DMC×SAO 俺の転生物語   作:ユーグクーロ

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15 再出発

数分前、俺達は薔薇が咲き誇る庭園にて鞭使いの騎士、エルドリエ・シンセシス・サーティワンと対峙していた。

 

戦いの最中、ユージオの呼び掛けに半ば強制的に影響を受けたエルドリエは自身のフラクトライトを強制的に露出、公理教会の頂上にて踏ん反り返っている最高司祭によって洗脳された状態を解こうとしていた。その最中にデュソルバート・シンセシス・セブンの介入によって断念という結果になった。

 

あのままエルドリエの覚醒を強引にでも続けていれば良くも悪くも歴史上において大きな加筆は行われていただろう。

 

だが敢えてそれを見送り、原作に流れるままカーディナルの図書室へと誘われるように動いた。

流石にこれから頂上へと向かおうにも流石に丸腰では心許ない。

これからの戦いにおいて、そしてこれから起こるであろう出来事にも万全を期すのは最優先だ。

 

夥しい数の書物が敷き詰められた一室にて束の間の惰眠……………もとい、休息の一時を得た俺はキリトと最高司祭アドミニストレータを打倒しようと画策している自律型プログラムことカーディナルが長い長い昔話に花を咲いている傍らで横たわっている。

 

もうこの流れは前世で何回も見返している。なんなら一言一句外れることもなく淡々と運ばれていく場面が延々と続いてしまって退屈な事この上ない。

こうなるのだったらやはり一人でデュソルバートと戦ってくれば良かったのだろうかと半ば投げやりな後悔が込み上げてくる。

 

仮にそうしたら二人に両腕を捕まれたままの逃走劇が始まるだろうと容易に想像できる光景と共に自問自答による無意味な思考そのものに鼻で笑ってしまった。

 

「さてキリトよ。話はここまでにしておこうかの。お主の仲間があまりにも退屈そうで今にもここで死んでしまいそうな雰囲気じゃ」

 

「よく分かってんじゃねぇか。次からは眠る前に終わってくれよ?」

 

いい加減にしろダンテと無言のまま表情で訴えてくる悪友を尻目に欠伸で返事してやった。

 

「ふむ………キリトよ。ダンテとも話をしておきたい。暫く席を外してはくれんか?」

 

「え?あぁ…………」

 

少し俯いたカーディナルは先程とはまた違った険しさを刻み込んだ眼差しでそう告げるとキリトは空返事にも似た声でその場を後にした。まぁあれだけの情報量を一気に整理するにも時間が要するのだだ。今しばらくは放っておいても問題はないことだろう。

 

ゆっくりと本棚の森の中へと姿を消した悪友を見届け、視線をカーディナルに戻す。無論リラックスした状態のままでだ。

 

「それで話ってのはなんだ?つまらない内容だったらこのままもう一眠りさせてもらうからな」

 

「ではダンテよ。単刀直入に聞く…………お主は何者なんじゃ?」

 

態々人払いを済ませて何を聞くかと思えば、神妙な面構えをしていたからつい反応に釣られてしまった自分が情けなくて仕方がない。

 

「見ての通り、唯の人間さ」

 

「本当にそうかの?」

 

肩を竦めて呆気なく返すも以前管理者の一端を担う者の眼は鋭いままだ。

 

「………何だ」

 

「お主はキリトと同じ外の世界から此処へやってきた。そうじゃな?」

 

「それ以外に何があるんだ?悪魔にでも見えたか?」

 

「悪魔………か。悍ましさという意味合いではその言葉がしっくりくるの」

 

手を顎に当て、やや思考に意識を割くカーディナルに対し、今の質問への意図が読めなかった俺は遠回しなやり取りに少しばかり苛立ちを覚える。

 

「遠回しな言い方は止めにしてくれないか?はっきり言ってみろ」

 

時間にして数秒程度だろうか。頭の中の整理が整ったカーディナルは再びこちらの視線と合わせた。

 

「すまぬな。どうにもお主の中身があまりにも規格外だったのでな。そうじゃな、先ず始めに_____________」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンテとカーディナルが話を始めてから長い一時が流れた。

 

「結構時間が掛かってるね。キリトは二人が何を話し合っているのか知っているかい?」

 

事態は刻一刻と争う中、純粋な心の持ち主である俺の友人は律儀に座って待っているものの、言葉の端々に退屈さが滲み始めている。

 

「………いや、俺にも分からない。けど………」

 

「けど?」

 

「………いや、何でもない」

 

「???」

 

訝しむユージオを他所に俺は危惧していた。

カーディナルから教えてくれたこの世界での大まかな粗筋に未だ困惑を拭いきれない最中、態々ダンテとサシで話し合うという場を整えた。

十中八九………とまでは言えないがダンテ自身に大きく関わっているという事は見当がついている。

 

あいつとは曲りなりにもそれなりの付き合いだ。

 

始めて出会った時はアインクラッド、まだ茅場昌彦からデスゲーム宣告を受ける直前に俺と今や腐れ縁となったクラインの前に現れた。

 

最初に抱いた印象としては異色という言葉がぴったりと当てはまる。

 

ベータテストにすら存在しないソードスキルを持っていれば今度は銃火器の類、剣の世界の中では良い意味でも、悪い意味でも兎に角浮きまくっている奴だった。

 

後に相棒となっては色々と救われたこともあれば揶揄われ、弄ばれ、振り回された記憶が今にでも鮮明に掘り起こせる。

 

底無しに摩訶不思議な謎を秘めていて、手を伸ばそうとすれば幻の様に遠のいていく、ダンテとはそういう奴だ。

 

だがそんな奴でも時折、あいつを知っている連中なら変に思えるくらいに暗い影を顔に染める時がある。

 

いつもは人が赤面したくなるようなネタを強請って楽しんでいる奴がだ。どこか後ろめたいものがある………そんな顔をしている。

 

VRMMO………もとい、ネットで知り合った者に限らず、他人の事情にあれこれと口出しするのはマナー違反だと世間一般では常識の中でも更に常識なことなのは分かっている。それでも…………

 

俺は…………言い訳がしたかったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

言葉を紡ぐのに戸惑うキリトを他所に漸く長い話を終えたのか本棚の向こう側からカーディナルとダンテの姿が現れた。

 

「待たせたの。ワシも粗方話しておきたい事は全て伝えた。それではユージオはキリトから聞いておると思うが此れからお主達の剣が置かれている武具貯蔵庫へと扉を繋げる。覚悟は良いな?」

 

この図書館に訪れた際に渡された武装完全支配術と記憶解放術に関する書類には必ず目を通すようにと念を押された後、流れるように杖からコマンドを発信し、此処へ訪れた時の様に何の変哲もない壁から一枚の扉が姿を現した。

 

「ワシがしてやれるのはここまでじゃ。お主等の武運を祈っておるぞ」

 

温かい目でそう告げるカーディナルに対し、無言ではあるが助けてくれたことに対する感謝と必ず最高司祭アドミニストレータを打倒するという決意を込めて力強く頷いた。

 

微笑み返すカーディナルだったが唯一ダンテに対しては曇りがちらつく表情で見定めていた。

 

「ダンテよ。先程の話、努々忘れる出ないぞ?」

 

「…………」

 

「頼む…………」

 

ダンテは振り返ることも、言葉を返すこともなく光が溢れる扉へと足を進めた。

 

俺とユージオは普段のダンテを知っている。

いつも不遜な態度と半ば相手を煽っているのではないかと思える冗談を挟むのが常だった。

 

この時のあいつは何処か冷たく見えた。俺はこの時、もっと早く気付くべきだったと後悔した。行動に移せば良かった。言葉を発していれば良かった。

 

あいつが抱え込んでいた底なしの何かに……………気付いてやれば良かった。

 

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