「うぅ……ここは……」
瞼を開くとそこは知らない天井だった
「痛い……」
頭痛に悩まされながらも寝る前に何があったかを思い出す
「これが二日酔い……うぐ」
初めての二日酔いに悩まされながら身体を起こし、周りを確認する
「諏訪子さんや神奈子さんは……居ないようですね」
昨日の宴会が嘘のようで、酒樽や皿などは全て片付けられているようだ
「んん……なんだかいい匂いが」
(なんだかとっても懐かしいような匂いですね……なんでしょうか)
一体なんの匂いだろうと考えながらその匂いにつられて歩いていくと
「ここは……」
匂いの元はどうやら目の前の茅葺き屋根の建物のようである
「ど、どうも〜?」
なんて言いながら入口らしき場所から中を覗くと
「あ、射命丸さん!おはようございます!」
割烹着を着た紗代子さんが何かの料理を作っていた
「おはようございます紗代子さん、いい匂いにつられて来ちゃいました」
「うふふ、そうなんですね。もうすぐ出来ますから、座って待っていてくださいね」
「これは……味噌汁ですか?」
「そうですね、ご飯もそろそろ炊けますよ」
「おぉ、米ですか!?やったぁ!」
初めての米に思わず感激してガッツポーズをする
(なるほど、米と味噌汁の匂いなら懐かしいのも納得ですね)
日本人なら魂に刻まれている匂いだろう
「うふふ、そんなに嬉しいんですか?」
「それはもう!感謝感激です!」
「あらあら、嬉しいですね」
そんなことを話しながら出来上がるのを待っていると……
「おはよー、文ちゃん」
「おはようございます諏訪子さん」
「おはよう、射命丸」
「神奈子さんもおはようございます」
二柱も朝食の匂いにつられてやってきたようである
「はい、できましたよー」
そしてそんなこんなで朝食も出来上がり……
「いただきまーす」
4人の声が響く
「んん〜!お米って美味しいですねぇ」
早速お米を噛み締めて幸せに浸る
「こっちも美味しい……」
本日の朝食は玄米、山菜のおひたし、根菜の味噌汁である
「こういうのが1番いいんですよね……」
「ふふふ、喜んでいただけたのなら私も嬉しいです」
「紗代子の料理はいつも美味いからねぇ」
「そうだな」
二柱もやはりそう思っているらしい
「ありがとうございます、おかわりもありますから言ってくださいね」
「紗代子〜おかわり〜」
「わかりました、これくらいですよね?はいどうぞ」
「ありがと〜」
おかわりを受け取り嬉しそうな諏訪子さん
「わ、私もお願いします」
ちょうど食べ終わった茶碗を渡す
「はい、同じぐらいでいいですか?」
「あ、あの……」
(遠慮した方が……いやでも美味しかったしな……)
私口ごもっていると紗代子さんは首を傾げて
「…………?えーと……」
そして、はっと納得したような顔をして
「あっ!もちろん大盛りでもいいですよ?」
「……っ!お、お願いします……」
「ふふ、わかりました」
(完全に見透かされてる?!顔に出てたのかな……)
なんだか恥ずかしくて顔が熱くなってくる
「はい、どうぞ!いっぱい食べてくださいね?」
「あ、ありがとうございます!」
恥ずかしさを誤魔化すように大盛りのお米をかきこむ
「ふふ、まだおかわりはありますからね」
結局、この後にもう一度ご飯のおかわりをして、朝食だというのにおなかいっぱい食べてしまったのだった
食事を終えて一息ついていると……
「ねぇねぇ文ちゃん」
「ん?なんですか?」
「文ちゃんはこれからの予定は決まってる?」
「これからの予定ですか……?」
そういえばあまり考えていなかった
「えーと、特にないと思いますよ」
「そうなんだ……それじゃあさ、ウチで働かない?」
「働く……?私がですか?」
いったいどういうことだろう?
「実はさ、紗代子の代理ができる人を絶賛募集中なんだよね」
「えぇ……?何かあるんですか?」
「それがさ……今、紗代子が子供を身篭っててね」
「えぇ?!そうなんですか?紗代子さん」
衝撃の告白に思わず紗代子さんの方を見る
「えぇ、そうですよ」
紗代子さんが笑顔で答える
「あれ?でもお腹が大きくなってる訳ではないみたいですけど……」
「あぁ、それはまだ身篭って日が経ってないからね」
「はい、諏訪子様がご自身の力で知らせてくださいましたので」
「へぇ……凄いですね」
さすが神様といったところか
「まぁ、私の血が入ってるわけだしね、何となくわかるのさ」
「そうなんですか……えぇとそれで、紗代子さんが子供を産むまでの間に私が代理をするってことですか?」
「そうだね、出来れば子供が大きくなるまでやってくれると嬉しいけど」
「結構長いですね?」
「そうかな?十年もかからないと思うけど」
「あぁ……まぁそうですか?」
(私は未だに時間感覚が人間並みですけど、諏訪子さんみたいな長く生きている方は全然違うってことでしょうね……)
「それで、どう?受けてくれるかい?」
「それは……」
(断らないといけない理由はない……ですよね?)
「えっと……私で大丈夫なんでしょうか?」
そう、1つだけ気になるのは私で代役が務まるのかということだ
「大丈夫だから頼んでるんじゃないか、それに文ちゃんには自力で神になれる才能があるんだしね」
「なるほど……?」
(そういえば、守矢神社の風祝は現人神なんでしたね)
「え、ということは……私が風祝になるってことですか?!」
「そうだよ?他に何があるのさ」
「いや、てっきり食事を作ったり、ほかにも雑用とかを任されるとばかり……」
「もちろんそういうこともやってもらうよ?」
「あっそうなんですね」
「うん、で、どうする?」
諏訪子さんに返答を急かさせる
「ええっと……その……」
「ウチで働くならお米をお腹いっぱい食べられるよ?」
ダメ押しのように諏訪子さんが魅力的な提案をする
「や、やります!」
「お、いい返事だね」
(色々滅多にできない経験をさせてもらえるのはありがたいですからね)
けして今日のお米が美味しかったからまた食べたいという訳では無い
「それじゃ、早速今日から紗代子から色々教えてもらうってことにしようか」
「はい、紗代子さんこれからお願いします」
「えぇ、よろしくお願いしますね」
そんなこんなで風祝見習いになってしまった私
これからどんな生活が待っているんだろうか?今から楽しみです
読んでいただきありがとうございます
前回の13話に沢山の感想や応援を頂きました、とっても嬉しいです。
期待に応えられるように頑張ります
これからもよろしくお願いします
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