ってるんだよ。お前を止めろってな!!」
バージル「俺の魂はこう言ってるぞ?もっと、力をとな!!」
しばらく沈黙が続き、お互いにに構えをとる。
ダンテ「........ここでお前を」
バージル「貴様を.....」
そのままお互い剣を構え、どこからか水滴が落ちたような音を合図に突進する。
ダンテ&バージル「殺す!!」
激しい金属音とともに火花を散らした。
再び間合いを取りながらダンテはエボニー&アイボリーを、バージルは幻影剣を飛ばし、お互いの攻撃を牽制する。
バージルが上空に瞬間移動しフォースエッジで兜割りをするがトリックスターのダッシュでかわし、両者共、[スティンガー]を放つが相殺される。
ダンテはそのままベオウルフのコンボでダメージを与えるが途中でパリィされ、向こうは突進して強烈な斬撃を繰り出しながらこちらに振り向く。
そして間髪入れずバージルはフォースエッジと閻魔刀を両手に持ち、斬撃の嵐を繰り出してくる。
ダンテもロイヤルガードで防ぐが全てを裁ききれず、HPがどんどん削られていき、苦虫を噛み潰したような表情になる。
ダンテ(このままだと不味いな、そろそろ反撃に移らないとやられる!?)
バージル「どうしたダンテ?このままだと防戦一方だぞ?」
ダンテ「なら、こういうのはどうだ!」
先程の連続攻撃を防いだのかロイヤルガードのゲージが溜まり、ジャストリリースを放ち、バージルを吹き飛ばす。
お互いに再び膠着状態でゆっくりと円を描く様に歩く、半周した辺りでお互いに斬りかかった。斬撃を繰り返しながらお互いの気分が高まっていったのか悪魔の姿になっていく。
どのくらい時が経ったのだろうか。俺もバージルも息切れを起こしている上、こちらのHPは3割、相手は一割程度しか残っていない。
バージルの方はダメージが大きいのか膝を突く。
バージル「......俺が.....負けるのか?」
ダンテ「どうした?立てよ。お前の力はこんなものじゃないだろ。」
バージルは唸り声を上げ、どうにか足を奮い立たせる。
ダンテ「.......俺はお前を止めなきゃならない。例え殺すことになってもな。」
バージル「...........」
ダンテ「皮肉だよな、同じ兄弟なのにさ.......」
バージル「確かにな.......その点に関しては否定しない。」
しばらく沈黙が続き、意識を研ぎ澄ませる。ダンテはリベリオンを、バージルはフォースエッジを持って雄叫びを出す。
ダンテ&バージル「ハァァァァァァァ!!」
お互い走り出し、すれ違い様に相手に斬りつける。するとバージルのHPが全損し、体勢を崩したのかフォースエッジを落とす。
バージル「貴..様はなぜそこ...まで?」
ダンテ「俺はあくまでも自分の生き方を貫くだけだ。」
振り返るとバージルが微笑むように見え、倒れこむ。俺は咄嗟に手を伸ばすが閻魔刀で掌に傷を付けられ、バージルはポリゴンとなって消えた。
ダンテ(......馬鹿野郎。)
俺は手の傷を握りながら振り返り、フォースエッジを背中に仕舞って街に帰った。
しばらく歩き門前が見えてくるとキリトとディアベル、そしてアスナがいた、おそらく二人から状況を聞いて来たのだろうか?
ディアベル「ダ、ダンテ君.....大丈夫か?」
ディアベルが心配して声を掛けてきたが無視して横を通る。
キリト「ダン.....っ!!?」
キリトは背中のフォースエッジを見たのか黙ってしまった。
そのまま俺は三人を背に人ごみの中に消えていった。
その後
先程のダンテの異様な雰囲気に耐えられずアスナが声を出す。
アスナ「キリト君!今すぐダンテさんの後を追い駆けましょう!!」
ディアベル「ダメだよ、アスナさん。」
アスナ「ディアベルさん!?どうして!?ダンテさんのあの状況は異常だわ!!今すぐに......」
キリト「ダメだ。アスナ、俺達に追う資格は無い......」
アスナ「キリト君まで!?どうして.....」
キリト「....ダンテの背中にあった武器は.......あいつの兄の物なんだ。」
アスナ「っ!?.....それって.....」
キリト「.....ダンテは......家族を....殺したんだ。」
その言葉を最後に門の前でただ棒立ちするだけだった。
今回は3の最終回を元にバージルと決着をつけました。
戦闘面はこれ以上作者の語源能力が乏しいのでちょっと短い内容でしたがご容赦ください。
次回かそのまた次がアインクラッド編最終回になります。
投稿は一週間以内には済ませますのでしばらくの間お待ちください。
ご通読ありがとうございました。