金 獅 子 を 狩 っ て 参 れ !   作:水煮

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また投稿期間伸びてしまった。こうなってくると多分次もやります。
そして今回は久々に挿絵があります!




わがままな第三王女:凍土の大合戦

 

 

凍土の大合戦

 ああ、どうしましょう。姫さまが

 お城を抜け出し、凍土に雪遊びに

 行ってしまわれました! 捜索隊

 は出したのですが、あの地には 

 危険なモンスターが。狩人様、 

 モンスターを狩ってください! 

 

 

 

 

 

「……なんで?」

 

 

 緊急の依頼があるとユクモ村の村長に呼ばれて来てみれば、待っていたのはこの依頼文だった。

 

 姫様が? お城を抜け出し? 凍土に雪遊びに? 行ってしまわれたと? 

 

 

「なんで?」

 

「二回言った……」

 

 

 もう一度疑問符を繰り返す俺を、相棒のメロンが真顔で見て呟いた。

 火の国でのクエストが終わって、ユクモ村に帰ってゆっくり羽を伸ばしていた矢先の出来事である。まだ一週間も経っていない。

 

 

「あなたがこの王女様と面識があるとのことで、ギルド本部からこの村まで緊急で届いたのですわ」

 

「そうなんですか。いや、そういうことじゃなくて……」

 

 

 村長からクエストが届いたいきさつを聞くが、俺が聞きたいのはそこではなく……

 というか何で王国に行ったことが、このロックラックギルドにまでバレてるんだ……? なるべく口止めはしたはずだし、そもそもあそこはミナガルデの管轄だろ。まぁ伝わってしまったものは仕方ないとしても……

 

 

「何で自国の姫に逃げられて、その姫が自力で凍土まで到達して……というか行き先を聞いた上で脱走されるってどういう……」

 

「まぁまぁ、よいではないですか。とにかくあなた方には今すぐに出発してもらいます」

 

 

 思わず疑問をまくし立てるが、村長に遮られてしまう。メロンも何も言ってこない。多分やる気まんまんだ。

 

 

「王女様の向かった凍土では現在、ギギネブラとティガレックスが暴れているそうですわ。急がなくては危険です」

 

「わ……分かりました。すぐに出発します」

 

 

 何か釈然としないが、もう行くしかないらしい。第三王女のあの傍若無人な顔が思い出される。全く何を考えているのか……

 これから一風呂浴びようかと思っていたのだが、仕方なく凍土行きの覚悟を決める。

 

 

「この村の温泉の開発に、第三王女様の口利きで王国からの寄付を受けているのです。王女様に会ったらよろしくお伝え下さいまし」

 

 

 村長はにっこり笑って、最後にそう付け加えた。

 

 

 

 

 

 

 

 高い山脈を超えた先の、大陸北部に位置する凍土は、海を大回りして船で行くのが通例なのだが、それでは到着に早くても3日近くかかってしまう。

 俺たちはギルドに押しかけて少人数用の飛空挺を無理やり借りつけ、大急ぎで夜通し空路を飛ばして、翌日に凍土へ到着した。

 

 

「到着ー!! ……っさむっっ」

 

 

 雪の上に降り立ったメロンがガタガタ震え出す。ここは泣く子も黙る永久凍土、碌な耐寒装備も着ずに来たので、いくらホットドリンクを飲んだとはいえ寒い。

 凍土に着いてみると、ベースキャンプに来たばかりの船が確かに停まっていた。他のハンターがクエストを受けていることは無いという話なので、どうやら本当に来ているらしい。

 足跡などは既に雪で埋まっているようだったが、疲れた体に鞭打って、俺たちはとりあえず辺りを散策することに決めた。

 

 

「にしても、ユクモ村があの王国から寄付を受けてたなんて知らなかったな」

 

「私聞いたことあるよ、その話」

 

「そうなのか」

 

「王女様がね、ロアルドロスのあのモコモコを垢すりにしたいって、依頼してきたんだって。そのお礼で寄付されたらしい」

 

「……あの王女らしいな」

 

 

 首周りでモコモコとジェスチャーをしながらメロンが語った話は、初耳だがとても納得感がある。

 

 そうやって喋りながらしばらく走り回っていると、山のような巨大な氷に囲まれた、広い平地に辿り着いた。王女の姿は依然見当たらない。

 

 

「で、その王女様はどこにいるんだ……?」

 

「いないね」

 

「まだこの近くにいると思うんだが……」

 

 

 ベースキャンプに停まっていた船への霜の付き方で、大体の時間経過は分かる。まだ数時間程度しか経っていないので、常人のスピードであればそう遠くまで移動できないはずだが。

 

 

「あ、こっち足跡あるよ!」

 

「本当か」

 

 

 遠くから呼ぶメロンの声に走りよって見ると、確かに人間の小さな足跡がうっすら残っていた。洞窟の入口の方へ続いている。

 

 

「こっちだ」

 

 

 雪に埋もれかかった足跡を辿って洞窟の近くまで来てみたが、よく見ると足跡は洞穴の中ではなく、その横の壁で止まっている。

 

 

「ん……? 洞窟に入っていったんじゃないのか……?」

 

「なんでだろ……」

 

 

 途絶えた足跡にメロンも困惑していて、2人揃って首を傾げる。

 

 と、その時。

 頭上から人の声のようなものが聴こえた気がする。

 

 いや、気のせいじゃない……ジャァァァァっ、と何か滑るような音と共に、聞き覚えのある少女の声が、だんだん大きく……

 

 

 

 

 

「ふぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!! 

 

「えぇぇっっ!!?!」

 

 

 嫌な予感はした。だがそこにあったのは、その予感の斜め上を行く光景だった。

 

 見上げる壁の向こう、その巨大な氷塊は上部がくり抜かれたように湾曲していて、その上を見覚えのある少女が、何かに乗って爆速で滑り降りてくる。

 おそらく片手剣の盾に乗っているのだろうか、キラキラと氷の粒を撒き散らしながら、ジャンプ台のようになったそこを、第三王女が驚異のバランス感覚で爆走している。ちょうど同じところをウルクススが滑走するのを前に見たことがある。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 唖然と見ていることしか出来ない俺たちの前で、第三王女はズジャッ、と音を立てて勢いのまま空中へ飛び出し、空中で3回ひねりを入れながら宙返りすると、50メートル近い距離をスっ飛んで行って、ドカンと雪煙を上げて着地を決めた。

 

 

「だっ……大丈夫ですか!?!」

 

 

 呆然と見ていた俺たちは、ハッとして慌てて駆け寄る。

 もくもくと煙る雪の粒がだんだんと散っていって、中から少女のシルエットがあらわになる。

 

 

「ぷはーっ!! 最高じゃ!!」

 

 

 現れたのは当然と言うべきか、メタペルト王国が第三王女、セレスティア=ディル=ペルトレムその人であった。

 

 

 

 俺たちがしばらくの間唖然としていると、第三王女はようやくこちらに気づいたようで、怪訝な顔で覗き込んできた。

 

 

「ん……? お主らは……」

 

「あ、あぁ……以前お会いしました、ハンターのアスカと、メロンです。あなたを探しに来たんですよ」

 

「なんじゃと? 王国の手の者か!」

 

「まぁそうなりますけど……というか、今何してたんですか……?」

 

「スキーというものじゃ。雪国では流行っておると聞くが、なかなか楽しいのぅ」

 

 

 王女はエッヘンと腰に手を当てて、いきいきと語る。多分スキーはこんな危険な遊びではないが……

 

 

「ま……まぁいいです。それより捜索隊の方が来るはずなので、一緒に帰りましょう」

 

「む? わらわはまだ帰らんぞ!」

 

「いや、ダメですよ。それにここには今危険なモンスターが暴れています。俺たちはそれを狩りに来て……」

 

「あ、アスカ……それは言わない方が……」

 

 

 必死に説得を試みている後ろで、メロンの忠告が飛んだが……時すでに遅し。

 

 

「モンスターがいるのか!! よし! わらわが狩ってやろう!!!」

 

 

 言うや否や、気づいた時には止める間もなくすたこらと走り去ってしまった。あっという間に点のような大きさになる。発射ボタンでも押したのか俺は。

 

 

「ああ……だから言ったの……にっ!」

 

「す、すまんっ!」

 

 

 メロンが呆れながら、言葉尻を待たずに走り出す。俺も慌てて後を追いかけて、再びの第三王女捜索が始まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 凍土の現在の天気は晴れ時々雪。そもそも凍土に立ち入ることが出来るのは晴れの時だけだ。吹雪いていると極寒の上、1メートル先の視界も確保できなくなる。

 そんな訳で視界は良好、第三王女を見失うことは無いのだが……彼女、とにかく足が早い。最高速度はこちらが上なのだが、強走薬でも飲んでいるかのように、全くスピードを落とさない。

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……ちょっと……待って……」

 

「アスカぁ……あれ……やばいよ……」

 

 

 ヘロヘロでメロンが指さした先には、毒怪竜ギギネブラの姿が、そしてあろうことか片手剣を振り翳してギギネブラに突撃していく王女様の姿がある。

 ここにいるのは一応下位個体のモンスターではあるが、王女は何か装備を着ているようには見えない、前と同じようなドレス姿であり、ギギネブラの攻撃を喰らえばタダでは済むまい。

 ……という心配を他所に、飛びかかってくるギギネブラをヒラヒラと躱して、返しの一撃を入れるが、毒怪竜の皮膚を貫くことは出来ず、剣をブヨンと跳ね返された。

 

 

「むっ?! 小癪な!!」

 

 

 剣が通らないのがお気に召さないのか、顔に苛立ちを見せつつも、器用に毒液を避けて再度切りかかる第三王女。しかし再び弾き返される。

 持っているのはおそらくハンターナイフだろうか、斬れ味が足りないと言うより、単純に腕力の問題だろう。

 

 ようやく追いつく手前という所で、ギギネブラがその場でふわっと浮かんだ。

 

 

「危ないっっ!!」

 

 

 ギギネブラが胸の毒腺から大量の毒煙を噴き出し、体を覆う。非常に厄介な広範囲攻撃で、初見で避けられるものでは無い。王女の重体を覚悟して思わず目を瞑る……が、彼女は何かを察して咄嗟に飛び退き、毒撃をやり過ごした。野生の勘と言うやつか。

 

 

「はぁぁ……ひやひやするな……」

 

「ほんとに……」

 

「お主らも来たのか!!」

 

 

 やっとこさ追いついてほっと一息、どころではなくぜぇはぁと肩で息をする俺たちに、王女が言い放つ。

 

 

「お主らもって……そもそも俺たちの仕事なんですよ……立場が逆……」

 

「この剣ではコイツを斬れないんじゃが! 店主め、なまくらを掴ませおったか!」

 

 

 王女は相変わらずこちらの話を全く聞いていなく、懲りずにまたギギネブラへ向かっていこうとしている。そろそろ胃が痛くなってきた。

 このまま王女がうろちょろする中でモンスターと闘うのは至難の業だ。言って聞くような相手でもない。

 

 こうなったら仕方ない! 

 

 

「なっ?! 何するんじゃ!! 離せ!!!」

 

「メロン! 俺が抑えてるから今のうちにやれ!!」

 

「! 、オッケー!!」

 

 

 最終手段である。俺は王女の隙を見て脇を抱えあげ、じたばたと暴れる王女を無視してメロンに指示を飛ばした。俺が抱えて王女の動きを止める、これしかない! 

 

 メロン一人に任せるのは勝手かとも思うが、アイツは今こそ丸くなったものの、もともと戦闘狂のフシがあるので、むしろ喜んで戦ってくれるだろう。下位モンスター相手なら戦力差も十分だ。

 第三王女はめちゃくちゃに手足を振り回して、かかとで俺の鎧をガツガツと打ち付ける。背中に乗った時のモンスターくらい暴れている。

 

 

「離せー!! 離すのじゃ!!!」

 

「絶対ダメです!!」

 

「何故じゃ!! わらわは怪我の1つもしておらんではないか!!」

 

「それでも、です!! 僅かでも命の危険がある場所で、一国の王女を放っておく訳にはいきません!!」

 

 

 王女はなおも大暴れを続けている。眼前で繰り広げられる、メロンと毒怪竜の激闘を見ては、「わらわもやりたい!!」としきりに繰り返している。

 しかし体格も小さい王女と成人男性である俺ではさすがに力の差が大きく、王女がいくら暴れようとも振り切れる気配はない。彼女もようやくそれを察したのか、それともただ疲れただけか、やがて手足を振り回すのをやめた。

 

 

 

 

 

「そういえば王女様、どうやってここまで来たんですか?」

 

「……船じゃが」

 

「それは分かるんですけど、あれどう見てもハンターズギルドの船でしたよ。一般の人は乗れないはずですけど……」

 

「そんなもの、わらわがハンターじゃからに決まっておろう」

 

「え?」

 

 

 ムスッと不貞腐れる王女に雑談のつもりで振った話だったが、何やら聞き捨てならない台詞が飛び出してきた。

 ハンターだって? 

 

 

「あのですね、ハンターっていうのはギルドに正式に認められた人の事で……」

 

「そうじゃな」

 

「だから王女様が勝手に名乗って成立するものではなく……」

 

「なんじゃ疑っておるのか? ほれギルドカードもあるぞ」

 

「……マジだ……」

 

 

 それは確かにギルドカードだった。ハンターランクは1と書いてある。

 そういえばと自分のハンター登録のことを思い出してみると、確かに軽い身体能力の測定と、応急薬等の薬物の簡単な適性検査だけやってすぐに登録出来たような……

 

 

「父上に頼んで去年ハンターになったんじゃ」

 

「えぇ……よく許して貰えましたね……」

 

「わらわは王女じゃぞ、当然じゃ。父上は『これで大人らしくなるのなら仕方ない』と言っておった。わらわの成長を喜んでおるのじゃ」

 

「国王がそんな事を……?」

 

 

 変だな。大人らしく……? おとならし……おとなしくと言ったのでは? 

 

 そうだとすると、きっと相当なわがままを言ったんだろうな……手続きするだけで収まるのならやむなしという決断が下る程の……

 

 

「じゃあ今クエストを受けているってことですか? 凍土の採取ツアーとか」

 

「ああ、確かにそんな事を言っておったの」

 

「そういう事か……」

 

 

 ようやく王女単身で凍土まで来られた理由が判明した。まさかハンター資格を持っているとは。

 ハンターズギルドはその組織の性質上、超法規的な側面があり、王国の権力が及ばない場所だというのも原因になっているんだろう。

 

 ふとギギネブラの方を見ると、既に戦闘は終わっていた。

 返り血を浴びて真っ赤になったメロンが、ものの数分で毒怪竜を捩じ伏せて、白い雪を赤く染め上げている。

 

 メロンはチェンソーのエンジンをブンとひと吹きし、詰まっていた毒怪竜の肉片を雪の上に吐き捨て、血みどろの顔をにぱっと綻ばせて言った。

 

 

「あー、楽しかった!」

 

 

 こわ……

 

 

 

 

 

 

 メロンの顔に着いた返り血を拭いてやって、とにかく一旦帰ろうと、俺たち3人は雪原を歩いていた。いや、若干1名は引き摺られていた。

 

 

「わーらーわーもー!!!」

 

「ちょっ、やめ……」

 

「やーりーたーいー!!!」

 

「痛ッ!」

 

 

 少女の手刀が首にクリーンヒットして、俺は思わず悲鳴をあげる。

 

 

「王女様、やめてあげて下さいよー。雪遊びはできたんでしょ?」

 

「でもわらわもモンスターを狩りたい!!」

 

「モンスターの狩猟はそんなに楽しい事じゃ無いです。怪我したら痛いですよ?」

 

「じゃがお主はあんなに楽しそうにしていたではないか」

 

「うぐっ……」

 

 

 図星を突かれたメロンがすぃーっと目を逸らす。

 

 

「とにかくわらわは帰らんぞ!! ひと狩りするのじゃ!!」

 

「あっ! コラ!!」

 

 

 不意を突かれて手を振り切られたと思った次の瞬間には、王女の姿は吹雪に紛れてもう無かった。凄まじい速さだ。

 

 

「ああもう!!」

 

 

 すっかり呆れながら、再びダッシュで王女を追いかける。

 

 ちなみにこの後、追いついた先でさっきと同じように王女が轟竜ティガレックスと戦っていて、さっきと同じように俺が王女を抑え、メロンが轟竜を屠り……と一悶着やったんだが、もはやそれを語る気力もない。

 帰ろう。一刻も早く。

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────────

 

 

 

 

 

 脱力した王女を小脇に抱えてベースキャンプへ戻ってみると、王国からの捜索隊が丁度到着したところだった。来ているのは八人の小隊だけらしく、部隊長と見られる厚着した騎士風の男が駆け寄ってきた。

 

 

「あなたはモンスターの討伐を依頼した……あっで、殿下!!」

 

 

 やべ、一国の王女なのをすっかり忘れて、片手で持ち運んでるのを見られた。慌てて王女を解放するが、特に何も言われない。

 

 

「ご無事でしたか、セレスティア殿下。後でたっぷりとお説教の方を……」

 

「ふん! そんなもの聞いてやる義理など無いわ!!」

 

 

 隊長?ががしっと王女の肩を掴んで小言を言おうとするが、ツンとそっぽを向かれている。

 見ていると、隊長と王女は意外と気の置けない仲のようだ。いつも世話を焼いているんだろう。

 

 しばらく二人は言い争いをしていたが、隊長が王女に何か確認していると思ったら、姿勢を正して急にこちらを向いてきた。

 ばっと手を額に掲げて、いっせいに敬礼のポーズをとる。

 

 

「敬礼!!!」

 

「えっ?!」

 

「この度は我々の不手際による勝手な依頼の受注、及び殿下の捜索、発見を達成された事、誠に感謝致します!!!」

 

「は、はぁ……」

 

 八人の男達はそのまま深々と礼をした。いまいちそこまでされる覚えが無く、曖昧な返事をしてしまう。

 隊長は事態を図りかねている俺を見て、にこやかに話しかけてきた。

 

 

「アスカさん、でしたよね。王国は今あなたの話題で持ち切りなんですよ」

 

「え、何ですかそれ」

 

「あの第三王女殿下のわがままを御し、街を守った英雄として、街中で噂になっています」

 

「英雄……? な、何でそんな……」

 

 

 心当たりが全く無い。てっきり街に破壊をもたらした悪魔とでも言われているものと……

 

 

「国王様直々にあなたの勇姿を喧伝なされたのです。うちの騎士団も皆ファンですよ。いつもセレスティア殿下に振り回されていますから」

 

「そんな……! 俺はただ依頼をこなしただけで……」

 

「よっ! 英雄アスカ!」

 

「やめろ!」

 

 

 メロンが茶々をいれてくる。ファンだなんてそんな、照れればいいのか困惑すればいいのか、調子が狂うな……

 

 

「いやー、これで新たな英雄伝説が増えました。単身凍土へ行った姫を凶悪なモンスターから守り、連れて帰るとは!」

 

「わらわは守られてなどおらん!」

 

 

 仰々しく語る隊長と、的はずれなツッコミをする第三王女。もう何がなんだか分からなくなってきた。居心地が悪い。

 俺はそそくさと飛行艇に乗り込んで、話し足りなそうにしている捜索隊を振り切って逃げ出した。上空に飛び立って見下ろすと、王女は憎たらしげにこちらを見つめ、男達は総出で手を大きく振っていた。

 

 

 そして帰りの旅路の中ずっと、メロンにいじられ倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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