「ふぁ……おはようございます」
チュンチュンと鳴く鳥に起こされた朝
「眠いですが……起きましょうか」
最近目標を決めたんですよ
「家が欲しいんです」
そう家です、homeと書いて家です
「とてもこの木の洞は家とは言えませんからね…」
割と長い間ここで寝てますけど流石にそろそろ引越したいと思ってきています
(本当に狭いんですよねぇ……)
低身長の私がギリギリ足を伸ばして寝られないくらいの広さです
ちなみに枕は木の根っこです
「すっごく硬いですけどね」
起きた時に首が痛かった回数は数え切れないほどだ
「足を伸ばせるベッドが欲しいです……」
もちろん布団でもいいですが、とりあえず快適な寝床は確保したいところですね
「何をするにもとりあえず家がないと話にならないですね」
どうするか考えないとです
「決めました、竪穴式住居にしましょう」
どんな家を建てるか考えた時に、この前見た竪穴式住居を思い出したんです
「頑張れば私でも作れそうですからね」
村の方を確認しましたが丸太と上に被せるものがあれば作れそうです
「とはいえ……」
丸太も被せるものも用意するの大変だとは思うんですけどね
「まずは道具を作る所からですね」
木を切り倒すにも草を刈るにも相応の道具が必要です
ということで河原に来ています
ちょうど良い石があるといいのですが
「これとかがいいんでしょうか」
いろいろ持ち上げてよく見て確認していますが、結局どの石が石器に向いているかはわかりません
「とりあえずやってみましょう」
叩きつけて割ればいいんでしたっけ、ということで全力で行きましょうか
「せーの、それっ!」
パカーン!
「おおっ」
あまりに綺麗に割れ飛ぶので少し驚いてしまいました
「案外上手くいきましたね」
割れた石を拾い上げて見てみる
「ふむ…ここからどう鋭くするんでしょうか」
投げつけるやり方だと真っ二つにすることしか出来ないでしょうね
「何か他の石で叩いて欠けさせてみましょうか」
適当な石で割れた石の角の部分をトントンと叩いてみる
「お、いい感じですね」
結構楽しいかもしれません
トントン、トントンと石を叩く音が誰もいない河原に響く
その後は少しの間試行錯誤していたのだが
「よし、こんな感じでしょうか」
不格好ですが、一応それっぽい形にはなりました
「ちょっと試験運用してみたいんですが…どうしましょうか」
ゆくゆくは木を切り倒したりできるようになりたいですからね、とりあえず幹じゃなくて枝を落とせるかやってみましょう
近くの枝が多い木まで歩いて行き、空を飛んで手頃な枝に跨る
「よーしやってみましょう、せいっ」
ガッ
腕を振り下ろすとお手製石器がそんな音を立てて枝に突き刺さった
「お、割と行けそうですね」
何回かやった後にはガッガッガッとリズム良く削れるようになりました
「まぁでも割と時間かかりそうですねっ」
そんな感じで頑張って削っていたのですが
「お、来ましたね」
ミシミシと音を立てた後ドスッと枝が落ちる
「あやや…割と大変ですね、よいしょっと」
太いところで大体15センチってところでしょうか
「長さは…」
大体私2人分ですかね
「まぁ先の方は細すぎて使い物にならないですけど」
それはそうとして、どう使ったものですかね…
「流石に放置は勿体ないですからね」
武器にでもしてみましょうか
「こんな感じ……でしょうか」
お手製石器を使って形を整えていく
「ここはもうちょっと削りましょうか」
そんな感じで削っていきまして……
「よし!荒削りですがこんなもんでしょう!できたのは……棍棒……いやバットですかね、まぁとにかく打撃武器です」
とりあえず長さを整えて持ちやすく削る感じにしてみました
「何かには使えるでしょう多分」
石器ももっと良いものを作れるようになりたいですね……
「ぐあー……疲れました」
石器をずっと振り回していたせいなのか、なんだか身体がだるい感じがします
「心做しか力も弱くなっている気がします」
木を切っている途中にも違和感はあったんですよね
「うーん、休めば治るでしょうか」
今日はちょっと早めに寝ることにしましょう
「そうとなれば急いで寝床に戻らないと」
この辺の地理もだんだん分かるようになってきましたからね
「ん、んん……うぅ」
目が覚める
えーと、昨日は早めに寝たんでしたっけ
「今日も頑張らないと……あれ?」
暗いです
「あやや、まだ夜でしたか……どうしましょうか」
今まで夜に目が覚めるということはなかったんですが、珍しいです
「早めに寝たのが良くなかったんでしょうか」
いやでも、今までに早めに寝たこともありましたが、その時はこんなことにはならなかったんですよねぇ
「あ、元はといえば身体の調子が悪いから早めに寝たんでした」
身体の調子はいくらかマシになりましたが……まだ少し重い感じがします
「それにしても……うぅ」
目が覚めてから謎の空腹感が身体のだるさより重く身体にのしかかっているんですよね
「これは……なんというか」
ただ単にお腹が空いているという感じではなさそうなんですよ
「とりあえず何か食べてみたいですが、こんな時間ですからねぇ」
夜の森では何が起こるか分かりません
「だから今まで夜はここでじっとしてたんですが……いやはや」
今日もそうしたいんですが、問題はこの空腹感に耐えられるかどうかですね
「うぅ……どうしてなんでしょう、昨日は木苺も食べたのに」
今までは1日食事しないくらいなら全然問題なかったんです
「とりあえず少し我慢してみましょう」
夜の森で迷うなんてことはしたくないですからね
「羊が124匹……羊が125匹……うぅぅ」
寝て夜が明けるまでやり過ごそうとしてますが……全然だめですね
「うぐ……さっきより酷くなってませんかね」
謎の空腹感は増すばかりである
「あーもう、夜の森に出るしかないんでしょうか」
このままでは寝ることすらままならないんです
「うん、お腹が空いたなら食べればいいですよね!」
そう思い立ち上がろうとすると
「痛ぁっ?!」
ゴスッと天井に頭をぶつけてしまいました
「うぅ……幸先悪いですね」
頭を擦りながらそんなことを考える
「そうだ、こんな時の為の武器ですよね」
昨日作ったバットもどきがこんなにすぐ役に立つ時がくるとは
「よし、武器も持ちましたし行きましょうか!」
目指すは昨日と同じ木苺の木です
「こっちの方ですよね……」
ありがたいことに夜目は効くので今の所はほぼ昼間と変わりなく移動出来ています
「案外行けるもんですね」
あんなに心配しなくても良かったんでしょうか
「確かこの木を右で……」
ガササッ
「ひっ?!」
今音しましたよねっ?!
(どうしましょうどうしましょう)
とりあえず目立たないように忍び足で移動しましょうそうしましょう
(そろーり、そろーり)
ポキッ
(ひぃぃっ?!)
心臓に悪すぎです!
(そろーり、そろーり)
ガサガサガササッ
(いや絶対さっきより増えてますよね?!)
ガサガサッ
(今度は違う方向から?!)
しかし見回してもなにも見あたりません
どうしましょうどうしましょう、非常にまずいことになっている気がします
(冷静になりましょう私……きっと私ならどうにかなります)
歩みを止め、神経を研ぎ澄まし音の方向の気配を探る
(これはっ……いや……でも……)
「……」
(これは獣の呼吸音ですが……多すぎませんか?!)
ガサガサガサッ
(しかも近づいてきますっ?!)
いやでも今の私にはこのバットもどきという武器があるんです、対抗出来る術はあるはずです!
ウガァッ!!
「とりゃぁ!!」
飛びかかってきた獣を思い切り殴打する
キャインッ
殴打された獣がその場に倒れ込む
「よし!まずは一匹!どんだけでもかかってこいです!」
獣から少し距離を取り声を出して気合を入れましたが……
グルル…
周りからガサガサと音をたてて現れたのは軽く10匹を超えそうな程の獣であった
(あやややややややや)
こんなに多いとは聞いてないですよ?!
気づけば背後も新手の獣によって塞がれてしまっている
(そんな……)
そして次の行動を考える暇もなく何匹かが一斉に飛びかかってくる
「やばいですぅ?!」
武器で応戦しないと!
「せいっ!えいっ!うぐぅ?!せいやぁぁ!」
必死に武器を振り応戦する
(こっちには武器があるんです、簡単にはやられてられません!)
一振り、二振り、近づいてくる獣たちをこれでもかというほど殴打する
「せいっ!とりゃぁ!ぐはぁっ?!」
しかし獣たちの数で圧倒的され、腕を飛びかかってきた一匹に噛みつかれてしまう
「痛ぃっ?!このやろぉ!!」
咄嗟にその獣を引き剥がすように、思い切り腕を引き戻しながら蹴りを食らわせて距離をとる
「はぁっ……はあっ……痛いですね……」
噛まれた傷は深いという訳ではなさそうだが、それでも血がポタポタと滴り落ちている
「本当に痛いですが……忘れていました、私には翼があるということを」
そう言って飛び上がる準備をしようするが……
「……っ!!……っ!!」
(なんでぇっ!なんで飛べないんですかぁっ!)
バタバタと羽を羽ばたかせても身体が浮き上がることは無い
(なんでっ!なんでっ!)
羽ばたきの音が夜の森に虚しく響き渡る
そして、その行動は獣たちからすれば格好の隙であった
「うがっ?!そんなっ?!なんでっ!」
努力も虚しく、ものの数秒で獣たちに体勢を崩される
そして今にも首元に噛みつかれそうになり死を覚悟したその瞬間ーー
ーー世界が止まった
(あぁ……やっぱり私には生き残るなんて無理だったんですね)
これは……走馬灯ってやつでしょうか
(それしては何も見えないですけど)
目の前に見えるのは今にも私の首元に噛みつかんばかりの獣の姿です
(これは……死んでしまうんでしょうか)
噛みつかれればひとたまりもないでしょう
(死んだらどうなるんでしょうね)
冥界に送られて映姫様に裁かれるんでしょうか
(それならありかもしれません……)
でも……死にたくないです
(いくらなんでもせっかく生まれたのに東方キャラに1人も会わずに冥界送りなんて嫌に決まってます)
もし生きていれば、これからの様々な時代において東方キャラ達の昔の姿を目撃することになったでしょうね
聖徳太子、かぐや姫、ましてや第一次月面戦争までもこの目で目撃することが出来たかもしれません
(でも……それもできなくなっちゃいました)
こんな状況で生き残る訳ありませんからね
(走馬灯が見えてるってことは死ぬってことでしょう)
しかし……射命丸文らしいことはほとんど出来ませんでしたね
したことといえばサバイバル生活ぐらいです
(そういえば、射命丸文が死んでも大丈夫なんでしょうか……?)
そうですよ、私が射命丸文という名前を持っているからには沢山の東方キャラに会ってひいては東方文花帖や東方風神録に出演(?)するという義務があるはずなんです
(そうだとしたらまだ死ねませんよね……こんなのダメです)
そう、射命丸文として生まれた以上、果たさなければならないことが沢山あるんです!
(それなのにその辺の獣に襲われて死ぬなんて何のためのこの名前ですか!)
(こんなのは私のエゴかもしれません……でもっ!)
この名を持つからには絶対に生き残らないといけないんです!
(だから!だから!)
「あぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!!!!!」
再び動き出した世界に、獣たちをなぎ倒さんばかりの突風が吹き荒れる
「私が!この私がっ!風を操る程度の能力を持つ!射命丸文です!」
その日、真の意味で射命丸文が誕生する
深夜テンションで一気に書きあげました
あまり書いたことの無い展開を書いたのでちょっと不自然な場所があるかもしれません。
気になる部分があれば是非感想の方に書き込んでいただけると今後の執筆の助けになります。
もちろん普通の感想や評価の方もお待ちしております!
執筆の励みになります
毎週土曜夜投稿を目標に頑張ります
そして、執筆現在で、第一話になんと五人もの方が感想を書いてくださりました!
まさかこんなに反応があるとは思いもよらず。通知を見た時は心停止するかと思いました(笑)
皆さんの期待に応えられるように今後も執筆を頑張っていきたいと思います!