本作品の大目玉でもあるユウキ救済エピソードです!!!!
長かった.......本当に長かったよ.........
前話にも出てきたモリソンやその他も明日の夜9時以降にキャラ設定にて更新されるのでそちらも是非ご覧ください!!!
それではマザーズロザリオ編エピソード!!どうぞ!!
「なぁお嬢さん、ひょっとしたらお前さんの家が無くならずに済むかもしれないぞ?」
「........え?」
ダンテからの贈り物を確認し、涙が枯れたすぐ後の事だった。大塚さんの言葉の意味がいまいち理解できずに隣にいる明日奈に視線を変えるが彼女も疑問符を頭に浮かべている。
「っと話を飛ばしすぎたな。まぁ詳しくは_____」
大塚さんが言葉を紡ごうとしたその時だった。病室のドアからノック音が聞こえてくる。
「お!いいタイミングだな。入ってくれ。」
その言葉が聞こえたのかドアが開かれ、入ってきたのは二人の男女だった。
一人はどこか気品を感じさせるオールバックに調えられた黒のスーツを身に纏った男性と朗らかな表情をしているがどこかキリッとした顔立ちで一瞬どこかでモデルでもやっているのかと誤認してしまいそうな美しい女性だった。
「ごめんなさい、少し道が混んでいて遅れてしまったわ。」
「いや、丁度良かったぞ?今二人の事を話そうと思ってたところだ。紹介しよう.......二人はあいつのご両親だ。」
大塚さんからの紹介が終えると二人はゆっくりとお辞儀をしてくれてそれにつられてこちらも自然に頭を下げてしまう。
よく見ると確かに薬指に同じ指輪をはめ込んでいる。
「はじめまして紺野さん、飛鳥の父の信一郎です。」
「同じく母の由美と申します。私は......始めましてって言ったほうが正しいのかしら?」
「え?」
その問いかけにまたしても疑問を浮かべるが目の前にいる女性は悪戯な笑みを浮かべながらウィンクをしてきた。
「.............あ!?」
思い出した。あの時、あの湖に浮かぶ小さな島でダンテと会話していた金髪のプレイヤーの姿と完全に一致したのだ。
あの時の親密な関係に見えたのは親子だったのだ。
ふと引っ掛かってた悩みが吹き飛んだのか不思議と胸の中が軽くなったような気がした。するとこちらの安堵した表情を見られたのか由美さんはクスクスと口元を隠しながら笑っていた。
「あらあら、あなたみたいな若い娘にそう見られるなんて嬉しいわ。」
「あ、いや.....その....../////」
こちらの考えている事は全て見透かされているかのようで顔がとても熱くなってしまうが隣にいる夫の信一郎さんが小さめの咳払いをした。
「あら、ごめんなさい♪」
由美さんは悪気がない謝罪を軽く済ませ、二人は大塚さんの隣に椅子を持ち運んで座った。
「さて、これで一応役者は揃った事だが........まぁ本人の状態も鑑みて軽く説明するだけに留まるとしようか。」
そう言いながら大塚さんは先程のふざけた雰囲気がどこに行ったのか今は弁護士として相応しい真剣な表情へと変わり、足元に置いていた鞄から書類がいくつか出された。
「まぁ早い話____」
「影継、その続きは私達から言おう。」
大塚さんの言葉を信一郎さんが遮った。大塚さんは両手を挙げてどうぞと意思表示した。
「紺野さん?良かったら.............私達の養子にならない?」
「..........へ?」
突然発せられた由美さんの提案にまたしても素っ頓狂な声が零れてしまった。
こちらが完全に理解できていないと悟ってくれたのか大塚さんが声を掛けてきた。
「詳しい話は一旦置いてだな.......つまりは遺産相続としては君の叔母よりも立場上、相続権利はお嬢さんは上だが後見人として勝手に処理されようとしているのが現状だ。今お前さんの家は親戚の判断で消えようとしているが今此処に居る二人の養子に加わればこちらも動きやすくなって家の存続するよう裁判が出来るって事だ。」
「え.........家が........無くならずに........済むの?」
大塚さんの話を真面目に聞いているつもりなのだが全然話が頭の中に入ってこない........小難しいっていうのもあるけど、いきなり出された提案そのものを受け止めきれない自分が居る。
「急にこんなことを言い出して変だと思うけど、息子から貴方の話を聞いた時は驚いたけどすぐにこの話が生まれてきたの、何かしてやれないかって............でも、本人である貴方に何一つ告げずに今まで隠していてごめんなさい。」
「い、いえ!!そんな......」
そう言い、由美さんはゆっくりと頭を下げて謝罪してきた。それには本当にどうすればいいのか頭の中は困惑の二文字に支配されてしまった。どう返事をすればいいのかわからず視線が魚のように泳いでしまう。
「私からも本当にすまない。もっと早くにこの話をすれば良かった。」
それに続いて信一郎さんも頭を下げてきた。
「そ、そんな頭を下げないでください!!えっと、元々頼れる人なんて居なかったらどうしようって悩んでいましたし......でも.....」
二人からの誠意からなのだろうか、あるいは元から備わっているであろう気品を感じさせられるのだろうか、つい変な敬語で受け答えしようとしてしまいそうになる。
「どうして..........そこまでしてボクを助けようとしてくれるんですか?赤の他人であるボクにどうしてそこまで.......」
つい頭の中で真っ先に思いついた事を口にしてしまった。するとその問いかけに由美さんが口を開いた。
「あら?誰かを助けるのに理由が必要かしら?」
思わず拍子抜けしてしまいそうな一言に呆気を取られてしまうも由美さんの表情からは一切ふざけている様子は見受けられない。
するとそれを補足するかのように信一郎さんが言葉を繋げた。
「確かに私達が今やろうとしていることは他の人から見たらただの偽善に思われるかもしれない。だがそんなものはどうでも良いと思っている。ただ黙って傍観を決め込む善よりも何かを成して偽善と罵られるのなら私達は後者を選択する.............息子達にもそう教えているのだ。自分の生き方を誤魔化すな、己の判断で決めて選択しろと.........」
「あ.........」
その言葉で初めてダンテと出会った時を思い出す。いつも彼は自分の考えを貫き通してきた。自らの意思で............
そして理解できた。今目の前にいるこの二人がダンテの強さはご両親から受け継いできたのだと............
「それで?紺野さん、答えは出せたかね?]
「ボクは..........」
数日後
あれから大塚さんと草薙夫婦のお陰でボクの家は取り壊されることは無くなり、今は身辺整理の為に色々と準備を進めていた。
束の間の休息も兼ねてダンテ改め飛鳥のバイクに乗せてもらいながらある場所へと向かっていた。まだ4月に入ったばかりということもあって肌寒い気温だ。
いくら集めのコートを着ているとはいえバイクで走行しているのだから向かい風が尚のこと寒さを強調してくる。
「............」
「なんだ、まだ不貞腐れているのか。」
「だって...........まさかあの時のお兄さんがダンテだったなんて思わなかったよ。」
「言ってなかったか?」
「言ってない!!」
あの後4人の座談を終えたそのすぐ後だった。ご両親から本人に連絡を取ってもらい、急遽顔合わせしてもらったのだが.........なんと以前出会った給食係の人だったという衝撃の事実を今でも鮮明に思い出せる。
「なんだよもぉ.......もう既に会ってたじゃんかぁ。」
あれだけ会いたかった人がよもやすぐ近くにいたなんて........灯台下暗しとはまさにこの事だ。心の中からの不満を代弁するかのように飛鳥の腰に巻いている腕をよりいっそう強く引き締めるが当の本人はなんともない様子だ。
それに対して河豚の様に顔を膨らませると気が付けば華やかな都市部から大分離れてきたのか辺りには徐々に緑が生い茂っていく光景が広がる。
「そろそろ着くぞ。」
飛鳥のその言葉からわずか2、3分程度で目的の場所に辿り着いた。
上り坂の途中に大きく聳え立つ丘にあるのが紺野家の墓が建てられている墓地だ。高速道路に接した場所に設置されている所為か車の爆音がここからでも十二分に聞こえてくる。
高速道路をまたぐ錆びれた歩道橋、舗装されているコンクリートの端の地面から生えている雑草、それを見ると人の手が行き届いておらず、長年放置されたという時代背景が感じられてしまう。
用意した花束をその手に持って深呼吸し、上に墓地に続く石階段をゆっくりと上っていく。
すると地面は先程のコンクリートではなくなっており、小石が混じった土が露出している。そのまま足を止めることなく歩み続けると.........
「...........あった。」
紺野家之墓
そう刻まれた墓石を目の前にし、事実を再確認する。
もう家族と呼べるものは誰一人居ないのだと...........
つい涙が零れそうになるも片手で拭き、一歩前に進んでしゃがみ、花を添えて合掌する。
「お父さん......お母さん......お姉ちゃん........」
どれくらい時間が経過したのだろうか目を開き、辺りを見渡すと飛鳥の姿は確認できない。
恐らくバイクが停めている所まで戻ったのだろう。ただ単に飽きたのか、それとも此方に気を遣ってくれたのだろうか..........
どちらにせよこんな情けない顔、とてもじゃないけど見せることなんて出来ない。
「あのね......皆が居なくなってから色んなことがあったんだよ?苦しい時もつらい時もあったけど、それ以上に嬉しい事や楽しい事がたくさんあった。色んな友達にも会えた。大好きな人にも会えた。」
そこからは今までの経緯、感じたこと、見たことをすべて家族に話した。ただひたすら話した。
皆と同じ病に掛かってしまった事
病院で3年近く入院生活をした事
ダンテに出会えた事
スリーピング・ナイツの皆と色んな仮想世界で遊んだ事
喧嘩した事
病気が治った事
思い出がたくさん詰まった家が無くならずに済んだ事
墓地に辿り着いてから大分話し込んでしまった自覚はあるが、朝食を終えて直ぐに外出した筈なのに気が付けば日が頭上高く上っている。
「..........大分時間が経っちゃったね..........時間が出来たら必ずまた来るからね........だから.........」
「ボク、頑張って生きるよ......。ここで生きていくよ。」
そして立ち上がって飛鳥の元に戻ろうと立ち上がり振り返ったその時.........
_______頑張ってね。
「え?」
なぜかそんな言葉が聞こえてきた気がした。突風の所為なのか.........あるいは...........
先の闘技場での騒ぎから決闘を挑む者が後を経たなくなっていたが、人の流行というものは過ぎ去ればあっという間に興味や関心も自然と無くなってくものだ。ここも次第に本来の静けさを取り戻していき、漸くALOにログインしてデビルメイクライにていつもの様に椅子の背に上半身の体重を預けて惰眠を貪ろうとしていた。
「だーかーらー!!このクエストの報酬で機動力を上げたいんですって!!」
「それ以上すばしっこくなってどうするのよ?それにこっちのクエストで手に入るアクセサリーで射撃能力上げる事が出来るのか検証するのが先に決まってるでしょ。」
「そっちこそまだあれだけ長距離の精密射撃が出来るのに物足りないんですか!?」
「言った筈よ。倍は欲しいってね?」
もう長いこと目にしているお陰なのか猫二匹の口喧嘩さえももう慣れてしまった。流石にこれ以上騒がしくなることはありえないだろう。
そのまま瞼を閉じて夢の世界に逃げ込もうとしたその矢先だった..........いきなり店の扉が開いたのだ。
そこにいたのはとち狂った野次馬共でも、ましてや依頼人でもない.........
明るい笑顔をした紫の少女だった。
「ねぇねぇねぇダンテダンテ!!この前アップデートされた情報で最高難易度のダンジョンがあるってモリソンから聞いたんだ!!ね?行こう行こう♪」
そう言いながらこちらの隣まで詰め寄り、まるで遊園地に連れて行けと言わんばかりに駄々をこねる子供のように袖を引っ張ってくる。
...........訂正しよう。
犬一匹増えやがった..............
「ねぇ行こう!!そこって結構難易度が高いって話で何人もプレイヤーがやられて______」
すると後ろからヒョイッと首根っこを捕まれその体格に見合ったかのような軽々しく持ち上げられてしまった。
「ちょっとユウキ?そういう話ならまずこっちが先よ?」
「そうそう!!抜け駆けは無しだよ!!」
一人は鋭い眼つきで、もう一人は口を尖らせながら釘を刺そうとしてくるも当の本人はきょとんとした表情をしている。
「大体貴方.......
「ん?もちろんこれからも続けていくけど皆も色々やる事が出来たから流石に毎日は遊べなくなったんだ........で!!」
顔だけ二人に向かってニンマリと笑顔を向けた。
「今日からここにお邪魔することにしたんだ!!」
「な!?」
「へ?」
「あ、そうだ!!なら皆で一緒に行こうよ!!きっと楽しいよ♪」
ユウキのその言葉に二人は唖然とし、次第にこちらに鋭い眼光が向けられる。
「一体.......」
「ドういウこトですカ?」
「............またか。」
「???」
この後、デビルメイクライがどうなったかは想像にお任せしよう。
場所は変わり、そこは薄暗い洞窟のような場所だった。
僅かに聞こえてくるのは天井から滴る水滴の環境音のみ........
そして、さらに奥深い所に唯一辺りを灯す僅かな光があった。
白い半透明の四角錘の物体が中央に浮かんでおり、中には透明な液体と..........
「ぱ.........パ.............」
胎児のような何かが眠っていた。
皆さん.......マザーズロザリオ編はこれにて終了だと言ったな?
あれは嘘だ。
いや、違うんです。ブラウザバックしないで話を聞いてください!
正確には終わっているのですがオーディナルスケールには続かずその後のアフターエピソードが続く予定なんです!!
それも新しい章でまた一から始めるという形で......
ですので本来なら続くであろうアリシゼーション編なんですが、沢山の読者からやるの?という質問が複数来ていたので大変申し訳ありませんがもうしばらくお預けということで........
今後とも本作品をどうかご贔屓にお願いします(土下座)
それではまたお会いしましょう。
ご愛読ありがとうございました!!!