これからちょくちょく書いていきますのでよろしくお願いします!
俺の傍付き剣士に剣術が学びたいと言われ、始めは退屈しのぎのつもりで面倒を見たのだが、その気まぐれが学園に来てからの不幸の始まりだった。
「ソ、ソフィア・アスティーユです!本日からからダンテ上級修剣士の傍付きとなりました!よろしくお願いします!!
キリト達の傍付きであるロニエとティーゼと同じく六等爵家の少女だ。
肘まで届きそうな空色の真っすぐな髪を垂れ下げて自己紹介した時は少しばかり驚いたものだ。
何せゲームやアニメはおろか、原作ですら存在しない人物が登場したのはルナ以来だったか。始めはモブ扱いの立ち位置に収まるのだろうと思っていたのだが、これを大きく裏切られたのはそれから間もないことであった。
本来であれば傍付きは直属の先輩から剣を習うのが古くからの風習らしいが、如何せん俺の剣術、ここに来てからはスパーダ流剣術と命名したのだったが、使っている身としては一癖どころか三つも四つもある代物だ。
もちろん純粋に剣技も存在するのだが全体的に見ればほんの一握り程度だ。
宙を飛び回ったり、銃を使ったり等等、兎に角これらを全て教えるにもどうしようか悩んだ末、半ば誤魔化すつもりでアインクラッド流剣術をソフィアに教えることにした。
肝心の本人は終始疑問を抱いていたようだが最終的には無理矢理納得し、健気にアインクラッド流剣術を学び始めた。特にこれといった特徴はないと彼女自身が説明した通り、客観的に見ればそうとしか言いようがない。
体力が多いというわけでもなく、筋力も女性の一般的なものでもある。学力も平均よりも少し上といったところだろうか。
端的にいえば特徴がないのが特徴といえるだろう。性格も素直で明るく人当たりも良さそうだ。ユウキとはまた違った優等生だ。
その分努力家であることもここ半月で理解した。
何せ簡潔に説明しただけにも関わらずソードスキルを自力で発動させることが出来たのだ。
始めは偶然かと思いきや試しにスラントやりピアを教えるとまた同じ結果が生まれた。これには少しばかり驚かされてしまったのは記憶に新しい。
肝心の本人は頑張っただけだと謙遜染みた言葉が返って来たのだがこれらの結果に確信を得ることが出来た。
キリト達の話だと未だにロニエ達は一つのソードスキルを会得したばかりだという、なのにソフィアに関しては一つどころか既に三つも会得仕掛けている。この事実をあの二人が知ったら片方は感嘆し、もう一人は無気力に口をだらしなく開放していることだろう。
だが拙い部分があるのは事実、このまま基礎をやらせるだけにしておこうと数日間は技の反復練習に留めておくことにした。
そんなある日のこと、後輩の掛け声を耳にし、今日も変わらぬ一日が過ぎ去ろうとした時だった。
剣を止めたと思ったら再び剣術に対する疑問を投げかけられた。
やはり本来教わるはずであったモノとは全く異なる剣術を教えられることにソフィアの中では納得しきれなかったのだろう。
その疑惑に対しては全く持って正論ではあるがそれでも教えられることに限りがあるような特技よりも純粋に構成された技術が後々役に立つ事が多いのだ。
ましてや才覚があるのであれば尚の事、だからそれで十分役に立つと伝えるも中々引き下がらなかった。
このまま拒絶しても埒が明かないのは明白、どうにかこの状況を打開するにはやはりスパーダ流剣術を教える他ないのだろう。
こうして重くなった腰を上げ、俺はソフィアにスパーダ流剣術を教えることとなった。
それからというもの、実際にそれぞれのスタイルでソフィアと模擬試合とまではいかなかったが実際に剣を交える形で伝授することにした。
途中からソフィアが困惑する反応に楽しみになったのは余談である。
日は更に跨いで同じ様に訓練を行おうとしていたら普段は気丈に振る舞っている少女に覇気が感じられなかった。
それとなく聞いてみたらどうやらここ数日の訓練内容ですっかり自信を無くしていたようだ。
自信喪失を体現し、俯く少女の剣はあまりにも遅く見ていて滑稽としか言いようがなかった。
ここ数日の稽古で少しばかりやり過ぎてしまったらしい、何も進歩を得られていない身としてかなり落ち込んでいるのだろう。
その様子に俺としたことがつい口を滑らせてしまった。
「技を教えてやる」
するとどうだろうか?体中に影を纏っていた少女は見る見るうちに顔をソルスの光で照らし、目の光が再び宿し始めたのだ。
さながらその光景は犬に散歩という単語を聞かせた時と遜色ない反応だ。
その健気なまでにはしゃぐ少女の姿に笑いを押し殺したのはかなり苦痛であった。今思い出しても声が漏れてしまいそうになる。
その日の内に基本となるスティンガーの技を教えるとこれもまたものの数日で会得してしまったのだ。
しまった。
といっても発動できるのは初期段階の射程も威力も貧弱な状態だ。とても実戦で試せれるような腕前ではない。
だがこのまま成長していけばこちらと同様の技を放つことが出来ることになるだろう。
そんな未来を想像しながら自覚のない後輩が生き生きと訓練する姿に世も末だと久し振りに溜息を吐いた。
そこから更に数日が経過し、ソフィアもすっかりと体の動きが剣士のそれに近付いていた。
それどころかトリックスターの動きを目で追え、ソードマスターで刃が競り合う所まで至ったのだ。
稽古の様子はどうだとキリトとユージオが覗きに来ていたがものの数秒で呆けていた。だがそれよりももっとも驚いたことがある。
こちらが大振りの一撃で剣を弾き飛ばし、止めの一撃を加えようとしたのだが、素手で剣を受け止められていた。
そう、ソフィアが俺のロイヤルガードを模倣し始めたということだ。
度々稽古に使うことはあったが教えた覚えは一度もない。にもかかわらず粗削りながらも形にはなっていた。
どうやって覚えたと聞くも本人もよく理解しておらず。
「な、何故か使えるようになってました...........」
本人もいつの間にか体が勝手に動くようになっていたらしく、いつ体得したのかさえも定かではないらしい。今更ながらとてつもない後輩が出来てしまったのでは?
ソフィアに剣を教え始めてからというもの、退屈という感情が久しく感じてしまう日々で最も印象深い一日となってしまった。