日課を終わらせ、諏訪子さん達のいる部屋を覗くと……
「よしよし~お母さんですよ~」
「ねー、もう少し抱っこさせてよ~」
「ダメです、私がお母さんなんですからね」
「それなら私だってこの子の遠い祖先だよ!」
「それでもダメです、それと大声は出さないでください」
「むーっ、少しぐらいいじゃないか……」
「全く、お前は跡継ぎが産まれるといつもそうだ、こういうのは……」
どうやらみんなで赤ちゃんを可愛がっているようだ
「お、お邪魔します」
「あ、文ちゃんだ!今日もお疲れ様~」
「ありがとうございます、それにしても諏訪子さん……赤ちゃんにデレデレですね?」
「そりゃ大事な大事な跡継ぎだしね、それに可愛いし」
「紗代子さんを困らせちゃダメですよ?」
「もー文ちゃんもそういうこと言って……私は跡継ぎを可愛がりたいだけなのに……」
「諏訪子さんはまたいつでもできるじゃないですか……」
「そうだけどさ……うーん……でもなぁ……あっ、そうだ」
「えっ……何か嫌な予感がします」
「うん、文ちゃんも意外に小さいしさ、私に可愛がられてよ」
「いやです。そもそも諏訪子さんの方が小さいじゃないですか」
「それが理由なら大きくなっちゃおっかな」
そう言った諏訪子さんの身体はまるで成長するように変化する
「いや、あの……」
「うふ、これでいい?神の身体は自由自在なのさ」
数秒と経たずに大人の女性へと変化した諏訪子さん
「えぇと……えぇ?!」
「なー、いいでしょ?ぎゅーっと」
そう聞こえた直後、目の前に豊満なソレが迫り、視界が真っ暗になった
「よしよし~」
「ぶぉっほばはびふぇくばふぁいっ!!」
「ふふ、なんだい?聞こえないよ?」
そしてより強く押し付けられるソレ
「ふぃひふぁへひはいへふっ!!」
「なでなでしちゃおうかな~~なでなで~」
「っ~~!!」
その腕は緩まることはない
(い、息が苦しい……そしてなんだか段々と意識も……遠く……)
「文ちゃんも可愛いよねぇ……よしよし」
「おい、また幼子を食う気なのか?」
(神奈子さん……助けて……)
「なにさ、またって、文ちゃんはいいだろ?」
「お前はもう少し相手の事情をだな……まず射命丸を離せ、そろそろ気を失うぞ」
「おっと、さすがにきつすぎたか」
唐突に拘束から解放される
「ぷはぁぁぁっ!!はぁ……はぁ……助かりました……窒息するかと思いました」
「すまない射命丸、こいつは時々こういうことをするんだ」
「こいつとはなにさこいつとは!」
「諏訪子様、静かにしてくださいますか?もう寝かせる時間ですから」
「はい……」
「はぁ……いつもこれくらい聞き分けがいいといいんだが……」
「……それで、射命丸に話があるんじゃなかったのか?」
一息ついて全員が集まる
「まぁ、話というか……これを渡そうと思って」
諏訪子さんは帽子の中をごそごそと何かを取り出す
「これは……木製の……箱……ですか?」
それは手のひらに乗る程度のサイズの木箱に見える
「まぁ、それはそうなんだけど……そうだな……これは一種の式神みたいなものでね」
「式神ですか」
「まぁ、私がやるとどうしても呪いに近いものになってしまうんだけどね……それはそうとして、これを文ちゃんに運んで貰いたいんだよ」
「ちなみに……中身がどういうものかは詳しくは……?」
「うーんとね、簡単に言うと、ちょっと手の込んだ手紙みたいなものさ、中に言霊とかが込められてて、力のあるものにしか開けられないようになってるんだ」
「なるほど……?」
ボイスメッセージみたいな感じになるのだろうか?
「そして、これを渡した時点で文ちゃんの風祝としての仕事は終わり」
「おお、そうですか」
「そう、だからまぁ、届けられたら届ける感じでいいさ」
「わかりました、どうにかやってみますね」
「うん、助かるよ」
「話はそれで終わりか?」
「まぁ、そうだけど」
「それじゃ射命丸に私からも一言だけ」
「はい、なんでしょう」
「諏訪子の無茶ぶりに付き合ってくれてありがとう、短い間だったがとても助かったよ」
「こちらこそありがとうございます、神奈子さんには色々良くしてもらったし、楽しかったです」
神奈子さんには色々なところで助けられた
「あ、それでは私からも」
紗代子さんがこちらを向く
「今日まで私の代わりに色々して頂きありがとうございました、おかげで元気に赤ちゃんも産まれてきて、文さんには感謝してもしてきれません」
「あやや、そこまで言われると照れますね……赤ちゃん、元気に育つことを祈りますね」
「はい、ありがとうございます」
こんなに優しいお母さんがいるなら赤ちゃんの将来も安泰だろう
「そうだ、諏訪子もちゃんとお礼を言っておけよ?」
「はいはい」
諏訪子さんは返事をすると私の近くへと寄ってきて
「文ちゃん、今日までありがとね」
「いえいえ、私も楽しくてやってましたから」
「そうだな……また百年後にでも遊びに来てよ」
「ええー!百年後ですか?」
「まぁ来たいならいつでもいいからさ、また来てね」
「はい、また来ますね、跡継ぎがどうなるかも気になるので」
「はは、そっか、そうだね、今から楽しみだ……よし、今夜は宴会だ!」
「えぇ!今から出ていく流れじゃないですか?!」
「何言ってるのさ、別れには酒が付き物だろ?」
「そんなの聞いたことありませんよ~!!」
そうして翌朝……ではなく日も高くなる昼頃、二日酔いに悩まされながらも神社を後にし、妖怪の山へと向かうのだった
読んで頂きありがとうございます!
少し遅くなりましたが、なんとか守矢編終了です
これからは妖怪の山編に突入します
両手では数え切れないほどのキャラが登場予定なので乞うご期待
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