第6話!!どうぞ!!
サクヤ達と別れてしばらく飛んでいるといつの間にか夜になっていた。空は暗くなり、周囲の森が不気味な程に黒く染まっていく。今まで都市部で暮らしていただけあってこの光景がとても新鮮に感じていた。
リーファ「見えてきたよ!!」
リーファの声で前方に意識を戻すと暗闇の中、世界樹の麓に大規模の街、中立域央都[アルン]が途轍もない程の灯りの数で照らされていた。入り口前で着地して街全体を視界に捉え、リーファが目を輝かせ、キリトと俺は余りの大規模な街並みに圧巻する。
キリト「世界樹......」
リーファ「うん。間違いない。ここがアルンだよ!!アルヴヘイムの中心、世界最大の都市!!」
キリト「ああ、ようやく着いたな。」
ネロ「道中、散々な目に遭ったがな........」
リーファ「アハハ........」
キリト「まぁ結果的に辿り着けたんだから良いじゃないか。」
ネロ「そうだが、これ以上トラブルが起きないでほしい。」
キリト「まぁまぁ.....それにしても流石に世界の中央なだけあってすごい光景だな。」
ユイ「私、こんな大きい街に来たの初めてです!!」
リーファ「私も!!鉱物塔の光がまるで星屑みたい。」
そうしてこれまでの旅とアルンの光景に感想を述べているとどこからかアナウンスが聞こえてくる。
{本日、1月22日午前4時から午後3時まで定期メンテナスの為、サーバーがクローズされます。プレイヤーの皆様は10分前までにログアウトをお願いします。......繰り返します.....}
リーファ「ふぁ~......今日はここまでだね。一応宿屋でログアウトしよ?」
キリト「ああ......」
ネロ「.........」
リーファ「??」
あの樹の上に彼女達がいる。そう考えるだけでもこのまま続けたいくらいなのだが一旦中断しなくてはならない状況に歯を噛み締める。俺たちの反応にどこか違和感を覚えるリーファだがすぐにいつもの調子に戻るキリトだった。
キリト「さ、宿屋を探そうぜ?俺もう素寒貧だからさ、あんま豪華じゃない所がいいなぁ。」
リーファ「良い格好して、サクヤ達に全財産渡したりするからよ。宿屋代くらい取っときなさいよね?」
キリト「ハハハ......」
ネロ「まったく持って計画性がないな......ハァ」
ここに来る途中、キリトの金銭状況を知った俺とリーファは大きなため息を吐きながら呆れた。
リーファ「パパはああ言ってるけど近くに安い宿屋ある?」
ユイ「え?えーと、あっちの降りた所に激安のがあるみたいです。」
リーファ「げ、激安かぁ.......」
キリト「ほら、行くぜ?」
リーファ「あ、ちょっとキリト君。」
キリトの後を追うリーファ、二人の後姿を視界の端で見ながら世界樹を見据える。
ネロ(もう少しだ.....待っていてくれ。沙奈。)
リーファ「ネロ君どうしたの?置いてくよ?」。
ネロ「.........今行く。」
このままここに居ても仕方が無いと思い、リーファの呼び声で意識を切り替え、宿屋へと足を動かした。
アスナSIDE
場所が変わり、アスナは沙奈を連れてしばらく世界樹周辺の枝の様な道を進んでいくと世界樹に入る為の入り口が見えてきた。
アスナ「あれは.....」
物陰からまた別の物陰へと移動しながら近づいて行く。すると入り口の奥には機械で出来た扉が道を塞いでいた。隣にある半球体の物体に触ると勢い良く開き、アスナの間抜けた声と同時に扉の横に隠れる。
中を覗き込むと白いトンネル状の通路が繋がっており、ゆっくりと壁を伝って歩いていく。
アスナ(どこまで続いているんだろ?)
しばらく進むと壁に何かが描かれていた。良く見ると色で区別されており、一つ一つに名前が書かれていた。
アスナ「案内図?」
この区域のマップと思われる絵を見ながらアスナはログアウトできる施設を探す。するとその中に実験体格納庫という項目に目が留まる。
アスナ「実験体?」
アスナはあの檻の中で須郷が喋っていた事を思い出す。SAOプレイヤーの中で極一部を捕まえ、痛みに対する恐怖などの感情をコントロールしていると自慢げに話していた。
一瞬、息を呑んだがすぐに冷静に戻りつつ再び沙奈を引き連れて格納庫へと進んだ。
しばらくして目的地である部屋に辿り着いたのだが、中は人の肩までの高さの銀色の円柱が無数に存在した。
そのひとつに視線を捉えると柱の上には人の脳の形をしたホログラムが浮かんでいた。
アスナ「これって.....ッ!!?」
ふと先ほどの記憶を思い返し、ある結論に至ったアスナは目の前の起こっている事に戦慄し、両手で口を押さえた。
アスナ(苦しんでいる!?........これ....全部!?)
ただひたすら流れる機械音とその光景に沙奈は怖くなり、アスナ腕にしがみつき、それに応えるように彼女を抱きしめる。
アスナ「なんて....なんて酷い事を.....許せない....いえ、絶対に許さない。待っててね。すぐ助けるからね?」
聞こえもしないはずの相手にそう言っていると扉の開く音が聞こえて来た。すぐに柱の後ろに隠れ、相手の様子を伺う。
「さて、どうなったかな?」
「お、こいつまたスピカちゃんの夢見てるよ。」
ナメクジの姿をした二人組が何かを確認するように話し合っている。見つからないように距離を取りつつ、部屋を散策していると青い光の筋が幾つにも流れている黒いキューブの形をした何かが浮遊していた。
アスナ(あれは.....もしかしてシステムコントロール?)
SAO時代に第1層でユイを助けるためにキリトが使用した黒い長方形の黒い物体に細工したことを思い出す。もしあれがシステムコンソールだとすればこの世界からログアウトできるはず。
ナメクジの姿をした研究員と思われる二人を一回見るがこちらにはまだ気付いていない様子だ。恐らく捕まれば二度は無いこの機会を逃す訳にはいかないと思い、再び沙奈を引き連れてコンソールに向かって走っていく。
アスナ(お願い!!)
目の前まで辿り着き、カードキーと思われる物が刺さっているの確認できた。すぐに抜き取ると無数のメニューウィンドウが開き、安堵する。
その中からログアウトの項目が見つかった。
アスナ「これだ......待っててね沙奈ちゃん、すぐにここから出られるからね?」
まず先に須郷の謀略に巻き込んでしまった彼女を脱出させようと思い本人に視線を変え、この世界から出られることを告げると僅かに沙奈は僅かに微笑みを浮かべる。
いざログアウトボタンを押そうとした瞬間、後ろから大きな影が二人の少女を覆った。
ネロSIDE
俺はALOの定期メンテナスが終えるまでの時間、食事と身支度を済ませて外出した。近く花屋から青紫色の桔梗を買い、いつものバス停から病院へと向かった。
宗次朗(あれからキリト達と出会って、僅か数日で色んな出来事が起きたな.......)
気がついたらALOの世界を含め、いつも見ていた光景とは似て異なる状況になってしまった。キリト達と旅をすることになったり、サラマンダーに襲撃を退いた。そしてつい最近では2種族による同盟を守るために戦ったりもした。
宗次朗(俺は.......楽しんでいるのか?)
元々はあの写真の真偽を確かめる為に赴いた筈なのにあの世界で感じた高揚感は何度拭い去っても消えなかった。心の何処かで罪悪感と自己嫌悪になりながらも目的地に着いたのを確認し、料金を支払ってバスから降りた。まだ1月なだけあって冷たい空気が顔の肌と鼻の中を突き刺さるように流れていった。
宗次朗「うぅ....寒ぃ.....やっぱりもう少し着込んで来るべきだったか?」
外出する前の自分に注意したいと馬鹿げた事を考え、白い吐息を吐きながら病院の入り口へと進んだ。
バスの中で考えていたことをもう一度思い返しながら歩いていると前方不注意の所為で廊下の曲がり角から誰かが出てくることも気付かずぶつかってしまった。
???「それでね?お兄ちゃんはきゃ!!?」
宗次朗「うぉ!?」
首元で切り揃えられていた髪型をした少女と軽く肩がぶつかり向こうが慌ててこちらに向いて謝罪してきた。
???「ご、ごめんなさい!!大丈夫でしたか!?」
宗次朗「いや、こちらもすまない。」
すると少女の連れと思われる黒いコートを着た青年が現れた。
???「ちゃんと前を歩けってスグ。すみません、妹が......って宗次朗!?」
宗次朗「ん?キ...じゃない...和人か!?」
妹と呼ぶ青年を見るとつい数時間前までALOにて一緒に旅をしていたキリト改め桐ヶ谷和人がそこに立っていた。つい向こうの名前で呼びそうになるも慌てて訂正する。
???「あれ?お兄ちゃんの知り合い?」
和人「え?あ....ああ、最近知り合ってな。如月宗次朗って言うんだ。宗次朗、こっちは妹の直葉だ。」
直葉「は、始めまして。妹の直葉です。」
宗次朗「宗次朗だ。よろしく。」
自己紹介と握手を済ませると直葉と呼ばれた少女は驚いた表情のままだった。
宗次朗「どうかしたか?」
直葉「え?ああいえ!?その.....お兄ちゃんにもリアルで友達が居たんだなって思って。」
宗次朗「は?」
和人「ちょ!?スグ!?」
直葉の発言と和人の慌てた様子から普段どんな生活を送っているのか容易に想像できた。
宗次朗「お前......ボッチだったのか......」
和人「ち、違う!?インドア派って言ってくれ!!」
宗次朗「......すまん。」
和人「謝るな!!なんか悲しくなるだろ!?」
そんな二人のやり取りを隣で笑いを堪える妹がいた。どうにか話題を逸らそうとしたのか和人は宗次朗の手元に花があるのを気付き、こちらに質問してきた。
和人「そ、そういえば宗次朗はどうしてここに?誰かの見舞いか?」
宗次朗「.......まぁそんなところだ。........会ってみるか?」
和人「いいのか?」
宗次朗「ああ、直葉とは年が近いから良い友達になれそうだしな。」
直葉「ということは女の子ですか?」
宗次朗「そうだ。あとそれから敬語は要らないぜ。」
そう言って二人を連れて彼女が居る病室に向かった。男である和人を会わせるのに少し考えたが意識が無い今となっては意味を成さないだろう。
しばらく歩くとひとつの病室に辿り着いた。
宗次朗「ここだ。」
直葉「柊....沙奈?」
名札を見ている直葉を横目に扉を開けて入る。そこにはあの時から変わらず眠って居たままの沙奈の姿が見えた。大きな機械が頭を覆い隠れてしまい、片方の腕から点滴のチューブが伸びている。隣には心電図が一定の間隔で音が鳴っていた。
直葉「これって!?」
和人「これは.......!?」
宗次朗「.......沙奈。遅れて悪い、丁度さっきそこで友人と会ってな?桐ヶ谷和人と妹の直葉だ。」
返事が返ってくるはずも無い少女に友人の紹介をしてベットの近くにある椅子に座った。
直葉「宗次朗さん、これってどういう.....事?」
宗次朗「.....沙奈はPTSDによってメンタルケアの為にこのメディキュボイドを使っているんだ。」
直葉「PTSD?一体何があったの?」
和人「おいスグ......」
直葉「あ!?その....ごめんなさい.....」
宗次朗「謝るな直葉、それにそのことを説明するのも含めて連れてきたんだ。」
直葉「え?」
和人「........聞かせてくれるか?」
宗次朗「........今から1年程前だったか.......」
あの時を思い返したくは無かったが二人には知ってもらいたかった。理由は特に無かったがどうしてかALOのキリトの真剣な表情を思い出し、話す気になれた。
そして彼女が学生時代に何が起こったのかすべて話した。全て話し終えると直葉は目を見開き、涙目になりながらまるで吐き気を催すように青ざめた。
宗次朗「そして今に至るって事だ.......」
直葉「そんな.....そんなことって.......」
宗次朗「そして半年前にこの機械を使う事が検討された。だけど三ヶ月前、沙奈の意識が戻らなくなったんだ。原因は不明のまま強制的に機械と切り離すと本人の精神にどんな悪影響が出るかわからないといわれてからずっとこのままらしいんだ。」
知っている限りの事をすべて話した俺はゆっくりと二人に顔を向けた。予想通り、直葉はこの事に対し、嫌悪感を感じているようだ。だが和人だけはどこか考え込むように俯いていた。
宗次朗「和人?」
呼び声に答えるようにこちらに意識を戻したのかすぐに顔を上げる。しかし何かに気づいたのかこちらに問いただしてきた。
和人「なぁ、宗次朗。お前以外に沙奈さんと親しくしていた人物はいるか?」
直葉「お兄ちゃん?」
宗次朗「....何が言いたいんだ?」
質問の意図が読み取れず、聞き直すと和人の口から予想外の返事が来た。
和人「多分、俺は聞いた事があるんだ。柊という女性が宗次朗が説明した内容にそっくりなんだ......」
宗次朗「!?」
和人「前にお前に[ダンテ]っていうプレイヤーの事を聞いただろ?そいつから聞いたんだ。SAO時代の頃にな........当時、多分彼女と同じ学生だったか身内だったはず。答えてくれ。」
いきなりの事実を目の前にし、右手を額に当てる。和人の答えに対してはすぐに心当たりがあった。彼女が子供の頃から遊んでいたと言う幼馴染の二人の兄弟の姿が浮かんだ。
宗次朗「二人だけ心当たりがある。」
和人「......詳しく教えてくれないか?」
宗次朗「二人とも兄弟なんだ。一人は兄の草薙蒼真、こいつとはあまり関わらなかったからよく知らないが人付き合いが悪かった印象が強いって事くらいしかわからない。そしてもう一人は弟の草薙飛鳥、今は社会人になってあんまり交流はないが、飛鳥とは学生時代の頃よく話をしていた。とにかく人を弄るのが趣味で大の甘党だって所かな。」
和人「草薙.....飛鳥。」
宗次朗「まさか....飛鳥たちがSAOに居たって言うのか?」
和人「断言はできないけど.......」
宗次朗「そうか........」
和人「連絡は取れないのか?」
宗次朗「してみたけど一向に出てくれないんだ。」
和人「..........」
さっきよりも重い空気になった所為で居心地が悪くなったのか直葉が声を出した。
直葉「そ、その話は置いといて宗次朗さん、その花を飾ったらどう?そのまま持っててもね?」
宗次朗「ん?ああ、そうだったな。........あれ?」
直葉「どうしたの?」
宗次朗「花が......沙奈の両親が来ていたのか?」
近くの花瓶に桔梗を入れようとしたがすでに別の花が......白いガーベラが生けてあった。
アスナSIDE
アスナ「うぅ........きゃ!?」
沙奈「!!?」
無数の紫色の触手に体の自由を奪われてしまい、空中に浮遊される二人、アスナはどうにか彼女だけでもとログアウトのボタンを押そうとするがあと1CMの所でナメクジのプレイヤーに引き寄せられた。
「あんた達誰?何やってんのこんな所で。」
見つかってしまった上に身柄を拘束されてしまい、息を呑むアスナだが気持ちを切り替え強気の姿勢になる。
アスナ「ちょっと!?降ろしてよ!?あたし達は須郷さんの友達よ!!ここを見学させてもらってたんだけどもう帰るところよ!!」
「へぇ?そんな話聞いてないな.......お前何か聞いてる?」
「何にも?つか部外者にこんなところ見せたらやばいだろ。」
「ふむ.....待てよ、あんた達あれでしょ?須郷ちゃん世界樹の上に囲ってるって言う。」
「あ~あ~、そういえば聞いたなぁそんな話。ずるいなぁボスばっかり、こんな可愛い子達を....」
彼らが会話に意識を向いてる隙を突こうと足で再びログアウトボタンを押そうとするも再び触手によって身動きが取れなくなる。
「こらこら?暴れちゃ駄目でしょ?」
アスナ「や、やめて!?放してったらこの化け物!?」
「はぁ、ひどいなぁ?これでも深部感覚マッピングの実験中なんだぜ?」
アスナ「あなたたちも科学者なんでしょ!?こんな....非合法、非人道的な実験に手を貸して、恥ずかしいと思わないの!?」
「ん~?実験動物の脳を露出させて電極を指すのは人道的だとは思うけどねぇ?この連中は夢見てるだけなんだしさぁ。」
「そうそう、たまにはスッゲー気持ち良い夢も見せてやってるんだぜぇ?あやかりたい位のもんさ。」
アスナ「く、狂ってるわ.....」
アスナは科学者達のあまりの狂った答えに寒気を感じていた。するとナメクジの一人がもう一人に触手のひとつを指差すように向けた。
「ボスは出張中なんでしょ?お前向こうに戻って指示聞いてきなよ?」
「チ、仕方ねぇなぁ....おい、俺が居ない間に一人で楽しむなよな?」
「わかったわかったって早く行きなって。」
沙奈を拘束していた触手がもう一人の方へと渡されるとログアウトボタンを押し、姿が消えていく。
アスナ「放して!?放してよ!?私たちをここから出して!?」
「駄目だよ。ボスに殺されちまうよ。それよりさぁ一緒に電子ドラッグプレイしない?僕、人形相手は飽き飽きなんだよねぇ。」
そういってアスナには頬を、沙奈には腰の側面を一本の触手が舌で舐めるように触れた。
アスナ「や、やめて.....」
沙奈「や、嫌だ....助けて.....」
「お~お~黒髪のお嬢ちゃん、僕好みの反応をするねぇ?そうこなくっちゃ。」
沙奈の怯える姿に嗜虐心をくすぐられたのか、アスナ拘束していた触手の数本を沙奈に移していく。爪先からゆっくりと蛇のように巻きついていき、だんだんと少女が過呼吸するように息が荒くなっていく。
アスナ「ちょっと!?彼女は関係ないでしょ!?やめなさい!!?」
「いやいや、こんな楽しいことやめられないでしょ?もっと......」
そう良いきる前に触手がバラバラにに切れて、ポリゴンとなって砕け散っていく。
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁ!?」
アスナ「きゃ!?」
地面に落ちる二人、アスナはすぐに隣に居る沙奈に近寄り抱きしめる。
アスナ「沙奈ちゃん!?大丈夫!?」
沙奈は自分の肩を抱きしめながら震えるだけだった。
ナメクジの男が身悶えるように転がる光景の後ろには大きな人型の何かが立っていた。2メートル近くはある身長に全身を身に纏った黒い甲冑には青い筋の様な光が駆け巡っており、頭部には前方に垂れ下がった角らしきものが特徴的だった。右手には爪先から肩まで届きそうな大剣を横に向けていた。どうやら鎧の男があの一瞬で触手を全て切り裂いたようだ。オレンジ色の瞳がアスナ達を捕らえている。
アスナ「誰?」
少なくとも味方ではない事を直感で感じ取り、直に鎧の男を睨む。するとナメクジの男がようやく痛みが引いたのか立ち上がった。すると先ほどのほう一人のナメクジが帰ってくる。
「痛って~!?ペインアブソーバーを切ってたのを忘れてたよ。」
「ん?お前何やってんの?」
「な、何でもないっす!?」
「それに.......なんだ人形風情か.....」
鎧の男を一瞥するも特に驚きはしていない。おそらくここの警備をしている者かなにかだろう。
「それよりボスは何だって?」
「怒り狂っていたよ。直に鳥篭に戻してパス変えて、24時間監視しとけだとさ。」
「ちぇ、せっかく楽しめると思ったのにな.......せめてテレポートではなく歩いて戻ろうよ。もうちょっと感触を味わって起きたいし。」
「好きだねぇ、お前も。」
向こうの隙を伺いアスナは後ろにあるコンソールに刺さっているカードを確認し、気づかれないように抜き取った。
「ん?ほら暴れちゃ駄目だって.....てうぉ!?」
再び触手で拘束しようとしたが鎧の男がナメクジの目の前を剣で遮った。
「こ、こいつまた!?」
「まぁまぁ、これ以上やったらボスに知られてほんとに殺されてしまうよ?.....ほら、さっさと連れて行けよ。」
「チ、人形もどきが........」
ナメクジが悪態をつくのを無視するようにアスナ達に向きを変え、歩けと言う様に首を捻る様にジェスチャーをする。
アスナ「..........沙奈ちゃん、歩ける?」
流石にこの状況で脱出するのは不可能と判断し、諦める。沙奈を抱きしめながら聞くと震えながら小さく頷き、ゆっくりと歩き始める。
ネロSIDE
ネロ「キリト達は.....まだ来ていないか。」
再び、定期メンテナスが終わり、ALOにログインした俺はキリト達がまだ来ていないのを確認し中央都市アルンの街道を歩いていた。
キリト「おーい、ネロ!!」
後ろからの呼び声に振り返るとここまで一緒に来た二人の姿が見えてくる。
キリト「先に来ていたのか。待たせたな。」
ネロ「こっちも今来たところだし別にいいさ、それよりリーファ。」
リーファ「何?ネロ君?」
ネロ「お前も来るつもりか?ここまでの案内はもう終わったはずだが?」
リーファ「もう、キリト君と同じ事言うの?ここまで来たんだから最後まで付き合うよ。サラマンダーの件で借りもあるしね?」
キリト「ハハハ......」
ネロ「まぁ、確かにそれもそうか。じゃ、行くとするか?」
リーファ「ええ!!」
それからしばらく世界樹の方に続く街道に続く街道を歩いていくと露店で人が群がっていたり、街の隅で雑談をしているプレイヤーで溢れ返ってとても賑やかだった。
リーファ「すっごく賑やかだねぇ!」
キリト「流石アルヴヘイムの中心。」
ユイ「ここには大陸全土の妖精種族が大勢集めっているみたいです。」
そのまま歩いて行くと前方には世界樹の全貌が見え、三人そろって圧巻した。
キリト「これが世界樹......」
リーファ「うん....こうして近くで見るとすごいね。」
リーファの話によるとこの世界樹の上には妖精王オベイロンと光の妖精アルフが住んでおり、最初に王に謁見できた種族だけがアルフに転生できるらしい。
キリト「あの樹の外側には登れないのか?」
リーファ「幹の周辺は進入禁止エリアになってて木登りは無理みたい。飛んでも羽に限界がきて落ちてしまうわ。」
キリト「何人も肩車して限界を突破した連中もいるって聞いたんだけど?」
ネロ「そういえばそんな事聞いたな.....」
リーファ「ああ、あの話ね。枝までもうちょっとだった所まで迫ったんだけどGMも慌てて直に修正が入っちゃったの。今は雲の少し上に見えない障壁ができてるんだって。」
キリト「そうか、とりあえず樹の根元まで進もうか?」
リーファ「そうね。」
再び歩き始める、すると先ほどよりも少し大きめの街道に入る。流石に街の規模が大きいと移動するだけで一苦労だ。
リーファ「あのゲートを潜ると世界の中心[アルン中央市街]だよ。」
目の前にあるひとつのゲートを潜るとユイがポケットの中から飛び出してきた。
キリト「あ、おいユイ。どうしたんだ?」
ユイ「ママ........」
キリト「!?」
リーファ「?」
ユイの言葉に反応し先程まで雑談をしながら歩いていた空気が一気に張り詰めた。
ネロ「どうした?」
ユイ「ママが......います。」
キリト「な!?......本当か?」
ユイ「間違いありません。このプレイヤーIDはママのものです。他にも誰か近くにいます。座標はこの上の上空です!!」
ネロ(ッ!?沙奈!!)
リーファ「ふ、二人共!?どうしたの?」
キリト「クッ!?」
ネロ「キリト!!クソ!?」
キリトが急に羽を広げ飛び立ち、それに追いかけるようにこちらも後に続いて飛ぶ。
リーファ「ちょ、ちょっと!?キリト君!?ネロ君!?」
リーファの大きな呼び声を他所に俺達はただ無我夢中にその場から世界樹上空に一気に加速しながら飛んでいった。
その後
リーファ「ちょ、ちょっと!?キリト君!?ネロ君!?」
リーファが二人に追い付こうと羽を広げ飛び去っていく光景を遠くから見ている仮面を付けたサラマンダー、トニーが立っていた。
トニー「ようやく此処まで来たか.......後は........」
真剣な眼差しで振り返り、歩き始めた。
トニー「ようやくだアスナ、沙奈......お前達のナイトが今そっちに向かったぜ?」
そう呟きながら人ごみの中に消えていった。
ようやく世界樹迄辿り着きましたが此処まで書くのに結構堪えました。
ちょっとこっちのリアルで仕事上の関係で用事があるので次回投稿出来るのは最低でも4日は掛かると思いますがそれまでの間しばらくお待ちください。
もし良かったら誤字脱字の報告、感想、評価をくれたら嬉しいです。
まったく関係ない話ですが今月の27日にガンダムのアーケードゲーム[戦場の絆2]が稼動するという情報を聞き、とても待ちきれない心境ですWWW
それでは皆様、また次回でお会いしましょう。