DMC×SAO 俺の転生物語   作:ユーグクーロ

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2 ルーリッドにて

 ルーリッド村、森や木々が生い茂る山に囲まれ、それ以外特徴は無い。のどかで自然の恵みが最も教授され、娯楽と呼べるものは無いに等しいが、それでも自然の恵みを享受し慎ましかな生活を送っている。それが僕の生まれ育った土地だ。ある日を境に村を出ることとなった数年前まではあまりいい思い出は無かったが、それと同時に僕に生きる意味をもう一度見出せた場所でもある。

 

 そんな何処にでもありそうな村は月が昇る頃には僅かな明りと共に静かに就寝に勤しむのが常であった。しかし、今晩に限ってはそうはならなかった。蝋燭の微かな明りではなく、家全体が業火に包まれ、虫の鈴音の代わりに老若男女の悲鳴が村の外まで響いている。

 

 とあるきっかけで僕達は村から少し離れた所に家を構え、静かにひっそりと暮らしてたのだが、それさえもステイシア神を始めとした神々は許すつもりはないと代弁するかのように破られた。

 

 僕達はただ…………心に深い傷を負った親友達を守りたかっただけなのに………………

 

 あれからまだそれほど日数が経っていない出来事だった。

 

 後に引き起こされると予言していた暗黒世界の軍勢との全面戦争、それに対して無辜な住民達を生贄にし、対抗しようとした最高司祭アドミニストレータ―の暴挙、それを助長するかのような公理教会の実態、いずれも吐き気を催すような物事ばかりだった。

 

 それを防ぐ為、僕とキリトにダンテ、そして紆余曲折あれどもこれらの実態を目の前にして憤慨し、共に戦ってくれることとなったアリスと共に身を削る思いでどうにかこれを防ぐことが出来た。だがそれと引き換えにキリトとダンテは天から降り注いだ謎の光の柱を浴びた後、糸の切れた人形の様に倒れ、それから目を覚ますことは無かった。

 

 事態が冷めていく合間を縫い、カーディナル様の下で原因を調べて貰ったのだけれど心に何かしらの深い傷が出来たという抽象めいた説明以外は僕の学力では理解する事は叶わなかった。

 

 それからというもの、木こりの天職の頃のような疎外感を他所に静かに暮らしていた。静かだがそれでもこれから起こるであろう出来事に比べれば平穏な日々であった。

 

 最初の異変は村の更に辺境に住んでいる此処からでも分かる程に破滅と混乱の炎が巻き起こっていた。

 

「アリス!!」

 

「行きましょう! セルカの無事を確認しなくては!!」

 

 未だ身動きが取れない友人を置き去りにする形にはなるが、こんな異常事態を放って置くことも出来ない。背に腹は代えられないと諦め、此処に来るまでに持って来れた唯一の財産とも呼べる青薔薇の剣を腰に差し、現場へと急行した。

 

 ついこの間まで学園時代で体を鍛えたのが幸いか肩で息をする程度で済んだのだが、それすら吹き飛んでしまう光景が広がっていた。

 

 何故人界に暗黒界のゴブリンの大群が家を燃やし、逃げ惑う人々を追いかけ回している。

 

 これ以上の損害は見過ごせまいと己の愛剣を握り締め、酷い刃こぼれと錆びた武器と角合わせをした。

 

 個々の力はそれほど脅威ではない。あっという間に押し退いて切り伏せることが出来る程だ。

 

 問題はその先の光景、街の景観など塗り潰せる位に押し寄せる大群であった。どれだけ切り伏せたとしても際限なく湧いてくるかのように押し寄せてくるこの状況に流石に苦戦を強いられていた。

 

 村の大半が奴等に埋め尽くされているというのに人界とダークテリトリーを繋ぐあの洞窟がある山から続々と続いている。

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャ!! 白イウムは全部狩リ尽クシチマエ!!」

 

「この!!」

 

 整合騎士であるアリスが金木犀の剣による完全支配術で蹴散らそうとするも向こうの勢いが乗っているからかまるで死兵のように乗り越えようとしてくる。

 

「アリス!!」

 

「分かってます! しかし、ここを離れる訳には!!」

 

 防戦に四苦八苦している最中、とある異変に足を止めることとなった。

 

 何の変哲もない地面が突如黒い霧のようなものが現れ、そこから這い出るように何かが伸びて来た。人の手らしきものだろうか、五本指の手にやや細長い腕の形をしているものの肉と呼べるようなものは付いておらず、まるで骨と皮だけで構成されている上にところどころはまるで腐食しているかのように黒ずんでいるようにも見える。

 

 だんだんとその全貌が明らかになり、ボロボロ黒い外套を身に包み、その両手には大きな鎌を持ち、顔面は蒼白となっておりながらもその両目から浮かんでくる気味の悪い輝きを持った目がこちらを捉えている。

 

「こいつらは……!?」

 

「な、何が…………?」

 

 まさかダークテリトリーからの仕業かと思いきや先程まで争っていたゴブリン達も狼狽えている模様だ。となればこの事態は向こうにとっても想定外、あるいは今戦っているこいつ等は何も知らされていないだけで捨て駒扱いしている黒幕もとい術者が近くに潜んでいる可能性だってある。

 

 拮抗状態に陥っていると思いきや、突如現れた未知の魔物達は僕達以外に狙いを変え、不気味な笑みを浮かべ始めた。

 

 すると次の瞬間、不気味な魔物達は近くに居たゴブリン達を次々と襲い始めたのだ。

 

「この魔物…………ダークテリトリーの手先ではない!?」」

 

「みたいだね…………かといって僕達の味方という訳でもないらしい」

 

 後続で湧いてきた未知の魔物達はこちらにさえも牙を剥いている。一体何がどうなっているのか、こいつらはいったい何者なのか、それを知る術も余地もない。理解出来たのはそれだけだった。

 

 とはいっても特別強いという訳ではなかった。大振りで隙だらけの攻撃しか繰り出してこない上に体に見合ったともいうべきか、兎に角隙だらけと表現するしかない粗末ささえ感じてしまう。

 

 これもキリトやダンテから剣術、もとい戦う術を教わったお陰とでもいうべきなのだろうか。

 先程は意表を突かれたが個々の実力はさほど脅威ではない。だが、どれだけ切り伏せようともつい先程まで戦っていたゴブリンと同様に終わりが見えない。後から続々とこちらの血肉に刃を突き立てようと奴等は襲い掛かってくる。

 

 このままでは真っ先にこちら側の体力が底を尽いて蹂躙されてしまうだろう。未だ村から逃げきれていない住人が大勢いるというのに徐々に疲労が蓄積されている所為か焦りと苛立ちが表面に出てしまいそうだ。

 

「ユージオ! この魔物の軍勢の奥を見て下さい!!」

 

 咄嗟にアリスの声に従い、指を刺す方へと視線を向けると名も知らぬ魔物の群衆から更に一歩下がった所にこれまた異形の魔物が鎮座していた。

 

 始めに目にした魔物と比べれば幾らか背丈が大きい上、両腕が大鎌そのものに繋がれている。そんな異形の形をした何かは左右の得物を地面に突き立て、削るように引き裂くと先程見た黒い何かが生み出されていき、そこからまた黒い魔物達が這い出てきたのだ。

 

「あれが…………親玉!?」

 

「このままではセルカ達が……先ずはあれを切り伏せます!!」

 

 二転三転と変わっていく混沌とした状況の中、僕達は目の前に現れた未知の魔物に身構える他に選択の余地は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、ルーリッド村の敷地内には未だ逃げ遅れている村人達が目の前で起きている惨劇に腰を抜けていた。

 

 ついこの間まで平穏に暮らしていた者にとってこの光景はまさに青天の霹靂とも呼べる出来事だった。

 今まで戦う事はおろか武器を手にすることなんて程遠い生活を送っていたのだ。強いて言えば生きる為の糧を得る為に動物の類を狩猟したぐらい。それも経験のある者なんて数える程度なのだ。

 

 そんな者達が戦争…………それも自分達が狩られる側に立たせられるなんて思ってもみなかっただろう。故にこの混乱は妥当共呼べる結果に過ぎなかった。

 

「こ、来ないで…………!」

 

 そんな最中、一人の少女が尻込みをついてガタガタと震え、恐怖によって絞り出された涙と共に自分に迫りくる怪物を見つめることしか出来なかった。

 

「何してるの!? 早く立って逃げて!」

 

 立つ事すら思考に収まりきらない少女を避難誘導に徹していたもう一人の少女セルカが腕を掴み、必死に引き上げようとするも人ひとり持ち上げる程の力は持ち合わせていなかった。

 

 涙目になりながら震える少女を見定める怪物はニタリと気味の悪い笑みを浮かべ、その口元からはたらりと涎が零れている。

 

 漸くご馳走にありつけたと言わんばかりに振り上げられた禍々しい得物は今もなお周囲を焼き続ける炎に照らされ、鮮血を今すぐ寄こせと鈍い輝きが一際目立っていた。

 

 この先起こるであろう最悪の結末が頭の中を過り、絶望に立たされた少女達は自分達に襲い掛かるであろう大きな鎌を見つめることしか出来なかった。

 

 そして振り下ろされるその瞬間、セルカ達の後ろから頭上を横切り、目の前で愉悦に浸っていた魔物の顔に衝突した。

 

 鈍い衝撃音が静寂の空間に響き渡る中、ぶつけられた魔物はゆっくりと背中を仰け反らせていき、地面に倒れた。

 

 魔物に衝突したであろう棒状の物体が宙へと跳ね上がり、やがて重力によって地面へと勢い良く突き刺さる。轟々と燃え上がる炎の明かりに呼応するかの様に鈍い銀色の体が照らされその姿を露わにする。

 

 到底大人1人が片手では扱いきれないであろう大きさを誇るそれは持ち手を含めて剣自体が同じ金属のみで構成されており、鍔に関しては額に2本の角を生やした頭蓋骨の彫刻が飾られている。

 

「キャンプファイヤーにしちゃ、随分と悪趣味な内容だな」

 

 異形の剣に呆気に取られたのも束の間、飛んできたであろう後方から緊張感の欠片すら感じられない声が聞こえた。

 振り向くとそこには明かりを照らさなければ気付かない程に真っ黒な外套は足首まで届きそうなくらい長く、風を煽られたそれは内側に鮮やかな赤色が映えているのがチラホラと見える。

 

 その中に隠れるように擦り切れて少しばかり薄れた藍鉄色の洋袴にあちこち皺が目立つ白い襯衣を身にまとう黒髪の大柄な男性腕組みをしながら悠々と立っていた。

 

 村の者ではない。でも何処かで見たことがあるような? 

 

「だがまぁ………………」

 

 胸に生まれてくる疑問を他所に目の前の状況は刻一刻と変化していく、置き去りにされつつある中、黒髪の男性はゆっくりと魔物達の群れへと歩み始める。

 それに釣られ、魔物達もより一層興奮しているのだろうか、自身が手にする大鎌大きく掲げながら男性へと走り出した。

 

「肩慣らしには丁度良いな!!」

 

 多勢に無勢、こんな状況を前にしたなら普通は恐怖に怯え、無様に逃げても可笑しくないというのにも関わらず、男は宴を楽しもうとい表情で溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 不思議なものだった。

 

 ここは何処で、自分は誰で、どうして森の中を歩き続けているのだろうか、理由も分からず、背中に図体のデカい剣を背負いながらもひたすらに、ただただひたすら歩き続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰の? 知らない声だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 助けを求めている。どうして? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 分からない。けどそこへ歩く。歩き続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夢心地で進んでいくと大きな炎があちこちで踊っている。

 そこかしこに人が逃げている。

 俺の事は見えていないかのように通り過ぎていく。

 

 更にその奥で少女が倒れている。怯え、震え、縮こまっている。

 それを嘲笑うかのように何かががほくそ笑んでいる。

 

 知らないのに、知っている。見たことないのに見たことがある。

 

 頭の中をモノクロで何かが浮かんでいる。

 

 少女が助けを求めている声、けど誰も助けに現れない。

 

 それを踏み躙るように気色悪い笑い声、けどだれも止めない。

 

 気色悪い、反吐が出る。

 

 これは…………〖掃き溜め〗だ。

 

 なら、同じように見えるアレも同じということになる。

 

 そうと決まれば答えは簡単だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 潰せ、守れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論が出た頃には頭の中をムカデの様に這いずる違和感は消えていた。

 より一層、思考がクリアになっていく。

 

 〖掃き溜め〗に喧嘩を売った後は順調に事は進んだ。斬って、蹴って、踏みつぶして、目に見える奴等は徹底的に薙ぎ払った。

 

 頭の中が高揚感に満ち溢れている。これが所謂〖ハイ〗って奴なのかもしれない。

 ゴミ掃除を終えたと思えば区切りを打つように誰かが来た。

 

 パッと見れば成金のような鎧を身に付けた金髪少女といかにもユウトウセイな栗毛野の少年だ。

 

 金髪少女は腰を抜かした少女にすぐに寄り添った。会話の内容からどうやら姉妹らしい。

 

 もう片方のユウトウセイは驚きながらも安堵の表情を浮かべながらこちらに走り寄って来た。

 

「良かった! 無事に目が覚めたんだねダンテ!」

 

 〖ダンテ〗、今このユウトウセイは俺の事をそう呼んだ。可笑しなものだ。自分の事が全く分からないというのにその名前には酷くぴったりとパズルのように埋まる。

 

 それは俺の名前か? と我ながら素っ頓狂な問いかけをユウトウセイに投げてしまった。すると相手は酷く驚いていた。

 

 自分の事が分からないのか? アリスや皆は? と聞き返される。

 

 何度も見返すもまるっきり覚えがないと両肩を竦めるとユージオと名乗るユウトウセイはアリスと呼んだ少女と困惑の顔を見合わせていた。

 

 何一つ覚えがないという不思議な感覚に襲われながらも一つだけ、たったひとつだけ納得できることが分かった。

 

 俺は、〖ダンテ〗だ。

 

 其処には確証と呼べるものは一切無いのだがそれだけは夜空を見上げると共に身に染みた。

 

 




独自設定

アーリースタイル

記憶を失ってしまった状態に伴い、ありとあらゆるものを失った姿。ロングコートは赤から黒へと、銀髪は黒髪へと変貌。
見た目だけでなくこれまで培ってきたスタイルや技の殆どを忘れてしまっている。

唯一使える技といえばスティンガー(初期段階)のみである。
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