ここ一ヶ月、常にカラータイマーが点滅状態のユーグクーロです。
皆様には投稿が一ヶ月も遅れてしまった事をお詫び申し上げます。
主に原因は仕事が激務と化してしまった為、作品制作の意欲と時間が無かったことにより、予定よりも2週間以上伸びてしまいました。
本当に申し訳ない。
それでは改めて
新章〘ロストチルド編〙第1話。どうぞ。
1 悪魔の娘
ユウキの退院から早1週間が経ち、キリトとアスナはデビルメイクライへと足を運んでいた。相変わらず街の方は新しくできたダンジョンとやらで騒がしく盛り上がっているというのにこの路地に入った途端静かになる。以前の闘技場の件による襲撃紛いの出来事が度々あったが皆デスペナ送りになっていくばかりで遂には諦めてこの区間には足を運ぶことがなくなった。今では偶に来る依頼人意外は俺達ぐらいしかこの通りを歩くことはないだろう。
「キリト君、この間の試験どうだった?」
「ん?あぁ、こっちはまぁまぁかな?」
「本当かなぁ?」
「本当だって、むしろシリカの方がやばいよ。また補習だってさ..........多分もう少ししたら来る筈だよ。」
「はぁ~.........」
友人の悲しい結果に落胆の様子が見て若干苦笑いになってしまう。
しんなやり取りをしていると目的地のダンテの店の前まで到着していた。
「ま、まぁこの続きは中に入ってからにしよう。多分今頃ダンテの奴もいつも通り寝ているだけだろうし_____」
扉に触れようとしたその時だった。突然店の扉が独りでに開き始めたのだ。このALOでは自動で開く扉はダンジョンくらいだった筈...........
「ん?」
よく見ると扉が開いた原因がすぐにわかった。小さな女の子がドアノブを両手で支えているのだ。なるほど今日は珍しく客人が来ているわけだ。
となるとこの子は付き添いで来た依頼人の娘なのだろう。
今では態々現実世界で旅行しなくても家族全員で仮想世界に入れば非現実的な光景を楽しみながらピクニックが出来る。
中にはゲーム本来の遊びよりもそういったやり方で楽しむプレイヤーも少なくはない。
恐らくだが、久しぶりにダンジョンに潜りたいけれど自分達では到底不可能だと判断してここに訪れたのだろう。
そう憶測していると目の前にいる女の子.......ユイと同じ位の背格好だろうか銀色のセミロングのストレートで赤い瞳がキラキラと輝いている。
「えっと........君は_____」
「パパーー!だれかきたよぉ!!」
こちらの問いかけを待たずに奥の方へと走って行った。
成程、どうやら父親と一緒にここに来て依頼の話をしている間に退屈になって外に出ようとしたらこちらと鉢合わせしてしまったのだろう。
「キリト君、どうしようか?」
「まぁ手伝うって手もあるし、一緒に参加するか。おーいダンテ!俺達も一緒に.........」
アスナも頷き、店の主に声を掛けようとしたのだが..........居るのはダンテ本人とユウキ、そして先程の女の子の三人だけだった。
依頼人もとい女の子の父親らしき人物は確認出来なかった。
「あれ?ダンテ、依頼人が来ているんじゃないのか?」
そう問いかけるも真っ赤なロングコートを身に纏った男はいつも通りに椅子で睡魔に襲われていた。
その横にトテトテと可愛らしい歩き方でダンテに近寄っていき、袖を引っ張り始めた。
「ねぇ~、パパってば~、だれかきたってば~。」
.........................
ちょっと待て...........今この子、ダンテの事を...........
「ぱ........パ.........?」
隣で少女の発言を聞いていたアスナは開いた口が塞がらず目を見開いている。
近くのソファーに視線を変えるとユウキが気まずそうに座っている。
「えっと..........えっとね?キリト、アスナ..........」
どう説明すればいいのか言葉が捜せず両手をさせて落ち着かない様子だ。
「えっと、ユ、ユウキ?これは一体..................」
「う、うん。あのね?この間面白いダンジョンが見つかったって話で行こうとしたんだけどシリカとシノンはテストがあるから予定が合わなくってダンテとボクの二人で行くことにしたんだけど..........」
数日前
水滴が滴る環境音が響く洞窟の中で俺達二人は目的地の更に奥深くへと歩んでいた。
「ここの洞窟って他と違ってハイレベルのモンスターがポップされるみたいでチャレンジしたプレイヤーは皆途中で脱落したんだって、モリソンがこの事を教えてくれてね?ダンテ連れて行ってみなって!!」
「ったく、モリソンの奴め.........」
大方、攻略情報が中々手に入らなっかった為にユウキを通してこちらに押し付けきたと考えるのが妥当だ。
こちらに直接依頼すれば面倒だと思い、強い奴と戦えると聞いたら何も考えず食い付くと考えたのだろう。
「それにしてもこんな洞窟が新しいダンジョンなんて.........ん?」
ユウキが言いかけた所で何か異変に気付いたのか前方に視線を向ける。
「..........どうやら団体でお迎えしてくれるみたいだな。」
目の前の暗闇から現れてきたのは両足が木の棒で出来ており、体は継ぎ接ぎのボロ布らしきもので構成されている。
左腕はガラクタの金属で組み合わせた物で逆の右腕は肘の部分が歯車でそこから先は三日月状の刃毀れしている所々錆びれた大きな刃物が付けられている。
中には片足に刃物が取り付けられている者も居る。
デビルメイクライ4に出現してきた下級悪魔[スケアクロウ]だ。
ざっと見て数は10体近くは居るだろう。
「な、なんかちょっとおっかないね...........」
初めて見るユウキは怖ず怖ずとこちらの背中に隠れて相手の様子を伺っている。アストラル系のモンスターは苦手なのだろうか?
すると上から気配が感じられ、見上げるとそこには黒い外套のような何かを体に覆い、片手から昆虫のような指が一本だけ伸びている。
そして同じように黒い何かに包まれた敵は帽子を被っており、両手らしきものからは茨のような鋭い指で顔面につけられている仮面らしきものをなぞっている。
こちらも同じシリーズに登場してきた[メフィスト]、[ファウスト]だ。
「うわぁ~......こっちは飛んでるよ........」
さらに表情が引き攣ってしまうユウキはますますこちらのマントに身を隠す。
「さて、少しばかり物足りねぇが..........まぁ我慢してやるか。」
背中にあるリベリオンを手に取り、眼前の悪魔共に切っ先を向ける。
「それじゃあ.........始めようか!!」
エボニー&アイボリーを手にし、洞窟内には銃声の反響音がひどく響いた。
悪魔との戦闘を終え、再び俺達は足を進めていた。
「大分進んだけど全然目的地が全然見えてこないね......」
洞窟の中ということもあってか手元の明かり以外は暗闇が視界を遮っている。聞こえてくるのは雫が滴る音と革靴の足音くらいなものだ。
「で?モリソンから聞いたって話だが一体どんな内容だったんだ?」
「んっとね.......モリソンからの話だとこのダンジョンの奥深くに眠れる魂が閉じ込められていて、その魂を束縛しているモンスターを討伐して開放しろって内容らしいんだ。」
聞いた限りだとよくある救出クエストらしいが...........
「でね?皆はアップデート後でた新しいダンジョンだから何か追加されたレア物の報酬が手に入ると思って挑んだらしいんだ。でもその魂があるって場所にいるボス系のモンスターに返り討ちにされたみたいなんだ。」
「ほぉ?そいつは楽しみだ。」
そういえばここ最近、闘技場での出来事で表立って動くことは出来なかった上、向こうからちょっかいを吹っかけられる毎日だった。
弱くはなかったものの、イマイチ不完全燃焼で燻っていた所にこんな依頼が来るとはツイてる。モリソンからの根回しだという部分は気に食わないがこの際暴れられるのなら願ったり叶ったりだ。
そうこうしていると少し開けた空間に入り込んだ。
「ここ......なのかな?」
やや困惑気味の声を出しながらユウキがゆっくりと前に歩みだし辺りを見渡し始めた。
「その魂とやらは見当たらないが?」
「う、うーん.........ガセネタ.......だったのかなぁ.........ん?」
落胆の表情で落ち込むユウキだったがすぐに晴れた表情へと変わる。
「ねぇねぇダンテ!!アレじゃないかな!!」
ユウキが指を刺した方向に僅かにだが何かが発光しているようにも見える。
よく見ると全長2メートル程度の四角錘の半透明の建造物が鎮座していた。曇り硝子のようなもので構成された所為で中までは確認出来なかったがいくつか気泡が浮いていく所を見るになにやら液体らしきものが入っているようだ。
「うーん、これってどうすれば良いんだろう。やっぱりボスモンスターを倒すとか?それとも何か鍵となるギミックでもあるのかな?ダンテ、探してみよ。」
「..........いや、どうやらその必要は無くなったようだ。」
「え?」
周囲を探索しているユウキだったが、それを他所に上から迫り来る気配に気付いたのかこちらに飛び下がって腰に収めてる剣に手が伸びる。
暗闇から姿を現してきたのは赤く発光する女性の形をした二つの何かだった。
艶姿をしたそれらは空中に浮遊し、お互いの体を嘗め回すように弄り始めたのだ。
「な、何.......?」
その光景をみたユウキは何が起こっているのか理解出来ずに困惑していた。
「へぇ?」
赤く発光する何かはこちらを誘うように手招きしてくる。
「よぉカワイコちゃん♪」
マントを靡かせ、両手を広げて近づき手の届く範囲まで来て眺めるとゆっくりとした動作でこちらを捕まえようとしてくるが紙一重で避けつつ2つの光と戯れる。
「ダ、ダンテ!?」
ユウキが慌てた声色で呼びかけるも一切気にせずそのまま地面に寝転び、眺めていると巨大な何かが不規則に生えている鋭利な歯が生えた大きな口が此方を丸呑みしようと突進してくるも寸での所で後ろにジャンプして空振りさせる
『む?外したかか?』
大きな巨体の全貌が露わになり、赤く鋭い目で此方を睨んでくる。丸で鮟鱇の様な顔で体はどちらかといえば蛙に近い見た目をしている為なのか体中粘着液のようなものが鈍い光を
反射している。
頭部には氷柱が疎らに生えており、額の部分からは触手らしきものが伸びており、先程の女性の形をした2つの赤い光が繋がっている。
魔界の各地に生息する悪魔[バエル]
ふと辺りを見渡すと黒い霧のようなものが晴れていき、明かりが無くても洞窟全体が見渡せるようになった。
「こいつの所為で視界が悪かったんだ................」
『殺し損なうとはのう...........』
「どんなに姿をうまく隠せても匂いがなぁ.............」
ゲームでは分からなかったが...........成程、確かにこれは酷いものだ。
下手したら夏場の生ゴミの方がまだマシに思えるくらいだ。
『貴様.......我を侮辱したな?』
「本当の事を言われたからってそう怒るなよ。」
片手で仰いでいると吐瀉物にも似た何かを吐き散らしながら雄叫びを上げるバエルが一気に跳躍してこちらに襲い掛かってきた。
それをサイドロールで回避しつつ、側面に回ってスティンガーを横腹に打ち込んで吹き飛ばす。
「おいおい、勘弁してくれ。匂いが移っちまうだろ?」
洞窟の中ということもあってか鼻が曲がりそうなくらいの悪臭が充満されていく。
「く、臭い.........」
ユウキに関しては最早我慢の限界なのか左手で鼻を押さえて悶えているようだ。無理もない、こんな状況で戦うことなんてまず無いだろうし、そもそも今戦っている相手なんかまず始めているだろう。
『小娘........貴様もかぁ!!』
再び逆鱗に触れてしまったのか今度はユウキに向き直って再び突進して来ようとする。
「わわ!?こっちに来ないでよ!?」
背中の羽を展開して上空に飛んで回避するもそれを逃さないとバエルが跳躍して捕まえようとするもユウキが両手で上段から一気に剣を振り下ろしてバエルを叩き落す。
『グゥ!?』
跳ね返されたバエルはそのまま地面に落ちていき、想像通りの体の柔らかさなのか何度もバウンドしてこちらに迫って来る。
「ほらよ。」
リベリオンで大きく振りかぶって打ち返し、またしてもボールと化したバエルは別方向へと跳ねていき、壁に激突した。
「さて、こんな掃き溜めのような匂いとはさっさとおさらばしなきゃな。じゃなきゃコートに匂いが移っちまう。」
蛙野郎が派手に動き回った所為でエリア全体に充満し始め、鼻には悪臭が突き刺さるばかりだ。
その悪臭の根源となる悪魔はよろけながらも立ち上がり、ぎらついた目でこちらを捉えてくる。
『舐め腐りおって........丸呑みにしてくれる!!!』
そういうと霧状の黒い何かを吐き出して再び辺りは視界が遮られしまう。ユウキも周囲に細心の注意を払いながらこちらに降りて背中合わせになる。
「ダンテ、この後どうするの?」
「どうするも何も........こうするだけだ。」
リべりオンを仕舞い込み、パンドラを取り出す。
「それ.......鞄?」
一体どんなものか想像が出来ないのか首を傾げて訝しむユウキを他所に背中にぶら下げて浮遊砲台アーギュメントへと姿を変える。
「え?え!?え!!?」
最早何が起きているのか理解出来ず狼狽えるがそのまま操縦桿を握り締め、全砲台からミサイルを発射する。
四方八方に飛んでいく。壁に激突したのか幾つも爆風と光が周囲に発生して黒い霧を吹き飛ばす。
視界が晴れるとそこには仰向けになって痙攣しているバエルの姿が確認された。
『貴、貴様等...........覚えていろ。いつか必ず我の兄弟達がお前達を_______』
その言葉を聞く前に上空へとジャンプし、リベリオンで真っ二つにして消滅させた。
「ね、ねぇダンテ、色々と聞きたいことは在るんだけど.............今、あの蛙っぽいのなんかやばいこと言ってなかった?」
「気の所為だろ。さっさと進むぞ。」
「え、いやちょっと!?」
此方を静止させようとしてくるユウキを置いてさらに先に進む。
すると先程より少しだけ狭く感じるがまた開けた場所に辿り着いた。
また雑魚相手と戦うと思いきや目の前に映ったのはピラミッド状の白い半透明の建造物らしき物だった。
「ビンゴってことか.........」
「ねねぇってば!!ちょっと待ってよダンテ!!」
少し遅れてユウキが小走りで追いついてくると目の前の物体に目が止まった。
「これって.........モリソンから聞いていた囚われた魂に関係あるのかな?」
もっと詳しく調べて見るために歩み寄ろうとしたその時だった。
突然建造物から稲妻が発生し、こちらへと襲い掛かってきたのだ。
「っ!?」
稲妻は胴体の中心部に当たり、体全身に激しい痛みが走る。
「ダ、ダンテ!!?」
隣から聞こえてくる呼び掛けに応じることが出来ずにこれまでにない脱力感が完全に視界を遮った。
あれからどれ程時間が経過したのだろうか?
まるで夢の中にいるような微睡みの中、視界が開けている。
「___ねぇ、おき__お__ば_」
僅かに蘇りつつまる感覚から誰かに頬を叩かれているようだ。
恐らく近くに居たであろうユウキが呼び起こしているのだろうか?
「____パ、おきて___おきてってば」
何度も執拗に叩いてくる手に鬱陶しく感じながらもゆっくりと瞼をこじ開けるとそこには...........
「あ!やっとおきた!!!」
叩き起こしていた犯人は紫の少女ではなく、白銀の子供だった。
「おはよ!!パパ!!」
この時の俺はまだ気付いていなかった。
ここからが悪夢の始まりだった事を..............
如何だったでしょうか?
マザーズ・ロザリオ編の最終話にてエピローグらしき文章を書いたので今回はプロローグは省かせてもらいました!!
それでは皆様、今後も投稿が遅れてしまう場合が多々あると思いますが、これからも本作品をよろしくお願いします。
それでは!!ご通読ありがとうございました!!