東方鴉人録   作:yukke9265

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20. 天狗の山登り

皆に見送られながら諏訪を出た私は、妖怪の山を求め木々の生い茂る山々の上空を飛行していた

 

「諏訪子さんにお守りも貰っちゃいました」

 

諏訪子さんが言うには、やばくなった時に少しだけ助けてくれるそううなのだが……やばくなったらとはどのくらいなのだろうかは分からない

 

「あの諏訪子さんのお守りですし、何かしら効果はありますよね」

 

効果を発揮するようなやばい場面が来ないのが一番ではあるのだが、原作の時代までまだまだ先は長いとわかっている以上、そんなことも言っていられないだろう

 

「それにしても……妖怪の山、どこにあるんでしょうか」

 

だいたいの方角は聞いて、そんなに遠くはないだろうとも教えてもらったものの、その正確な場所は分からない

 

「まぁでも聞いた話通りならそろそろだと思うんですが……どこでしょう?」

 

妖怪の山なのかそれともまだ天狗だけなのかその辺はよく分からないが、とにかく山にあることは確実だろう

 

「もしかして通り過ぎましたかね?」

 

とはいえ辺りは山だらけなので、探すのは困難を極めることになるかもしれない

 

「木の陰に隠されてたりしたら空からじゃ無理ですからね……」

 

河童の光学迷彩という例もあるし、ありえないということもないだろう

 

「地上から探した方がいいでしょうか」

 

それならば隠れていて見逃すということも減るだろうということで、高度を落とし、地に足をつけることにした

 

 

 

「よし、ハイキングの始まりですね」

 

せっかくなので妖怪のフィジカルを存分に使い、人間では到底進めないような段差の激しい山道を進んでいくことにする

 

「というか……こういうのはトレッキングの方が正しいんでしょうか」

 

木々の合間をピョンピョンと進みながらそんなことを考える

 

枝から枝へ跳び、時に滑空して谷を越え、森の中をぐんぐんと進んでいるため、確かにこれは人のハイキングとはかけ離れたものだと言っていいだろう

 

「まぁ……細かいことはいいですよね」

 

それからしばらくその妖怪式ハイキングは続いたのだが……

 

 

 

「おい、そこのお前!」

 

唐突に背後から聞こえる声

 

「うおっととっとっ……危ない……」

 

突然の声に驚き躓きかけるがなんとか持ちこたえる

 

「そう、そこのお前だ」

 

「な、なんでしょう……?」

 

「何をしている」

 

声の主の姿は見えない

 

「えーと……少し散歩を……」

 

「嘘をつけ、さっきから不審な行動をしているではないか」

 

「不審……?というか不審って直接言っちゃいます……?」

 

「さっきからあてもなく森の中を跳ね回って……どこが不審じゃないと言うんだ」

 

「そうですかね……森の中を跳ね回るなんて普通じゃないですか?」

 

「普通じゃないだろう!」

 

「どこがですか!」

 

「それはだな!」

 

「それは……?」

 

「…………」

 

「…………?」

 

(あれ……?)

 

「…………鴉天狗なら堂々と空を飛べ!」

 

「えぇ……」

 

(なんだか急に古臭くなりましたね……いや、まぁ今は古き時代ではありますけど……)

 

「というか、とりあえず隠れてないで出てきたらどうです?私は別に敵意とかありませんし」

 

時折正面の茂みがガサッとするが、なかなか姿を現さない

 

「そうか……?」

 

「そうですよ」

 

「いや、ダメだ」

 

「なんでですか……」

 

「お前、所属は?」

 

「所属……?私は一人ですけど……」

 

何かの組織のメンバーと勘違いされているようだ

 

「無所属……?どこにも所属していないと……?」

 

「はい……」

 

「そんなことあるのか……?いやしかし……」

 

「あの……そろそろ行っていいですかね?」

 

これ以上付き合うと面倒なことになりそうな気がする

 

「ダメだ!お前を連行して取り調べる!」

 

「えぇ?!いやですよ、行きますからっ!」

 

「おい待て!」

 

踵を返しその場から離れようとした瞬間、視界の端で影が動く

 

「ッ……!!!」

 

「待てと言ったはずだ」

 

一閃、次の瞬間には正面を塞がれていた

 

「あやや……これはこれは」

 

「何者かは知らないが、絶対に逃がさんぞ」

 

やっと姿を現した声の主が、こちらに剣を向ける

 

(まさか……っ!!!)




読んでいただきありがとうございます

ついに始まった妖怪の山編、これから新キャラをどんどん出してきたいですね

そしてなんと東方鴉人録のUAが30000を突破してしまいました
沢山の方々に読んでいただいてとても嬉しいです
いつも読んでくださる読者の方々、ありがとうございます

Twitter https://twitter.com/yukke9265
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