出来れば今月の22日に投稿して二周年を祝いたかったのですがリアルの仕事に追われ、中々筆を進めることが出来ませんでした。
この作品を始めてからから2年........早いものですね。
それでは第8話、どうぞ。
私、ソフィア・アスティーユはここ修剣学院入学し早々、学生生活最大の不幸に巡り合ってしまった。
数少ない友人であるロニエとティーゼと三人で慎ましく女子会を行っていた際に手に入れた要注意人物の情報を手にし、いつか眼前に訪れるであろう災厄から逃れ、順風満帆な学校生活を送って見せようと思った矢先だったのだが、ステイシア神、或いは魔神ベクタの細やかな悪戯によってそれはいとも容易く崩れ去ってしまったのだ。
今は修練場にて丸太に簡素な布が巻き付けられた練習台にて剣技の反復練習を行っていた。
「ハァ........ハァ..........」
私が傍付きとしてダンテ先輩の身の回りの世話を行う代わりにこうして剣の手解きを受けている真っ最中だ。
習っているのはダンテ先輩の同郷のキリト先輩やユージオ先輩が流派としているアインクラッド流剣術である。始めは聞きなれない流派ではあったがいざ剣の型を見せてもらったが私の知る剣技とはまるで異なっていたのだが何度も思い返すとどれも理に適った動作になっていた。
口頭による説明だけ耳にし、始めは疑いによる懸念だけしかなかったが、今現在はこの流派を学んでみたいと思う自分がいる。
といってもまだ駆け出しである事実は変わらず、アインクラッド流剣術の基礎とも呼べる技であるソニックリープと呼ばれる剣技を打ち込んでいるが、成功率はおよそ3割に達するかどうかという状況。
私自身、そこまで才能がないという事は重々承知の上だ。現に今もこうして息を切らしながらも動きを体に覚えさせようと必死に努力している。
それはいい、努力すること自体は嫌いではない、むしろ好きな方だといった方が正しい。
こうして苦労しながらも自身の力で会得した技術はどんな物事にも代え難いものなのだ。そう思うとどんな苦労だって喜々として受け入れることが出来る。
いや、問題は其処ではないのだ。
私の後ろで床に寝転がっている
この人はキリト先輩とユージオ先輩と同じくルーリッド村という所からこの学園に足を運んできた方なのだが、最初の挨拶に感じた第一印象は無愛想、今現在進行形でもある。
耳元に聞こえてくる十数回目の欠伸に集中力が削がれ、剣を握り締める手を解き、顔中に滴る汗を拭いながら視線を怠け者へと向けると想像した通り、口を大きく広げながら退屈だと表情が物語っていた。
「あ、あの!ダンテ先輩!!」
毎日このように必要最低限の助言だけ残し、この様に自堕落に時間が過ぎ去るのを待っている始末だ。最早我慢の限界に達して思わず声を荒げて呼びかけてしまう。
すると片目だけ開いたことが銀髪の隙間から確認することが出来た。
「ダ、ダンテ先輩はどうして私にアインクラッド流剣術を?」
「..........」
「た、確かダンテ先輩にはキリト先輩やユージオ先輩とは違って異なる剣術.......スパーダ流剣術というものがあるとお聞きしました」
「それがどうした?」
「どうしてそのスパーダ流剣術ではなく、アインクラッド流なのですか?」
「.................」
別にアインクラッド流剣術自体に何も不満はない、むしろ洗練されてありながら一切飾り気無くも美しさがある。それとは別に今目の前にいるこの人は別の剣術、スパーダ流剣術なるものがあるらしい。
てっきりそれを伝授させてもらうのだと思ったのだから虚を突かれてしまったのは今でも印象的に残っている。
「.........前にも言ったろ、それで十分だ」
その一言で一蹴され、再び瞼を閉ざされてしまった。再び静寂が訪れる。
ますます私の中で不満が募ってしまう、確かに剣の才能はないのかもしれない、他の同期に比べれば覚えは比較的に遅い方だし、これといって突出した特徴を持ち合わせてはいない。
でもそれならそれで才能がない、無駄な努力だとはっきりと断言されてしまった方が返って清々しい。
「そ、それでは納得できません!」
つい心の中にある不平不満の力が声に乗ってしまい、つい荒げてしまった。
息を吞んで後悔するも時既に遅く、目の前にいる先輩はこちらを両目で捉えている。
何も言葉を発することなく、ただただこちらを見つめていた。
しまった。そう思った私はきっと顔面が蒼白になり、焦点が定まってないのだろう。
「あ.......あ..........」
ゆっくりとその体が起こされ、私の視線が徐々に高くなっていった。
無表情ではあるがきっと機嫌を損ねてしまったのだ。
ダンテ先輩はそのまま手元に置かれている木刀を手にしたのだ、不敬な口答えをした罰として叩かれてしまうのだろうか。
そう思うと内から湧き上がる恐怖が更に現実味を帯びてくる。
「も、申し訳ありません!!指導して頂いている若輩の身でありながら生意気なことを言ってしまいました!!」
咄嗟に頭を大きく下げ、精一杯の声量で謝罪した。
こんなことをしてもこれから起きるであろう処罰からは決して逃れることはないのは明白だ。
だがそうせずには居られなかった。
もしこの事で私の立場が悪化し、最悪学園から追い出されてしまったらどうしよう。
私はどうなっても構わない。だが家に迷惑を掛けてしまったら、折角入学させてもらった両親のになんと弁明すればいいのだろう。
最悪の結末がどんどん頭の中で作り上げられていく最中、両目を力強く閉じ、これから襲いかかるであろう痛みを待ち構えるも一向に襲ってくる気配がない。
どうしてだろうと恐る恐る目を開けるとダンテ先輩は部屋の中央に立っていた。
どういうことか皆目見当もつかない私はただただ、腰を45度曲げたまま顔を上げているというなんとも面白可笑しな状態で呆然と立ち尽くしていた。
「何してんだ」
「へ?」
私は先輩の発言に瞬時に理解出来ず、素っ頓狂な返事を返してしまった。
すると先輩は聞こえるか否かの溜息を吐いたのだ。こちらの誠心誠意の謝罪が聞こえなかったのだろうか?
「しょ........処罰は?」
「何の話だ?」
まるでどこ吹く風といった表情を見るに本当に聞こえていないらしい。
その事実に無上の安堵が包み込まれ、ついその場にへたり込んでしまった。
「いいぜ、そこまで俺の剣を学びたいって言うんなら付き合ってやる」
「ほ、本当ですか!!?」
先輩からその言葉を耳にし、つい声が跳ね返ってしまった。今日は感情が二転三転しまう日のようだ。
「まぁ、いい加減退屈していたところだったしな」
木剣を宙に何度も回転させながらも悪戯を考えた子供のような笑みを浮かべている。その様子を見て私の直感が何故か危険信号を発していた。
何故だろう?これから漸く先輩から直々に強くなる方法を教えて貰うというのに............
「かかってきな」
切っ先を向けられ、私は基本に従って両手で剣を握り締めた。
「お.......お願いします!」
私はこの時の自分を殴ってでも止めたかったと今でも思う.................
トロフィーを獲得しました!
《ちょっとやりすぎたか?》
詳細 トリックスターの状態でソフィアを15回転ばせる。
次回【悪魔の休日】