大・大・大・大・大将軍!!(一週間遅れ)
どうも楠名等です。
極アームズが恰好いい先週話と今週話でしたね。後、グリドンがまさかのネバーギブアップにふさわしい漢に!
本編は全く関係ないです。ごめんなさい。
「遅くなっちゃった。お父ちゃんに怒られるかなぁ」
日が落ち辺りが暗闇に変わる時刻。一人の少女が人里へ向かって山の中を走っていた。山菜採りに夢中になってしまい、気が付けばこの時間だ。
「妖怪が出なきゃいいけど・・・」
一応、博麗神社と『守矢神社』の無料配布されたありがたいお守りを持っている。守矢神社のお守りには裏に『ダム湖完成記念』と縫ってあるが、何故だろうか。ダム湖なんて無いはず。かなり不安である。
数分走っていると人里の明かりが見えてきた。それに安堵した少女だったが、急に辺りが異常な早さで暗くなり始める。突然の事に驚いた少女はその場から駆け出そうとするが、何者かに腕を掴まれてしまう。
「ひっ!」
「はいはい、静かにねー。騒ぐと食べちゃうから」
少女の手を掴んでいたのは、山吹色のショートヘアーに赤いリボンを付けた、白い長袖のブラウスと黒いロングワンピースを着た女の子だった。赤いリボンの女の子は少女に人差し指を立てて、しぃーと言う。少女は目の間にいるのが人間ではなく妖怪だと気付く。そして、お守りが何の役にもたたなかった事にも気付く。叫びそうになるのを耐え、取り敢えずは赤いリボンの女の子の言うとおりに静かにする。
「キェエエエー!!」
「な」
「しぃっ!」
しばらく暗闇の中でじっとしてると、外の方から獣のようなけたたましい奇声が聞こえた。思わず叫び声をあげそうになるが、すんでのところで止められる。
数分間声が聞こえる中、じっと耐える。バサバサと羽音がした後奇声も遠くへと消えていった。
「・・・あのコウモリいったかな?」
「・・・」
女の子が暗闇の一部を取り除いて周りを見る。慎重に確認をし、暗闇を全て取り払う。何がなんだか分からない少女はどうすればいいのか分からず、その場に立ち尽くす。
「帰らないの?」
「ウェッ!?帰っていいの?」
「帰らないのなら、食べちゃうけど」
「いや!帰らせてもらいます!」
赤いリボンの女の子が舌なめずりをして言うのを見て、このままだと確実に食われると少女は理解した。足はやに人里へ向かおうとするが、その前に少女は赤いリボンの女の子に質問をする。
「さっきのってなに?人里に出たのと同じ妖怪?」
「知らない。私も初めて会ったもの」
「あなた人食い妖怪よね?」
「そうだけど?」
「何であたしを助けたの?」
うーん、と女の子が考え込む。答えに困っているというよりも言葉を選んでいるようだ。
「そのお守り、博麗神社のでしょ」
「え、うん」
「つまり、博麗の巫女のお墨付きってわけでしょ」
「ん?まあ、そうなるのかな」
「見殺しにしたのがばれたら、博麗の巫女に何されるか・・・」
「あー、何となく事情は分かったわ」
女の子の表情が曇っていく。少女は大方どういう話か察しがついたようだ。博麗の巫女は妖怪に対して一切の容赦も慈悲も無いと噂されている。つい最近も人里に出た妖怪を空から蜂の巣にしていたらしい。博麗神社のお守りの効き目は凄いようだ。
「あーあ、夜中に出歩いている人類は食べていいって言ってたのも博麗の巫女なのに」
「あー、その、ヨモギあげるから頑張って」
「ヨモギかー」
「これしか採れなかったけど」
「あ、ありがとう」
少女が布袋を差し出す。これしかと言っているが、想像していたより袋が膨らんでいる。具体的には袋がはちきれんばかりに膨らんでいる。
「ねえ、名前聞いてもいい?」
「・・・『ルーミア』。あなた」
「助けてくれてありがとね。バイバイ、ルーミア」
少女の名前を尋ねようとしたルーミアだったが、少女はとっくに遥か遠くへと走り去っていた。
「・・・ふぅ」
人間とあまり親しくし過ぎるのは妖怪としては望ましくはない。ルーミア自身、妖怪としてのあり方を曲げる気はない。名前を知らずに別れたのは、きっと正しかったはずだ。
ただ、はちきれそうな布袋を見るとあの少女の笑顔がよぎる。一概に距離を取りすぎるのもいけないのではとも思ってしまう。
「・・・これヨモギじゃない!ワラビだ!」
例え、お礼として渡されたのが全く別種類の山菜だったとしても、これは色んな縁から得たものだから。
▽
人里は朝から賑わっていた。通りを歩く人達や店の前でお喋りをする人達で溢れかえっている。
そんな中、人里ではある怪物の噂が流れていた。妖怪とは違う新種の怪物・インベスの噂。それは瞬く間に人里中に広がり、インベスを知らない者の方が少なかった。今日も噂好きのおばちゃん達の間では、インベスに関連する話が出回っていた。
「聞いたかい、この近くの山で山菜取ってた女の子が今噂の怪物に襲われそうになったんだってさ」
「聞いた聞いた!それの何が吃驚かって、人食い妖怪に助けられたそうじゃない!」
「博麗神社のとこのお守りが効いたそうよ。うちも一つ貰ってこようかしらねぇ」
どういう事か博麗神社のお守りのご利益の方が主軸になっていく。知らないところで信仰が深まっていくのを霊夢が知ったら、きっと喜ぶだろうなと魔理沙は思った。どうせ参拝に来るわけないだろうけど。
「相変わらずおばちゃんたちは声でかいな」
「まあ、お陰でインベスの情報も広まるしさ」
「でも、ロックシードの事は全然広がってないぜ?」
「私達も具体的に分からないしなぁ・・・」
インベスに関しては人里が襲われた前例もあってすんなりと話が広まった。だが、ロックシードを詳しく知らない魔理沙達は口下手に説明するしかなかった。一応、実物を見せてはみたものの、イマイチ反応は良くない。どこが危険なのか見た目では分からないからだ。インベスを召喚しようかと悩んだが、戦国にその機能は極力使わないようにと釘を刺されていたため、使うことはなかった。
結局、人里の人達は『錠前っぽい物には近づかないようにしとこう』程度の認識のようだ。まあ、間違ってはいないが。
「しかし、近くの山でインベスか。最悪、人里まで来るんじゃないかい?」
「可能性としてはあると思う」
インベスが人里の近くに来ないとは言い難い。このまま放置するわけにもいかないだろう。
「スイタに相談した方がいいね。魔理沙、一度診療所まで行くよ。・・・魔理沙?」
萃香が戦国に相談しに行くと言い、魔理沙に呼びかける。だが、さっきまで隣にいたはずの魔理沙は影も形もなかった。
「あんのおバカ・・・」
一人置いていかれた萃香はため息をつく。今すぐにでも後を追うべきなのだろうが、魔理沙は戦極ドライバーを持っているからとりあえずは大丈夫だろう。
先にインベスの情報を聞くため萃香は戦国の元へと急ぐ。
残念ながら、その判断は間違っていたのだが。
▽
萃香が戦国の元へ向かった頃、人里で得た情報を元にインベスの行方を魔理沙は追っていた。箒で山の上を飛びながら怪しいものがいないか探っている。
「目撃場所はここら辺かな?」
とりあえず空からは何も発見出来なかったので、地上に降りてみる。辺りの木や地面を観察すると、その表面に傷が付いているのが分かった。それも明らかに規格外の大きさのものが。
目撃者が言うには『大きい翼のコウモリみたいな怪物』だったらしい。
「でも、コウモリが朝から出てくんのかな?」
今更ながら、魔理沙はコウモリが光に弱い事を思いだす。そんなのが朝っぱらから出てくるのだろうか?
しかし、魔理沙の心配は杞憂に終わった。上空から奇声をあげながら、上級インベスが飛んできたからだ。
「っ!?マジで出てきた!」
突然の襲撃に驚く魔理沙。地面に伏せてインベスの攻撃を躱し、その場から逃げる。
この時魔理沙は知らなかったが、インベスはロックシードに引き寄せられる。狙ったかのような襲撃も魔理沙がロックシードを複数所持しているのが原因だった。
「落ち着け、私」
一旦インベスから距離をとって木の影に隠れる。以前よりはましだが、インベスに対しての恐怖心はまだ拭えてない。だが、ここまで来た以上引き下がる事は出来ない。
深呼吸をして、気合を入れ直す。ポケットから戦極ドライバーとオレンジ色のロックシードを取り出す。この力があれば自分でも戦えるはず。
「行くぜ!」
木の影から飛び出しインベスに立ち向かう。戦極ドライバーを装着し、ロックシードを解錠してあの言葉を叫ぶ。
「変身!」
▽
朝食を食べ終えた戦国が暇を持て余してた頃、萃香がドタドタと部屋へと駆け込んできた。挨拶もそこそこに部屋の中で誰かを探すように見回す。しかし、分かってはいたようだが、探し人がいなかった事に表情が曇る。
「ねえ、魔理沙は来たかい?」
「ううん、来てないよ」
「来てない、か。やっぱり一人で・・・」
「何かあったの?」
「いや、実はーーー」
人里で得た情報を戦国に伝える。インベスの話だとすぐに理解した戦国はいつもとは違い真面目な表情になる。
「ここから近くの山でコウモリみたいなインベスが目撃された、か。もしかして、ベルトは今・・・」
「魔理沙が持ってるよ。ロックシードもね」
「・・・まずい」
一層表情が険しくなる。まるでこの先どうなるかが分かっているように。
「まずいって、変身自体は誰でも出来るんだったよね?なんか訓練でも必要なのかい?」
「訓練っていう訳じゃないけど、最低でも一回戦う前に変身して慣れておかなきゃいけないんだ」
「どういうこと?」
「えーと、話せば長いかな。兎に角山に行かなきゃ」
萃香の質問を少しはぐらかすように答える。戦国にとってあのベルトには、少々後ろめたい気持ちがある。『被験者』の事を考えると、自分がベルトの力を使っていいのか疑問に思ってしまう。
そんな戦国の姿に萃香は疑問が湧いてくるが、問い詰める時間は無い。
「スイタ、あんたはおとなしくしてな。これ以上は怪我に響く」
「そんな事気にしてられないよ。僕はアーマードライダーなんだから」
「あんたねぇ・・・。って、言ってる場合じゃない。スイタ、私は山へ向かう。あんたは大人しくしてなよ。・・・スイタ?急に静かに」
話を打ち切り部屋を出ようとする。しかし、戦国が急に静かになった事を不思議に思い振り返る。さっきまで後ろにいた戦国がいなくなっていて、さっきは閉まっていたはずの窓から風が入り込んでくる。急いで窓の外を見るが、戦国の姿はどこにもなかった。
一人取り残された萃香は両手を震わせ、怒りで顔が赤くなっていた。
「あんの、スイカ太郎がー!!」
診療所の扉をぶち破る勢いで飛び出ていく。道行く人達を蹴散らしながら嵐のように山へと向かっていく。
「スイカ太郎?」
「何なんだ?」
そんな萃香を医者と慧音は不思議そうに見ていたそうな。
ちなみに、戦国が脱走したのが医者にばれて大騒ぎになるのは別の話。
▽
「くっ・・・、おりゃあ!」
「キエエエェェッ!」
「うあっ!」
山の中、上級インベスとオレンジ色の鎧を装着している『鎧武者』が戦っていた。いや、それは戦いとは言えず、インベスが鎧武者を一方的にいたぶっていた。
鎧武者はまともに動けずフラフラとよろめきながら自身の武器を振るっている。だが、刃筋がぶれている上、相手を捉えるほどの速さもない攻撃はやすやすとインベスに躱され反撃を許してしまう。
「どうなってるんだよ・・・!あ、ぐうぅっ!」
地に膝をついた鎧武者が急に頭を抑えて呻く。
頭の中に様々な戦いのイメージがあふれる。傷付け、傷付き、幾度となく自らの手でインベスの命を奪っていく記憶を。それはあまりにも生々しく、到底受け入れ難い光景だった。
「うあぁぁぁっ!!」
変身が強制的に解除され、元の姿に戻ってしまう。被っていた帽子が落ちるが、拾うだけの力が出ない。
「あ、ううう、あぁぁぁ」
鎧武者に変身していた魔理沙は恐怖で動けなかった。涙がとめどなく溢れる。目の前の怪物と戦うことが、そして何よりもこのベルトを使って戦うことが怖かった。
魔理沙は自分の過ちに気付いた。このベルトは簡単な気持ちで使ってはいけなかった。簡単な覚悟で・・・変身してはいけなかった。
インベスが魔理沙に近付いてくる。きっとこのままだと殺される。それが分かっているのに、体が動かない。インベスは自分の目の前で腕を振り上げる。死を間近に感じ、目をつむる。
「そりゃあ!!」
だが、目を開いた魔理沙が見たのはインベスが自分に止めを刺す光景ではなく、白衣を着た少年の背中だった。
振り返った少年は安堵した表情を見せる。魔理沙は不思議と自分の中の恐怖心が消えていくのを感じていた。
「無事で良かったよ」
「時正。何で、ここに?」
「魔理沙がインベスの噂を聞いてどっか行ったて萃香に言われてさ。心配になって探しにきたんだ。親切な人が近道を教えてくれて助かったよ」
「お前、怪我してるのに・・・」
「えーと、もう治った!」
魔理沙の心配を余所に戦国は笑顔だ。白衣の袖で涙を拭き、落ちていた帽子を拾い魔理沙に被せる。
けたたましい鳴き声をあげながらインベスが起き上がる。どうやら、戦国を敵とみなしたようだ。
「ベルトとロックシード返してもらうから!」
「あ!待って、っ痛!」
ベルトを魔理沙から取り外し自分に装着する。魔理沙のポケットからマツボックリロックシードを取り、インベスに対峙する。
「下がってて。変身!」
『マツボックリ!』
先に付いてたロックシードを取り外し、マツボックリロックシードを解錠する。戦国の真上にクラックが開き、マツボックリアームズが降りてくる。
「そりゃ!」
『ロックオン ソイヤッ!マツボックリアームズ!』
ベルトにロックシードを取り付ける。法螺貝の音色が鳴ったのを聞き、すぐにカッティングブレードを倒す。マツボックリアームズが頭に被さり、黒いライドウェアが現れる。
『一撃・イン・ザ・シャドウ!』
音声と共にマツボックリアームズが展開し、各部の鎧へと変わる。最後に影松が手に現れ変身が完了する。影松を軽く振るい、調子を確認する。
「問題無しか」
「グゥゥゥッ!」
「そりゃっ!」
戦国に向かって接近してきたインベスを蹴り飛ばし、距離を開ける。睨み合うようにお互いに武器を構える。
「・・・何だ、あれ」
その様子を木の枝の上から見ている者がいることには、戦国もインベスも気付かなかった。
▽
黒影に変身した戦国は、影松を構えながらインベスの姿を観察する。情報通り大きな翼を持ったコウモリ型の上級インベスだ。
「『コウモリインベス』が一体か」
コウモリ型のインベスーーーコウモリインベスが一体、戦国と対峙している。周りの気配を探るが、他のインベスが潜んでいる感じはしない。
しかし、どこからか奇妙な視線は感じる。こちらを観察しているような感じだ。少なくとも敵ではなさそうだが。
魔理沙がいるこの場所では戦いにくいと判断し、横の獣道の方を確認する。木が多くて影松が使いにくくなるだろうが、そちらに誘導するしかない。
「こっちだ!」
「グゥ?ウオォォ!」
「あ!時正!」
「魔理沙は隠れてて!」
辺りの地形を把握し終わった戦国は、魔理沙からコウモリインベスを遠ざけるため誘導する。コウモリインベスはそれにつられ、戦国を追っていく。
「うまくいった」
うまくコウモリインベスを魔理沙から離した戦国は、改めて戦い始める。木の間を縫うように影松を連続で突き刺し怯ませる。最後に思いっきり胴体に蹴りを入れ、木に叩きつける。追撃をしようと影松を突き出すが、ぎりぎりで躱され木に突き刺さってしまった。
「やばっ」
「ギィッ!」
「うわっと!ぐっ!うああっ!」
その隙を見逃す筈もなく、コウモリインベスの攻撃を許してしまう。隠されていた剣のような小さな翼で切られ、戦国はよろめく。お返しとばかりに蹴りをくらい地面を転がる。
「っつぅ、あ!影松が無い!」
「グオオオォ!」
「うあっ!!」
影松が手元から離れてしまい焦る。無双セイバーを引き抜こうとするが、それよりも早くコウモリインベスは火球を吐き追撃をしてくる。
攻撃を喰らいすぎ膝をつく戦国に、止めを刺そうとコウモリインベスが近付く。
「とおりゃ!」
「グェッ!?」
しかし、空から乱入者の奇襲を受ける。乱入者は戦国のよく知る鬼だった。何故か物凄く不機嫌そうな顔だが。
「萃香!」
「萃香!じゃないよこのスイカ太郎!!」
「え!?何で怒ってるのさ!?」
「全く、あんたも魔理沙も勝手に行動して!」
「キェェェー!!」
「「うぉっ!?」」
また以前のスイカ太郎呼びになったのに地味にショックを受ける戦国。萃香はそんな戦国に構わず怒ろうとするが、コウモリインベスの無差別攻撃に阻まれる。
「この!山火事になったらどうするのさ!」
「説教は後!こいつを倒すよ!」
「説教やだ!」
「拳骨追加!」
「ごめんなさい!」
無双セイバーを引き抜きコウモリインベスを斬る。相手が怯んだ隙に萃香が弾幕で追撃する。2人の連携に徐々にコウモリインベスは追い詰められていく。
「いくぞ!」
『ロックオン 1!10!100!!』
ベルトからマツボックリロックシードを取り外し、無双セイバーにセットする。音声と共に刀身にエネルギーが溜まっていく。
「そおりゃあ!!」
『マツボックリチャージ!!』
エネルギーが溜まった無双セイバーを振るい、そこから発生したマツボックリ状の斬撃が真っ直ぐ飛んでいく。危機を感じたコウモリインベスは攻撃が当たる寸前に空へと逃げた。
「あ、避けんな!」
「空に逃げたか。スイタ!ここは私が」
「逃がさないからな!」
「・・・おいおい」
萃香が自分に任せるように言おうとするが、戦国は既にダンデライナーに乗ってコウモリインベスを追っていってしまった。全然人の話を聞かない戦国に萃香は頭を抱える。
「全く・・・本当に無鉄砲ーーー!誰だ!」
自分も後を追おうとした時、奥の茂みの方から自分を見ている嫌な視線を感じた。
気配は消えないが、こちらに危害を加える気はないのかなにもしてこない。それを不気味に思う萃香だったが、インベス退治を優先し空へと飛ぶ。
「ふふっ」
観察者はその紫色の『複眼』で戦国達の戦いを見ていた。そして、今も。
「おりゃりゃりゃりゃ!」
「キェェェェー」
「りゃ、あれ?弾切れ?」
それを知る由もない戦国は空中で追いかけっこをしている。無双セイバーで狙い撃つが、コントロールが定まらず擦りもしない。
「だったら、これでもくらえ!」
「キェェ!」
戦国がダンデライナーを操作すると、前面から光線が発射された。それも避けられてしまう。だが、
「キエェッ、グォォッ!?」
「え、なに!?」
突然地上から紫色の弾丸がコウモリインベスに向かって無数に放たれる。予想外の攻撃に対処できなかったのか、除けきれずに全弾直撃する。
「今のは?」
弾丸が飛んできた方を確認するが、木に阻まれ狙撃者は見えなかった。だが、誰かの視線は感じる。こちらに敵意があるのかまでは分からないが追撃はしてこない。
「スイタ!ボーとしない!」
「あ!分かった!」
『ソイヤッ!マツボックリスカッシュ!』
遅れてきた萃香に注意され、戦国は戦いに気を戻す。落ちていくコウモリインベスを見てチャンスだと判断し、カッティングブレードを一回倒して必殺技を発動する。無双セイバーにエネルギーが溜まり刀身が黒く光る。
「はーっ!」
コウモリインベスに向かい、ダンデライナーの座席に立ち刀身を真っ直ぐ相手に向ける。
「グッ、ウオォォ・・・!・・・ノ"」
「そおりゃあー!!」
「アアアァァァーーー!」
ダンデライナーごと相手に突っ込む。強化された無双セイバーの一撃をまともに喰らい、悲鳴を上げながらコウモリインベスは爆散する。
「・・・うわっ!ととと!落ちる落ちる!」
「・・・かっこ悪いよ」
無茶な体制で攻撃をしたせいで落ちそうになっている戦国を、萃香は呆れた顔で見ていた。
▽
木々の間から戦国達に見つからないように戦いを観察している少女がいた。少女は怪物が空中で爆散したのを見て、戦いが終わったのを知る。
自分の手の中の錠前を弄りながら、さっきの戦いを思い出す。
「あのベルト・・・それにこの錠前。ただの玩具じゃない」
一部始終を見ていた彼女は楽しそうに笑う。怪物相手に対等に渡り合える力。あの力があれば、自分の夢を達成できるかもしれない。手の中の錠前を回しながらそう考える。
「面白くなってきたじゃん!力を利用さしてもらうよ。私の下剋上のために!」
高々とそう宣言し、笑いながら『天邪鬼』は去っていった。
あんまり話が進んでないようで、進んでません。ただ、今回は色々キーワードが出てました。
次話はちょっと手直しするんで時間かかります。
後、閲覧が千人超えました。こんな作品ですけど、皆さんのご愛読に感謝です。これからもよろしくお願いします。
次回もよろしく。