いよいよフェアリーダンス編も中盤に差し掛かってきました。
それでは第5話!!どうぞ!!
サラマンダーの集団との戦闘を終え、中立都市[ルグルー]にてアイテムの買い物も兼ねて、街の散策をしていた。
洞窟の中にいるはずなのに街の街灯や天井の何かしらの明かりでどこかの夜の都会を連想させるような光景に感嘆していた。
リーファ「へぇ~、ここがルグルーかぁ。」
ネロ「結構良い街並みだな。とても洞窟の中とは思えないな。」
キリト「痛ってて......」
そんな風に感想を述べている中、一人だけ張り手をされて片方の頬に赤い手形のエフェクトが出ていた部分を押さえながら痛みを堪えていた剣士がいた。
ユイ「さっきのはパパが悪いです。」
リーファ「ホントだよ!!」
キリト「殺伐とした空気を和ませようというジョークじゃないか.......」
リーファ「次やったらぶった斬るからね?」
キリト「は、はい。」
ネロ「ハァ...なにやってんだか。」
そうしていると機嫌を戻したのか近くにあった店で物色し始めるリーファ。
キリト「そういえばさぁ......」
リーファ「?」
キリト「サラマンダーズに襲われる前、なんかメッセージ届いてなかった?」
リーファ「ああ!?忘れてた。」
そうしてメニューからフレンド登録を確認すると、どうやらレコンは退出しているらしいのでリーファは一旦、ログアウトして確認することにした。
リーファ「それじゃあたしの体、よろしく。ユイちゃん、ネロ君。」
ユイ「はい?」
ネロ「?」
リーファ「キリト君に悪戯されないように監視しててね?」
ユイ「了解です!!」
キリト「あのな......」
ネロ「わかった。その時は死なない程度に叩き潰す。」
ユイは敬礼し、こっちは両手の骨を鳴らしながらそう答える。
キリト「ネロ.....冗談だよな?」
ネロ「...........」
キリト「冗談だよな!!?」
ネロ「多分な?」
キリト「多分!!?」
その光景を見ながら笑いを堪えるリーファが近くのベンチに座り、ログアウトした。
キリト「さてと.....」
ネロ「おっと?早速か?」
そう言ってレッドクイーンに手を伸ばす。
キリト「違う!!そこの売店でなんか食い物買ってくるだけだ!!」
ネロ「....ホントか?」
キリト「お前俺の味方だよな!?なんか殺意が感じてくるんだけど!!?」
ネロ「冗談だ。」
キリト「まったく冗談に聞こえなかったんだけど.......」
物の数分程度で溜め息を吐きながら近くの店で何かを買ってきた。
キリト「ほらよ、ネロも食うだろ?」
そう言いながらこちらに牛串のような物を渡されたが.......
キリト「食わないのか?」
ネロ「....逆に良くこんな物食おうと考えたな?」
手元に渡された牛串ような物は本来のイメージでは茶色のはずだが、如何にも毒が入っているような紫色になっていた。
キリト「売られているものなんだし、大丈夫だろ。それにゲテモノほどうまいって言うしな。」
ネロ「その冒険心だけは理解できねぇ......」
キリト「それじゃあいただきます。あー.....」
リーファ「行かなきゃ!!」
キリト「!!?」
ネロ「うぉ!?」
キリトが口にしようとした瞬間、リーファが立ち上がり、焦ったように声を出した。
キリト「お、お帰りリーファ。」
ユイ「お帰りなさい。」
ネロ「どうした、そんなに慌てて?」
リーファ「.......二人共、ごめんなさい。」
キリト「え?」
リーファ「あたし、急いで行かなきゃいけない用事ができちゃった。説明している時間も無い様なの.......多分、此処にも帰って来れないかも知れない。」
キリト「じゃ、移動しながら話を聞こう。」
リーファ「へ?」
キリト「どっちにしてもここから足を使って出なきゃいけないんだろ?」
ネロ「それじゃ、さっさと行こうぜ?」
リーファ「....わかった。」
アルンの方向に続く道を走りながらリーファの説明を聞いた。どうやらシルフとケットシーの種族同士で同盟を組むため、領主同士で会談が行われるらしいのだがシグルドの内通でサラマンダーの集団が襲撃をするらしい。それで同盟は破棄され、二つの種族の関係が崩壊し、サラマンダーに大量の資金が手に入ってしまうらしい。
キリト「そんな事ができるのか....」
リーファ「だからねキリト君、ネロ君。これはシルフ族の問題だから、これ以上君達が付き合ってくれる理由はないよ。多分、会談上に行ったら生きて帰れる保障はないからまたスイルベーンから生きて出直しだろうだからね。」
そしてリーファが足を止める。
リーファ「ううん、もっと言えば世界樹の所へ行きたいなら、二人はサラマンダーに協力するのが最善かもしれない。」
キリト「?」
ネロ「どういう意味だ?」
リーファ「サラマンダーがこの作戦に成功すれば、万全の体勢で世界樹攻略に挑むと思う。スプリガンとウンディーネの君達なら傭兵として雇ってくれると思う。」
ネロ「.......」
リーファ「だから......今此処であたしを斬っても...文句は言わないわ。」
キリト「仮想世界だから、ゲームだから何をしても良い...そんな奴には嫌って程会って来たよ。一面ではそれも事実だ......俺も昔はそう思っていた。だけどそうじゃないんだリーファ、仮想世界だからこそ、守らなきゃいけないものがある。それを俺は大切な人から....仲間から教わった。この世界で欲望のままに動けば、その代償はリアルの人格へと帰っていく。プレイヤーとキャラクターは一体なんだ。俺、リーファの事が好きだよ。友達になりたいと思っている。例えどんな理由があっても自分の利益の為にそういう相手を斬る様な真似は.....俺は絶対にしない。」
リーファ「キリト君......」
ネロ「そもそもこっちは種族同士の争いに詳しくないってこともあるが、そんな事どうだって良い。俺には関係ないな。」
リーファ「ネロ君........」
ネロ「だからこそ、俺は自分がやりたい事をやる。現実とかゲームとか関係ない......仲間が困ってるなら、手を貸す事ぐらいどうって事ないさ。なぁキリト?」
キリト「だな。だから俺達二人はリーファについて行くよ。」
リーファ「........ありがとう。」
キリト「あ....ご、ごめん。えらそーな事言って、悪い癖なんだ。」
涙目になるリーファに対し、キリトは我に返ったのか慌てるように謝罪した。
リーファ「ううん、嬉しかったんだ。」
キリト「えっと、しまった!時間無駄にしちまったな。ユイ、走るからナビよろしく!!」
ユイ「了解です!!」
キリト「ちょっと手を拝借。」
リーファ「あ、あの////.........へ?」
キリト「行くぞ!!」
手を繋がれ、若干頬を赤くするリーファだったがそんな表情もすぐに変わる。キリトはそのまま振り返りって地面が思いっきり抉れるほど踏み込みをした瞬間、二人は途轍もない速度で走り出した。
リーファ「ひゃぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
リーファは叫び声を上げながらまるで紐のように体全体が浮かんだ。
すぐ前方にモンスターがポップされるのを確認するも二人はそのまま速度を維持し、走っていく。
リーファ「あの、モンスターが!!.........う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
二人はそのままモンスターの間を高速で抜けていく。
キリト「出口だ!!」
リーファ「!!?」
少しして前から眩しい光がどんどん大きくなっていき、目を少し細めた後、光に慣れてきたのか次第に視界を広げる。
二人は助走をつけた状態で羽を広げ、リーファも落ちそうになるがどうにか羽を展開して自力で飛んだ。
後ろを見ると洞窟にいたモンスターが追い駆けようとしたのか崖から落ちていくのが見えた。
リーファ「ふぅ、寿命が縮んだわよ!!」
キリト「ハハ!時間短縮になったじゃないか。」
ネロ「ジェットコースターだと思えばいいじゃないか?」
リーファ「あんなの二度と御免よ!!まったくもう......あ!?」
リーファが何かを見たのかこちらも前方に視界を向けると螺旋状に空へ向かって伸びている巨大な木が見えてきた。
全員がその光景に圧巻しているとキリトがハッとリーファに問いかけた。
キリト「そういえば両種会談の場所はどの辺りなんだ?」
リーファ「そうね、えっと.......北西のあの山の奥よ。」
キリト「残り時間は?」
リーファ「...20分。」
ネロ「もう時間がないな。」
キリト「間に合ってくれよ......」
俺達はタイムリミットを確認し、目的地まで更に加速していった。
あれから数分ほど時間が経過如何にか近くまで到達したもの、時間は徐々に迫りつつあった。
キリト「サラマンダー達より先に到着出来るか微妙だな...」
リーファ「そうね。警告が間に合っても、領主だけでも何とか逃がせるか、もしくはそろって討ち死にかだと思うよ。」
ネロ「どっちにしろ争いは避けられないってことか....」
ユイ「プレイヤー反応です!!前方に大集団69人!!これが恐らくサラマンダーの強襲部隊です!!」
キリト&リーファ&ネロ「!!?」
すると前方に赤い点のような何かが複数見えてくる。恐らくユイの言っているサラマンダーの軍隊だろう。
ユイ「更にその向こうに14人!!シルフ及びケットシーの会議出席場と予想します。双方が接触するまであと50秒です!!」
リーファ「.....間に合わなかったわね........ありがとう二人共、此処まででいいよ。二人は世界樹に行って、私はサクヤを助けに行くから......短い間だったけど楽しかった。また会えるといいね。」
キリト「ここで逃げ出すのは性分じゃないんでね。」
ネロ「こっちもな。」
リーファ「へ?」
ネロ「キリト。」
キリト「ああ、行くぞネロ。」
リーファ「ちょ、ちょっと二人共!?」
そう言いながら作り笑いで別れを告げるリーファだったがあっさりと拒否すし、一気に加速する。
サラマンダーが現れ、動揺する2種族の領主と護衛達、サラマンダー部隊の隊長格と思われるプレイヤーが突撃の合図をしようとする直前に如何にか両者の間に盛大に土煙を上げながら着地した。
キリト「双方、剣を引け!!」
その場に居た全プレイヤーが動揺する中、リーファがサクヤと思われる緑色の着物を着た女性プレイヤーに歩み寄る。
リーファ「サクヤ!!」
サクヤ「リーファ!?どうして此処に?」
リーファ「簡単には説明できないのよ。ただ一つ言えるのは、私達の運命はあの二人次第ってことだわ。」
サクヤ「.....何が何やら。」
キリト「指揮官に話がある!!」
そういうとサラマンダーの軍勢の後ろから一人の男が出てきた。
二人ももそれを確認し、二同じ高さまで上昇した。
???「スプリガンがこんな所で何をしている?それに隣に居る.....ウンディーネか?そいつは誰だ?.......どちらにせよ殺す事には変わりは無い。その度胸に免じて話は聞いてやろう。」
キリト「俺の名はキリト、そして隣に居るのはネロ。スプリガン、ウンディーネ同盟の大使だ。この場を襲うからには我々4種族との全面戦争を望むと解釈しても構わないんだな?」
ケットシー領主であるアリシャとサクヤが理解できず、隣に居るリーファに視線を合わせるも顔と手で大きく振りながら知らないとばかりのジェスチャーをする。
???「ウンディーネとスプリガンが同盟だと?.....護衛の一人も居ない貴様等がか?」
キリト「ああそうだ。この場にはシルフ、ケットシー両陣営との貿易交渉に来ただけだからな。だが会談が襲わたとなればそれだけじゃ済まされないぞ。4種族で同盟を結んでサラマンダーに対抗する事になるだろう。」
???「たった二人で、たいした装備も持たない貴様等を俄に信じるわけにはいかないな。」
そういってサラマンダーの指揮官は背中にある大剣を取り出し、構えた。
???「俺の攻撃に30秒耐え切ったら、貴様等を大使として信じてやろう。さて、どちらから.......ん?」
男が言い切る前に近くにフード付きのローブで鬼の骨格を模した仮面を付けたプレイヤーが近づき、耳元で何かを話し始めた。
キリト「?」
???「ほぉ?........いいだろう。ウンディーネ!!ネロと言ったな?お前の相手はこの男がするそうだ。」
ネロ「ほう?」
そういながらフードの男はこっちだというように首でジェスチャーして近くの森に飛んでいった。
ネロ「こっちに来いってか?いいぜやってやろうじゃねぇか。」
キリト「ネロ、気をつけろよ?」
ネロ「そっちもな?あっさりやられたら目も当てられねえぞ?」
キリト「やるからには勝つさ。」
そう言葉を交わし、別行動になった。俺はフードの男の後を追い、近くの森に降り立つ、半径約20メートル程の円形状に開けた場所の中央で男は立っていた。
???「ここでいいか?邪魔者もいなさそうだし。」
ネロ「なんだ、喋るのかよ....てっきり沈黙キャラを設定してるのかと思ったぜ?」
???「色々と訳アリなんだよ、察してくれるとありがたいんだが。おっと、こちらの自己紹介がまだだったな?俺はトニーって言うんだよろしく。」
ネロ(トニー?へぇ、こいつが情報にあった........という事はさっきの男はユージーンっていう大将か.....)
トニーと名乗ったプレイヤーが先程とは打って変わって喋りだし、此方の調子は狂ってしまう。
トニー「まぁ挨拶は此処までにしといて.....さっさと始めるとするか?」
ネロ「そうだな。」
トニーは背中にある骸骨の彫刻が彫られた剣を出し、こちらに切っ先を向ける。
こっちはレッドクイーンを地面に突き刺し、軽くエンジンを拭かせるようにグリップを捻って[イクシード]を一段階溜めると向こうも同じ仕草で真似る。
ネロ「それじゃあ.......行くぜ!!」
こっちが先に[ストリーク]で仕掛けるも既に読まれていたのか簡単に防がれてしまう。
ネロ「ッ!!?なら!!」
今度はコンボを繰り出していくも片腕でパリィされる。反撃と言わんばかりにトニーは右回転しながら逆袈裟を繰り出し、剣で防ぐも余りの衝撃で後ろに吹き飛ばされる。
ネロ「この!!」
如何にか虚を突こうとブルーローズを取り出し、一発撃った。
トニー「ほらよ。」
流石に当たると思ったはずだが左斬上で明後日の方向に受け流されてしまった。
ネロ「な!?」
トニー「どうした?まさかもうネタ切れって訳じゃ無いだろうな?」
そう言いながら剣を肩に担ぎながら左手でワザとらしく広げ、今度は此方に手を仰ぐように挑発する。
ネロ「まさか.......勝負はこれからだ!!」
そう言いきるとトニーに向かって走り出し、右斬上、左斬上、右回転して左薙をして切落をするも相手も同じ様に斬撃を繰り出し、またもや全て防がれ、最後に鍔迫り合いをする。
そのまま膠着していると競り合いに集中し過ぎたのか向こうは上に剣を振り上げ、此方の体制が崩れてしまう。それと同時に腹に蹴りを入れられ後方の地面にすべる様に倒れこむ。
ネロ「ぐぅ!?」
トニー「やれやれ、噂には聞いていたがそれほど大したことないな?」
ネロ「なら....これでどうだ!!」
勢い良く跳ね上がり、デビルブリンガーの[スナッチ]を伸ばす。
トニー「!!?」
流石にいきなりの出来事に対処出来なかったのか一瞬の動揺で隙が生まれ、足を掴む事が出来た。
ネロ「はぁ!!」
思いっきり手前に引き寄せ、上から思いっきり殴って地面に叩き潰す。
トニー「ぐ!!?」
ネロ「逃がさない!!」
馬乗りになり、そのまま右手で何度も殴り続ていき、次第に仮面に亀裂が入る。するとトニーから赤い稲妻が走り、次の瞬間に吹き飛ばされる。
ネロ「うぉ!?」
如何にか倒れないように足で踏ん張りながら後方に滑りつつ何とか耐えながらブルーローズを構える。一体何が起きたのか理解できず、動揺するばかりだった。
トニー「今のは.....なかなか堪えたぜ?今度はこっちの番だ!!」
ネロ「!!?」
トニー「こいつについて来れるか?」
そこに居たはずのトニーがいきなり目の前に現れ、咄嗟にレッドクイーンで応戦しようとしたが向こうは目で追うのがやっとの速さで九つの方向から斬撃が襲ってくる。
最後に突き技を繰り出し、吹き飛ばされる。しかし、トニーも先ほどのダメージと今の攻撃がかなり負担になったのか少し息切れをしている。
トニー「はぁ..はぁ......」
ネロ「う....うぅ....」
今の攻撃でHPが2割以下になってしまった。体が鉛のように重く感じ、如何にかレッドクイーンを杖代わりにして立ち上がるも男は別方向を見ていた。
トニー「そろそろか.......」
ネロ「どう..した?まだ勝負は....これからだ!!」
精一杯のやせ我慢を言ってみるも状況は火を見るより明らかだった。このまま続ければ此方の負けになり、リーファの話に寄ればまた拠点に逆戻りしてしまう。
ネロ(ここで....負ける訳には......)
トニー「いいや、これで終わりだ。見てみろよ。」
ネロ「?」
ふと、トニーの視線を追うと上空で火を纏った何かがゆっくりと落ちていくのが見えた。
トニー「どうやら、お宅の相方が勝ったみたいだな?」
ネロ「キリト.......」
トニー「それじゃ、俺はここら辺でお暇させてもらうぜ?」
ハッとトニーの方向に視線を戻すも先程までそこに居たはずの男の姿は無かった。
トニー「続きはまた今度のお楽しみにしとこうか?次会う時はもっと強くなってろよ。」
どこからか声が響き、しばらくすると気配が完全に消えた。
ネロ「何だったんだよ........あいつ.....」
そういいながら治癒魔法である程度回復し、キリト達の下へ戻る事にした。
同盟会議の場所に戻ると三種族がおり、その中心にはキリトとユージーンが拳を軽くぶつけていた。
キリト「お、ネロ!!そっちはどうだった?」
ネロ「....悪い。こっちは完敗だった。」
リーファ「嘘!?ネロ君が!?」
ユージーン「あいつは俺よりも実力がある男だ。奴に勝てるプレイヤーが居たとしてもこの世界で一握り程度だろうな。」
キリト「へぇ、そいつとはいつか戦ってみたいもんだな。」
リーファ「うへぇ、こんな時までバーサーカーの片鱗を見せないでよ.......」
ユージーン「ん?奴は戻ってきてはいないのか?」
ネロ「姿を消してどっかいった。」
ユージーン「フ、自由気ままな奴だ。」
そう言いながらユージーンは鼻を鳴らしながら笑みを浮かべる。
キリト「あいつはアンタとこの部下じゃないのか?」
ユージーン「奴とデュエルを終えた後、最初は勧誘したがあっさりと断られてな、その上レネゲイドになったのだ。一人の方が自由で良いと言ってな。」
ネロ「そんな奴がどうして一緒に居たんだ?」
ユージーン「わからん、どこからか情報を手に入れたのか、俺の所に来て同行させてくれといわれてな。傭兵という形で一緒に来たのだ。」
ネロ(聞くとますます謎だな.......)
戦ってみてわかったが全力でなかったのが良くわかった。恐らく世界樹攻略に一緒にいたら一人で突破しそうだ。にもかかわらず、まるでどこか此方を試されているような気がして仕方がなかった。
そんな会話を終えて、サラマンダーの集団は自身の領地へと帰って行くのを見送った。
キリト「サラマンダーにも話がわかる奴がいるじゃないか。」
リーファ「アンタってホント無茶苦茶だわ。」
キリト「よく言われるよ。」
リーファが苦笑いしながら笑うと横から咳払いが聞こえてきた。
サクヤ「すまんが.....状況を説明してもらえると助かる。」
俺達はこれまで起きた事とレコンの情報をサクヤ達に説明した。そして全て話し終えるといつの間にか空は夕暮れになっていた。
そんな中、森の方を見ながら俺は先程戦っていた男、トニーの事を思い返していた。
ネロ(あの男、何処かであった事があるような?........でもこの世界では面識は無いし.....現実世界?それこそまさかだよな.....)
キリト「おーいネロ!!こっちは終わったぞ!!.......どうしたんだ?」
ネロ「ん?ああいや、なんでもない。ちょっと考え事をな......そっちは終わったのか?」
リーファ「ええ、シグルドはサクヤにシルフ領を追放されてレネゲイドになったわ。」
ネロ「因果応報って奴か.....ま、当然の報いだがな。」
そうしているとサクヤとアイシャが此方に歩み寄ってきた。
サクヤ「ネロ君と言ったか、キリト君もそうだが君にも礼が言いたい。本当に助かったよ。感謝する。」
ネロ「俺は負けたがな。」
サクヤ「そうでも無いさ、あのユージーン将軍に勝ったプレイヤーと互角に戦える程の実力を持ってるじゃないか。それにキリト君からも聞いたがかなりの実力者と聞いている。」
アリシャ「そうだ!!君もこっちで傭兵として来ない?三食おやつに昼寝付きだよ?」
そう言いながら体全体を左腕にくっつけながら誘惑....もとい勧誘してきた。
ネロ「い、いや...ちょっと....」
サクヤ「此方としてもスイルベーンで食事でもどうかな?この右腕も気になるし、どうだろうか?」
今度は右側からサクヤが寄ってきて上腕部分に何か柔らかい感触が伝わってくる。
ネロ「な!?」
アリシャ「ああもう!?サクヤちゃんそうやってまた色仕掛けで掻っ攫おうとする!?」
サクヤ「人聞きの悪い言い方をするなアリシャ。お前こそ見境無く勧誘しようとしてるではないか!?」
アリシャ「サクヤちゃんこそ面食いも程ほどにしないと嫌われちゃうよ?」
サクヤ「誰が面食いか!?お主だけには言われたくない!!」
ネロ「...........あんた等同盟組む必要あったのか?」
リーファ「アハハハハ........」
ネロ「おいリーファ!!見てないで如何にかしろよ!?片方はお前の所だろう!?」
リーファ「あー...その.....ゴメン無理。」
ネロ「おい!!?」
キリトのほうにも無言で視線を送るが視線を逸らされた。
ネロ(後で覚えてろよ。)
そう思いながら頼みの仲間の助け舟も期待できない以上、自力で打開しなければならないがどうしたものか。
ネロ「えっと、悪いがまた今度にしてくれ。俺にはやらなきゃいけないことがあるんだよ。」
サクヤ「やりたい事?ひょっとしてキリトと同じ世界樹攻略の事か?」
ネロ「.........」
サクヤの質問に対し、沈黙という肯定で答えた。
アリシャ「うーん、そういうことなら仕方が無いね。ね?サクヤちゃん?」
サクヤ「そのようだな。」
その後、キリトがサクヤ達に攻略用装備品の費用として多額の資金を提供した後、俺達はアルンへと向かった。途中、ユイが領主に言い寄られていたキリトに対し、浮気をしていると怒られ、全否定していないところに苦笑いをしながら此方も後ろめたくなるような心境になったのは余談である。
場所は変わり、世界樹の上空の檻の中でアスナはベットから立ち上がり、扉に近寄った。
沙奈「??」
突然の隣人の行動に疑問が浮かぶ一人の少女を背に暗記していた番号を入力し始める。
アスナ「8、11、3、2、3、2、9。」
番号を入力し終えると格子状の扉が開く。
アスナ「サナちゃん、行こ?」
沙奈「い、行くって....どこに?」
アスナ「現実世界に....みんなが居るところにだよ。」
そして沙奈に手を差し伸べるアスナ。沙奈は震える手を繋ぎ、立ち上がる。
アスナ「キリト君....私、頑張るからね?」
そう胸の中で誓いを立て、沙奈と共に前へと歩みだす。
沙奈(宗次郎.......)
沙奈はついこの間まで自分の事を心配してくれた青年の顔を思い出し、勇気を振り絞る。
その後
サクヤとアイシャが帰路を辿っていくと前方に赤い人影が一人空中に浮かんでいた。
アリシャ「......サクヤちゃん。」
サクヤ「ああ。」
手前で停止すると男が此方に振り返る。それと同時に護衛のプレイヤーがサクヤ達を囲むようにして守りを固める。
トニー「安心しろって別に襲ったりしないさ。」
サクヤ「ならなぜこんな所にいる?ユージーンの指示か?」
トニー「そんなんじゃないさ。こいつは個人的な用事だ。」
サクヤ「?」
アリシャ「どういうこと?」
トニー「こいつを渡すのを忘れてな?」
そう言いながらメニューから大きな袋を取り出し、渡すと言わんばかりに突き出した。それを見てサクヤが護衛の間を通り抜け近づく。
アリシャ「サクヤちゃん!?罠かもしれないんだよ!?」
サクヤ「もしそうなら、あの時に私達は殺されている筈だ。そうだろう?」
トニー「物分りが早いと助かるよ。」
そう言って袋を受け取ると重かったのか一瞬、体制を崩してしまうサクヤだが中身を見てみると再び驚愕の表情が浮かんだ。
サクヤ「こ、これは!?」
アリシャ「どうしたの?......!!?」
サクヤの反応に疑問に思い、袋の中身を見てみると同じように驚いた。中身は先程キリトから渡された金額とほぼ同等の金額が入っていた。
サクヤ「これは.......どういうことだ?」
トニー「どうもこうも....軍資金が多いほどそれに越した事はないだろう?」
サクヤ「そうではなく!!レネゲイドとはいえ、サラマンダーであるお前がこれほどの資金を渡す理由はなんだ?」
トニー「別に深い理由は無いんだが......まぁ特に他意はないから素直に有効活用してくれ。それじゃあな?」
サクヤ「あ、おい!?」
そう言ってどこかへと飛んでいくトニーを傍観し、その場に疑問を浮かべるばかりシルフとケットシー達。
アリシャ「どういうこと?もう今日は色んなことが起こり過ぎて訳わかんないよ。」
サクヤ「ああ、そうだな。」
それからしばらくして罠は無い事を確認し、再び各自の陣営へと戻っていく両者だった。
今回は途中からオリジナルの要素が入りましたがいかがだったでしょうか?
ネロ君にようやくまともな戦闘シーンが入りましたがまさかの強制負けイベントみたいな形になりました。
次回はアスナ達の脱出劇、キリト達の現実世界のストーリーとなります。
またしばらく戦闘面はお預けになってしまいます。
それではまた次のお話でお会いしましょう。
ご通読ありがとうございました。