東方鴉人録   作:yukke9265

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7.紅葉は毎年美しい

「よいしょっと」

 

ある日の昼下がりのこと

 

「ここから見る紅葉はやっぱり絵になりますね……」

 

切り立った崖とそこから流れ落ちる滝、そして清流と紅葉

 

「見事なものです……」

 

まばらに流れていく赤や黄色の落ち葉もまた風情がある

 

「いやぁ……この場所からならずっと見ていられます」

 

今腰を下ろしているこの大岩は、辺りを綺麗に見渡せるお気に入りのスポットです

 

「こうやって木々が色付くのも……もう五回目ですか」

 

自然は毎年少しづつ違った景色を見せてくれる

 

「ここを最初に見つけた頃は色々ありましたね……」

 

最初は右も左も分からないサバイバル生活に奮闘していました

 

「思えば台風に全て吹き飛ばされたのも最初の年でしたね」

 

冬も大変でした、何もかもが準備不足でした

 

「上に着るものが何も無いあの冬の寒さは……思い出したくありませんね」

 

次の年からは獣の皮で作った防寒具があったのでだいぶましになりました

 

「そうでした、あの頃はまだ家も無かったんでした」

 

大木の洞で寝泊まりしていたんでしたね

 

「今ではもう物置になってますが、よくあんなところで寝泊まりしていたものです……」

 

狭いですし、あの頃は土が剥き出しの所で寝ていましたからね

 

「でも五年でここまでできるようになって良かったです」

 

道具を作り、家を建て、最近は畑作りにも挑戦している

 

「この五年間は早かったような……そんな感じがします」

 

自然の脅威に晒さられる日々ですが、毎日楽しいですからね

 

「さて、思い出に浸るのはこのくらいにして」

 

生活が豊かになっても、毎日忙しいことには変わりはない

 

「午後は何をしましょうかね……そうだ!紅葉の季節なら栗の収穫に行かなければ!」

 

秋といえば味覚の秋です

 

「焼き栗は本当に美味しいですからね……よし、そうと決まれば」

 

立ち上がって栗の木が集まる場所の方へと飛び立つ

 

 

 

そうして栗拾いも終わり、夕方のこと

 

「あちっ!はふはふっ」

 

熱々の焼き栗を堪能する

 

「ん〜!おいしいです!」

 

(このホクホクとした食感と甘みがたまりませんね)

 

やはり秋といえばこの味だ

 

「あー先に食べるなんてずるいっ!私も食べる!」

 

「リグルさんがぼーっとしてるのが悪いんですよ〜」

 

「じゃあ私は全部食べちゃうもんね〜」

 

「あー!一度に三つも持っていくなんてずるいですよ!」

 

「へへーん早いもん勝ちだよ〜!」

 

こんな風にたまに現れるリグルさんとおしゃべりしながら食事をするのが最近の楽しみの1つです

 

「そういえば今日は満月だよね〜」

 

「あ、そうでしたね」

 

妖力が増す満月の日は、妖怪にとっても大事な日です

 

「そういえば満月なら文はいつものやつをやるの?」

 

「はい、そのつもりです」

 

いつものやつとは、妖力補給のために定期的に行っている狩りのことです

 

(でもまぁ、妖力が少なくなってる感じはしませんけどね)

 

前は10日ほどで妖力が足りなくなってきていましたが、ここ一年ほどは足りるようになってきていたので、月に1度もとい満月の日に補給するようにしています

 

「妖力が足りないなら、やっぱり文も獣なんかより人間襲った方がいいんじゃない?」

 

「すみません……人間は襲わない主義なので」

 

「まぁ……文がそう言うのは知ってるからね、無理強いはしない」

 

「ありがとうございます」

 

(こうやってリグルさんは心配してくれますが……最近は本当に足りなくなるということは無くなったんですよね)

 

妖力が成長したからなのかどうかは分かりませんが

 

「それじゃ、暗くなってきたので私は行ってきますね」

 

「お、行ってらっしゃーい」

 

「あ、残ってる栗は食べちゃっていいですからね」

 

「ほんと?!やったー!」

 

「それじゃ行ってきます」

 

「ばいばーい」

 

そうしていつもの狩りへと飛び立った




読んで頂きありがとうございます!

今後の展開に迷っているため、今回は短めとなってしまいました

続きがすぐ決まれば、明日にもまた投稿できるかもしれません
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