人類守護のゴッドショッカー   作:トライアルドーパント

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作中で聖剣について色々書きましたが、ぶっちゃけると日本では聖剣のデュランダルよりも競走馬のデュランダルの方がよっぽど有名だと思うんですよ。ウマ娘が流行ってる事もあって尚更に。

2021/5/23 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。

2021/5/26 誤字報告より誤字を修正しました。毎度報告ありがとうございます。


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――エクスカリバー。

 

世界で最も有名な伝説の剣であり、異界の聖地アヴァロンの住人達によって鍛えられ、妖精による特別な加護が備わっている。柄には顎から炎を吹き出す二匹の蛇が彫られ、刀身は眩いばかりに光り輝き、あらゆるものを切り裂く事が出来た。鞘には宝石の飾りが施され、持ち主の傷を癒やし、不死身にする魔法の力が備えられている。

 

エクスカリバーと言う名は「カルブリヌスから作り直された物」と言う意味であり、その名の通りアーサー王がペリノア王との戦いで破損した岩から引き抜いた選定の剣カルブリヌスの破片をある湖に投げ入れた所、「湖の乙女」が現われこのエクスカリバーをアーサー王に授けた……と言うエピソードが有名である。

 

エクスカリバーは自らの死を悟ったアーサー王が、忠実な従者であるサー・ベティヴィアに頼んで元の湖水に返還されたと言われているが、アーサー王の最期にはもう一つ説があり、アーサー王はモードレッドとの戦いでは死なず、傷を癒やすために聖地アヴァロンに旅立ったとも言われている。

 

いずれにせよ伝承通りなら「エクスカリバーはこの世界には存在しない剣」と言う事になるのだが、どう言う訳かエクスカリバーの名を冠する聖剣が7本も存在している事実に加え、破損してエクスカリバーの材料になった筈の選定剣カルブリヌスが聖王剣コールブラントと名を変えて現存しており、「7本のエクスカリバーとは果たして何なのか?」と言う疑問が残る。

 

トマス・マロニーの著作『アーサー王の死』において、“石に刺さった選定の剣”と“「湖の乙女」から授けられた剣”が登場するが、「破損した選定の剣を鍛え直す」と言う記述が見られない事から、一応エクスカリバーとカリブルヌスが同時に存在する事に関して問題は無いだろう……多分。

 

選定剣カルブリヌスこと聖王剣コールブラントについて持ち主とその妹が言うには、「実家であるペンドラゴン家に代々伝わる国宝」だとの事だが、その詳しい来歴については分からないらしい。

持ち主の妹に頼んで実家に問い合わせて貰ったが、戦闘時に聖王剣コールブラントを粉々に破壊してしまったので、色の良い返事は期待できまい。

 

一方でエクスカリバーについては関係者から聞いた所によると、「現存する7本のエクスカリバーは、大戦で破損した1本のエクスカリバーの破片を元に作られている」との事だが、そうなると破損する前のエクスカリバーとは一体何だったのか? これには今ある情報から、二通りの仮説を立てることができた。

 

一つは先述した「湖の乙女」へ返還された、もしくは聖地アヴァロンに旅立ったアーサー王が所有していた本物のエクスカリバーを何らかの方法で教会が入手し、使用していたと言う説。

 

前者だった場合、「湖の乙女」の元にあったエクスカリバーを強奪したと言った具合に、エクスカリバー自体は本物であるがその入手方法に問題があって、本来あるべき妖精の加護が得られなかった為に破損してしまったと考えれば、一応の辻褄は合う。

後者に至っては聖地アヴァロンとは一説によると「イギリス最初の教会が建てられたキリストの訪れた土地」とされている為、天使陣営の者が聖地アヴァロンへ出入りする事が出来たとしても可笑しくはない……かも知れない。

 

もう一つは単純にエクスカリバーの名を借りた別物であると言う説。そもそもエクスカリバーに魔力があったと言う記述はどの伝説にも存在しておらず、魔法の力があったのはむしろその刀身を収める鞘の方である。

伝承におけるエクスカリバーとは「何でも斬る事が出来る剣」でしかなく、それ以外の力は何も無い。破壊・擬態・天閃・透明・夢幻・祝福・支配……どれもオリジナルのエクスカリバーには存在しない能力である。

 

「では、本物であれ偽物であれ、何故オリジナルには無い能力を持つエクスカリバーを錬金術師達は7本も作ったのか? 分かるか、曹操」

 

「より強いエクスカリバーを作ろうとしたからだろう?」

 

「その通り。彼等は伝説の聖剣を、オリジナルのエクスカリバーを上回りたかったのだ。本物ならば『伝説を超えてやろう』と言う意気込みで、偽物ならば『本物をも凌駕する偽物を作ってみせる』と言う思いでだ」

 

「本物を凌駕する偽物か……しかし、貴方がソレを手に入れた経緯を考えると、魔力を秘めていたエクスカリバーの鞘を錬金術で聖剣に加工していたのかも知れないな」

 

「確かにカリブルヌスもエクスカリバーと呼ばれている記述がある事を考慮すれば、そう言う見方も出来るだろう。いずれにせよ『剣』とはあくまでも“斬る物”であり、その本質を見失うべきでは無いと私は思うのだが、混沌も極めれば次第に透明感を帯びてくるのもまた真理だ。つまりは性質ではなく純度が重要視される様になる」

 

「……なるほど。例えそれがどんなに低俗でも、不純でも、『徹底した在り方』と言うモノは人の心を惹き付ける」

 

「そうだ。奇妙な事だがな。……もしかしたらヒトはそれを【信仰】と呼ぶのかもしれない」

 

金色の怪人と膝をつき合わせて語り合うのは、曹操と呼ばれた漢服の青年。ほんの少し前まで『禍の団(カオス・ブリゲード)』の英雄派と呼ばれる派閥を率いていた曹操猛徳の子孫にして『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』の所有者だった(・・・)男である。

 

「新しく渡した槍の調子はどうだ?」

 

「悪くない。しかし、信者から献上されたモノを俺なんかに渡して良かったのか?」

 

「構わん。アレは私に傅く者達の中でも、最も愚かな在り方の一つだ。神の教えではなく、神の力に仕えている。だからこそ神の不在を知って容易く己を見失う」

 

「手厳しいな……」

 

曹操は“彼”からの評価が最悪な元エクソシストを思い出し、苦笑いを浮かべた。

 

曹操としても“彼”のお気に入りである大神官たる元シスターは、教会を追放されて尚自分を見失う事無く、『汝、隣人を愛せよ』と言う教えを貫いていた訳だから、聖書の神が死んだと知って自暴自棄に陥り、挙げ句の果てに悪魔へ転生しようとしていた者など、“彼”の評価が底辺を突破していても仕方が無いと納得は出来る。

 

ただ、天使陣営に関しては事前に“彼”から「裏切りそうだから」と言う理由で自軍に招く事を聞いていたが、流石の曹操もまさかそれが彼等彼女等の上司である天使達の事だけではなく、“彼”自身の事をも指していたとは思わなかった。

 

要するに上司の天使達を見限って“彼”に寝返った教会の信者や戦士達は、“彼”の正体が「本来の力を持って生まれたヒト」の大元……すなわち【神】、あるいは【原初の人間(アダム・カドモン)】であり、聖槍が実は「ヒトを神と言う次元に引き上げる為の道具」だと知れば、いずれ自分をも裏切るだろうと“彼”は予想していた訳だ。聖書の神への盲信故に、彼らは『自分達にとって都合のいい聖書の神』を造ろうと企んで。

そんな“彼”を裏切った彼等彼女等に対し、“彼”は当てつけの様に『聖剣・切り鉄』による粛正を実行しており、“彼”の元に集った天使陣営は今や一部の例外を除いて壊滅の憂き目に遭っている。

 

「そもそも、教会の戦士が誰一人としてその槍の存在を知らなかった事が信じられん。古代のトロイア戦争においてかのトロイアの王子ヘクトルが槍として使っていたのだから、誰か一人でもそれを試そうとは思わなかったのか」

 

「かのシャルルマーニュが天使から授かったとされる名高き聖剣だからな。教会の連中からすれば天使達によって聖剣に鍛え直される前の状態に戻すと言うのは畏れ多いと言う事だったのだろう」

 

「エクスカリバーの破片は改造しておいてか? いや、エクスカリバーだからこそか?」

 

「エクスカリバーにはデュランダルと違って天使にまつわる逸話がないからな。いや、その由来になった騎士ガルガーノが岩に突き刺した剣にはミカエルが関わっているらしいんだが……」

 

二人が聖剣をお題とした雑談を楽しむ中、“彼”の掌の中に小さな立方体が出現した。その色は目を背けたくなる程にどす黒く、膨大な禍々しい負の感情エネルギーに溢れていた。

 

「それが今回の赤龍帝の騒動によって生まれ、無かった事にされた記憶の集合体か」

 

「そうだ。今回の赤龍帝が起こした騒動の犠牲となった者達の情報は全て、この『メモリーキューブ』に収められている。赤龍帝が彼等の犠牲によって得た力を手放さない限り、これに収められた無数の記憶は赤龍帝の滅びを呻き続ける事になる」

 

「……分かった。赤龍帝と聖魔剣は俺に任せてくれ」

 

「任せた。では、始めるか」

 

曹操が“彼”からメモリーキューブを受け取ると、曹操の足元に魔法陣が展開され、あっと言う間に姿を消した。

 

「しかし『竜を操る』か……堕天使も随分と増長(のぼ)せたものだな。アルビオン、お前はどう思う?」

 

『………』

 

「……やはり乳龍帝の悪行は受け入れ難いモノだったか」

 

直後、“彼”にアルビオンの声にならない魂の悲鳴が聞こえた。

 

北欧神話の主神が返却した魔剣の礼と称して戦乙女を送ってきた際、悪戯心を起こした主神から「ドライグは乳龍帝と呼ばれとるそうじゃが、そうなるとお主は差し詰め尻龍皇か?」とからかわれた事にアルビオンはショックを受けていたが、今回の乳龍帝の所行によりアルビオンの心の均衡は崩れ、遂に声を失ってしまったのだ。

 

 

○○○

 

 

それは駒王学園2年の生徒達が、修学旅行へ京都に行った真っ最中に起こったトラブルだった。

 

「最悪だな。二つの意味で」

 

「仕方ないですよ。悪いのは僕達なんですから……」

 

「本当にすいません……ッ!」

 

京都から駒王に向かう新幹線の席で向かい合うのは、教師として修学旅行に同行した堕天使総督のアザゼルと、生徒であり転生悪魔である木場裕斗と兵藤一誠の三人。アザゼルは特大の苦虫を嚙み潰した様な形相をしており、そんなアザゼルを前にした裕斗と一誠は申し訳ないと言わんばかりに沈痛な表情を浮かべている。

 

彼等が駒王行きの新幹線に乗っている理由はズバリ、ここ数日にわたって京都で頻発していた痴漢騒ぎの元凶が、他ならぬ一誠にあった事。

 

当初、妖怪勢力との外交を担当したアザゼルと、魔王のセラフォルー・レヴィアタンは妖怪達が門前払いにも等しい言葉と拒絶の意志を示していた事に訝しんでいたのだが、それは妖怪達が京都で起こっている騒動の原因を知っていたからだとその時になって理解した。

 

要するに妖怪達からしてみれば自分達は、監督下にある悪魔が我が物顔で京都を荒らし回って平和を乱しているにも関わらず、素知らぬ顔でいけしゃあしゃあと「世界の平和の為に協力してくれ」などと宣っていた訳だ。そりゃあ「ふざけるな」と言われても仕方がない。

当の一誠には悪気は一切無かったのだが、それならそれで余計に不味い。此方側の世界では自分の能力を管理する事が出来ない相手などまず信用されない。世界の裏側を生きる以上、自分の力に責任を持つのは最低限の絶対条件だ。

 

かくして三大勢力と京都の妖怪達との交渉は決裂し、「三大勢力の京都撤退」と言う怒りの最後通告を叩きつけられるも、アザゼルとセラフォルーの必死の交渉の結果、何とか元凶である「赤龍帝の強制送還」を以て一連の騒動を手打ちとした。

一誠は生徒会の面々から白い目で見られながら京都を去る羽目となり、その付き添いとして裕斗とアザゼルが責任をもって一誠を駒王へ護送する事と相成った次第である。

 

「正直に言うと今回京都の妖怪達と協力関係を結べなかったのはかなり痛い。日本には妖怪の勢力が複数あるんだが、その中でも京都が選ばれたのは実力や知名度もさることながら、京都の妖怪達を取り仕切っているのが元々は日本の妖怪じゃない九尾の狐だって点がでかい」

 

「え!? 九尾の狐って日本の妖怪じゃないんですか!?」

 

「イッセー君。九尾の狐って言うのは遣唐使の船に紛れて日本へやって来た大陸の妖怪なんだよ」

 

「とは言え、それでも協力体勢を結ぶのはイッセーの件が無くとも難しかっただろう。なんせ俺達の大本は『世界最大最強の侵略宗教』で、自分達の教義を広めるために土着の信仰を邪教と定義して弾圧し、数え切れないほどの屍山血河を築いてきた。それは日本でも変わらない」

 

「それじゃ、やっぱり僕達は独力で『禍の団(カオス・ブリゲード)』に対抗するしかないって事ですね……離反した教会の戦士達の事も考えると、今後どうなる事か……」

 

「その『禍の団(カオス・ブリゲード)』と元教会の戦士達についてだが、俺としてはソイツ等をどうにかしてもまだ終わらないんじゃないかと思っている」

 

「え? どうしてっすか?」

 

「今だから言うが、俺には『駒王会談』で旧魔王派のカテレア・レヴィアタンが現われた時から違和感があった。余り言いたくはねぇが、あの時のカテレア・レヴィアタンには少なからず魔王の風格があった。悪魔の王たらんとする気概ってヤツだ。

例え自分が此処で死んだとしても、その死を以て悪魔と言う種族を奮起させ、次に繋げる……そうなる様にカテレア・レヴィアタンは行動していた。あの時のカテレア・レヴィアタンは、そう言う覚悟を決めていた様に見えた。死に際まではな」

 

「死に際までは?」

 

「そうだ。そんな覚悟を決めた奴は、死に際に絶望なんて絶対にしねぇ。だが、ヤツは死の間際に、ほんの一瞬だが絶望の表情を見せていた。こんな筈じゃなかったとでも言わんばかりにな」

 

それはカテレアと相対したアザゼルだからこそ気付いた刹那の真実。そして、その時のカテレアの表情は、アザゼルが知るカテレア・レヴィアタンの人物像とマッチしていた。

 

「それで話は変わるが、お前等ディオドラ・アスタロトって若手悪魔が惨殺された事件を覚えてるか?」

 

「はい、確かディオドラってヤツが見るも無惨な死体で見つかって、眷属のハーレムメンバーが全員行方不明になった事件っすよね」

 

「ああ、そのディオドラの眷属なんだが、全員がディオドラの工作によって濡れ衣を着せられ、魔女の烙印を押されて教会から追放された元シスターや聖女なんだそうだ」

 

「え?」

 

「この事件の犯人として有力視されているのは、天使陣営を見限った元教会の戦士達だ。連中なら悪魔に転生したシスター達をディオドラ諸共始末してもおかしくはねぇんだが、ディオドラの遺体を検死した連中によると、どうもディオドラに強力な再生能力を与えて簡単には死なない様にしていた痕跡があるんだそうだ」

 

「確か……両目や歯を全部抜かれたり、鼻を削がれたり、両手両足の爪全部に針を差し込まれたり、一つ一つの骨を丹念に砕かれたり、男性器を切断された上で切断箇所が焼かれていたと聞きましたが……」

 

「ああ、見つかった時の状態はそうだ。しかも途中で発狂しない為の精神処置も施されていたらしく、何度も何度も古今東西のありとあらゆる拷問を受け続けていたらしい。しかも使われたのは祝福も何もない普通の道具や薬品だときている。明らかにディオドラを出来るだけ長く苦しめて殺す為だ」

 

「怨恨……ですね?」

 

「だろうな。元教会の連中はそんな殺し方はしない。余程の怒りや憎しみが無いとそんな事は出来ない。そこで怨恨の線から生死不明のディオドラの眷属について調べている内に、一つ気がかりな事を発見した」

 

「と、おっしゃいますと?」

 

「ディオドラが目を付けていた教会のシスターの中に、回復系神器の『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の所有者でアーシア・アルジェントってシスターが居たんだが、このシスターがディオドラの策略で教会を追放され、日本へ渡ってからの足取りが全く掴めねぇんだよ」

 

「……そう言えば、離反した教会の戦士達はみんな日本へ渡っているんですよね?」

 

「そうだ。時期は異なるが全員に『日本へ渡った後の行方が分からなくなっている』という共通点があることが分かる。もしかしたら、このアーシア・アルジェントの失踪が何か関係しているんじゃないかと俺は睨んでいる」

 

「単純に『禍の団(カオス・ブリゲード)』が、そのアーシア・アルジェントを確保したとは考えられませんか? 特に『禍の団(カオス・ブリゲード)』の首領は『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』の所有者らしいですから、聖遺物の力で教会の関係者を抱き込む事も容易なのではないですか?」

 

「確かにかの聖槍ならそれも簡単だろう。信仰心の厚いヤツなら尚更な。だが自分の快楽の為に人間を陥れる悪魔の討伐は、人間にしてみれば『偉業』以外の何物でもない。英雄や勇者の子孫を自称して活動する連中がそれを誇示しないってのはどうにも奇妙だ」

 

ディオドラ・アスタロトの死が元教会の戦士達や『禍の団(カオス・ブリゲード)』の介入によるモノだとするなら、余りにも不自然で不可解な点があると語るアザゼルに、一誠と祐斗の二人もその疑問の答えが見つからず、頭を悩ませていた。

 

「いずれにせよ、この日本に何かがある事は間違いない。その辺も踏まえて京都の妖怪達とは協力態勢を結んでおきたかったんだが……それにしたってこの国に一体何があるって言うんだ?」

 

「愚問だな。それはこのアジアの辺境が、極東の島国が――“人類の救世主”になる事を宿命づけられた者達にとっての“約束の地”だからさ」

 

「「「!?」」」

 

唐突に投げかけられた聞き捨てならない台詞に三人が目を向けると、其処には漢服を着た若い男が立っていた。

 

「……噂の人相と合致しているな。お前が『禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップだな?」

 

「そうだ。俺は三国志でも有名な曹操の子孫……と言う事らしく、曹操と名乗らせて貰っている。便宜上ね」

 

「曹操か……今までゲリラを仕掛けてきた連中のトップが白昼堂々俺達の目の前に1人でやってくるなんて、どう言う風の吹き回しだ?」

 

「決まっているだろう? 落とし前をつけにだよ」

 

曹操が言い終わるや否や、三人の足元へ即座に魔法陣が展開された。時空を自在に行き来する魔法陣の力により、一誠と祐斗は新幹線の中から得体の知れない異空間へと問答無用で転送される。

 

「此処は……?」

 

「流石に高速走行する新幹線の中で事を構えるつもりはないんでね。場所を変えさせて貰った。それに俺の目的は君達なんでね」

 

「僕とイッセー君に?」

 

「そうだ。君に聞きたい事があるんだよ、木場裕斗。君は何故、兵藤一誠を批難しない? その悪行を糾弾しない? いや、ある意味では当然と言うべき事なんだが、それは君らしくないだろう?」

 

「?」

 

「分からないか。なら敢えて指摘しよう。京都で不特定多数の罪なき人々を惑わし、多くの救うべき加害者と被害者を生み出した挙句、それによって得られたエネルギーを自分の糧とする……それはハルパー・ガリレイが君と君の仲間たちにやった事と同じなんじゃないのか?」

 

「!?」

 

「君は当時こう思っていた筈だ。『自分達は何も悪い事はしていないのに、どうしてこんな目に遭うのだろう? 理不尽だ! 許せない!』と。そして、ハルパー・ガリレイが『聖剣計画』の被験者達から聖剣の因子を抜き取った後、奴は君達の事なんて路上の小石ほども気にも留めていなかっただろう? それこそ今の君達の様に」

 

「!!」

 

「ち、違う! 俺は、ハルパーとは違う!」

 

「確かに奴と違って君達は命までは奪っていない。だが、本当にそれで全て元に戻っていると思うのか? 何の問題もないと本気で思っているのか? いや、そもそも自分の所為で人生を狂わされた人間の涙を、嘆きを、絶望を君は本当に理解しているのか?」

 

第三者と言う視点から繰り出される曹操の指摘に、一誠も祐斗も何も言えなくなっていた。思わず否定したものの、心ではハルパーと一誠の違いは相手の命を奪うか、尊厳を奪うかの違いでしかないと理解してしまっていた。

 

「フンッ!」

 

――だからこそ、それは致命的な隙となり、曹操に目的を果たさせる時間を作った。

 

「ガ……ッ!」

 

「誰が言った事だったか……『大いなる力には、大いなる責任が伴う』と。君がその力を受け入れると言うのなら、それ相応の代価を払うべきだ」

 

「イッセー君!」

 

「おっと」

 

曹操が手にした槍の穂先は一誠の腹を貫き、曹操はすかさず槍を引き戻して腹の風穴に右手を突っ込んだ。曹操が祐斗の一閃をかわしながら一誠の腹から右手を抜くと、一誠の体から幾つもの小さな光の玉が溢れ出し、一誠の体に纏わり付いた。

 

『え……せ』

 

『かえせ……』

 

『え……して……』

 

『レの……オレの……』

 

『かぞく……』

 

『やめ……や……』

 

良く見るとその小さな光の玉は、その全てが人間の顔をしていた。どれもが血の涙を流し、晴らせぬ恨みを口にしていた。

 

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「イッセー君!」

 

「心配しなくて良い。それは彼が生み出した“因果”だ。俺が彼に与えたのは、彼の所為で性犯罪者となってしまった人達の、その被害に遭った人達の記憶だ。君達が『無かった事』にしようとしたね」

 

「何……だと……?」

 

「例え魔術による隠蔽で『なかった事』にしても、君がそれによって得た力は、それが確かに起こった出来事――『現実』である事を証明している。ならば、その力と相反するものが生まれるのは、至極当然の事だろう?」

 

『何で……こんな奴が……』

 

『この……悪魔……』

 

『そうよ……この悪魔の所為よ……』

 

『この悪魔がいなければ……俺は……』

 

「うおおおおおおおお! 止めろぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「その苦しみから解放されたいのなら、君が手にした力を今すぐ捨てろ。そうすれば、彼等もまた解放される。それは君の所為で友人を、恋人を、家族を、仕事を、居場所を、幸福を、未来を、文字通り『全て』を失った人間達の痛みであり、絶望であり、君が受け止めなければならない罪そのものだ」

 

聖なるオーラを纏った槍の一撃による激痛に加え、蜷局を巻く無数の怨嗟に晒されて絶叫する一誠に、曹操は冷静にその呪縛から逃れる方法を提示し、それ以上の追撃を行う事は無かった。

一誠の尋常ならざる様子を見て近寄った祐斗だったが、現状で彼に出来る事は万が一の時にと渡された『フェニックスの涙』を使い、一誠の負傷を治す事だけだった。

 

「ではこれで失礼させて貰う。しっかりと落とし前はつけさせて貰ったんでね」

 

「待て! 君達『禍の団(カオス・ブリゲード)』の目的はなんだ!? 何の為に三大勢力を攻撃している!?」

 

立ち去ろうとする曹操に対して祐斗が投げかけた質問は、曹操の足を止め此方に顔を振り向かせる事に成功したが、その顔は実に意外そうな表情を浮かべていた。

 

「これは驚いた。わざわざ言わずともとっくに理解しているモノと思っていたんだが……まあ、此処で答えて置いた方が良いだろうね。我々の目的は一つ、『人類の自由と平和を守る』事だ。その為に我々は、人類の自由と平和を脅かす『三つの敵』と戦っている」

 

「……それが悪魔と天使と堕天使か」

 

「違う。過去と現在と未来の三つだ。親と自分と子の三つと言い換えてもいい」

 

「過去と現在と未来……?」

 

「現在。そして自分と言うのは分かるだろう? 現在の人類そのものの事だ。テレビのスイッチを入れれば、パソコンやスマートフォンで検索すれば、新聞を見れば飢餓や貧困、差別、腐敗、戦争、内乱、テロ、殺人……世界にはうんざりする程に争いや悲劇が満ち溢れている。人類は世界に溢れる問題をなくしたいと願いつつ、人は絶望的なまでに分かり合えない。人類の歴史は争いの歴史であることからも、分かるように。戦争を否定する民間人も、警察は頼りにするように…。誰もが分かっているんだ。争いは止められないと、人それぞれの欲望は否定できない……と。つまり何が言いたいのかというと、人類が願う平和の敵とは、他ならぬ人類そのものであると言う事だ。では……過去と親は一体何を指していると思う? かつて教会で神を信仰した木場祐斗…いや、イザイヤ?」

 

「……創造主、と言う意味かな?」

 

「そうだ。旧約聖書の創世記 第1章26節にも記されている通り、『神は自身に似せてヒトを創った』と言う話は知っているだろう? ならば、聖書の神は“どの程度まで”ヒトを神に似せて創ったと思う?」

 

「………」

 

「姿形だけか? いいや違う。神は『ほぼ自分と同じもの』を創ってしまった。その所為で神はヒトを恐れた。そして、神はヒトが持っていたありとあらゆる力を奪った。だからこそヒトは、人類はここまで脆弱な存在に成り果てた。

しかし、人類の中には神に力を奪われる前……つまり、『本来持っていた力』を取り戻した、本来のヒトとして生まれた者も存在した。そして、最初に再生された『真の人類』……ユダヤ教の神秘主義「カバラ」におけるアダム・カドモンに相当するその人類は、その神にも等しい力を聖書の神に利用された」

 

「真の人類……?」

 

「まあ、元々神によって造られたのだから、我々人類は神の子と言う表現も間違いとは言えないのが厄介な所なんだがな。いずれにせよ彼は一度目の死後も人のままで在り続ける事を選んだ末、西方よりこの小さな島国に流れ着いた。いや、ここが約束の地――『神の国』と知り、半死半生で漸く辿り着いたのだ。

彼は此処で出会うべき存在と出会い、重要な問答を行った。その後、彼はこの国で大いなる思索に耽り、神の敵を用いて『人類の敵』を打倒しようと海外へ足を運び、人類の自由と平和の為に行動した。そして、この国で二度目の死を迎えた。それが西暦元年…今からおよそ2000年前の話だ」

 

「………」

 

「その後も『真の人類』は生まれ、彼等彼女等が起こした偉業の数々は後世に於いて“神の奇跡”とされているが、実際には人類が持つ本来の力によるものだった。それ故に神は人類がその力を自覚する事を恐れ、『神とは人間には凌駕できない存在なのだ』と、固定観念や神への畏怖等を植え付けてきた。言い換えるなら、人類は神の手によって生まれながらにして呪われ、支配されている。それがつまり、過去と親に脅かされていると言う事だ」

 

「………」

 

「では人類を脅かす最後の一つ、未来と子とは何を指すのか? コレについては君達も深く関わっている」

 

「何だって?」

 

「人類は神に本来の力を奪われたが、長い年月は人類に先祖返りとは別の“次の一歩”を促すことになった。不完全な人類を苗床とし、新たな力を持って生まれた新しい人類が誕生した。もっとも、コレも聖書の神に都合よく利用された訳だが」

 

「……まさか、『神器(セイクリッド・ギア)』の事を言っているのか?」

 

「そうだ。『神器(セイクリッド・ギア)』とは聖書の神が創造し、人類に与えたギフトなどではない。人類と言う蛹から羽化した、人類の進化形と言うべき蝶が獲得した新たな能力……即ち『新なる人類』の力だ。それに聖書の神がいち早くその存在に気付き、『神器(セイクリッド・ギア)』と言うラベルを貼り付け、“コレは自分が造った物だ”と声高に主張したに過ぎない」

 

「そんな……有り得ない……」

 

「では、何故天界は『神器(セイクリッド・ギア)』を区別している? 本当に『神器(セイクリッド・ギア)』が聖書の神によって造られたモノなら、その全ては聖書の神の意志によるものだ。『神器(セイクリッド・ギア)』によっては天界のシステムに弊害が出ると言うのはおかしい。

だが、『神器(セイクリッド・ギア)』が“元々聖書の神が造り出したモノではない”と仮定して考えれば、天界のシステムに弊害が生まれる事も、『神器(セイクリッド・ギア)』を区別する必要があるのも、聖書の神が死んだ後も未知の『神器(セイクリッド・ギア)』が増え続けている理由もすべて説明ができるし、この仮説が事実ならば色んな謎が腑に落ちるのもまた事実。何せ今の世界の何処かで生まれる『新なる人類』が、自分達で造り出している“何時か神をも凌駕する力”なのだからな」

 

「………」

 

「例え大規模な戦争が起こらなかったとしても、いずれ新人類は単純な個体数の増加によって現人類を淘汰し、世界は新人類のものとなるだろう。しかし、そんな新人類の中には、自分を生まれながらの強者だと宣い、そんな自分が弱者を餌食にする事は当然の権利だと考えている者も少なくない。即ち、それが未来と子に脅かされると言う事だ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』はそうした危険分子を一箇所に集め、一挙に殲滅する為の手段でもあった」

 

「……いや、その理屈はおかしい」

 

「うん?」

 

「君の言い分だと、イッセー君の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の様にドラゴンや魔獣の魂が封印された『神器(セイクリッド・ギア)』がこの世界に存在していることの説明がつかない。聖書の神の意志が宿ると言う、その聖槍についてもだ」

 

「ああ……アレ等は試し書きに使われたメモ用紙の様なモノだよ」

 

「? メモ用紙?」

 

饒舌に語っていた曹操は一気に機嫌が悪くなった。心底くだらないとでも言いたげな表情は、とても最強の『神滅具(ロンギヌス)』を手にしている者とは到底思えない反応だった。

 

「聖書の神は全知全能の神であったため、未来を見通す力も持っていた。だからこそ、自らの滅びを悟っていた聖書の神は、自身とほぼ同じ力を持つ真人類の体を乗っ取り、その上で真人類の体をヒトから神の次元……人間の能力を超えた領域に引き上げようとして失敗した。そこで聖書の神は新人類に目を付けた。

新人類の限り無く進化する力を、この世界に聖書の神が存在し続ける為の道具に改造しようとした。文字通り『聖書の()の意志と力を収める()』として、『聖書の()()びない為の道()』にね」

 

「……まさか、試し書きと言うのは……」

 

「そうだ。だからまず試したのさ。聖書の神の意志と言う大事な清書の前に、侵略に伴って討伐した魔獣やドラゴンなど人ならざるものたちの魂を材料に、新人類を通してこの世に関わり続けられるのかどうか試し書き……つまり実験を行った。

だからこそ、“本物の聖遺物”とは別に“『神滅具(ロンギヌス)』の聖遺物”が存在している。聖書の神自身を含めたそれらオリジナルがこの世から消滅しようとも、新人類の力を通して聖書の神がこの世に関わり続けられる様にだ」

 

「………」

 

「もっと言えば、君達の持つ『神器(セイクリッド・ギア)』を摘出する技術は、かつて聖書の神が『真の人類』からその力を奪った技術が元になっている。『神器(セイクリッド・ギア)』を抜かれたら宿主が必ず死ぬのは、不完全と言うよりも君達の都合による所が大きい。

何せ、三大勢力は分かっていたからな。現人類は増え続ける新人類によっていずれ滅びる。そして、現人類が滅べば次は自分達の番だ。だから『新人類が持つ危険な力から、現人類と世界を守る』と言う大義名分を掲げ、三大勢力は多くの新人類を手にかけ、或いはその力をその手に収めてきた」

 

「………」

 

「理解できたか? 俺達はソレが許せない。一年でも、一ヶ月でも、一日でも、一時間でも、一分でも、一秒でも長く、自分達の繁栄の為に人類を家畜として存続させようとするお前達が許せない。自由と平和を求め、ただ生きたいと願う命を脅かす存在が許せない。だからこそ……俺達はお前達と戦う道を選んだ」

 

曹操が宣戦を布告すると、一誠と祐斗の足元に魔法陣が展開され、瞬時にして彼等は駒王町へと転送された。そこには曹操の姿も、アザゼルの姿もなかった。

 

 

●●●

 

 

アザゼルを時空魔法陣で『虚空の牢獄』へ拉致した直後、問答無用でアザゼルを縦に一刀両断し、正中線を抜かれて真っ二つになったアザゼルの遺体からファーブニルが宿った宝玉を回収した“彼”は絶句していた。

ファーブニルと言う名前には「抱擁する者」と言う意味があり、その姿と名前が「財宝の山を抱き眠る竜」と言う、ドラゴンの典型的なイメージのベースを形作ったドラゴンらしいドラゴンである筈なのだが……。

 

『おパンティー。お宝。俺様、おパンティー、欲しい』

 

「……ロスヴァイセよ」

 

「な、何でしょうか?」

 

「ファーブニルとはこんなドラゴンなのか?」

 

「いえ……少なくとも生前はその……この様なドラゴンではなかったかと……」

 

北欧出身のドラゴンと言う事で、同じく北欧出身の戦乙女に話を聞くが、どうやら彼女の知るファーブニルは対価に金銀財宝を要求するまともな性格をしたドラゴンだった筈だとの事。つまり十中八九は堕天使の仕業でファーブニルは変態化したと言う結論に至る訳で……。

 

「……折角だ。奴等に再戦の機会を与えてやろう」

 

「よ、宜しいのですか? あの邪龍達を解放したら……」

 

「構わん。冥界に巣くう堕天使など、僅かなバダンニウムに過ぎん」

 

絶命したアザゼルを片手間に再生させ、旧魔王派やそれに与する悪魔達と同様に傀儡たる尖兵に作り変えると、“彼”はアザゼルを魔法陣で京都へ転送し、自らは『虚空の牢獄』へと向かった。

 

時空を繋ぐ魔法陣が閉じる刹那、歓喜に震える邪悪なドラゴンの咆哮が聞こえた気がして、その場に残された戦乙女は恐怖に震えた。




キャラクタァ~紹介&解説

主人公/“彼”
 元の場所へ戻す為に色々集めていたのだが、何か色々と渡されてチョット困っている大首領。この世界で普通のホモサピエンスじゃない“彼”が聖剣を使うのは、仮面ライダーセイバーって奴が出現した所為。そして『人類の味方』であり『正義の味方』ではない。

曹操
 ある意味人類の究極と言える“彼”が邪龍達をか弱いヘビの如く圧倒する様を見て絶頂し、『黄昏の聖槍』をへし折り忠誠を誓った男。つまり、端末ではない。最初から運良く授かった聖槍を捨て、“彼”から認められ譲渡された聖槍を振るう今、人生がとても充実している。

アルビオン
 展開が原作と大分ズレているが、宿命のライバルが乳をつついて覚醒した部分は変りなく、原作通りにその弊害を受けてしまっている。“彼”と大神官のメンタルケアにより回復した後は、「あの悪魔からドライグを解放して欲しい」と“彼”に懇願した。

兵藤一誠
 二人の『人間』によって因果応報を味わう羽目になった原作主人公。本来なら悪魔や天使になっている筈の回復役とアタッカーがいない為、グレモリー眷属で修学旅行に行っているのはコイツとホモの二人だけ。

木場祐斗
 原作を見て作者は思った。「普通に考えればイッセーのやっている事は『聖剣計画』のソレと殆ど変わらないのでは……?」と。そしてコイツがスルーしているのは悪魔化による脳改造が原因だと作者は結論した。

アザゼル
 勘の良いおっさんは嫌いだよ。そんな訳で“彼”に始末され、骸は再生怪人の如く利用される羽目になった。この世界のコイツが『神器』を研究していたのは、いずれは神をも超える可能性を秘めた『新人間』に対抗する為だったりする。

ロスヴァイセ
 英雄派の魔剣使いが持っていた魔剣を北欧神話勢力に返したら、後日御礼と称して送られてきた戦乙女。どう考えてもスパイです。本当にありがた迷惑です。尚、“彼”の見解では「彼女は自分の死後に行動するだろう」と、大して危険視はされていない。

八坂
 原作と違って攫われていない。そしてどこぞのタレコミによって悪魔が表側でドエロイ……もとい、ドエライ事件を起こしている事を知る。これに伴ってイッセー達は九重とも絡みがない。可愛い娘を変態に近づけたくないのが母心と言うモノなのだ。

ファーブニル
 ある意味では邪龍以上に厄介なドラゴン。この後、“彼”が北欧神話勢力へ返したら、後日“彼”の元へと送り返されてきた。てゆーか、追放された。追放された理由は女性陣への過度なセクハラ。実は元人間or小人であるらしいのだが……?

邪龍(複数)
 即ち、ジャアクドラゴン。聖杯で復活したので元の場所に返そうとしたら受け取り拒否された結果、それぞれが別々の『虚空の牢獄』に幽閉されている。『虚空の牢獄』の権限は全て“彼”にあり、“彼”が死ねば『虚空の牢獄』諸共コイツ等も消滅する。
 尚、邪龍達は“彼”に「竜を操る能力」があるから従っているのでは無く、単純に「自分達よりも“彼”の方が強い」から従っているに過ぎない。牢獄へ頻繁に遊び(意味深)に来る“彼”に対しては「どこぞの魔王の息子よりも魔王っぽい」と評価している。





メモリーキューブ
 赤龍帝の仕業で起こり、聖書陣営が消去した痴漢冤罪事件の記憶を“彼”が蒐集したモノ。「メモリーを寄こせ」とか全然言われてないけど、落とし前としてくれてやった。元ネタを考えると「やっぱ道具って使い方次第なんだな」って事が分かるアイテム。

聖剣『切り鉄』
 破壊したコールブラントとエクスカリバーの破片を“彼”がある湖へ投げ入れた所、後日「湖の乙女」がこの剣を鞘付きで渡してきた。能力は「ありとあらゆるものを切り裂く」。つまりはガード不可の斬鉄剣。剣と言う破壊武器にそれ以外の性能なぞ不要なのだ。

以下、入手時の“彼”と「湖の乙女」のやりとり

「……これは?」
「エクスカリバー。つまり、切り鉄」
「(切り鉄が真名か)」

聖槍『長久』
 アホかと思う程“彼”からの評価が低い教会の戦士が献上した聖剣を、“彼”が元の形に修復したモノ。現在は曹操の手持ち。最近登場した仮面ライダーデュランダルって奴の所為で、実は槍と剣の二つの形態に可変する機能がある。オールマイッティッ!!
 木場君は勘違いしていたけど、『黄昏の聖槍』は“彼”の手によってキレイに摘出され、聖遺物や神器の探知に使われた。その結果、聖杯のハーフバンパイアは大神官の元で療養しており、聖十字架の魔女は『人類の敵』として処理された。

神滅具と神器
 要は何時もの独自解釈。「『神滅具』が“今まで一度も神を滅ぼした事が無い”なら、元々別の用途で造られたって事なんじゃね?」って言う作者の何時もの悪い癖。『神器』に至っては新人類の力と解釈しておりますワン。
 実際、原作イッセーのその後を考えると、『黄昏の聖槍』には「刺した相手を一つ上の次元に引き上げる効果」があるんじゃないかと思うんですよ。スタンド使いを生み出す『矢じり』みたいに刺した相手の素質次第だとは思うケド。

禍の団
 作中で曹操が語っている様に、事と次第によっては同じ人類であっても『人類の敵』と認定し排除対象としている。「人間の自由と平和を脅かす」様な思想や行動を取る者が軒並み居なくなった事で、『禍の団』は大分スッキリしたモノになっている。
 具体的には“彼”の戦いぶりを見て「邪龍って案外大した事ないな」と舐めて掛かった英雄気取りや、邪龍を操って手駒にしようとした魔法使い何かは全員仲良く邪龍の贄になった。原作通りに洗脳とか人体実験とか命令していたら曹操も命は無かった。







乳神
 異世界と言う“彼”でも認識不可能の領域からこの世界に干渉する、“彼”にとって最大のイレギュラーにして最上級の警戒対象。イッセーを討伐しなかったのはコイツが原因。ある意味では原作主人公ならではの補正とも言える。
 いずれにせよ正体が不明過ぎる存在なので、“彼”としてはイッセーを利用して色々と調べておきたいところ。ただ神器とは文字通り『神の器』なので「仮にドライグの魂を抜いたら、代わりにコイツが神器の中に入るんじゃね?」と“彼”に懸念されている。

白龍皇「仮にそうなった場合、奴の名はどうなると思う?」
“彼”「『乳神帝パイオツー』かな?」



後書き

と言う訳で、リクエストされていたお題を元にした短編で御座いました。正直、聖剣をテーマにした仮面ライダーが出てこなかったら、パソコンの中で中途半端に書いたままだったのかも知れません。

一応は三部構成だったのですが、最終話が「大首領 VS 乳神帝」と言うドエロイと言うかドエライ最終決戦になって完全にシリアスが死ぬ。

乳神帝「色々なおっぱいあるけれど♪ やっぱりおっきいのが一番大好き♪」
“彼”「チィ……! 黙れぇええ、唱うなぁああああ……ッ!!(マジギレ)」

まあ、『ハイスクールD×D』らしいと言えばらしいんですが、色んな意味で酷過ぎる。聖書は何時から飛び出すエロ本になったんだって感じに。
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