東方戦国記   作:楠名等

9 / 13
はい、お久しぶりです。楠です。
ここ数日立て込んでて投稿出来ませんでした。待っていただいた方、ごめんなさい。

今回の話は以前少し出たノアというオリジナルキャラが主要の話です。タイトルは『ノア=ナックルマン』と読みます。
因みに、主人公は今回一切出ません。いや、マジで。





Noix=Knuckle man

「おーい、ノアー」

「いるなら返事しろーい」

 

声が聞こえる。小さい頃から一緒にいたあいつらの声が。

自分の家の扉が開き、二人の男が入ってくる。自分の良く知ってる顔だ。

 

「おいおい、ノア。なーにしょぼくれた顔してんだよ?」

「また仕事でもクビにされたか?これで何回目だよ」

 

いつもの人を小馬鹿にしたようなにやけ面の二人。親を早くに亡くした自分を励まして一緒にいてくれた、大切な友人。二人も親がいなかったから、俺の気持ちを汲んでくれていた。だから、俺もあいつらと一緒にいた。

二人の軽口に何も思わないでもないが、それより先に安堵する。

 

「お前ら、無事だったか・・・」

「何言ってんだよ?変なノアだな」

 

ははは、と大きい声で笑う。それにつられノアも苦笑する。考えすぎだったんだ。今日もいつもと変わらない光景だ。そう、何も変わらない。

 

「そうだ!お前に見せたいもんがあるんだ」

「付いてこいよ。びっくりするぜー」

「なんだよ?またくだらない物でも見つけたか?」

 

ノアの軽口に応えず二人は外へと出る。その反応に疑問を持つが、二人の後を追って行く。

そして、追わなければ良かったとすぐに後悔する。

 

「・・・・・・何だ、これは」

 

人里が、いや、世界が奇妙な植物で覆われている。人も動物も建物も、何もかもがあの植物に侵食されていた。

後ずさり逃げだそうとするが、自分の足に植物の蔦が絡まり動けなくなる。必死にもがくが植物はじりじりと這い上がってくる。次第に恐怖心が強まり二人に助けを求めようとする。だが、二人を見た瞬間そんな気持ちは消えた。

 

「「・・・・・・」」

 

二人は自分を無表情で見ていた。いつものにやけ面ではなく、表情が一切無い。ノアはこの表情に見覚えがあった。両親や兄と『再会』した時に見た、記憶から消えない表情。

 

間違いなくあの顔は、『死んだ人間の顔』だ。

 

「「お前もこっちに来いよ」」

 

二人の動かない口から声が発せられる。今までに感じた事のない恐怖に襲われ、声にならない叫びを上げる。しだいに視界が閉ざされ体の感覚が消えていく。だんだんと意識が薄れ、何も分からなくなってーーー

 

 

 

「おっきろー!」

「ッ!」

 

そこで目が覚めた。目の前にはよく見知った少女がどこか心配そうに自分を見ている。周りを見るがあの植物は当然無い。自分の体にもそんなものは無かった。

 

「・・・夢、か」

「ウェ?」

 

安堵のため息が出る。不思議そうに小首をかしげる少女に、なんでもないと伝える。所詮はただの夢だ。そう気にする事ではないと自分に言い聞かせる。

ふと枕元に置いてある物が目に入り、心臓が止まりそうになる。小刀が付いた板のような物と無機質な錠前。昨日三人で人里の外に出かけたときに見つけた物だ。

 

「・・・夢じゃないのか」

「どったの?」

「いや、何でもない」

「・・・?まあ、いいや。台所借りるね」

 

少女はそんなノアを訝しがるが、気にせずに台所の方へと向かっていった。いつもの一日。何も変わらない朝。

 

「・・・」

 

このベルトと錠前を除いて。

 

 

「本当怖かったんだよ!ウェー!もうあたしもお終いか!?と思ったらルーミアって人喰い妖怪ちゃんに助けてもらってさ!空からキェー!キェー!って奇声が聞こえてね!で、何が凄いって、博麗神社のお守りのおかげで助かったんだ!」

「もう少し分かるように言えよ」

「博麗神社のお守りすげえ!」

「何だそりゃ」

 

食器を片付けている横で少女が身振り手振りを混じえて大声で話す。ノアが聞く限りはそうとう恐ろしい目にあった筈なのだが、嬉々として話す少女はそんな様子は無い。神経が図太いのか何なのか。

 

「というか、お前。怪物騒ぎが起きてるのによく外出る気になったな」

「そりゃあ、ノアちゃんの食事情勢のためですし」

 

よく外出る気になった、というのは自分が言えた義理ではないが。

 

「ワラビだけ大量に持ってこられてもな」

「あれ、ヨモギじゃないの?」

「ワラビとヨモギは全然違うだろ」

「『蕨』、『蓬』、あれ?」

 

小首をかしげる少女は、本当に違いが分かっていないらしい。そもそも、そんな違いなどを気にする性格ではないのだが。最終的に、まあ、いいや。と少女は一人で話を終わらせる。

 

「でも、ノアちゃんが魘されてるの見た時はびっくりしたよ」

「ああ、変な夢を見たんだ。疲れてるのかもな」

「ノアちゃん、悩み事多いからねぇ。寝ても覚めても眉間にシワ!」

「何だそりゃ。まっ、たかが夢だ」

「どうかなぁ〜?夢って馬鹿にできないよ」

「あ?」

 

少女の言葉にノアは首をひねる。ノアが知っている限りでは、夢は人間が寝ている時に起きる記憶の整理だ。小難しい説明は覚えてないが、大したものではないはず。

 

「いい?夢ってのはね、予言なんだよ!」

「は?」

「知らない?夢って人より凄い存在が『これからこうなるぞよ〜』って伝えるために見せるんだよ」

「へー、ふーん」

「真面目に聞いてよ!」

 

少女は持ち前の知識を披露したがっているようだが、ノアはあまり迷信を信じない方だ。神様もこの眼で見るまではいる訳が無いと思っていたくらいだ。

 

「ここには神様だの妖怪だのがうじゃうじゃいるのは知ってるが、そんなものに一々予言をされていたらキリが無いだろ」

「あーあ、ノアちゃんは夢が無いなー」

「うるせぇ」

 

この光景もいつもの事だ。他愛も無い話をして笑いあう。何もおかしい事は無い。

 

「そろそろあたし戻らなきゃ」

「そうか。ああ、そうだ。あんまり危ない事すんなよ。お前の両親も」

「それじゃあ、あたしお母ちゃんの手伝いあるから!お母ちゃんの拳骨はもう勘弁だー」

「・・・聞けよ」

 

全く話を聞かない少女に思わずため息が出る。元気があるのはいいが、人の話を聞かないのが玉に瑕だ。

少女が家の扉を開け外へ出ようとするが、何かを思い立ったのかノアの方を振り返る。

 

「ねえ、ノアちゃん。あたしの名前覚えてくれた?」

「・・・さぁな」

「ぶっぶー!さぁなじゃありませーん。ちゃんと覚えてよ!あたしは」

「いいから、さっさと行け」

「聞けとかさっさと行けとかどっちだか。・・・ノアちゃんの意地悪」

 

不満そうな表情のままばたばたと駆け足で家を出て行く少女。多少の罪悪感を感じるが、これが自分の生き方だ。

 

「俺もそろそろ行くか」

 

ノアは外へ出る準備を始める。いなくなった二人を探すために。

 

結局あの後、二人は帰ってこなかった。それぞれの家を訪ねても、近所の人に聞いてみても二人が帰ってきた様子はなかった。そんな中で怪物が目撃されたとなれば嫌な予感もする。今人里で広がっている噂の怪物、それがこの近くに居るとなれば不安にもなる。

 

「・・・怪物か。あの馬鹿ども、大丈夫なのか?」

 

逃げ足が無駄に速いあの二人なら大丈夫だろうとは思う。だが、もし本当に自分が見た夢のようになったら?

 

あの表情が頭に焼き付いて離れない。

 

「・・・悩んでもしかたねぇ」

 

ノアは纏めた荷物を担ぎ外へと出る。当然、外の景色は普段と何ら変わらない。人も動物も建物も、全てがいつも通りだった。

 

 

「はい、お金ちょうど」

「毎度あり」

 

ノアは人里の外へ出る前に食料を買っていた。あの二人が見つかったら確実に腹が減ったとギャーギャー騒ぐからだ。

買ってきた食糧を布袋に詰める前に、持ち物の確認をする。塗り薬や包帯、ランタン、護身用の小刀、替えの服などを持ってきた。あの二人が怪物に襲われてないとも限らないし、自分が襲われないとも限らない。用意するに越した事はないはずだ。

 

「やっぱ、いらなかったか?」

 

そして、持ち物の中にはあのベルトと錠前も入っている。もしかしたら、何かの役に立つのではないかと思ったのだが、単純に嵩張って邪魔でしかない。今更ではあるが。

 

「でさ、俺は店のおじさんに言ってやったんだ。蜜柑じゃなくて、オレン、おわっ!?」

「まあ、いいか。って、うおっ!」

「あら」

 

荷物の確認を終えた時、オレンジ色のエプロンを着た青年とぶつかってしまった。相手は話に夢中になって気付かなかったのか、真っ正面からぶつかってしまい、衝撃で青年が持っている籠の中に入っていた果物が道にばら撒かれてしまう。

 

「おい、前見て」

「ああー!待てぇ俺のオレンジー!」

「おい、聞けよ」

「すみません、拾うの手伝ってくださいます?」

「いや、あのな、・・・はぁ」

 

連れ添いらしき銀髪のエプロンドレスを着た少女がノアに拾うように頼む。頼むといえば聞こえは良いが、その目はどう見ても『お前が拾うのは当然だろ』と語っている。自分にも非があるのを理解はしているので、ノアはしぶしぶ拾うのを手伝う。のだが、

 

「おっと!」

「おっ!?」

「オレンジゲット!って、おいおい、大丈夫か?」

「おっとっと、ああ、悪い悪い」

 

今度は金髪の少女とぶつかる。だいぶ急いで走っていたのか、屈んでいたノアの背中に思いっきり当たり、ノアは地面にぶつかりそうになる。走っていた金髪の少女は姿勢を崩しながらも、ノアの方を振り向いてはにかみながら謝る。

 

「ったく!前見て」

「ちょっと急いでるんだ。説教は覚えてたら聞きにいくぜ〜」

「今聞けよ!」

 

金髪の少女は背中を向けたまま手を振る。その態度に文句の一つでも言おうとするが、もうとっくに少女は走り去ってしまった。

 

「・・・魔理沙?何をやってるのかしらね」

「おーい、『咲夜』。全部拾ったぞ」

「ああ、そう。じゃあ帰りましょう」

「おう。あ、さっきはぶつかってごめんな。じゃ」

 

ノアが何か言う前に二人は拾う物を拾ってさっさと帰ってしまった。謝られただけましだが、物凄くもやもやする。

 

「・・・はぁ」

 

今日何度目になるか分からないため息をつく。今日はもしかしたら厄日なのかもしれないと半ば諦めて、本来の目的地へと向かう事にした。

 

人里の中を歩いていると、様々な人とすれ違う。その中でも嫌でも目に入ってしまうものはある。

親子だと思われる二人が駒を回して笑いあっている。その反対側では、駄々をこねる幼い子どもを叱りつけている母親の姿が見える。その近くには・・・

 

「・・・何を今更」

 

もう二度と自分には縁のない事だ。家族と一緒に生きるなんて。

 

心を切り替え、人里の出口へと向かう。自分にはやるべき事がある。今は余計な考えを持つ必要はない。

人里の出口の前に着いたノアは気合を入れ直し、余計な考えを消す。そして、

 

「邪魔だどけぇー!!」

「おぶぅ!?」

 

思いっきり跳ね飛ばされた。

回る視界の中で自分とぶつかった・・・というより、跳ね飛ばした小柄な少女が人里の外へと走っていく姿が見え、地面に激突する。後ろの方で何事かと野次馬が集まってくる。

 

「なにあれー?」

「しっ!見ちゃいけません!」

「・・・厄日だ」

 

朝から碌な目にあってない気がするのは、ノアの気のせいではなかった。

 

 

「・・・首いてぇ」

 

ノアは昨日三人で来た場所にいた。あの二人と別れたのはこの場所だ。二人がどこに消えたか、手がかりが残っていないか調べにきたのだ。

荒れ果てた広場を見るが、特別昨日と状況は変わっていない。そう思ったノアだったが、一つだけ変わっているものを見つけた。

 

「あの植物が枯れている?」

 

昨日発見した奇妙な植物。それが経ったの一日足らずで枯れてしまっている。実は腐り落ちていて一つも付いてない。ノアが植物に触れた時、植物が灰になるように崩れ落ちた。

しばらくその植物の残骸を見ていたノアの背後から突然声がした。

 

『その植物はこの世界から拒絶されてしまったのだ』

「・・・誰だ。この植物を知っているのか?」

 

ノアの背後にいたのは、金色の長髪にフリル付きの紫色のドレスを着た、幻想的でどこか不安定な女性だった。頭にはリボンの付いた帽子を被っていて、白い手袋を履いている。女性とも男性ともつかない声が一層彼女を不安定に見せる。

女性はノアの質問に答えず、植物の残骸を手に取る。触れれば触れるほど崩れ、さらさらと流れ落ちていく残骸を見て、女性は顔を歪める。

 

『この世界を手に・・・統一するには、まだ力が足りない。あちらの世界のものはすぐに死んでしまう』

「統一?あちらの世界?」

 

あちらの世界と言われ思い浮かべるのは、幻想郷の外にある世界だ。ただ、外の世界のものが幻想郷にきたらすぐに死んでしまうなどという話は聞いた事がない。それに、幻想郷を統一するとはどういう意味か、ノアには皆目検討がつかない。今の幻想郷は微妙なバランスの上で成り立っている、らしい。それを崩してしまえば、一体どうなってしまうのか。

 

「あんたは幻想郷を統一してどうする?何が目的なんだ」

『決まっている。天下をこの手に収める』

「天下、だと?」

 

迷いの一つも無い言葉に、逆に意味が理解出来ない。天下といえば何となくだが知っている。戦国時代の武将が国を一つにするために戦っていた。国を一つにした時、天下統一は成し遂げられる、といった話だ。つまり、この女性は幻想郷を纏めようとしているのか。

 

『そう、天下だ!次こそ私が天下をこの手に収める!

「っ!?」

 

さっきまでの落ち着いた雰囲気が急激に荒々しくなる。植物の残骸を握りしめ、紫色の瞳が執念に燃える。女性の突然の豹変にノアは言葉を失う。

意を決っして女性にその意味を聞き出そうとするが、それは予想外の乱入者に阻まれてしまう。

「キエェェェ!!」

「何だ!?」

 

突然上空からコウモリのような怪物ーーーコウモリインベスが襲いかかってきた。鋭い翼で切りかかってくるのを、ノアは間一髪で避ける。

 

『ほぉ、まだ『一人』生き残っていたか』

 

先ほどまでの荒々しい雰囲気から、どこか柔らかい表情へと変わる。しかし、襲われているノアにとってはその変化は不気味でしかなかった。

 

「くっ、おい!何だあれは!」

『生き残りたくば戦え!そして、この世界と向こうの世界を繋げろ!この私が天下を取るためにな!』

「おい、会話しろよ!」

 

会話にならない事にノアが怒鳴るが、女性は気にもしない。幻想郷の連中はまともに話も出来ないのだろうか。などと言っている間にもインベスは襲ってくる。

こちらに向かってくるコウモリインベスに対し、ノアは袋の中から小刀を取り出し斬りかかる。

 

「あっ!折れたぁ!?」

「オオォッ!」

「ぐあっ!」

 

だが、コウモリインベスには通じず、逆に小刀を折られて一撃を食らってしまう。地面を転がった衝撃で袋の中から錠前が落ちる。

 

地面にうつ伏せになりながら、ノアは生き残る手段を必死に考える。逃げるのは今更不可能。女性は自分を助ける気は無いだろう。そもそも、あの女性は人間かどうかも分からない。

今回ばかりは無理かと諦めそうになった時、地面に転がっている錠前を見て、ふと、昨日発見したベルトを思い出す。あのベルトの本当の使い方は一体何なのか?昨日の状況を思い出し、閃く。ベルトとあの錠前は一緒に使うのではないかと。ベルトを付けたまま果実に触れて、あの錠前に変わったのだ。その可能性はないとは言えない。ノアは覚悟を決め、袋からベルトを取り出す。

 

「どうにでもなれ!」

「グォ!オオオォォ!」

「な!?てめえ!」

 

ベルトを装着し、落ちていた錠前を拾い解錠しようとする。しかし、それよりも早くコウモリインベスに捕まってしまい、空へと連れてかれる。

 

「くそ!離せ!あ、いや離すな!静かに降ろせ!」

「グオォォ!」

「待て、うあああぁぁぁぁ!」

 

懇願も虚しくそのままの高さから離され、ノアは落下する。人里が自分の手に収まるようなサイズに見える高さに死を覚悟した。

 

『さぁ!変身するがいい!』

 

遥か下にいるはずの女性の声が聞こえる。ノアは自分の震える手の中の錠前を見る。ただの無機質な錠前。

言われるまでもなく錠前を使おうとするが、

 

ー使ってはいけないー

 

頭の中で警笛が鳴り響き、自分の本能が危険だと知らせている。このまま地面に叩きつけられて死ぬ方がましだと。

 

「・・・くっ!」

『クルミ!』

 

だが、ノアは生き残る事を選択し、錠前ーーー『クルミロックシード』を解錠する。ノアの頭の上にクラックが開かれ、中からクルミ型の鎧ーーー『クルミアームズ』が降りてくる。

 

これから何が起こるかは分からない。死ぬより辛い目に合うかもしれない。それでも、死にたくない。生きていたい。

 

ベルトの窪みにロックシードをはめ、ロックする。

 

『ロックオン』

 

ベルトからエレキギターのような音が鳴り響き、準備が完了した事を知らせる。

自分の中の死への恐怖を振り払う。そして、気持ちを奮い立たせ頭に浮かんだ言葉を叫び、ノアは迷わずカッティングブレードを弾く。

 

「変身!」

『クルミアームズ!』

 

ロックシードが切られ、断面が現れる。音声と共にクルミアームズが頭に被さり、体に黒色のライドウェアが現れる。ノアに仮面が装着され、クルミアームズが展開し、胸・肩・背中の鎧へと変化する。それと同時に地面に着地する。

 

『ミスター!ナックルマン!!』

 

その音声が流れ、手甲型の武器ーーー『クルミボンバー』が両腕に現れ変身が完了する。

 

もうもうと立ち上る土煙の中現れたのは、二体目の量産型アーマードライダー『ナックル』だった。

 

「・・・ミスターナックルマン?」

 

ノアはかなりの高さから落ちたのに無事だった事と、自分の変化した姿。そして、ベルトの音声にしばし驚く。

 

『それでいい。貴様が新たな武神だ』

「武神?おい、あんた本当に」

「キエエエエエエ!!」

「ちっ、らぁっ!」

「グエェ!?」

 

女性に問いただそうとした時、上空から襲いかかってきたコウモリインベスをノアはカウンターで殴り倒す。拳が直撃し、コウモリインベスが吹き飛びながら地面を転がる。いつも通りの要領で殴ったつもりだったが、想像以上の力にまた驚く。

 

「・・・あんたが何者かは知らないが」

 

女性を横目で見ながら、よろよろと立ち上がるコウモリインベスへと拳を構える。

 

「俺に戦えと言うのなら、戦ってやる!」

 

コウモリインベスへと駆け出し、二度三度と拳を叩きつける。ノアはコウモリインベスの攻撃を拳で弾き、強力なブローを打ち込む。コウモリインベスはそのまま吹き飛ぶが、空中で身を捻りまた空へと飛ぶ。ノアの上空を旋回し、口から炎弾をはきだす。

 

「ぐわああっ!」

 

それを避けきれず、数発食らってしまう。遠距離からの攻撃が有効と気付いたコウモリインベスはそのまま炎弾をはき続ける。

 

「くそ!どうにかなんねぇか!」

『・・・!?貴様・・・!小刀を三回倒しなさい!」

「あ?」

「いいから早く!」

 

次第に押され始めたノアを女性は無言で見つめていたが、頭を抑えたかと思うとノアに助言をする。突然別人のように変貌した女性に疑問を持つも、言われた通りにカッティングブレードを三回拳で弾く。

 

『クルミスパーキング!』

「何だ?・・・こうか!」

 

両腕のクルミボンバーにエネルギーが集まり光り出す。炎弾を極力躱しながら、コウモリインベスに向かって拳を突き出す。

 

「はぁっ!らぁっ!!」

「ガァッ!?」

 

クルミボンバーからクルミ状のオーラが発射され、コウモリインベスの翼を撃ち抜く。翼を失ったコウモリインベスが落ちていき、地面へと叩きつけられる。

 

『・・・大人しくしていろ。さあ、止めを刺せ!』

「・・・言われなくても」

「オオォォォ・・・」

 

女性がノアに止めを刺すように叫ぶ。地面に倒れて苦しんでいるコウモリインベスを見たノアは、少し躊躇いながらもカッティングブレードを二回弾く。

 

『クルミオーレ!』

 

その場で浮かび上がり、クルミ状のオーラを纏いながらコウモリインベスに突撃する。コウモリインベスは最後の力を振り絞り立ち上がる。

 

「ノ"・・・」

 

だが、コウモリインベスは攻撃をせずに、向かってくるノアに震える手を伸ばしてくる。何かを必死で伝えようとするかのように。

 

「っ!たぁーっ!!」

 

ノアはその光景に心を抉られるような思いをするが、それを振り払うように叫び、止めを刺す。

 

「ノ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッ!!」

 

断末魔をあげながら爆散するコウモリインベス。跡形も無く散り、コウモリインベスの命が終わった。

戦いが終わり、全身の力が抜けたノアはその場に座り込み、変身を解く。生き残ったことに対する喜びの感情は、無い。

 

「勝った、のか」

 

コウモリインベスを自分の手で倒したノアは、暫く某然とする。怪物とはいえ、自分の手で命を奪った事にまだ実感が湧かなかった。

周りを見回し女性を探すが、その場にいるのは自分一人だった。まるで最初から誰もいなかったかのように、女性がいた痕跡は無い。

 

「・・・俺は正しかったのか?」

 

汚れ一つ無い自分の手を見る。何故か分からないのに、自分のやった事に疑問を持ち、誰に問うわけでもなく独り言のように呟く。

 

あのまま変身しなければ死んでいたのは俺だ。これで良かったんだ。

そう自分に言い聞かせ、ノアはその場から背を向ける。

 

「あいつらを探さないと」

 

風に吹かれて植物の残骸が空を舞う。

 

振り返ったノアが見たのは、何も残ってないただの荒地だった。

 




はい、名前がちゃんと出た二人目のアーマードライダーの登場です。魔理沙が変身したのはまだノーカンです。

因みに、ノアとは仏語で『くるみ』という意味です。ノワとも言うとか。

皆さんに聞いておきたいのですが、オリジナルキャラが出た時は後書きにでも軽いキャラ説明を入れるべきでしょうか?本編でちゃんとキャラの背景は描写しますが、細かいとこまでは入れれないかもしれないので。まあ、そこまでオリジナルキャラは出さないつもりですが。
何か気付いたら一言貰えると嬉しいです。

例・ノア
不幸属性のお兄ちゃん。悪友とよくつるんでいた。食事を作りに女の子が来るという事をよく弄られていた。

みたいな。

それでは、次回もよろしく。


そういえば、ナックルマンって直訳すると、『操車員』って意味らしいです。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。