東方鴉人録   作:yukke9265

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9.妖と神

草刈り作業中のこと

 

「そこの方〜!」

 

(……誰か来たっ?!)

 

知らない誰かの声に、反射的に茂みの方へ隠れてしまう

 

(顔はよく見えませんでしたが……)

 

茂みの中でしゃがんで息を潜める

 

「あの〜……ちょっと話を聞いてもいいかしら?」

 

茂みの外から声がする

 

「な、何者ですかっ?」

 

最近誰かと話すことが少ないからか、強い語調で聞いてしまう

 

「何者か……貴方と同じ……といったところかしらね?」

 

「私と同じ……?」

 

「えぇ、そうよ」

 

(どういうことでしょうか……?)

 

「あーもうお姉ちゃん何カッコつけてるのよ、私は秋 穣子、豊穣を司ってるの」

 

「ちょっと穣子!なんで遮るのよ!」

 

(……え?秋穣子って言いました?)

 

「お姉ちゃんの話が分かりにくいからよ、相手も困ってるじゃない!」

 

「これは神としての威厳を保つためで……」

 

「そんなだから信仰が集まらないのよ、」

 

「あ、あの!」

 

ガサッと茂みから出て挨拶をする

 

「わ、私っ!射命丸文っていいます、静葉さん、穣子さん、よろしくお願いします」

 

「あら、出てきてくれたのね」

 

「よろしくね〜」

 

(やっぱり秋姉妹です……!)

 

まさかこんな所で会えるとは

 

「それで、私に話というのは……?」

 

(わざわざ私に話しかけてくれるなんて光栄です……!)

 

「そうだったわね、話っていうのは……私達って同業者なわけじゃない?」

 

「同業者……?」

 

(どういうことでしょうか……まさか、同じ東方キャラだという意味?!)

 

「あーあ、また彼女困ってるじゃないのよ」

 

「うるさいわね、え、えーと……あなたと私達って互いに人間から信仰を集める神よね?」

 

「いや、違いますけど……」

 

「そう、だからこの辺りで信仰されてる神に挨拶をと…………え?」

 

「いやいや、私妖怪ですよ?私が神だなんてそんな、人違い……じゃなくて妖怪違いじゃないですか?」

 

(何か勘違いされているようです?)

 

「冗談よね?その神力をもってて神じゃないなんて……穣子も神力感じるわよね?」

 

「神力……?」

 

(神力って神様が持つ力ですよね……?)

 

「神力も感じられるけど……お姉ちゃんこそ妖力もあるの気づいてないの?」

 

「え?あ、ホントだ…………コホン、ごめんなさいね」

 

「あ、はい」

 

(勘違いがとけたようですね、良かったです)

 

私が神だなんてある訳ないですからね

 

「でも、自覚がなくてもあなたが信仰を集める神に近い存在なのは確かよ」

 

「え、私が……信仰ですか?」

 

(私……崇められるようなことしましたっけ?)

 

「そうよ、妖力と神力が混じりあっているとはいえ、神力というのは信仰が集まらないと生まれないものだもの」

 

「いやいや、何かの間違いですよ」

 

「いいえ、何かの間違いで神力が生まれるなんてことはないわ」

 

「そんなに簡単に神力が集まるなら私達も苦労しないもん」

 

穣子さんも同意見らしい

 

「そ、そうですか……じゃあなんで私に神力が……?」

 

「そうね……人間を助けたりするとか、何かを与えたりとか、心当たりはあるかしら?」

 

「あー……」

 

(ありますね、ありまくりです)

 

五年前に初めて少女を救ってから、妖怪に襲われている人を偶然見つけて助ける、ということはたまにしているのだ

 

「森で襲われてる人を助けたりとか……ですかね、最近は少ないですが」

 

最近は襲われていない人を見かけることが多い気がする

 

「そうよ、そういうことよ」

 

「そうですか?見かけたら助けてるだけなんですけどねぇ」

 

信仰されるほどに感謝されるとは思えませんが……

 

「そうね、あなたにとってはそうかもしれないけど、人間っていうのは普通妖怪に会ってしまったら死ぬしかないものなのよ?」

 

「そうですか?」

 

「そうよ、だから人間は神を信仰して助けてもらうしかないのよ」

 

「私達はそういう神じゃないけどね〜」

 

「今いい所なんだから……静かにしてなさい」

 

「はぁーい」

 

穣子さんはそう言ってどこかへ歩いていった

 

「うーむ……」

 

霊夢や魔理沙のような妖怪に抵抗できるような人間は居ないのだろうか

 

「それで、逆に言えば、妖怪から守ってくれるような神を人間は信仰するってことなの」

 

「そういう事ですか……でも最近はあんまり助けてないですよ?襲われてるところも見かけてないですし」

 

妖怪に襲われない方法でも見つけたんでしょうか?

 

「うーんと、人間が襲われにくくなった理由は分かるかしら?」

 

「人間が賢くなったからとか……?」

 

「人間はそんなに強くないわよ」

 

「そうですか……」

 

(なんかちょっと人間に対して失礼ですねこの神様)

 

時代が時代だからしょうがないのだろうか

 

「考えられるのは……そうね、あなたの森の辺りって神域になってるじゃない?」

 

「え?神域ですか?えーと……誰の?」

 

「あなたのよ」

 

「あや、なんかごめんなさい……」

 

「謝ることは無いわよ、それで、神域になってるんだけど、神域には邪悪なものを追い払う効果があるのよ」

 

「あやや……そんなことに」

 

(もしかして最近獣妖怪が見つからなかった理由はこれですか……?)

 

「多分それで人間が襲われにくくなったんだと思うわ」

 

「へぇ……凄いですね」

 

「あなたのことなのにやけに他人事ね……」

 

「すみません……私のことだという実感がなくて」

 

「そうなのね……あ、そうだ、あなた村の方に行ってみるといいわよ」

 

「え?それまたなぜでしょう?」

 

「今日私達が村に信仰を集めに行ったら、あなたを象った土偶があったのよ」

 

「土偶……?」

 

(土偶とは……いやはや、時代を感じますね)

 

「そう、それを見ればあなたが信仰されてることが一目でわかると思うわよ。それに定期的に人間に姿を見せて救いを与えるのも、信仰を集めるために重要なことだと思うわ」

 

「は、はい……今度行ってみます」

 

「自信持っていいのよ?神域ができるってことは、あの森があなたの神聖な森だって人間達が信じてるってことなんだから」

 

「なるほど……ありがとうございます」

 

(なんか知らない間に大事になってたんですね……まさか何となく人助けしてたらこんなことになってしまうとは)

 

「あ、そういえば」

 

「ん?どうかしたかしら?」

 

「いや、ここまで丁寧に説明してもらいましたけど、なんで私にそこまでしてくれるのかなぁと思いまして」

 

「あぁそれは、同業者とは仲良くしておこうってだけよ、信仰の内容も被らなさそうだし」

 

「へぇ、わざわざすみません」

 

「いいのよ、気にしないで」

 

(親切な方ですね……いつかお礼をしなければ)

 

「あ、話終わった?」

 

穣子さんが戻ってきたようだ

 

「終わったわよ」

 

「よかった!これ、あなたに贈り物よ!」

 

戻ってきた穣子さんの腕にはたくさんのキノコが抱えられていた

 

「わぁ〜!それ全部いいんですか?」

 

「うん!同業者とは仲良くしときたいからね!」

 

「あはは、お姉さんと同じこと言ってます」

 

 

 

 

この時から、季節になると秋姉妹との交流をするようになった

 

キノコの見分け方を教えてもらったり、あまずらという甘い蜜を出す植物を教えてもらったりもした

 

自分からは、料理について教えたり、色んな技術について教えたりしていた。この時代にはないものも教えてしまったが、そういう夢のある話をすると、彼女たちはとても喜んだ

 

村人達との交流も上手くいっていた

 

最初はぎこちなかったが、段々と慣れてきて、やがて仲良く食事をするまでになった

 

そんなこんなで私は妖怪兼神様という不思議な生活をそれなりに楽しんでいたのだ

 

 

 

あの神の遣いがやってくるまでは……




読んで頂きありがとうございます!

今回は会話が凄く多かったので、読みにくくなってしまったかもしれません

次回、〇〇編突入!

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