あれこれと書き込んでしまったら久し振りに1万文字に達してしまった........
それでは第4話!!どうぞ!!
現実と夢はどう区別されるのだろうか?
苦行にも似た日常を送っている事か、何もかも理想的な出来事ばかりが起きている事か、本当は現実と認識している世界が夢であり、自身が夢と認識している世界が現実なのだろうか?
その答えは誰にも知らない。
誰も認知する術を持っていない。
ただ生きている。
そう感じている中で平穏な草原の中で風に揺られている草木に体を撫でられている。
「ダンテ!!いつまでそこで昼寝してるの!!」
水色と白の2色が覆う景色を楽しんでいると陽の光が反射する黄金色の髪が遮ってきた。
折角の昼寝日和だというのにかわいい小鳥の鳴き声ではなく甲高い声が鼓膜を殴りつけてくるのはやめてほしいものだ。
「そうだな、とりあえずお日様が帰る頃には終わるだろ。」
「夕方までそうしてるつもり!?ダンテもいっしょにに天職をやらないと不公平でしょ!!」
「だったら俺だけに説教かますのはフコウヘイってやつじゃねぇか?アリス。」
そして金髪の少女アリスに諭すように親指で視線を変えさせるとその先には同じく同罪...........もとい、昼寝仲間の黒髪の少年が寝そべっていた。
「キリト!!」
いきなりあらぬ方向から怒号が聞こえてきたのか一瞬だけ体を強張らさせこちらに顔だけ向けると状況を理解出来たのか慌てて体をお越し、黒い大きな杉の木へと駆け出していった。
それと同時に密告されたことも容易に想像したのか、恨めしそうにこちらをジト目で見てきたのは放っておくことにしよう。
「もぉっ!!どうしてあなた達はそうやってすぐ怠けるの!!」
軽く握られた両手を腰に添え、溜息と共に愚痴を溢すアリス、別に今に始まった訳ではなく、これが俺達の普段のやり取りなのだ。向こうが怠けているのを分かっているようにこちらも説教染みたお小言を投げつけてくるのも既に分かっている。
「いい加減にしないとお昼抜きだからね!!」
そう不貞腐れながら足元に置かれている木製の籠を持ち上げて巨大な杉の木へと足を向けていく。
働かざる者食うべからず。
流石に寝てるばかりでは人は生きられない。必要な分だけ食事を取ってこそ生命を維持出来るというものだ。
このまま英気を養うべきだと頭の中で囁く悪魔もこればかりは逆らえない、有無を言わさず黙り込んでしまった。
致し方無しと自分に言い訳をしながらも重くなった体を起こし、3人が集っている場所へと向かうことにした。
「ほら!ダンテも早く来ないとキリトにぜんぶ取られちゃうよ~!」
簡易的な布が敷かれ、中央には見事な狐色に焼かれたパイの数々が並べられている。
そしてそれを囲むように先程説教をかましてきたアリス、そして.........
「そうだよダンテ。早くしないと僕の隣りにいる食いしん坊のお腹の中に消えちゃうよ?」
栗色の髪を生やした少年が隣りで涎の滝を流している食い意地馬鹿を見ながら苦笑いを浮かべている。
「そん時は俺の天職をすべて上乗せしてやるから問題ねぇよ。」
「うぐっ!?そ、それは勘弁してくれ...........」
こいつなら本当にやりかねないと予想したのか苦虫を噛んだ表情へと変貌させ、あともう少しで届きそうだった手が一瞬で引き籠もっていく。
まさか本当に食べるつもりだったの?と二人にジト目で見られながらも誤魔化すように笑うキリト。
こんな日々を送ってどれ程の年月が過ぎたのだろうか。
いつもこの4人でほのぼのとした平穏を謳歌していた。
あの時が来るまでは.............
最初にキリトが氷を用いて弁当を長持ちさせようと言い出したのが事の始まりだった。
英雄ベルクーリと北の白い竜..........
北の山脈に莫大な財宝、一振りの美しい剣と共に巨大な白き竜が眠っていた。
ベルクーリはその剣を抜こうと手にした途端、白竜は目を覚まし、両者は激しい戦いを繰り広げたと言われている。
その英雄ベルクーリと白竜の物語となった洞窟から氷を持ち運ぶこととなった。
ユージオは禁忌目録の存在があると制止しようとするがアリスとキリトは遊びで行く訳でも,
ましてや山脈を超えることはないと豪語され、口を尖らせながら黙り込んでしまった。
そして次の安息日を迎え、俺達4人は目的の山脈にある洞窟へと向かっていった。
「♪~」
「ったく.......荷物は俺達に持たせるんだからな」
結局はこうなるんだと目の前で腕を大きく振りながら鼻歌を歌っているアリスに聞こえない程度て文句をこぼし続けている。
そんな悪態を募る友人に和やかに微笑みを向けてユージオは宥めていた。
「まぁいいじゃない。こうしていられるのも今だけかもしれないよ?」
「ん?」
「アリスは村長の娘だし、これからは色んな勉強に時間を取られちゃうだろうし。」
「ま、天職に就いていないのも神聖術を学ぶ勉強の為だしなぁ..........」
「俺としては羨ましいかぎりだな。」
俺達3人はあの大きく聳え立つ黒い杉の木を切り倒すという仕事が存在しているにも関わらずこうして毎日欠かさずアリスが昼に弁当を持ってこれるのは彼女が神聖術に長けているという才能により術の勉学の為、天職を免除してもらっているらしい。
最初は羨ましいと思えたが一度彼女勉強する姿を
覗いたことがある。
それを目にした瞬間、迷わず天職を選ぼうと自分らしくない選択を決めたのは今でも印象強く残っている。
「何言ってるのさダンテ、それにいつかしたら男の子と遊ぶのも禁じられちゃうかもしれないんだよ?」
つまりはあの説教が聞く回数も減るというわけだな。なんともありがたい話だ。
何度甘い一時をあの甲高い声で遮られてしまったことか...........
「こら!何3人で内緒話してるのよ!」
「い、いや何でもない!な?」
「う、うん!夕方の鐘までには村にかえらないとって話してたんだ。」
「そう.....そうね。ソルスが空の真ん中に近付いてきたら引き返しましょ。」
そう言って空を見上げるとソルスの光は4分の1の高さにに達している。
「さ、急ぎましょ!」
片手を天高く上げ、いざゆかんと意気込んでいるのかその後ろ姿にキリトとユージオは苦笑いを向けあっていた。
やがて山脈に近付くと地面が草木が生えた土ではなく大きく聳える山脈と同じ岩肌が顔を見せてくる。更に進むにつれて平らだった筈の道も消えていき、歪んだ段差や子供の足なら簡単に嵌りそうな裂け目が姿を現してきた。
険しい道のりを越え、目の前には目的地である果ての山脈の洞窟が口を大きく開けていた。
動植物の命の源である水がその洞窟から小さな川として流れている。
未知の場所へと足を踏み入れることに若干の不安を感じてしまったのか入口の端から覗き込むように中を確認するもこのままでは埒が明かないとアリスが一歩前に進んだ。
「とにかく、中に入ってみるしかないよね。」
懐から綿毛が生えた草を取り出し、神聖術と呼ばれている詠唱を唱え始めたと思ったら眩しい光を放ち始めた。その光は蝋燭よりも明るく、一寸の光さえ届かなかった洞窟の姿を露わにする。
やがて進んでいくうちに酷く肌寒くなってきた。どうやらもう少し先にお目当てのものがあるようだ。
「ねぇ、本当に白竜がおそってくることがあったらどうする?」
「大丈夫、白竜だってつららをとるくらいゆるしてくれるさ。うーん、でもうろこの一枚くらい欲しいよな.........」
「おい、何考えてんだよ。」
「いやだってさ、それがあれば____」
友人の狂言に顔を顰めたユージオだったが、何かを踏みつけたのかパキッと割れた音がしたことにより会話が閉ざされた。
足元を照らしてみると地面の一部が氷で覆われており、ユージオの足が亀裂を生みだしていたのだ。
「あ、これ........氷だ!あった!あったよ氷!!」
先程の不安げだった表情はどこにいっただろう、その顔は喜々としている。
「この先にもっとあるはずだ!!」
そこからの足取りは早かった。静寂な洞窟の中では四人の走る足音が響き渡る。するとそこまで進んでいないにも関わらず目の前から灯りが灯されていることがはっきりと確認された。
「あれは!」
その光に入り込むように駆け寄るとそこにはまるで宝石のように、それでいて自然な形で氷の結晶..........部屋というべきだろうか、何故か酷く美しく感じてしまいそうになるその景色に俺達は数秒間無言のまま立ち尽くしていた。
これだけあれば食料の保存なんて些細なことだとそう思っていた矢先、ありえない光景が俺たちの足を再び止めてしまった。
「なに.........これ........?」
目の前に鎮座していたのは骨だ。それも大きな........竜の骨だ。
「これって......もしかして白竜?」
「死んじゃったの?」
俺とキリトは竜の死骸に近付き、調べてみた。
近くに遭った氷に無数の切り傷.........動物の爪ではない、かといって牙の類でもない。
刃、剣だ。つまりは人の手によってこの竜が殺されたのだ。
「誰かに殺されちゃったの?でも、竜とたたえる相手なんて.........英雄ベルクーリでさも逃げることしかできなかったのよ?」
今後ろで永眠している竜がどれほどの強さを持っていたか、はたまたベルクーリが弱かったのかは定かではないが、少なくとも並大抵の相手では相打ちすることさえ叶わないのだろう。そんな存在が倒されているということは...........
「整合騎士............?」
「え?」
「まさか..........公理教会の整合騎士が人界の守護者である白竜を殺したの..........?」
「わからない..........もしかしたら闇の国にもすごい強い騎士がいるのかもしれない。でもそれなら闇の軍勢が山脈を越えてきてもおかしくはないはず...........」
「多分その整合騎士ってやつじゃねぇか?」
「でもダンテ、もしそうだとしたらどうしてこんなことしたか余計わかんないよ。」
「なら本人に直接聞いてみりゃいい。」
「そんな簡単に言わないでよ...........」
整合騎士、その単語には聞き覚えがあった。公理教会とかいうこの人界の中央にてこの世界の秩序と規律を守っている存在、そしてその教会に仕えているのが整合騎士..........その姿は見たことはないけれどたった一人でさえ文字通り一騎当千の強さを持っていると言われ、各地にて闇の軍勢から魔の手が伸びないように守護しているのだとか。
実際に会ったことがないから何とも言えないがもしそんな存在がこの竜を殺害したというのであれば理由以外はすべて納得してしまう。
もし闇の軍勢、あるいはこちらでいう整合騎士のような存在が向こうにも居て、そいつが殺ったとすればとっくの昔に俺たちの村を始め、人界が侵略されていたであろう。
そうやって憶測を語り合っていると第一発見者である
キリトはどこ吹く風かいつの間にか金貨の山からジャラジャラと音を立てながら何かを漁っていた。
「何してるのキリト?」
「め、メチャクチャ重いな.........」
何かを見つけたのだろう。精一杯力を籠めながら持ち上げる.......というよりほぼ引きずる形で金貨の山から少しずつ姿を現していくそれは一振りの美しい薔薇の装飾が施されている剣だった。
「これって.......」
「あぁ、伝承にあった英雄ベルクーリが盗み出そうとしたっていう【青薔薇の剣】だろうな。」
それを持ち上げようとしたのか、両手で掴み、足腰に力を入れてみるも傾かせるだけで最後はドシンッと重音と共に再び地面に横たわってしまう。
「ダメだ、重すぎる。俺達が全員合わせても運べないよ...........他にも色々お宝があるみたいだけれど.......」
「うん、持っていく気にはならないわね........墓あらしみたいだし.........」
「特にダンテ、持って行っちゃ駄目だからね?」
何故かアリスは釘を刺すようにこちらに注意してきた。
「なんで俺だけに言うんだ。」
「どうせ、将来ぐうたら怠けて、お金に困ったらここにある白竜の遺産から貰おうとか考えてたでしょ。」
「俺がそんな奴に見えるのか?」
「見える。」
心外だ。俺だって死者に対する礼儀ってものは弁えているつもりだ。幾らなんでも罰当たりなことはしないよう心掛けている。
友達として接してきたつもりがどうやらそんな風に見えていたらしい。即答したのでそれがどれほど印象強いのかは明白だ。
だが二人はきっと違うと言ってくれるだろう。なにせ同じ男同士、仲間意識を思ってアリスにそことなく、諭すように否定してくれる筈だ。
そう思って隣に居る親友達に無言の助けを求め、視線を送るのだが、親友と思っていた奴らは口を閉ざすどころか明後日の方向に視線を逃がしていた。
今日分かったことは二つだ。
一つは山脈の守護者と呼ばれた白竜が謎の死を遂げていたこと。
もう一つは親友だと思っていた三人は自分が思っていた以上に薄情な奴らだということだ。
俺達は帰路を辿っている........と思う。
「.........もう随分と歩いたけど、やっぱり反対の道だったのかしら?」
あれから十分なほど氷は手に入り、あとは村に急いで戻ろうと思っていた矢先、似た洞窟が複数存在し、帰り道がどちらだったのかわからなくなってしまった。
「近い方だったからって選んだのはアリスの方だろ?」
「ん?何か言った?」
「いやぁ何も!」
キリトの愚痴に睨みを利かせるアリス、そんなやり取りの最中、ユージオが何かを聞き取ったのかゆっくりと進んでいた足を止める。
耳に意識を集中させると進んでいた方向から微かだが風が切れる音が入り込んできた。
「風の音?」
「外が近いんだ!こっちで良かったんだよ!」
自分達が辿っていた道なのだと歓喜したのか小走りで先を進み始めるユージオ。
「ちょっと!?こんな暗いところで走ると転ぶわよ!」
まるで母親染みた言葉を並べるも後を追いかけようと同じく追いかける。
すると走って間もなく洞窟が途切れ、眩い光が入口を覆い隠していた。
「出口だ!!」
そう思って見えた先は、俺たちが暮らしていた世界とは真逆の光景だった...........
赤く染まった空、草が一欠けらも生えていない荒れた大地、所々に生えているも、既に枯れているように見える木々。
まるで地獄のような光景を前にして圧巻されてしまった。
「ここは.........」
「ダーク.......テリトリー........」
「ダメだ。これ以上進んじゃ______」
言葉を遮るように空から何かがぶつかり合う音が響き渡る。
視線を追いかけるとそこには黒き鎧を纏った剣士と先程の白竜と比べ、大きさは劣るが翼を広げ、空を飛び回る竜。
それと対峙しているのは対をなすように白銀を纏った剣士が同じ大きさの竜に跨り、それぞれ手にする剣で火花を散らしあっている。
「あの白いのは........公理教会の騎士か?」
「じゃ、じゃああの黒い方は闇の軍勢?」
そんな憶測を口にしている間にも二つの存在は激しく衝突を繰り返している。白き竜は向かい合う黒い敵に向かって口から青白い何かを貯めこみ、それを吐いた。
僅かに曲線を描くそれは黒い騎士が身構えていた盾によって防がれるもその衝撃により体制を崩して下へと落ちていく。
すると白銀の騎士はその隙を見逃さず剣を納め、今度は左手で真っ赤な棒状の何かを取り出し、空いた右手で懐から左手にもった何かよりも短い棒を取り出した。
二つのそれらを十字に重ね始め、目の前で姿勢を崩した騎士へと狙いを定めたのだ。
遠目から見たそれを弓矢と確認できたのは矢が黒い騎士の胴体に食い込んだ直後だった。
金属の塊を身に纏った人が地面にたたき落され、続いて乗っていた竜もその隣に墜落、衝撃と共に辺り一面土埃をまき散らした。
数秒後にその姿を現すも、瀕死であるのが目に見えて分かるほどに黒い騎士は無気力に横たわっている。
するとこちらの存在に気付いたのか、顔をこちらに向け、まるで助けてくれと手を伸ばしてきたのだ。
それに釣られたのかアリスは倒れこむ騎士に近寄ろうとゆっくりと歩み始める。
しかし、そこから先はダークテリトリーの大地、禁忌目録1章3節11項にはこう記されている。何人たりとも人界の果ての山脈を越えてはならない。
「駄目だ!!」
キリトの警告と共に意識を戻し、咄嗟に足を止めようとしたアリスだったが、その所為で体勢を崩してしまい、前のめりに転びそうになってしまう。
俺達三人はアリスを支えようと近寄るが、間に合うことなくアリスは地面に倒れこんでしまった。
「アリス!!?」
普通ならそのまま起こす筈が動けずにいた。
なぜなら...........アリスの右手.........その指先がダークテリトリーの大地に触れていたからだ。
その事実を前に俺達、そしてアリスは両目を大きく見開いてその場で凍り付いてしまった。
「ア、アリスッ!!」
俺達はすぐさま彼女に駆け寄り、上体を起こす。
「わ、私........私っ........!」
震える右手を見ながら自分は禁忌目録を犯したのだとアリスの手は遠目でもわかるように震えていた。
「だ、大丈夫だよアリス!洞窟からは出たわけじゃない。そうだよね?そうだよな!?キリト、ダンテ!.......キリト?ダンテ?」
ユージオが不安と焦燥に駆られる中、俺は......いや、きっとキリトも同じ何かを感じたのだろう。後ろから感じる奇妙な気配に意識を向けるとそこから一部空間が歪み始た、その歪んだ何かが開いて、中から人であって人ではない何かが覗き込んでくる。
「っ!?」
「な、なんだあれ!?」
瞳がないそれはこちらを見つめ、意味不明な言葉をいくつか口にし、消え去るように歪んだ何かが閉ざされていった。
「消えた!?今の、いったい......?」
「わからない........とにかく戻ろう!」
キリトの言葉に頷き、俺達は逃げ去るように村へと走った。
長い道のりを休まずに帰って来たのか4人共揃って息を乱しながら項垂れるように村の前で呆然と立ち尽くしていた。
「さぁ、家に帰ろうぜ。」
キリトはそう言った。
だがアリス、ユージオの顔はどこか不安が拭い切れないのだろうか戸惑った表情をしている。きっとそれは自分にも当てはまるだろう。
だがこうしている間もただただ時間が過ぎ去っていくだけだ。
観念するかのように、はたまた大丈夫だと自分を誤魔化すように笑顔を取り戻して歩み始めた。
「じゃあ、氷は地下室に入れておくね?」
「う、うん。」
「じゃあな。」
別れの挨拶を済ませ、アリスは自分の家にと振り返ってゆっくりと歩き始めるもすぐに止まった。
「??」
何だろうとキリトとユージオは首を傾げる。やはり洞窟の、向こうに触れてしまったこと対して気になっているのだろうか?
「.............明日のお弁当、楽しみにしててね。」
振り返ったアリスの顔はいつも見る笑顔だった。
「おう!」
「う、うん。」
「............」
そう言い残し、アリスは再び小走りで家へと帰っていった。
しかし何故だろうか?さっきから........いや、あの洞窟での出来事がどうにも胸を逆撫でしてくるのだ。
このままじゃいけない。
何故か頭の中.......だろうか?体の奥深くで訴えかけるように聞こえた気がした。
「ダンテ?どうかした?」
ふとユージオが心配そうな声を掛けられ、遠のいていた意識が戻される。
さっきのは何だったのだろうか?
知っているようで知らない?
知らないようで知っている?
答えどころか疑問になっていることすらわからないという矛盾に近い問答を繰り返している自分に少しばかり気味の悪さと苛立ちが募り始める。
「大丈夫?どこか気持ち悪いの?」
「なんでもねぇよ。じゃあな。」
「あ.........」
「おう!またな!」
俺はキリト達に別れを告げ、自宅へと戻った。
翌日、いつもと変わらず俺たちは大きな杉の木に斧を振り回していた。
ただその日は誰もしゃべることなく黙々と自分の課せられた回数だけ斧を振り回していた。ただただ夢中に。
すると何か大きい影が俺達三人を覆った。
すぐに空を見上げるとそこには白い竜が白銀の騎士を乗せて俺達の村へと飛んでいくのが見えた。
「キリト!ダンテ!」
「あぁ、昨日の整合騎士だ。まさか、アリスを.........?」
「嘘だろ......あんな......あれだけのことで!!?」
「言ってる場合か!」
「取り敢えず急ごう!!」
まだ天職が残っているというにも関わらず走り出した。あの整合騎士がアリスを連れ出す前に辿り着かなくては............
村に着いた頃には既に住人全員が中央に集まっており、その中で全ての視線の先には先程の白銀の鎧を纏った整合騎士が静かに立っていた。
どうやらあの様子だとまだアリスに会えていないようだ。どうにか奴に見つかる前にアリスに会わなくてはいけない。
住民達が纏まって棒立ちする中、金髪が一際目立った。その姿を確認し俺達は安堵しながら近づく。
「アリス!」
「キリトにユージオ、それにダンテまで.........」
「静かに、今のうちにここから離れた方がいい。」
「え?」
村人達が突然どよめいた、再び視線を整合騎士に向けるとそこにはアリスの父親であるツーベルク村長が歩み寄っている。
「お父様?」
整合騎士に近付き、両手を合わせて一礼を済ませると重量感ある足を村長に向けデュソルバート・シンセシス・セブンと名乗り、それと共にアリスが禁忌目録を破った為、捕縛、然る後に処刑すると公言した。
そう言い渡され、実の父親であるツーベルク村長のでによってアリスは拘束具を身に着けられ、鎖で繋がれてしまった。
「騎士様!!」
キリト、そして続いてユージオと俺は民衆の中から飛び出し整合騎士に抗議するために前へ出た。
「アリスはダークテリトリーに入っていません!ちょっと....ほんちょっとだけ指に触れただけなんです!!それだけなんです!!」
「それ以上どのような行為が必要であると?」
確かにアリスはダークテリトリーの地に触れた。その事実は揺るがないだろう。だが何の意図もなく事故で起きてしまったのだ。アリス自身がダークテリトリーに入り込で何かを企てていた訳ではない。
だが対面する整合騎士、デュソルバートは兜の隙間からうっすらと見えるその両目でただこちらを見つめ返すだけ、大なり小なり問わず、ただ法を犯したという事実を元にアリスを連行しようとする。
「じゃ、じゃあ俺達も同罪だ。俺達も同じ場所に居た!連れていくなら俺達も連れていけ!!」
これ以上は無駄だと無言で返し、キリトの懇願に耳を傾けることなく淡々とアリスに繋がれた鎖を自分の竜に繋げ始めた。
「ユージオ、ダンテ、どっちでもいい。俺が斧で打ち掛かる。その隙にアリスと一緒に逃げるんだ。」
「キ、キリト.......で、でもどれは!?」
「禁忌がなんだ!それはアリスの命より大切な事なのか!!」
横目から見えたユージオは確認した。とても震えて、とても怯えていた。それもそうだろう。子供三人でどうにかなる相手じゃない。どうにかなる事じゃない。勇気を振り絞るほどの覚悟がないのだ。
無理もない、現にこっちだって今は震えを抑えているのだ。正直なところ、どうにかできるのかと言われれば頷くことが出来ない。その後のことなんてさっぱりだ。
だけどそうせずにはいられなかった。ただ見ているのが我慢出来なかった。
キリトが走り出したの合図に俺もデュソルバートに距離を詰めていた。しかし、走り出してすぐにキリトは見えない何かに吹き飛ばされてしまう。
「キリト!!?」
「おい、キリ___!」
一瞬、視線をキリトに向けた瞬間にこちらにも何かが飛んできたのだろう。同じように吹き飛ばされてしまい、地面に転がってしまう。
「ダ、ダンテ!!?」
「その子供らを広場の外に連れ出せ。」
「ふざ........けんな!!」
俺達二人はもう一度立ち上がり、デュソルバートに掴みかかろうとするも近くにいた大人たちの手によって押さえられてしまう。
「ユージオ!頼む!!行ってくれ!」
「あ........う..........」
「おい!どうした!ユージオ!!」
恐る恐る足を進めるもすぐに止まった。何故か右目に手を当てながら見悶えてしまい、こちらの呼びかけに何の返事も返すことなく、人形のように呆然と立ち尽くしてしまっている。
「ユージオ!せめてこいつらをどかしてくれ!!そしたら俺が!!ユージオ!!」
そうしてる間にもデュソルバートは竜と共にアリスをぶら下げながら徐々に空へと上がっていき、何処か彼方へと飛び去ってしまった。
その数秒後にようやく大人達から解放され、立ち上がるも既にアリス達は手の平に収まる程の距離まで飛んでしまっていた。
「アリスーーーーーーーーーーー!!!!」
キリトの必死の叫びは空しく青空に響き渡るだけだった。
今回はかなり......というよりはほぼほぼ原作通りに書いてしまいましたね。
次回からはもう少しオリジナルな要素を混ぜて書くよう頑張ります!!
これからの創作意欲に大きく影響されるので感想、評価をどうかお願いします!!
ご通読ありがとうございました!!