DMC×SAO 俺の転生物語   作:ユーグクーロ

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皆様、お待たせしました!!
いよいよファントムバレット編最終回となっております。

それでは第11話、どうぞ!!

5日にふと最新話の編集中に情報を確認したら........

その日だけでなんと.........

UA1400

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作者「ファッ!!?!?」


何があった........?



いくとさん!!



ハザマ0313さん!!



バスクケーキさん!!



最弱のニートさん!!



Faultさん!!



ああかかかやさん!!



マーボー神父さん!!



評価ありがとうございます!!!


11 Sの闇/少女の涙を拭え

OP [NO REASON]{SUM41}

 

 

 

BOBでデスガンとの死闘を終え、リザルト表を眺めながらログアウトのカウントダウンまで思考回路をクールダウンに専念する。

あれほど恋焦がれていたBOB優勝者という冠をキリトに譲ってしまったが不思議と悔しい気持ちは無い。

 

ランキング表を確認すると1位のところにキリトの名前が神々しく輝いており、その下にダンテ、私の名前が銀色、銅色で書かれている。

 

他にもダインやペイルライダーは下のほうに連なっている。回線切断者は一人もいない。恐らくダンテが片っ端からプレイヤーを倒した(助けた)のだろう。被害はゼクシードと薄塩たらこの二人だけとなった。

だがこの事件で二人も被害者が出てしまったこと、そして自分もその標的にされていたことに改めて戦慄を覚えた。

 

一瞬全身が浮遊感覚に襲われて眩い光が視界を襲うと、シノンから朝田詩乃へと戻って見慣れた自宅の天井が視界に入ってくる。

今この部屋に自分だけしかいないか瞼を開けずに周囲を視覚以外で確認した。空気の流れ、自身の鼓動、クーラーの起動音という情報だけが耳と肌で確認できた。

恐る恐る右目だけゆっくりと開いて周囲を見渡すも誰もいない。何処もおかしい所はない見慣れた自室だけが映る。

 

ゆっくりと忍び足でベットから降りて玄関に続くドアへと足を進める。照明をつけずに僅かに開いて向こう側を確認するも人の気配は感じられない。

 

そのまま壁に伝って三畳程の狭いスペースキッチンも確認するが当然誰も居ない。残りの問題はバスルームだ、さっきよりも慎重に音を立てずに一秒で20cm程度の速度で扉の隣まで辿り着き、冷や汗の不快感を無視しながらドアノブに触れ、一気に開けると同時に明かりをつけた。

数秒間、内部を確認するも誰もいない。

 

詩乃「........馬ッ鹿見たい。」

 

半分安堵、もう半分呆れた心境で軽くなった足取りで部屋に戻り、ゆっくりと腰をベッドに下ろす。

 

詩乃「フゥ........」

 

たった.......たった2、3時間の出来事だったはずなのに、何日もあの場所で戦っていた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンテ{守ってやるよ..........お前が涙を流しそうな時は.....な?}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩乃「ッ~~~~~~/////////////!!!??!?!!?」

 

なぜあの言葉を今思い出したのだろう。考えてみればよくあんな言葉を口に出来たと思う。

それと同時にそんな言葉で再び顔が熱くなり始めてしまう自分も可笑しくなってしまった。両手で顔を埋めて荒くなった呼吸をどうにか沈静化させようしても一向に収まるどころか徐々に熱を帯びてさっきとはまた違った動悸が心臓を締め付けてくる。

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

玄関の古めかしいインターホンが鳴り、反射神経でビクッとなってしまったが急いで玄関へと向かい、チェーンロックをしようとしたその時だった。

 

新川「朝田さん、いる?僕だよ、朝田さん!」

 

聞き慣れた高い声がして扉に付いている魚眼レンズを覗き込むと私をGGOの世界に誘った現実世界で唯一心を許せる友人が立っていた。

 

詩乃「新川くん.......?」

 

新川「あの......BOBの件でその労いをと思ってケーキ買ってきたんだ。コンビニのだけど......」

 

そう言ってレンズ越しから小さな紙箱を掲げて見せてくる。

 

詩乃「は、早いね。」

 

大会が終わってからまだ数分しか経過していない筈、彼の家とはそれなりに距離もあったからどこかのネットカフェからダイブして中継を見ていて終わったと同時にコンビニ経由でここまで来たのだろう。先走りしやすい彼らしいといえば彼らしいが、とりあえずこのまま寒空の元に友人を立たせる訳にはいかない。

 

詩乃「ちょっと待ってて、今開けるから。」

 

すぐに開けると流石に12月の中旬なだけ、骨身まで染みるような冷たい空気が足を撫でてくる。

 

詩乃「うわ、寒いね!?早く入って。」

 

新川「うん、お邪魔します。」

 

礼儀正しくお辞儀をして入ってくる彼は一瞬立ち止まってこちらに微笑む。

 

詩乃「な、何よ。........部屋が寒くなるから早く入って。あ、鍵も掛けてね?」

 

気恥ずかしさも相まって素っ気無く振り向いて六畳間の部屋に戻り、テーブルの上に無造作に置いてあるリモコンを手に取り、ピッとボタンを押すと暖房機能が音を鳴らして暖かい風を吐き出して寒くなった外気を追い返していく。

 

詩乃「どこでも好きに座って。何か飲む?」

 

新川「ううん、お構いなく。」

 

詩乃「いいの?私、今すごく疲れちゃってるからホントに何もしないよ?」

 

そう彼の遠慮深い所に苦笑いになりながら最初と同じベットのポジションに腰を下ろし、その向かい側の床に体育座りしてこっちを見つめてくる。

 

新川「その........優勝......残念だったね。」

 

詩乃「あ........うん。」

 

そう言って彼は残念そうな表情で俯いた。きっとこちらの心情を彼なりに察して労いに来たのだろう。そう思うとこちらはちょっと申し訳ない気持ちになってしまう。

 

詩乃「でも.......今回はちょっと異例な状況になってしまったから......それに、中継観てたらわかるけど、この大会は優勝しても無効扱いされてしまう可能性が高いかもしれない。」

 

新川「え........?」

 

詩乃「ええと......なんて言えばいいのかな。」

 

彼に死銃(デスガン)のことを説明していいのだろうか?あの二人がいれば話せるかもしれないけど私自身、詳しくはわからないから今度4人で話せる場を設けることにするまでは伏せておこう。

 

詩乃「ううん、なんでもない。ちょっと変なプレイヤーがいたってだけだから大したことはないよ。それにしても新川君、うちに来るの早かったね?終わってからまだ5分しか経っていないのに......」

 

新川「あ........その、実は近くで携帯で中継を観てたんだ。すぐに、おめでとうが言えるように。」

 

親友は後ろ頭を掻きながらどこか気まずそうにそう答えた。

 

詩乃「もう、それで風邪を引いたらどうするの?やっぱり何か温かい飲み物でも出すよ。まだ茶葉残ってたかな?」

 

新川「い、いいよいいよ!!僕、これでも厚着してたから平気だよ。」

 

そう言って立ち上がろうとするも声を荒げる友人の声で目を見開いてしまった。

 

新川「あの......朝田さん。」

 

詩乃「な、何?」

 

新川「中継で.....砂漠の、洞窟の中が映ってたんだけど........」

 

彼が何を言おうとしてるのかすぐに理解してしまった。あの時、命の危機に瀕した状況だったが結果的にダンテに寄り添う形で抱き合っていた。傍から観れば()()()()()()だと思われてもおかしくはない。再度あの時を思い出して顔が紅潮してしまう。

 

詩乃「あの.........それは.......その.........」

 

散々泣き喚いて彼に当り散らした上、宥められた様子を見られてしまったのだ。この話題こそどうやって説明すればいいのか頭の中の思考回路をすべて活動させて言葉を探している中、目の前にいる友人の口から思いもよらない言葉が出てきた。

 

新川「あれは.......あいつに脅されたんだよね?何か弱みを握られて、仕方なくあんなことしたんだよね?」

 

詩乃「は、はぁ?」

 

そう言って中腰になって身を乗り出してくる。その目はどこか虚ろで光はどこかへと消えていくように感じる。

 

新川「脅されて、あの二人の戦っている相手を狙撃したんだよね?でも、最後はどちらかでも道連れにしようとグレネードで巻き込んで倒したんだよね?だけど.......それだけじゃ足りないよ。朝田さん、前にも言ったけどちゃんと思い知らせなきゃ.......」

 

詩乃「あ.....えと、それは........」

 

どう言えばいいのか必死に言葉を探していく。

 

詩乃「あのね.........ううん、脅迫とかそういうんじゃないの。大会中にあんなことしてたのは不謹慎だと思うけど.........私、ダイブ中に発作が起きそうになって.......それで取り乱しちゃってダンテに.........あいつに当たっちゃって、色々、ひどいこと言ってしまったのは私の方なの。」

 

新川「...........」

 

彼は両目を見開いてこちらをただじっと見つめてくる。

 

詩乃「なんて言えばいいのかな?お母さん?......とも違う。とてもじゃないけど言い表せないんだけど.......その所為でなんか安心しちゃって泣き喚いちゃって........恥ずかしいよね。」

 

新川「........朝田さん.......それは、発作で、仕方なくなんだよね?あいつのこと......なんとも思ってないんだよね?」

 

詩乃「え...........?」

 

普段なら即座に否定していたはずなのに頭に浮かんでいた言葉が喉で引っ掛かり、戻ってしまった。

 

新川「朝田さん、待ってて。言ったよね?」

 

詩乃「新川君............」

 

新川「言ってよ。あいつの事はなんでもないって。嫌いだって。」

 

詩乃「ど.......どうしたのよ........急に..........」

 

あの時の公園でのやり取りはもちろん覚えてる。{待ってて}と言った言葉は過去の自分を乗り越えるという意味だったはず。その目標が達成された時、初めて普通の女の子としての人生を再び歩む事が出来るのだ。

 

新川「朝田さんはゆ、優勝できなかったけど、十分強くなれたよ。もう発作なんて起きない。だから、あんな奴、必要ないんだ。僕がずっと一緒にいてあげる。僕がずっと........君を一生守ってあげるから。」

 

うわ言のように呟きながらこちらに歩み寄り、両腕を広げて抱きしめてきた。

 

詩乃「し.....んか.......わくん.....」

 

新川「朝田さん、好きだよ。愛してる。僕の朝田さん.......僕の、シノン。」

 

さらに少しずつ力が入ってくる中、その口から呪詛に近い何かが吐き出される。

 

詩乃「.......や.....やめ.....」

 

ふと咄嗟に、必死に足に力を込めて、両手を新川の胸の部分に当てて押し返した。

 

詩乃「.......やめて!!!」

 

か細い声を出しながら押し返す。床に敷かれているクッションに足をとられ、バランスを崩して尻餅をついた。

 

その弾みでテーブルの上に置いてあるケーキがベチャっと音を立てて床に落ちてしまう。

 

こちらの拒絶に信じられないと言わんばかりに両目を見開いて光が薄っすらと消えていきながら唇辺りが痙攣していく。

 

新川「駄目だよ、朝田さん。朝田さんは、僕を裏切っちゃいけないんだ。僕だけが朝田さんを助けられるのに、他の男なんか見ちゃ駄目だよ。」

 

まるで映画に出てくるゾンビ見たくゆっくりと立ち上がり、歩み寄ってくる。

 

詩乃「し、新川くん.........」

 

以前、公園の時にも感じていた奇妙な違和感、男の子だからそういうのもあると割り切っていたけど、気の弱く大人しい彼なら自制心が勝ると思っていたがベットの上に腰掛けているこちらを見下ろしている彼の眼には今まで見たことがない光が放っていた。

 

するとジャケットの前ポケットから何かを取り出した。その見た目はクリーム色で見た感じプラスチック製と思われる。円錐状の金属が先端に付いており、パッと見は一桁の年頃の子供が遊ぶ光線銃の玩具にも見えなくはないがシンプルなデザインからして機能性と実用性のある品物だと一目でわかった。

 

詩乃「し.....んか......くん?」

 

新川「動いちゃ駄目だよ、朝田さん?声も出しちゃいけない。..........これはね?無針高圧注射器って言うんだ。それでこの中には{サクシニルコリン}っていう薬品が入ってるんだ。」

 

詩乃「ムシン....コウ.....アツ.....チュウ......シャ?サクシ......ニル......コリン?」

 

何か悪い冗談かと思われたがゆっくりと注射と呼ばれた金属の先端部分を首の左部分に押し当ててきてその硬さと冷たさが残酷な答えとなって返ってくる。

 

新川「大丈夫だよ。朝田さん、怖がらなくていいよ。これから僕達は.....一つになるんだ。僕が出会ってあらず~~~っと貯めてきた気持ちを今、朝田さんに全部あげるよ。そうっと、優しく注射してあげるから........だから何も痛いことなんてないよ。心配しなくていいんだ。僕に、任せてくれればいい。」

 

彼の言っている事がとても理解出来なかった。けど............

 

 

 

 

 

 

 

注射?

 

 

 

 

 

 

 

薬品?

 

 

 

 

 

 

 

 

心臓が止まる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つい最近、聞いたことがある単語ばかりだ。GGOの中で少女の見た目をした少年から聞いた話では確か......ゼクシードとうす塩たらこは現実世界で薬品の注射により、心臓を停止させられたと.............

 

灯台下暗しといえばいいのだろうか。予想していなかった人物とこれまでの経緯を照らし合わせると身震いがこみ上げてきた。

 

詩乃「じゃあ.....君が、もう一人の........《死銃》なの?」

 

ピクリと痙攣し、その振動が首筋に当てられた注射器の先端部分から伝わると彼はいつもと変わらない笑顔でこちらに顔を上げた。

 

新川「........へぇ?見破ったんだ。《死銃》の秘密を見破ったんだね。そうだよ、僕が《死銃》の片手だよ。といっても今回のBOBの前までは僕が{ステルベン}を動かしてたんだけどね。グロッケンの酒場でゼクシードを撃った時の動画、見てくれたらうれしいな。でも、今日だけは現実の役をやらせてもらったんだ。だって、朝田さんを、他の男に触らせるわけにはいかないもんね。いくら兄弟って言ってもね。」

 

詩乃「きょ.....だい?それじゃあ.......昔、SAOで殺人ギルドに入っていたっていうのは君の.......お兄さん?」

 

流石にこの言葉には驚きを隠せなかったのか眼を見開いた。

 

新川「へぇ、そんなことまで知ってるんだ。大会中にショウイチ兄さんが、そこまで喋ったのか。ひょっとしたら、兄さんも朝田さんのことを気に入ったのかもね。でも、安心してよ誰にも触らせないから、君は僕だけのものなんだから。今日、朝田さんにこれを注射するのはやめようって思ったんだ。兄さんがこれを聞いたら怒るだろうけど、朝田さん言ったよね?公園で、待っててって言ったよね?」

 

まるで泥酔したかのような笑みを浮かべていたと思ったら今度は虚ろな表情にゆっくりと変貌していく。

 

新川「なのに......あんな男に......騙されてるんだよ。朝田さん、あいつに何か変なこと吹き込まれているんだよ。僕が追い出してあげる。すぐに忘れさせてあげるから。」

 

もう片方の左手でこちらの右肩に掴み、押し倒してそのまま跨って来る。

 

新川「安心して,,,,,,朝田さんを一人にしないから、{次}はGGOみたいな......ううん、もっとファンタジーなのもいいな。そこで夫婦になって、冒険して、子供を授かって.......きっと楽しいよ。」

 

常軌を逸脱した独り言を呟きながら天井を仰ぐ、どうにかして警察が来るまでの時間稼ぎするために話を繋げなければ.......

 

詩乃「で、でもパートナーの君がいなくなったらお兄さん、困るよ?そ、それに私は《死銃》に撃たれなかった。今ここで死んだらせっかく作った伝説を皆疑うよ?」

 

新川「大丈夫だよ。今回のターゲットは三人だから、兄さんが実行役としてもう一人連れてきているんだよ。元のギルドメンバーの一人なんだってさ。だから、これからはそいつが僕の代わりをすればいいさ。朝田さんをあんな屑と一緒にするわけないじゃない。死銃じゃない、僕だけのものなんだ。朝田さんが旅立ったら.......どこか遠い山の中に運んでさ、そしたら僕もすぐに追いかけるから、待ててね?」

 

そう言いながら向こうは指先をこちらの腹部をゆっくりと撫で回しながら最後には手の平全体撫でさすりはじめる。

恐怖感と不快感が混ざり合うような感覚に襲われるがまだサイレンの音は聞こえてこない。どうにか話を繋げなければ........

 

詩乃「じゃ、じゃあ君はまだ一度もそれを使っていないんでしょう?な、なら、まだ間に合うよ。やり直せるよ?駄目だよ。死のうなんて思ったら......お医者様になるんでしょう?予備校にも通って、高認試験を受けるんでしょう?」

 

新川「コウ......ニン?」

 

まるで片言のように口を開いたと思ったら自嘲的な笑みを浮かべて鼻を鳴らす。

 

新川「これ......見てよ....」

 

今度はジャケットの反対側のポケットから四つ折りにされた用紙が出された。それを開いて見せてくるとそこには試験の結果内容と思われる数字が書かれていた。内容からしてそれはとても基準値を大幅に下回っている。悲惨なんて言葉が生易しく感じてしまう程に。

 

詩乃「新川.....くん........これ.......」

 

新川「凄いよね?こんな数値がよく出せたねって自分でも思うよ。」

 

詩乃「で、でも.....このことをご両親は.......」

 

新川「こんなの、プリンタを駆使すればいくらでも誤魔化せるよ。アミュスフィアなんて遠隔指導受けてるって言ってあるしさ、流石にGGOの接続料は払ってくれなかったけど........それぐらい、GGOで稼げるはずだったんだ.......筈だったのに.......」

 

歪んだ笑顔から次第に憤りを感じた表情に変わっていく。

 

新川「GGOで最強になればそれで満足だったのに......ゼクシードの.........あの屑が.......何がAGI型最強なんてでまかせを.....あの卑怯者の所為で僕のシュピーゲルはM16さえもまともに持ち歩くことが出来ない......くそ.......くそ!!!」

 

怨恨の塊を吐き出すかのように叫びだし、眼の光がギラリと不気味に輝きだした。

 

詩乃「だから......ゼクシードを殺したの?」

 

新川「あぁ........今回の最初の犠牲者としては最高に相応しいやつだからね?ゼクシードとたらこ。そして今回のBOBでペイルライダーとギャレット、流石にGGOの馬鹿なプレイヤー達もデスガンの伝説は本物だって気付いただろうね。」

 

自分の行為に愉悦を感じているのか体を大きく痙攣し始める。

 

新川「これでもう........こんな世界に興味はないよ。さぁ、朝田さん、{次}に行こう?」

 

詩乃「し、新川くん........け、警察に自首しよう?今ならまだ間に合うよ。やり直そ?」

 

新川「こんな世界なんてどうでもいいよ。さぁ、僕と一つになろう。」

 

こちらの髪を指に絡ませながら頬を撫でてくる。その手は乾燥しており、指先のささくれが小さい鋭い痛みが襲ってくる。

 

新川「朝田さん.....僕の朝田さん.....ずっと好きだったんだよ。学校で......朝田さんの事件を聞いた時から......ずっと.......」

 

詩乃「...........え?」

 

その言葉だけを理解するのに数秒かかり、ゆっくりと眼を合わせる。

 

詩乃「........それって.......どういう......」

 

新川「そのままの意味だよ。好きだった。ずっと憧れていた.......ずっと.......」

 

詩乃「じゃあ......君は........」

 

まさかと否定したくなる気持ちでいっぱいになりたがったが喉に詰まった言葉を無理矢理吐き出す。

 

詩乃「君はあの事件があったから.......私に声を掛けたの?」

 

新川「そうだよ、もちろん。」

 

たった8文字の聞きたくなかった答えが即答してくる。

 

新川「だって、本物の拳銃で悪人を殺した女の子なんて日本中探しても、朝田さんしかいないよ。本当に凄いよ。だから言ったでしょ朝田さんには本当の力があるって、だから僕は、《死銃》の伝説にあの{五四式}を選んだんだよ?君は、僕の憧れなんだよ。愛してるよ。アイシテルヨ、ボクノシノン.......」

 

詩乃「そ......んな........」

 

受け入られなかった。この数年間、信じてきたたった一人の親友からの真っ黒で歪んで純粋な思いを耳にして世界の色が薄れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記憶の中でドス黒い部分から血塗れの無数の手がこちらを引きずり込もうとしてくる。

 

今にも切れそうな小さな電球が照らす世界の中で蹲り、瞼をあげる気力すらなくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ダンテ)は今頃どうしてるだろうか?

病院からGGOに来ていたって言っていたけど、今頃自分の家に帰っているのだろうか?それとももう既に寝ているのだろうか?本名すら聞き損ねてしまった。どちらにせよ、もう今になっては既にどうでもいい事だ。

 

二年間の間、あの仮想の牢獄の中で彼は数人の命を奪ってしまったと言っていた。その中で()()()()()()()もいると悲しそうに喋っていた。

それでも、その過去に抗いながらも毅然とした態度で振舞っていた。私とは違って前に向かって抗い続けている。そんな強さがあったからあの状況でも平然と戦えていたんだ。

 

 

詩乃(貴方は、強いね.......)

 

 

ポツリと心の中で呟いた。

 

 

詩乃(ダンテ.......ごめんね?折角助けてもらったのに.........)

 

 

キリトはログアウトしたらすぐに警察を手配すると言ったけどどうやら間に合わなかったようだ。

もし、私が殺されていたらダンテはどんな顔をするのだろう?それが少し気がかりだ。

 

 

 

 

ひょっとしたら........勘の鋭い彼がいきなりこのアパートまで急行して新川恭二と鉢合わせしたらあの注射器の餌食になってしまうかも知れない.........

 

 

(ダンテ)が現実まで巻き込まれてしまうのは.......

 

 

それだけは........

 

 

 

 

 

 

 

別の問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩乃(だからって.........どうにもならないよ.......)

 

暗闇の中、無重力のような世界で蹲る。今の私はGGOのシノンじゃない。現実世界の朝田詩乃だ。

ここには強靭な体どころか相方のヘカートもない。

絶望的な状況に耳を塞ぎ、目を瞑ろうとしたその時、目の前にサンドイエローのマフラーを首に巻いた水色の少女、シノンが現れる。

 

シノン(私達は自分しか見てこなかった。今まで自分の為にしか戦わなかった。だから、新川君の心の闇にも気付くことが出来なかった。でも...........もう遅いかもしれないけど、誰かの為に戦おうよ。ダンテみたいに.........)

 

そう言ってシノンが詩乃の両手を手に取り、天井に一筋の光が差し込んでくる。

 

シノン(さぁ......行こう。)

 

両足に力を込めて空高く飛ぶようにジャンプすると視界が現実に戻ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩乃「ッ!!?」

 

目の前にいる狂った元親友の顎に握り締めた拳を当てた。いきなりの不意打ちだったのか女性の細い腕から拳が飛んでくると思っていなっかたのだろう。バランスが崩れてベットの横の床に滑り落ちる。

 

 

新川「な.......んで......アサ....ダさん?」

 

 

そのまま机の中に仕舞い込んでいるモデルガンを取り出した。冷たい金属の質感が手のひらを支配し、そこから虫が這いあがるような不快感に抗いながら目の前にいる新川恭二に照準を合わせる。

 

 

新川「な、何してるの?朝ダさん?そんなモデルガン......持ってても意ミなんてないよ?」

 

詩乃「違う。これはモデルガンじゃない。」

 

ゆっくりと立ち上がる彼がその言葉を理解できずに硬直した。

 

詩乃「言ったよね?私には本物の力があるって.......なら、私が今持っているモデルガンは本物の銃に変わる。」

 

その言葉に彼は顔面が青白くなり、心許ない足元で2、3歩下がる。

 

詩乃「なら、この銃は引き金引いた瞬間、撃鉄が起き上がり、火薬が爆発して銃口から実弾が飛び出て君の心臓を襲い、殺す。」

 

新川「アサダ......サンガ.....ボクヲ?コロス?」

 

詩乃「そう、{次}の世界に行くのは貴方だけ........」

 

新川「う......そだ......」

 

その言葉を皮切れに床に崩れ落ち、両手で頭を掻き毟り始めた。

 

 

新川「嘘......だ........うそだウソダうそだウソだウそだ嘘ダうそだうそだウそだウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソダうそだウソだウそだ嘘ダうそだうそだウそだウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソ」

 

 

 

 

 

 

壊れたラジカセ見たく繰り返す無機質な言葉を繰り返しながら焦点が合わなくなった目で天井を仰ぎ始める彼を一瞥してゆっくりと廊下へと足を引きずりながら玄関へと向かう。

姿が見えなくなると同時にモデルガンを投げ出し、駆け足でドアへと向かい鍵を開けようとチェーンロックを外して今度は鍵をカチリと開けてドアノブに手を伸ばそうとしたその時だった。

 

右足の踝に冷たい手が掴んできて引きずり込もうとしてくる。

 

詩乃「キャッ!!?」

 

振り返るとそこには口元から涎を垂れ流しながらこちらを覗き込もうとしてくる新川恭二の姿が映りこんできた。

 

 

 

 

 

 

新川「アサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサンアサダサン」

 

 

 

 

 

 

最早呪詛に近い喋り方でこちらの名前を呼び、再び部屋に引きずり込もうと足を引っ張ってくる。

もう少しで届くっていうのに.......

 

 

 

 

 

 

 

視界が再び灰色に染まっていく中、遠ざかっていくドアに必死に手を伸ばすもさらに遠のいていく。

今度は視界が歪んでいく........多分、涙が零れているのだろう........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰か.......誰でもいい.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰か........この手を........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンテ{守ってやるよ..........お前が涙を流しそうな時は.....な?}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ...........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お願い.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お願い..........助けて.........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンテ............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポチャリと床に落ちた一滴の涙が落ちる音に呼応するかのようにドアが勢いよく開き、凍るような冷たい夜風が走りこんでくる。

 

新川「アサダサン!!アサダサン!!アサ_____」

 

次の瞬間、こちらの足を引っ張っていた新川恭二から鈍い音を立てたと思ったらドスンと大きな音を立て、後ろに転がりながら鼻を押さえて悶え苦しんでいる。

 

詩乃(一体.......何が.......?)

 

すると私の目の前にゴッと音を立て、転がる球体の何かが落ちてくる。

 

詩乃(ヘルメット.........?)

 

よく見るとバイクに乗っている人が被るそれだ。バイザーの部分がこちらの泣き顔を綺麗に映し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「俺も大概、悲惨な目に遭ってきたと思ったが.........そっちも大変そうだな?シノン。」

 

詩乃「あ........あぁぁ......」

 

そこには灰色に染まってしまった世界なのにも関わらず、月光に照らされ、まるで宝石のように色鮮やかな赤色のコートを身に纏った男性が立っていた。

 

詩乃「ダン........テ?」

 

顔立ちは少し違うのに、その声と燃えるような赤い姿で確信した。彼が.........

 

悪魔(ヒーロー)が来てくれたんだと.........

 

ダンテ?「まぁそこで待ってろ。すぐに終わるさ。」

 

そう言ってこちらの横を通り抜け、部屋で顔面に強打して苦しんでいた新川がヨロリと立ち上がった。

 

 

新川「ダ....ン.....テ......オマ.....エガ........?」

 

ダンテ?「よぉ?シュピーゲル.....っと呼べばいいか?随分と情けない姿に堕ちたもんだな?」

 

新川「オマエガ......オマエガオマエガオマエガボクノ..........シノンヲォ!!!

 

ダンテ?「そうそう、この部屋に入ってからずっと考えていたんだが......この状況にぴったりなやつが、俺がガキの頃に見ていたヒーロー番組の名台詞に一つだけあったな。」

 

詩乃「???」

 

そう言って彼はワザとらしく独特のポージングで新川に左手で指刺した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンテ?「さぁ、お前の罪を数えろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンテ?「ってな?」

 

新川「フ、フザケルナァ!!!!!!!」

 

次の瞬間、新川はダンテに殴りかかろうとしたのか走り出した。

 

詩乃「ッ!?ダ、ダンテ気をつけて!!彼、注射を......!!」

 

そう言い切る前にお互いが接触した......というよりはダンテの右肘が彼の鳩尾にめり込んでいた。

 

ダンテ?「ったく.......一つ良いことを教えてあるよ。女絡みで引き際を考えない男ほど醜いものは無いぜ?」

 

その言葉を言い終えると同時に右腕を引いたと同時に左アッパーを繰り出して最後に右一回転し、最後に右足で蹴り飛ばした。

 

吹っ飛ばされた新川は部屋に置いてあるラジオやテーブルを巻き込んで床に転がり込み、ピクピクと痙攣している。

 

???「アスカ!!無事か!!?」

 

今度は別の男が玄関から走りこんできた。顔は中性的な顔立ちでダンテのような屈強な体格とは違って華奢と表現した方がいいと思えるほどのそれだったが、声とその雰囲気で一発で何者かわかった。

 

詩乃「キリト?」

 

ダンテ?「悪いなカズト、おいしい所は全部貰ったぜ?」

 

この惨状を見たキリト......ではなくGGOで教えてもらった本名であるカズトが頭を押さえながらため息を吐いた。

 

カズト「こ.....ここまでやるか普通?」

 

ダンテ?「何言ってる?人の命には換えられないだろう?」

 

カズト「そ、そうだけどさぁ........」

 

そんな雑談をしているとサイレンの音が聞こえ始める。

 

ダンテ?「やれやれ.....やっとご登場か?遅すぎるにも程があるだろ......ったく、おいカズト、取り敢えずお前が案内しに行ってくれ。」

 

カズト「え、俺がか........?」

 

ダンテ「どうせ来たばっかりで何にもしていないだろ?」

 

カズト「そこまで言うか!?あぁもう!!わかったよ!!」

 

子供見たく不貞腐れるカズトが警察の元に向かうのを見送りながらさっきの騒動が嘘のような静寂が訪れる。

 

詩乃「.............」

 

ダンテ?「..............」

 

どう言葉をかけたらいいのかわからずにただ気まずい状況に耐え切れずに口が開いてしまった。

 

詩乃「ね、ねぇ?」

 

ダンテ「ん?」

 

こちらの応答に顔だけ覗き込む彼に目を合わせる事が出来ず、視線が右に左に泳いでしまう。どうにか死に掛けていた声帯を震わせてなければ.......

 

詩乃「助けてくれた身としては聞くのも変だと思うけど、どうして急に来てくれたの?」

 

ダンテ?「.......ま、簡単に言えば勘って言ったほうが近いな。」

 

詩乃「そ、そう........」

 

ダンテ?「それに............」

 

詩乃「???」

 

ダンテ?「約束したろ?守ってやるって...........」

 

覚えててくれたんだ。唯の口約束なのに.....ゲームの世界だけの話だったのに.......

 

ダンテ「まったく......散々な目に合わされたなぁシ......いや、朝田。.........大丈夫か?」

 

詩乃「.......でいい。」

 

ダンテ「?」

 

詩乃「し、詩乃でいい......」

 

ダンテ?「そうかい、じゃあ詩乃、まずは警察の所に行くぞ。話はそこからだ。」

 

詩乃「ま、待って!!!」

 

ダンテ「......今度は何だ?」

 

詩乃「........立てないの.......腰が........抜けちゃって.....」

 

ダンテ?「.........ハァ。」

 

小さめのため息を吐かれた次の瞬間、近寄ってきておんぶしてくれるかと思ったら思いっきり抱きかかえられた。

 

詩乃「ちょ、ちょっと///////!!!]

 

ダンテ?「こっちのほうが抱えやすい、悪いがクレームは一切受け付けないぜ?」

 

ここまでくるとひょっとしてわざとやっているのかと疑ってしまうが本人の表情を見る限り、そういう感情はまったく見られない。そのまま外の廊下から1階へ足を進め始める。

それに対しちょっと苛立ちを覚えるも今は極度の緊張から解放されたのか疲労感がとてつもなく重い、瞼が徐々に下がってきている。

だけど、そうなる前にどうしても聞きたいことがもう一つだけある。

 

詩乃「ねぇダンテ?」

 

ダンテ?「まだ何かあるのか?」

 

詩乃「まだ.......貴方の本名を聞いてなかった。私だけ教えてそっちは無しなんて不公平でしょ。キリ......カズトがアスカって呼んでたけどフルネームで教えて。」

 

ダンテ?「本名?あぁ、そうだったな........確かにそれもそうだ。」

 

立ち止まった彼はこちらに顔を向けながら口を開いた。

 

アスカ「俺はクサナギ アスカだ。」

 

詩乃「クサナギ.......アスカ。私とカズトは本名をもじっただけなのに貴方は違うようね?」

 

アスカ「.........この名前は特別なんだよ。」

 

詩乃「そうなの?」

 

そう言いながらアスカは顔を隠しながら答えた。別に変だとは思ってはいないのだが.......

 

アスカ「もう行くぞ。そろそろ本格的に冷え込んできた。」

 

詩乃「ええ。」

 

再び歩き始める飛鳥の胸元に頭を預け彼の温もりを貰いながら瞳を閉じていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クサナギ アスカ........今はそれだけ......わかれば........いい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ED [I'll be your home]{及川リン}

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後

 

無事に朝田詩乃を救出し、今は彼女を抱え込んでゆっくりと階段を下りていく。

 

飛鳥「ふぅ、しっかし、ここ数日はとてつもないほどハードだったな........菊岡の奴には最低でもパフェ30個分はご馳走してもらわないと割りに合わないな........」

 

ふと腕の中に蹲っている少女は、12月の寒さにも関わらずに小さな呼吸を立てて眠りに付いている。

 

飛鳥「........無理も無いか。」

 

普通の女子高生がこんな自分の命に関わる事件に遭遇するなんてまずありえないはずなのに詩乃は立ち向かった。抗ったのだ。こうして見るとどこにでもいる筈のか弱い乙女にしか見た目では確認できないが、そこにははっきりと{朝田詩乃}という力が、強さが眠っていると実感できる。

 

だがそれでも親友に裏切られ、傷ついた証拠なのかその表情は苦しそうに見え、閉じた瞳から一滴の雫が零れている。

 

ふと人差し指でその涙をふき取ると心なしか表情が柔らかくなった。

 

今は.......この少女の涙を拭うことが......俺のしてやれる、数少ない強さだ。

 

 

 

 

 

 

 




こ、今回はまさかの1万5千文字、モウツカレタ。

次はエピローグになりますので早めに投稿できる....予定です。

それでは......また次回......お会いしましょう。


モウ.....ネル。
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