東方鴉人録   作:yukke9265

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19. 風祝も悪くない

日課を終わらせ、諏訪子さん達のいる部屋を覗くと……

 

「よしよし~お母さんですよ~」

 

「ねー、もう少し抱っこさせてよ~」

 

「ダメです、私がお母さんなんですからね」

 

「それなら私だってこの子の遠い祖先だよ!」

 

「それでもダメです、それと大声は出さないでください」

 

「むーっ、少しぐらいいじゃないか……」

 

「全く、お前は跡継ぎが産まれるといつもそうだ、こういうのは……」

 

どうやらみんなで赤ちゃんを可愛がっているようだ

 

「お、お邪魔します」

 

「あ、文ちゃんだ!今日もお疲れ様~」

 

「ありがとうございます、それにしても諏訪子さん……赤ちゃんにデレデレですね?」

 

「そりゃ大事な大事な跡継ぎだしね、それに可愛いし」

 

「紗代子さんを困らせちゃダメですよ?」

 

「もー文ちゃんもそういうこと言って……私は跡継ぎを可愛がりたいだけなのに……」

 

「諏訪子さんはまたいつでもできるじゃないですか……」

 

「そうだけどさ……うーん……でもなぁ……あっ、そうだ」

 

「えっ……何か嫌な予感がします」

 

「うん、文ちゃんも意外に小さいしさ、私に可愛がられてよ」

 

「いやです。そもそも諏訪子さんの方が小さいじゃないですか」

 

「それが理由なら大きくなっちゃおっかな」

 

そう言った諏訪子さんの身体はまるで成長するように変化する

 

「いや、あの……」

 

「うふ、これでいい?神の身体は自由自在なのさ」

 

数秒と経たずに大人の女性へと変化した諏訪子さん

 

「えぇと……えぇ?!」

 

「なー、いいでしょ?ぎゅーっと」

 

そう聞こえた直後、目の前に豊満なソレが迫り、視界が真っ暗になった

 

「よしよし~」

 

「ぶぉっほばはびふぇくばふぁいっ!!」

 

「ふふ、なんだい?聞こえないよ?」

 

そしてより強く押し付けられるソレ

 

「ふぃひふぁへひはいへふっ!!」

 

「なでなでしちゃおうかな~~なでなで~」

 

「っ~~!!」

 

その腕は緩まることはない

 

(い、息が苦しい……そしてなんだか段々と意識も……遠く……)

 

「文ちゃんも可愛いよねぇ……よしよし」

 

「おい、また幼子を食う気なのか?」

 

(神奈子さん……助けて……)

 

「なにさ、またって、文ちゃんはいいだろ?」

 

「お前はもう少し相手の事情をだな……まず射命丸を離せ、そろそろ気を失うぞ」

 

「おっと、さすがにきつすぎたか」

 

唐突に拘束から解放される

 

「ぷはぁぁぁっ!!はぁ……はぁ……助かりました……窒息するかと思いました」

 

「すまない射命丸、こいつは時々こういうことをするんだ」

 

「こいつとはなにさこいつとは!」

 

「諏訪子様、静かにしてくださいますか?もう寝かせる時間ですから」

 

「はい……」

 

「はぁ……いつもこれくらい聞き分けがいいといいんだが……」

 

 

 

「……それで、射命丸に話があるんじゃなかったのか?」

 

一息ついて全員が集まる

 

「まぁ、話というか……これを渡そうと思って」

 

諏訪子さんは帽子の中をごそごそと何かを取り出す

 

「これは……木製の……箱……ですか?」

 

それは手のひらに乗る程度のサイズの木箱に見える

 

「まぁ、それはそうなんだけど……そうだな……これは一種の式神みたいなものでね」

 

「式神ですか」

 

「まぁ、私がやるとどうしても呪いに近いものになってしまうんだけどね……それはそうとして、これを文ちゃんに運んで貰いたいんだよ」

 

「ちなみに……中身がどういうものかは詳しくは……?」

 

「うーんとね、簡単に言うと、ちょっと手の込んだ手紙みたいなものさ、中に言霊とかが込められてて、力のあるものにしか開けられないようになってるんだ」

 

「なるほど……?」

 

ボイスメッセージみたいな感じになるのだろうか?

 

「そして、これを渡した時点で文ちゃんの風祝としての仕事は終わり」

 

「おお、そうですか」

 

「そう、だからまぁ、届けられたら届ける感じでいいさ」

 

「わかりました、どうにかやってみますね」

 

「うん、助かるよ」

 

「話はそれで終わりか?」

 

「まぁ、そうだけど」

 

「それじゃ射命丸に私からも一言だけ」

 

「はい、なんでしょう」

 

「諏訪子の無茶ぶりに付き合ってくれてありがとう、短い間だったがとても助かったよ」

 

「こちらこそありがとうございます、神奈子さんには色々良くしてもらったし、楽しかったです」

 

神奈子さんには色々なところで助けられた

 

「あ、それでは私からも」

 

紗代子さんがこちらを向く

 

「今日まで私の代わりに色々して頂きありがとうございました、おかげで元気に赤ちゃんも産まれてきて、文さんには感謝してもしてきれません」

 

「あやや、そこまで言われると照れますね……赤ちゃん、元気に育つことを祈りますね」

 

「はい、ありがとうございます」

 

こんなに優しいお母さんがいるなら赤ちゃんの将来も安泰だろう

 

「そうだ、諏訪子もちゃんとお礼を言っておけよ?」

 

「はいはい」

 

諏訪子さんは返事をすると私の近くへと寄ってきて

 

「文ちゃん、今日までありがとね」

 

「いえいえ、私も楽しくてやってましたから」

 

「そうだな……また百年後にでも遊びに来てよ」

 

「ええー!百年後ですか?」

 

「まぁ来たいならいつでもいいからさ、また来てね」

 

「はい、また来ますね、跡継ぎがどうなるかも気になるので」

 

「はは、そっか、そうだね、今から楽しみだ……よし、今夜は宴会だ!」

 

「えぇ!今から出ていく流れじゃないですか?!」

 

「何言ってるのさ、別れには酒が付き物だろ?」

 

「そんなの聞いたことありませんよ~!!」

 

 

そうして翌朝……ではなく日も高くなる昼頃、二日酔いに悩まされながらも神社を後にし、妖怪の山へと向かうのだった




読んで頂きありがとうございます!

少し遅くなりましたが、なんとか守矢編終了です
これからは妖怪の山編に突入します
両手では数え切れないほどのキャラが登場予定なので乞うご期待

Twitter https://twitter.com/yukke9265
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