堕雪の花言葉【3年以内に私はそれを●す】(完)   作:藍沢カナリヤ

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第12話 些事動乱ー陸ー

ーーーー呪術総監部より通達ーーーー

 

 

早雲薙臣の殺害に関して。

1、殺害に関わった人間を特定。死刑

  死刑執行役として花房在藤と草木咲人を任命する。

2、他の呪術師は今後この件に一切関与しないこととする。

 

 

ーーーー雪視点ーーーー

 

 

土曜日に美澄ちゃんと一緒に捜査して。

日曜日は美澄ちゃんが体調を崩したって言ったから、わたしは美澄ちゃんには黙って、とある調べ物をしていた。

そして、今日、月曜の朝にその通達が呪術高専を通して、所属するまた、高専と協力関係にある呪術師に知れ渡った。

さて、その日の朝、1年教室でのことだ。

 

 

「美澄ちゃん、体調は大丈夫?」

 

「うん、ダイジョブ! ありがと、心配してくれて!」

 

 

ウキウキとした様子で、美澄ちゃんはそう答えた。

 

 

「ねぇ、美澄ちゃん。朝、寮の掲示板に貼ってあった通達見た?」

 

 

呪術総監部から出る通達は、ほぼすべてが重要なものであり、それは高専の寮にも貼り出されることになっている。掲示板は寮の玄関付近にあるから、高専生は必ず目を通してるはず。

 

 

「ん、あぁ、見たよ」

 

 

やっぱり美澄ちゃんも見ていたようで、わたしの言葉に頷く。ただ、あまり興味はなさそうだけど。

 

 

「どうしようね……」

 

「……まぁ、仕方がないんじゃない? 総監部からの通達だから」

 

 

破ると処分対象になりそうだし。いくらユキが犯人を突き止めたいとはいってもさ。

そう言って、美澄ちゃんはひとつ欠伸をする。

……あれ、なんだろう?

今の美澄ちゃんの発言、少し違和感があるような……?

 

 

「それにしても、咲人とお義兄さんが執行人に指名されるとは思わなかったね」

 

「え、あ、うん。そうだね」

 

 

気のせい、かな?

隣で笑う美澄ちゃんはいつも通りに見えた。

 

 

ーーーー美澄視点ーーーー

 

 

月曜日の放課後は、真っ直ぐ寮に帰った。

ユキを自室に送り届けてから、私は寮を出た。

勿論、花房正藤の捜索のため。

恐らく私たちが授業を受けている間も、咲人や在藤は捜索を続けているだろうが、連絡がないってことはまだ見つけていないということか。まぁ、向こうが律儀に連絡をくれるとは限らないけれど。

 

 

「…………3人、かな」

 

 

とりあえず今、寮の側にいる何人かの呪術師は、きっと在藤が護衛として配置した人間だろう。

私の呪力感知能力は、ユキほどではない。それでも今いる呪術師はなんとなく感知できた。

それから、あともう1人。

 

 

「またいるよね?」

 

 

寮から少し離れたところでそう声をかけた。寮の監視ではなく、私を監視するように追ってきた呪術師に。

 

 

「参ったわね、またバレちゃった」

 

 

そう言って、チャイナ服の女は茂みの中から現れた。

呪力も気配も消してはいたようだけど、それでも女の気配の異様さは隠せない。眼鏡の奥に光るその空色の左目の不気味さも。

 

 

「こんなに簡単にバレてしまうなら、引退した方がいいかしら」

 

「…………」

 

 

肩を竦めてみせた女は冗談めかして笑う。

 

 

「たぶん、あんたの言ってたこと合ってた」

 

「正藤に会ったのね」

 

「……会った」

 

 

会って確信した。

あれはユキのことを人と思わず害を為そうとする愚か者(ゴミ)であると。

この女が味方である保証はないけれど、それでもこの女の情報で先手をとれたのは大きい。

そして、

 

 

「あんたがここにいるってことは、また情報をもってきたってことでいい?」

 

「察しがよくて助かるわ。その通りよ」

 

「…………」

 

 

この女は少なくともこちらを陥れようとはしていない。それが間違った情報ではないならば、こちらとしてはユキを守るために使わせてもらうだけだ。

 

 

「正藤の居場所が知りたい、ということでいいのよね?」

 

 

頷く。

女はすんなりとその情報を私に伝えた。前回もそうだったけど、その対価は求めてこない。

 

 

「今度は聞いてくれないのね。私が何者か」

 

 

不意に、女はそんなことを口にした。

……あぁ、そういえば前回は聞いたな。でも、今はそれはどうでもよかった。今の私にとって、優先順位一位は奴を殺し、ユキを守ることだから。

 

 

「……あんた」

 

「それ、イヤね。あんた呼びは流石に少し傷つくわ。これからも仲良くしてもらう予定なんだから」

 

「…………」

 

 

仲良く、する気はないけれど。

ユキに有利になるなら、名前くらいは聞いておこう。

 

 

「名前は?」

 

「色々と事情があって、本名は明かせないけれど」

 

 

 

「私は『五条』」

 

「ただの呪詛師よ」

 

 

 

空色の左目をもつ女はそう名乗った。

『五条』と。

 

 

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