当時リアルタイムで見ていた自分を含めた中高生がにやけ顔になったのは多いはず。
それでは皆さん、二人の仲を再び{温かい目}で見守ってください。
俺とキリトのデュエルが終わり、あれからそう間もない時だった。
再び闘技場の観客席には人ごみで溢れ返っていた。
あの後、キリトが血盟騎士団にアスナを脱退させてもらえるよう交渉した結果、実力を示してもらうとヒースクリフに言われて[二刀流]VS[神聖剣]のデュエルが行われていた。
デュエルの条件として勝てばアスナの脱退を認め、負けた場合はキリトが血盟騎士団に入団する形になったようだ。
俺が控え室に入るとアスナがキリトに怒鳴っていた。
アスナ「もう!!ダンテさんの時といい、どうして君は無鉄砲なの!?」
キリト「わ、悪かった悪かったって、つい向こうの挑発に乗ってしまって。」
アスナ「........この間のキリト君とダンテさんの戦いは別次元のものだったけど、団長のユニークスキルだって同じレベルなんだよ。」
キリト「まぁ、俺だって奴の戦い方は間近で見たことがあるさ、攻防自在の剣技、[神聖剣]。攻撃力もそこそこあるが何より防御力が圧倒的だ。ダンテのロイヤルガードの時の戦い方と似ているな。」
そう言いながら二人はこちらを見るが俺は肩を竦めて誤魔化す。アスナとのデュエルの時、血盟騎士団からロイヤルガードの事について質問....とは名ばかりの尋問にあったことがある。
アスナ「団長のHPがイエロー以下になった所を見た者はいないわ。もはや伝説の域を超えているわ。あの戦い方はダンテさんの次にゲームバランスを超えてるよ。」
キリト「わかってる。」
アスナ「どうするの?もし負けたら私のお休みどころか、キリト君が血盟騎士団に入らなきゃいけなくなるんだよ?」
キリト「ま、簡単にはやられるつもりはないさ、ダンテとの戦いで大体の動き方はわかってきたしな。」
そう言いながらキリトはベンチから立ち上がり、笑みを浮かべる。
ダンテ「自信があるのは結構だが、前回のように負けても知らねぇぞ?」
キリト「ああ、だが悪いなダンテ。どうやら俺はこういうやり方しか出来ないようだ。」
俺は心の中でやれやれと呟き、首を左右に振る。
それからしばらくして、キリトとヒースクリフが舞台の中央に進み、何やら会話をしているようだ。そしてデュエル申請を申し込み、カウントダウンが始まる。
お互い剣を構え、カウントがゼロになるとキリトから切りかかって行った。
俺との戦いを参考にして攻撃していったのかヒースクリフの攻撃を受け流していく。
そしてようやく攻撃が一撃入ったのか。ヒースクリフは一瞬驚きながらも表情を切り替えてキリトを睨みつける。
アスナ「キリト君.......」
控え室から俺とアスナは観戦していたがふと一抹の不安に煽られたのかアスナが呟く。
そのままキリトの連続攻撃が続き、やっとの思いで盾を大きく仰け反らした。その隙を逃すまいと追撃を仕掛けるが一瞬、遠めからじゃわからない程度に盾が速く動き、キリトの攻撃を受け流す。
そしてキリトの背後に回ったヒースクリフは一撃入れ、キリトのHPをイエローにする。
再び観客席からは歓喜の叫びが上がった。
ダンテ(やはりここは原作通りに事が進むか........)
俺は舞台を背に歩き始める。
アスナ「ダンテさん?一体どちらに?」
ダンテ「ちょっと野暮用だ。」
そう言いながら振り返らずに手を振り、別の通路に向かう。そして腕を組みながら壁に背を預け、とある人物を待つ。すると金属音が混じった足音が聞こえてくる。
ヒースクリフ「おや?こんな所に珍しい客人が居たものだな。君はてっきりキリト君の所にいると思ったよ。」
そう言いながら真っ赤な鎧に白いマントを身に着けたプレイヤー、ヒースクリフが俺の目の前に止まり笑みを浮かべたのまま横目でこちらを見る。
ダンテ「いや、随分と大人気ないやり方で勝ったプレイヤーの顔を拝もうと思ってな?」
ヒースクリフ「何のことかな?私は正々堂々と戦ったつもりだが......」
ダンテ「ほぉ?俺にはまるでGM権限で動きを一瞬早くしたように見えたが?」
ヒースクリフ「.........何が言いたい。」
次第にヒースクリフの顔が先程と打って変わり険しくなる。
ダンテ「このままこの場所で話しても良いのか?」
ヒースクリフ「......騎士団本部まで来るといい。そこで話し合おう。」
俺はヒースクリフと共に血盟騎士団本部に辿り着き、以前ヒースクリフと話をした部屋に入る。
相手はそのまま自分の椅子に座り、俺は近くの柱に背中を預ける。
ヒースクリフ「さて、どこから話そうか。」
ダンテ「回りくどいのは無しににしようぜ?.......茅場晶彦。」
向こうが眉がピクリと動くが誤魔化そうとする。
ヒースクリフ「私が茅場晶彦?面白い事を言うね。ダンテ君?」
ダンテ「誤魔化すんならそれでも良いぜ?少し荒っぽいがアンタを倒せばゲームクリアだしな。」
ハッタリにも似た脅迫をするとヒースクリフは声色を変えて言葉を発した。
ヒースクリフ「..........何時から気付いたのかな?」
ダンテ「最初からって言ったらどうする?」
ヒースクリフ「...どういうことかな?」
俺は自分が異世界、もしくは並行世界から来たこと。この世界が架空の物語として俺の現実世界で語り継がれていることを話した。
流石の茅場でも驚いてしばらく俯き、考え事をするように顎に手を置く。しばらくしてこちらに視線を戻し、平常心になった。
ヒースクリフ「つまり、私たちは物語の人物で君はこれからの出来事が既にわかっているということか。」
ダンテ「原作であればな、そこに俺が介入したことで少しばかり歴史が改変しつつあるけどな。」
ヒースクリフ「なるほど......そういうことだったのか。」
ダンテ「意外だな、あんたが納得するなんてな。自分で言ってもなんだがこんな話を信じるとは思わなかったんだが。」
ヒースクリフ「以前君から聞いた平行世界の話を信じると言ったはずだが?それに.........」
ヒースクリフ「少々予定が狂ったが、これこそ.........」
ダンテ&ヒースクリフ「RPGゲームの醍醐味だ。」
ヒースクリフ「!!?」
ダンテ「これも原作に出てくるアンタの言葉だったかな?」
言葉を先読みされたのか、再び驚きの顔を露わにするがすぐに元の冷静な顔に戻る。
ヒースクリフ「あれから君のプレイヤーIDを探し出したがノイズが走るばかりでなにもわからなかったのだ。しかし思わぬ結果がわかった。プレイヤー10001人目。それが君だということだ。」
ダンテ「......やっぱりか。」
ヒースクリフ「意外に冷静だね。それがどういう意味なのかわからない君でもあるまい。」
このSAO、ナーブギアの数は一万しかない。となれば原因不明でこの世界に迷い込んだ俺は消滅、あるいはゲームクリアしたらどうなるかわからないということになる。
ある意味、キリト達の方は逆に[死]に抗うという点では単純明快で羨ましく思う。
ダンテ「最初はお前が原因だと思っていたんだが......どうやら違ったようだな。」
ヒースクリフ「流石に私でもそんな神業を成す事は出来ないさ、仮に出来たとしたらもっと有効活用するしね。」
ダンテ「だろうな。」
ヒースクリフ「それに.....アスナ君から報告を聞いていたが、10002人目の....君のお兄さんの事、残念に思うよ。出来ればその人物とも話がしたかったのだが。」
ダンテ「やめた方が良いぜ?多分、問答無用で斬りかかってくるのが目に見えてる。それに.....」
俺はリベリオンを取り出し、ヒースクリフの額に向ける。
ダンテ「それ以上、人の心の中に土足で入ると痛い目に遭うぜ?」
ヒースクリフ「それはすまない、今後は気をつけるよ。」
そう言いながらヒースクリフは目を瞑り、両手を上げた。
俺は内心、舌打ちしながら剣を仕舞い、テーブルに腰を掛ける。
ヒースクリフ「.....話を変えよう。本来、私の正体を見抜いたのは誰かな?」
ダンテ「お前なら既にわかっている事だろう?」
ヒースクリフ「......やはりキリト君か。いやはや、やはりあのデュエルが原因であるだろうな。私としたことが迂闊だったようだ。」
さも問題ないといわんばかりにヒースクリフは笑みを浮かべ、こちらに視線を向けた。
ヒースクリフ「一つ提案があるのだが、どうだね?取引をしないか?」
ダンテ「取引?」
ヒースクリフ「もしゲームクリアしてしまったら君の身の安全は保障できない。ならば100層まで辿り着くまで私を影から守って欲しいのだよ。流石にキリト君がこのまま黙っているとは到底思わないからね?そうすればある程度時間が稼げる。君が死なないようする方法をこちらで調べる事もできるが?」
ヒースクリフの意外な取引に俺は迷ってしまった。正直な所、出来る事ならゲームクリアした後の身の安全は確保したいのが本音だ。
ヒースクリフ「返事は次のボス攻略までで良い、よく考えておきたまえ。」
ダンテ「............」
俺はその言葉を最後に部屋を出て行く。
しばらくして、キリト達がいる第50層[アルゲート]のエギルの店に向かった。ドアを開けると褐色肌の巨漢プレイヤーがそこにいた。
エギル「らっしゃい!!....ってダンテじゃねぇか。久しぶりだな。」
ダンテ「ようエギル。相変わらずグレーゾーンギリギリの商売をしてるのか?」
エギル「人聞きの悪い事を言うなよ。安く仕入れて、安く提供する。これが俺のモットーだ。」
ダンテ「どうだか....それで?噂の黒の剣士様は?」
そういうと悪巧みを考えたような笑みを浮かべたエギルが二階に続く階段に親指を指した。
エギル「笑えるぜ?今のあいつの姿。」
ダンテ「ほぉ?それは楽しみだ。」
そう言いながら二階の部屋に向かうとそこにはアスナとキリトがいた。もっともキリトはいつもの姿でなくなっていた。
黒から白に、白ではなく赤のラインが入ったロングコートを身につけ。ベットの上で横になりながら。腕で顔を隠していた。
ダンテ「おーぴったりじゃないか.....そのペアルック。」
キリト「これは唯の制服だ!!」
そうツッコミながら勢い良く上半身を起こす。その会話を傍に赤面になりながらこちらを睨むアスナがいたが冷静になりこちらに質問をしてきた。
アスナ「そういえばダンテさん、あの後一体どちらに?」
ダンテ「何、ちょっとした野暮用さ、気にすんな。」
アスナ「??そうですか?」
ダンテ「それより入団したキリトは具体的には何をするんだ?アスナ?」
アスナ「そうですね.....とりあえず騎士団内の三人でパーティーを組んでここのフィールドに向かってもらいます。」
そう言いながらマップを出して探索ポイントを見せる。見た感じ渓谷の用である。
ダンテ(なるほど、具体的なところはわかった。)「へぇ、まぁキリトの実力なら特に問題ないだろうな。さて、俺はこれで邪魔するぜ?」
キリト「ダンテ?どこに行くんだ?」
ダンテ「決まってる。まだ昼のデザートタイムがまだなんだよ。じゃあな。」
二人が転げ落ちるような音が聞こえたが振り返らずに部屋を出る。
ダンテ(さて、こちらも一応準備するか。)
それからある程度日数が経過して第55層の迷宮区前まで進みながら俺は辺りをキリト達を捜索していた。そうするとどこからか声がしてきた。
???「あめぇんだよ!副団長様ぁ!!」
ダンテ(!!?しまった、遅すぎたか!!)
急いで声の発生源がした方向に向かって走る。するとそこには片手を失ったキリトが立っており、後ろにはアスナが泣きながら崩れ落ちた。
遠くにいるため会話は聞こえて来ないが、しばらくするとキリトがアスナの唇を奪った。そしてしばらくして終えるとアスナが頬を赤らめどこか安心したような顔が窺える。
ダンテ(特に問題は無かったようだな。さて、帰るか。)
そうして振り返り帰ろうとするが、キリト達の近くにモンスターがポップした。慌てる二人、キリトがアスナの前に移動し身を盾にする。
ダンテ(クソ!?こんな時に!!)
流石の二人の状況にこのままだと不味いと思い、エボニー&アイボリーをチャージ連射してモンスターを速攻で倒す。
いきなりの銃声で唖然とする二人だが冷静になった二人がこちらに視線を向ける。
キリト「ダ、ダンテ?」
アスナ「ダンテ.....さん?」
ダンテ(ったく、よりにもよって....)「近くで声が聞こえて急いで来たんだが.....お邪魔だったかな?」
そう言いながらガンプレイしながら二人の近くまで歩く。
キリト「いや、本当に助かった。すまない。//////」
アスナ「あ、あははははは.......////////」
赤面しながらも気不味い表情でこちらを見る。
ダンテ(キリト.....お前ならどうする?もし皆の命を助けるために自分の存在が消えるかもしれなくなったら。どう選択する?)
そんな思考を巡らせてるとキリトがこちらを窺う。
キリト「ダンテ?どうしたんだ?」
ダンテ「.......何でもねぇさ。」
俺は誤魔化すように手を振り、背中を向ける。はぐらかしたがキリトはずっとこちらに疑問を浮かべた表情でこちらを見ていた。
キリトの腕が元に戻るのを見届け、いざ帰ろうとした時だった。
キリト「なぁダンテ。ひょっとしてさっきの現場を見ていたのか?」
ダンテ「そうだが?」
キリト「...........」
アスナ「...........」
ダンテ「...........」
渓谷には風が吹く中、二人の顔が段々青ざめていく。俺は爽やかな笑みを浮かべながら振り返る、きっと二人は見慣れた悪魔の微笑みに見えたのだろう。
ダンテ「さて......久しぶりの鬼ごっこといくか!!」
キリト「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!」
アスナ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
しばらくご無沙汰だった鬼ごっこを楽しんでいたが門の前で二人に取り押さえられ、パフェをご馳走になるのを条件に今回の事は見なかった事にした。
二人に凄い剣幕で口止めをされ、俺は不貞腐れたように帰って行った。二人はどうにか事を納められて安堵していたが、その光景を背に逆光で影になった顔に再びの悪魔の微笑みを浮かべた。
その後
パフェをご馳走になった俺は宿屋のベットに横になり朝を迎える。
ダンテ「さてと.......」
俺はメッセージをキリトに送る。
ダンテ「.......ついでにクラインにも送るか。」
キリトSIDE
翌朝、俺はあの後アスナの家のベットでアスナと一緒に眠っているとメッセージが届く。
キリト「こんな時間に誰だ?.....っ!!?」
アスナ「どうしたの?キリト君?」
キリト「......ダンテからだ。」
二人で恐る恐る内容を見ると。
ダンテ{昨晩はお楽しみだったな。}
キリト「.......あいつ、千里眼でもあるのか?」
アスナ「/////////////////」
キリトは呆れたように呆けて、アスナは布団に潜り込んだ。
昼過ぎになり、街中で再び追いかけっこをする三人組の光景を街中のプレイヤーが呆れて見ていた。
後日、結婚が決まり、みんなから祝福の言葉をもらう事になったが一人だけ血涙を流しながらキリトに掴みかかる野武士面のプレイヤーが一人いたのは別のお話である。
さて皆さん。今回久しぶりのダンテの鬼ごっこを入れましたがいかがだったでしょうか?
そしてユイちゃんのシーンは省きます。ユイちゃんファンの皆様ごめんなさい!!
次回はアインクラッド最終回、原作ではスカルリーパー戦、キリトとヒースクリフの一騎打ちですがダンテはどのように立ち回るのか....
近いうちにまた投稿しますので首を長くしてお待ちください。
ご通読ありがとうございます!!